BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2010年06月01日
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カテゴリ: 君がいるから
BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

夏原喜市(なつはらきいち)は溜息交じりで車に乗り込んだ。
藤堂と会うのは何年ぶりだろうかと振り返りながら、ハンドルを握る。
逢わなくなったのは、自分の責任で有り、罪で有ると思っていた、それを藤堂が呼んだということはよっぽどの事なのだと想像がついた。
懐かしい道を通る、以前、自分の家だったところには違う家が建っており、その隣が藤堂の家だった。
車を門の前に置くと車から荷物を持って降りる。
玄関のチャイムは鳴らさないでドアを開けると、鍵はかかっていない、荒らされた形跡は無いが、どうも様子がおかしい、藤堂の寝室に入る。
荒れ果て、割れたガラスが飛び散っている。
ギョッとしながら玄関に戻るとスリッパを履くのは、ガラスを踏まない為、そして藤堂を探すと奥の畳の部屋で寝転がっているのが目に入った。


「喜市兄ちゃん。。。来てくれた。。。」

安堵した表情が浮かぶ。
腫れ上がった顔、切れた唇の端、なにが有ったのだろうかと思いながらも、まずは警察を呼ばなくてはと携帯を取り出した手を止められた。

「何で止めるんだ、強盗じゃないのか?」
「警察は不要だ、そのために兄ちゃんを呼んだのだから。。。、済まない。。。忙しいのだろ。。。」

事の次第を聞いて呆れながらも、自分を頼ってくれた事に嬉しさを覚えた。
服を脱がせて診療を始めると、ろっ骨にヒビがはいっている、レントゲンが撮れないから、どれほど状況かは把握出来ないが、折れているのではない。
顔の手当てをして、自分の家に連れて帰るのがいいのだと告げる。

「言う事、聞くよ、迷惑掛ける」
「迷惑なんかじゃない、お前がこうして俺なんかを呼んでくれて嬉しいのだよ」
「兄ちゃん、俺、本当は。。。逢いたかった。。。」


嫌われたのだと思っていた自分が、救われた気がした。

「起きられるか?」
「無理かも。。。」
「そうか、ちょっと待て。。。」
「行かないで。。。独りはもう嫌だ。。。兄ちゃん。。。」



「分かったよ。。。独りにはしない、少し痛むかも知れないが我慢しろ。。。」

諭して抱き上げる、顔を一瞬、歪めたが痛いと言った言葉は出てこなかったことに、大人になったのだなと思う。
昔は小さな擦り傷でさえ、ねを上げていた藤堂だった、何度も自分の父親が困らされていた事を思い出して笑えた。

「笑うな。。。」
「済まない、そんな積りじゃなかったのだよ」

拗ねてみせる姿が昔と変わらないのは、藤堂が気を許しているからだと思う。

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最終更新日  2010年06月01日 10時13分29秒
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