BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2010年05月16日
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カテゴリ: 道に落ちていた男
BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

人気の無い路地に、鴻山は座り込む、大通りが見渡せるが、行き交う人はそんな場所に人が居ることなど気付きもしないで、楽しげな表情で通り過ぎて行く。
身体がだるく熱い、息が荒いのは熱でも出たのだと自信で感じる。
なんとか、身体を動かして車を拾える場所まで出ると向かいのホテルから野瀬と知らない女性が楽しそうに出てくる。
女性は色の白いほっそりとした古風な感じの美人、いかにも良家のお嬢様と言った雰囲気を漂わしている。
野瀬と目が合った気がした。
瞳だけが鋭くなって表情は変わらず女性を見つめる。
安心感が鴻山の奥底から沸いて来る、これで構われる事は無い、そう思った瞬間、目の前が暗くなる。
何が起きたか、自信は分からない。


「人が倒れたぞ、救急車。。。」

耳の奥でノイズが走る、それ以降、何も聞こえない。

鴻山は夢を見た。
懐かしい知人の顔が微笑んでいる。
未来を語り合い、バカ話をした友人「結城武人」ここ数年、彼の夢など見ることは無かった。
懐かしさに浸りながら薄れていく夢の世界、誰かが頭に触れる。
冷たくて気持ちがいい、だけどそれは離れて行ってしまった。
無意識に離れる手を捉えた。
そっと解かれる指、空しさを覚えて目を開けると暗い病室だと分かる部屋、周りには誰も居ない。
余りにもリアルな感覚に不思議さと、いまだ残る感触を自分の額に手を当てて確かめる。

「宗次さん」



「椎名?お前だったのかさっきのは?」
「何の事、俺は今来たんだよ、アパートに戻ったら留守電にメッセージが有ったから。。。大丈夫?」
「ああ、だったらあれは?」

鴻山は思う、夢の人物「結城」の幽霊が連れに来たのかと、そうでなければ手の冷たさは説明がつかない。

「先生に聞いた、熱が有るんだって、あと、身体がね、悲鳴を上げてるって」

「だからね、今夜はここに泊まるようにって、事情が有りそうだから個室にしたって」
「済まない」
「アンタは一人で無理し過ぎ。。。」

その続きを何か言いたげでは有った椎名だったが、言葉を飲み込んで口を噤んだ。
彼なりに気を使ったのだろうと思うと申し訳なく思う。

「俺も泊まるっていったけど、看護師に怒られちゃった、だから暫くしたら帰るけど欲しい物ある?買ってくるけど」
「何もいらない、そうだお前に頼みたい物がある、保険証と現金を持って来て」
「ああ、分かったよ、明日は、会社は休むだろ?」
「こんなんじゃ、医者に止められるだろうな」
「アンタねぇ、自分が病人って自覚持ちなよ、休んじゃえよ、いいじゃん、たまには、じゃあ、明日、迎えにくる」

椎名は鴻山が以外に元気そうなのを見て安心したのか、何時もの明るさを取り戻し、手を振って帰って行った。
一人残された鴻山は目を閉じた。
先ほどの手が誰だったか、などという思いは椎名の顔を見て吹っ飛んでしまった。
今はただ、眠りに着きたいと思うのだった。

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最終更新日  2010年05月16日 15時57分14秒
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