BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2009年11月15日
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

変遷

退院の日がやって来た。
佐伯先生と砂田さんが女手が必要だろうと来てくれた。
二人とも忙しいだろうに非常に嬉しいしありがたい。
砂田さんは編集長命令だと言いながらなんだか楽しそうに身の回りのものをバッグに詰めて良く、佐伯先生もなんだか楽しそうだった。
全は部屋の隅に座らされ、僕は動かなくて良いからと全に寄り添っていた。

「全、聞きたいって思ってた事が有るんだけど。。。」
「なに?」

「そう。。。」

全の家の事、あのアパートはどうしたのかって事、聞きたくても聞けないでいた。
なんて切り出せば良いのだろうか?
全が僕に体を預けて来る。
心地良い重さ、膝に置かれた手を握った。

「砂田さんがいるよ」
「平気、俺は君がいればいいんだ」
「全。。。」

温かい全のてこうして触れ合う事がもう一度、出来るなんてあの日は思いもしなかった。
そして全の恋人に成れた。
和樹さんに感謝をしなければ、幸せだ。

絢斗は完全に復帰したという。
事務所の意向が強かったそうで街には彼のポスターが溢れてる。
それだけじゃない、テレビを点ければ彼が出ていない日は無い、そう、映画のヒットが絢斗を一躍、スターにのし上げたのだった。
そして本も売れた。
益々、僕は取り残されて行く気分に成った。


「全、僕の文章は普通の小説でも通用するかな?」
「十分、通用すると思うよ」
「それはお世辞じゃないよね?」
「俺はプロだよ、ダメなものはダメだって言うし良いものは褒める、編集者のプライドは持ってるよ」
「安心した」
「何か考えてる?」
「そんなとこ」

二人で見詰め合う。
甘い空気、その時だった。
咳払いをする佐伯先生が目の前に立っていた。
笑いながら腰に手を当てて仁王立ちしてる。

「お二人さん、何をしてるのかしら?準備出来たのだけれど?顕一君、支払いは済んでいるのね」
「砂田さんは?」
「先に降りました」
「あ、ありがとう御座いました」

隣で全がクスクス笑ってる。
先生も口を抑えて笑ってる。
焦った、二人だけの世界に浸っていた自分に恥じる。

「それにしても、少しの入院なのに荷物が有るのねぇ」
「ええ、そうでしょ、申し訳有りませんでした」
「全、良いの貴方の役に立てて嬉しいは、貴方の復帰が待ち遠しいもの、行きましょうか?」

先生が自分の荷物を持つと先に歩いて行く、二人でその後ろを付いて行った。
エレベーターで降りると春日先生と砂田さんが談笑してる。
何度も病院に出入りしてる間に仲が良くなったらしい。

「お似合いね」
「ええ、そうですね」
「千史は彼女を気に入ったみたいね」

頬を染めながら話をしてる砂田さんが可愛らしい、落ちる眼鏡を何度も上げながら先生の顔を見てる。
春日先生は視線を合わせる様に高い背を丸めて見詰めて普段は見せない笑顔が浮かんでる。

「あ、佐伯先生、車回しておきました乗って下さいね」

こっちに気付いた彼女が手を上げて叫んだ。
それを笑いながら見てる春日先生、やっぱり視線が砂田さんを見てる、優しい瞳が印象的だった。

「皆藤君、退院おめでとう」
「ありがとうございます、お世話になりました」
「いえ、君の頑張りもあったからね」
「先生と皆藤さんのお陰です、誰も傷付かずに済んだ」

そうだ、先生と和樹さんが手を尽くしてくれた、絢斗スキャンダルにも成らなかったし、僕もマスコミに追われることが無かった。
感謝しても足りないくらい恩が出来てしまった。

「千史、退院祝いに来てくれるわよね」
「ええ、時間を作って」
「砂田さんも良いわね」
「あ、ありがとうございます」
「では、失礼しましょうか?」

もう一度、先生に挨拶すると砂田さんの運転で全のアパートに向かった。
荷物を降ろして僕が運んだ。
先生と砂田さんはその場で失礼すると帰って行った。
本当は休んで行ってもらうと良かったのだけれど忙しい二人だ、仕方が無い。


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最終更新日  2009年11月15日 02時22分41秒
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