BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年10月23日
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

庶幾

ちょっと待てという和樹さんの言葉を振り切って僕はエレベーターに乗り込んだ。
幸い、追いつかれることも無く玄関まで辿りついた。
タクシーに乗り一度、僕のマンションに向かってもらった。
トランクを引っ張りだして車に戻ると全の住む場所に向かった。
時間が掛かりそうだったからタクシーに引き取ってもらってアパートに向かった。
以前、全が住んでいた所とは大違いな場所で驚いた。
二階建てのボロアパート、大家さんは1階の角部屋に住んでいるって事だったから尋ねるとあれこれと聞かれたがそこは適当にかわして全の部屋に入った。

ワンルームの部屋には小さなテーブルその上にノートパソコン、テレビなんて無いし服は押入れの中に三段のチェスとが二つ、スーツは3枚が吊るされていた。
これを着まわしているのだと思っが全はスーツに拘りが有って他にも多くのものを所有していたのに。。。
詮索は後回しにしてパジャマに下着等々をトランクに積み込んだがトランクが必要なほど荷物は無かった、もっと冷静に考えればよかったと部屋に座り込んで一息ついた。
ドアがノックされた。
大家さんかと思ったけれど声を掛けるように言われていたから違う。
セールスか何かかと思ったがそれは和樹さんだという事が彼が顔を覗かせたことによって分かった。

「和樹さん。。。なぜ?佐伯先生は?」
「彼女には君の所に行ってやって欲しいと言われたよ」
「でも、絢斗が。。。」
「あれは平気だ、僕の部下が付いているからね、上がらせてもらうよ」

靴を脱いで上がり込んでくる。


「これが彼の新しい部屋なのかい?」
「ええ、そのようです」
「しかし、これは。。。」

和樹さんもこの部屋の有様には驚いたようだった。

「編集者と言うのはこんな生活をしているものなのか?」


何を思って全がこの部屋に住んでいるのかは分からないだけど佐伯先生との結婚を取り止めて生活が一変したのだろうか、そういえば以前に住んでいた所はどうしたのか?僕は何も知らないでいた。

「皆藤君も君には知られたくなかったんだろう」

そうだろうか?なんだか和樹さんが言ってる事は違ってると思った。

「さあ、帰らなくてはね、皆藤君が目を覚ましてしまう」
「ええ、タクシーを呼びますから和樹さんは佐伯先生の所に。。。」
「君と話がしたいのだよ、だから私の車で。。。」
「しかし、それでは佐伯先生が。。。」
「言ったじゃないか、翠は平気だって脆いところも有るが彼女は絢斗の親なんだよ、彼の身の振り方は皆藤君が目覚めて落ち着いてからだ、私はまだ自由なんだよ」
「ありがとうございます、だけどそれは出来ません、これは僕のケジメです」

手が伸びて来た。
抱き寄せられた。

「和樹さん?」
「君を放してしまうのは惜しい。。。」

手を振り払うにも身動きが取れない。
全の部屋で和樹さんに抱き締められるなんて。。。

「私はダメな人間だ、嫉妬深くて傲慢で。。。翠を助けようと思ったのだが君を手放すことがこんなに苦しいことだとは思いもしなかった、未練がましい男だと思って欲しい」

僕自身、これほど人に求めらる様な人間では無いのに僕をこれほど思ってくれる和樹さんがなんだ可愛そうに思えてしまった。
彼はきっと同情なんて今は必要としてないんじゃないか、今の僕は何を和樹さんに与えればいいのだろうか?
和樹さん自身、まだ心に決着が付いていないのかも知れない。
もしかしたら一時の迷いで僕に接しているだけなのかとも考えた。

「顕一、今だけは私に送らせて欲しい」

最後の願いを訴えるような和樹さんの声、僕は病院へ送ってもらうことにした。
車の中では沈黙が続いた。

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最終更新日  2009年10月23日 03時43分35秒
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