おらんだ曼荼羅

おらんだ曼荼羅

2010/01/09
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テーマ: 海外生活(7808)
カテゴリ: 想い

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「ヴァーターランドという村があるんです」

と私は言った。

「世界で一番、美しい村なんです。・・・・・」

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彼の中の欠落している部分を私が埋めていく。

埋めて埋めて埋め尽くして、それでも足りずに、彼自身を飲み込んでしまう。

彼自身を私の子宮の奥底深く、隠してしまう。

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ヤンは・・・、テーブルの上にあった白い紙ナプキンに

「De Witte Swaen」

と書きつけた。

・・・・・。僕とリュウヘイは帰りにスワンの店に入って、パンケーキ、食べました。

りんごとベーコンのシロップがけのパンケーキがとてもおいしかったです。

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私は泣きながら微笑んでいる。・・・・・。

ヤンが心配そうに私を見る。「大丈夫? ミキ」

「大丈夫」と私は言う。

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ヴァーターランドの家を思い描く。

行ったことのない村の見たこともない家。

そこで自分と遼平とが、日々繰り返される生活を営んでいる。

互いがかつて体験した悲しみや痛み、絶望や孤独のすべてが、

静かな泡のようになって消えていく。

彼の中にあって、

長年彼を苦しめてきた熱い風も、少しずつ凪いでいき、

そのうち、

そんなものが吹き荒れていた、という記憶すら薄れていく・・・。

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・・・・・、美しい村の小さな家は、生涯、永遠に自分の中に生き続けるだろう。

そして自分を支え続けるだろう。

注:テキストはすべて小説「熱い風」(小池真理子作)からの引用です






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Last updated  2010/01/10 06:29:40 AM コメント(12) | コメントを書く
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