BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2010年04月11日
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BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方は こちらよりお帰り下さい
サクラサク


倉本舜一は一人、ベランダに出てマンションの駐車場に咲く、満開の桜を愛でながら花見酒決め込んでいた。
くいっと一口、杯を傾けると今年の桜も綺麗に咲いたと目を細め、風に舞った花弁を空中で受け取ると杯に浮かべ、風雅を楽しんでいた。
その静寂を破ったのはドアホンの連打、時刻は、七時を少し回った頃だった。
静けさを破った人物に、舌打ちをしてドアフォンに出るのだが、誰の応答も無い、モニターにも猫の子一匹、映っていない。
興をそがれたが酒を飲むのは止める気にもなれず、もう一度、ベランダに戻って仕切りなおして酒をすすった。
もう一度、鳴るドアフォンを取った。
モニターに映ったのは藤野だった。
栢山が昨日から出張で留守なのは知っていた、一人で居るのが寂しくなって、来たのだと安易に想像出来た。
しばらくして藤野が顔を現した。
「倉本」
「さっくん、どうした?」
「栢山が留守だから詰まんなくてお前なら相手してくれるだろ」
何気ない言葉だった。
倉本にとってはその言葉が痛かった。
だが、こうして訪れて話し相手に成るのは悪くは無い、むしろ、大歓迎なのだ。
そして思う、良い時期に栢山が出張に出てくれたものだと、藤野と酒を酌み交わすチャンスが訪れた事に感謝をした。
藤野が玄関を上がる。
テーブルの上の杯を見つけて嬉しそうに微笑んだ。
めっぽう、酒に弱い癖して飲みたがる、そして酒が入ると陽気になる。
その姿が好きだった。
「倉本、飲んでた?」
「ああ、花見だ」
「花見?」
酒を飲む相手が居ないわけではなかった、同僚と飲むことは有るが、こうして家で飲むことは全く無い、家に上げて飲むのは藤野又はそれにくっついて来る栢山ぐらいだった。
「知ってるだろ、駐車場の桜が綺麗に咲いたからな」
「風流だなぁ~俺も、混ぜて」
「ああ、さっくんなら大歓迎だ」
「で、こんな時は、日本酒か?」
「通だな」
笑う藤野の顔を見ながら藤野自身が桜だと思う。
「ちょっと待て準備をする」
「何をするんだ?」
食器棚から冷酒用のグラスを取り出して冷蔵庫出冷やすと、変わりに肴に成りそうな材料を取り出し、手際良く腕を振るう。
その、後ろ姿を見ながら楽しそうにひじを突いて見つめる視線を感るのが幸福だった。
「ほい、出来た」
「旨そう!お前、また腕を上げたんじゃないか?」
「気楽な独り暮らしだからな、これぐらいが楽しみだ」
倉本の言葉に胸が痛んだ、その思いをかき消すように微笑んで冷酒を強請る。
「早速、ベランダ行くか?」
「うん」
嬉しそうな笑顔、この顔を見たくて料理のレパートリー増やした、しかし、それは栢山の居ないほんの僅かな時にしか振るわれることが無かった。
しかし、その僅かな時間、嬉しそうに舌鼓を打つ藤野を見るのが倉本に取っての至福の時だった。
「これ、旨い!」
「だろ、酒に良く合うんだぞ、飲め」
「この酒も旨い」
「だろ」
それは藤野の舌に合わせて買った、甘口の酒だった。
「それにこの眺め、ぜんぜん知らなかった、桜がこんな風に見えるなんて」
今年は桜の咲くのが少し遅かった、例年ならば、とうに散っている時期、しかも、年度末と重なって花見どころではなかったのだった。
「こんなにのんびり出来るのは久しぶりだな」
「ああ、こっちも、お前んとこもなんだか忙しかったもんな」
「今日ぐらい仕事の事、忘れようぜ、明日は休みだし、栢山来週まで帰って来ないのだろ」
「ああ、だから泊まっていい?」
寂しいからだと思った。
「勿論、着替えは有るし、ちゃんと布団も有るからな、ほら、飲め」
以前からの習慣、藤野が泊まりに来るのを想定して昼間、布団を干した。
眼鏡の奥の細められた瞳が笑っている。
酒を飲みながら、藤野の頬が朱に染まっていくのを横目で見るのが楽しい、そのうち、絡み出し心地よく眠って仕舞う。
倉本は桜よりも藤野を見つめる。
藤野は桜を堪能し、肴を満足そうに摘んでいる。
「倉本、おかわり」
何度目かの「おかわり」の声、とうに限界は超えていると思うから止めた。
「藤野その辺にしろ、お前、酔ってる」
「だからぁ~なに?だって摘み美味しいし、酒も良いし、桜も綺麗だよ、だからおかわり」
朱に染まった頬、そして熱くなった手で、酒の入ったビンを持つ手を捉えた、思わず、便を取り落としそうに成るのを耐えた。
「そう、だったら、いっぱいな」
仕方なく、一杯注いでやると満足そうな笑顔が戻って来た。
酒を飲み終える頃、藤野はコクリコクリとし始める。
「いわん、こっちゃ無い」
呟きながらも、嬉しそうに藤野を抱き上げる。
布団ではなく、ベッドに寝かしその寝顔を堪能しながら上着を脱がせ、首筋に顔を埋めた。
甘い桜の香りがした。
それはこのまま、酔いに任せて抱いてしまいたいほど、良い香りだった。
離れがたい状況から逃れるように着替えを持ってバスルームに向かう、シャワーを浴びてパジャマに着替えると寝室から毛布を持ってリビングルームのソファーに寝転がった。
これが、倉本の幸福で有り、苦しみでも有った。

桜でもう一本、書きたくて倉本×藤野を書いちゃいました!
中途半端な出来では有りますが感想など頂けると幸いです

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最終更新日  2010年04月11日 00時28分56秒
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