BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2010年05月26日
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カテゴリ: 君がいるから
BLです!

目の前で信じられない光景が展開していた。
それは倉本に取って受け入れ難い事実、被害者である藤野が藤堂を許すというのだ。
倉本に取っては殺しても殺したり無いほどの男をと思うが、藤野が許すと言うのならば、それに従うしかない。
そして後ろに居る、栢山の心境を思う。
彼自身、藤堂を許した。
それは、藤野の心を察しての事だろうが、内心は自分と同じはずだと思うと胸が痛んだ。
その時だった、栢山の肩を借りていたはずの藤野が自分の背中に体重を預けたのが分かった。
気力で持ちこたえて物が切れたのだろう。


「藤野?」
「倉本さん」
「ああ」

背中の藤野を倉本が抱きかかえる、その姿を直視することになると怒りがフツフツと湧き怒る、しかし、今はそれよりも優先しなければ成らない事がある。

「さっさと帰れ、医者が必要ならば、口の堅いのを紹介してやる」
「言われなくても帰る、だが、俺はお前を許した訳ではない、それは栢山も同じだ」
「分かってるよ、さっさと行け、ガレージに車がある」

振り返った藤堂の顔色も良くははない、ここで議論をしている暇はなさそうだとお互い悟った。
栢山が先頭を歩いて玄関に向うと、その場で藤堂が膝を突いた。
構っている暇は無い、外に出ると言われた通り、ガレージが有り、シャッターを開けると黒のセダンが停まっていた。
ドアを開け、後部座席に藤野を横たえ、横に倉本が座って膝に頭を乗せた。



藤堂は床にぺたりと座り込む。
やられた顔よりも最後に踏まれた胸が痛い、ろっ骨にでもヒビが入ったのではないかと思えた。
さっきまで、藤野が横たわっていたベッドまで這っていくとサイドボードから携帯を取り出して電話を掛けた。
霞む視界は腫れた瞼の所為だと悟る。

「夏原。。。」


わずらわしげな声が傷ついた体に痛い。

「悪い、兄ちゃんに連絡取れるか?」

電話の相手は夏原千沙子、同期で実は幼馴染、兄ちゃんとは千沙子の兄で医者をしている開業医の夏原喜市、そして藤堂の理解者で唯一、友人と呼んで良い人物だった。

「アンタ、藤野さんに何かした?」
「お前に隠し事は出来ないな、安心しろ、あの人じゃない、俺だから連絡取れたら家に。。。頼む。。。」
「ちょ、ちょっと。。。藤堂」

藤野を連れ出した時点で、何か起こるのではないかと心配をしていた、そんなところに今の電話、その心配が当たってしまったのではないかと思ったのだったが、藤堂自身だと知って何処か安心したのだった。
しかし、のんびりはしていられない、早速、兄に連絡を取ることにした。
藤堂が心配だった。

「兄貴、今何処?」
「なんだ、千沙子か、家だ」

誰かからの連絡を待っていたかの声に、来客でも有るのかと思った。

「ねぇ、藤堂が大変みたい、行ってやって」
「はぁ、なんでヤツから連絡をしない、あれは家に居るんだな」

千沙子の声がどこか不安を抱えている事に気付きながらも、喜市は冷静対応する。

「そう、だけど、様子がへんなんだ、電話が途中で切れちゃって。。。」
「そうか、分かった、、向こうに着いたら連絡するからな、お前、アパートだろ?」
「うん」

それだけの会話で、電話は切れた、千沙子はベッドに寝転び、藤堂の無事を思いながら、藤堂と兄の関係修復がこれを機にされることを願った。

栢山は無言で車の運転をしていた、時折、視線を向けながら先ほどよりも顔色はよくなったように見える事に安堵する。
もう少しで藤野のマンションに着くところで栢山が口を開くと藤野の顔を伺っていた倉本が顔を上げ、ミラーの中の栢山と視線が合った。

「なぁ、倉本さん、アンタに朔耶さんを託すがいいか?」

見開かれる倉本の瞳、何を言わんとしているかが察しられたから腹が立った、思わず荒げられる声が車内に響く。

「お前、藤野を捨てるのか、他人に触れられたこいつが嫌に成ったか」

悔しいと思った。
自分が大事にして来た藤野をあっさりとさらって行った栢山、自分は影に成って支えて来たはずだった、それを藤堂に連れ去られ、無理やり開かされた体、それを今、栢山は捨てるというのだろうか。
栢山は静かに言葉を紡いだ。

「捨てるんじゃない」
「だったらなんだ、俺に任せるって事は捨てるって事だろ」
「それは違う、距離を置くんだ、俺が傍に居れば朔耶さんjは自分をを攻めるだろ、だから少し離れたところから、俺は支える」

倉本に取って胸の痛む言葉で、この男に負けたと思った。

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最終更新日  2010年05月26日 12時41分23秒
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