BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2010年07月13日
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カテゴリ: 道に落ちていた男
BL小説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

鴻山は気だるい身体を引きずりながら風呂場で丹念に身体を洗う。
何日も椎名と抱き合った香りを本当は残しておきたい、しかし、会社に出るからにはそうもいかないのが現実である。
誰になんと言われても構わないが野瀬に勘繰られ得るのだけは避けたいと思った。
これを理由にまた、どのような要求を迫られるか、解ったにものではないのだ。
外で陽気な声がする。

「ねぇ、一緒に入ろうよ、俺達、抱き合ってた仲じゃない?」
「それは許してくれ、これから出勤するんだ、解るよな」
「冗談だって、だけど、独りで大丈夫、俺、心配だよ、体調戻ってないんだろ」


風邪だと連絡を入れれば女子社員から心配された。
それは好都合だったがそれで長く引っ張る訳にもいかない、見舞いなどに来られたらいい訳のしようがない、男と暮らしている事は恥ずべき事では無いが、それよりも野瀬に何か言われたり何かされるのが精神的、肉体的にそろそろ限界に近いと自覚していた。
絶えられた事が、もう耐えられないと椎名を得て悟った事だった。

「そうでもないよ」

曖昧に返事をする。

「嘘つき。。。」

鴻山に聞こえないように呟いた。
そう、鴻山の食欲は完璧には戻っていない、怠惰な生活で体重は明らかに落ちていた。それは椎名だから分かる変化、いや、今の鴻山を見ると他の誰でも分かってしまうほどだった。

「なにやってるのお前」

気付けば目の前に鴻山が裸のままで立っていて、その光景に見とれてしまった。
浮き出た鎖骨、そこにそこに残る情交の痕、自分の付けたもので有るのに胸が疼くのはなぜだろうと思う。



目の前でヒラヒラと白い細い指が舞う。

「なに?」
「聞こえてたんだな、悪い退いてくれないか?」

狭い脱衣所、男二人ではどちらかが引くしかすれ違う事が出来ない。
手がスッと伸びて着替えを持った鴻山を抱き締めた。


「お前、なに我侭言ってるの。。。今日は出勤しないと。。。」
「アンタ、倒れるんじゃないかって心配なんだよ、こんな細くなって。。。食ってないのに。。。休めよ」
「出来ないよ、仕事が溜まってる、迷惑は掛けられない、それに俺じゃないといけない仕事が有るんだ、当分、残業だ」

痛いほどの力強さ、零れ落ちる涙、椎名の思い痛いほど伝わっているから、それを振り切るのに苦労する。
会社は好きだし辞めたくはない、これほど執着するのは本当に遣りたい仕事を手に入れたからだ。

「離してくれないか、行かなくっちゃ」

抱き締められていた手をゆっくりと剥がすと、だらりと落ちて、その場を下がった椎名が入れ違いに風呂場に入っていく。
済まないという思いと苦しさを持ったまま会社に向かう準備をした。
椎名はシャワーを浴びる。
自分の無力さを流す為に頭から熱い湯を浴びた。
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最終更新日  2010年07月14日 10時18分40秒
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