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第四位：２００１夜物語

＜第四位：２００１夜物語/星野之宣＞

2001monogatari

2001夜物語（vol．1）

緊急ニュース！２００９年１０月、２００１夜物語が３Dアニメで登場！！

　週刊少年ジャンプにはかつて「手塚賞」「赤塚賞」という有望新人発掘のための賞があった（今でもあるのだろうか？）。その賞を受けた多くの漫画家の一人が星野之宣であり、第十位に推した諸星大二郎。日本のSF/伝奇漫画を代表するこの二人を輩出したことにより、ジャンプはその歴史的な責務を果たしたと私は思う。

　星野は７６年、ジャンプ誌上で「ブルーシティー」を連載開始。１９８９年、未知の病原体が地球を襲い、地上の人類は全滅。海底都市「ブルーシティー」に住む２万人の人間が人類の明日を背負うことになるのだが・・・という近未来SFストーリー。

　私は幸運にもこの連載をリアルタイムで読むことが出来たが、これはかなり衝撃的な体験だった。洗練された絵、迫真に満ちたテーマとストーリー展開。当時の少年SF漫画のレベルを軽々と飛び越えて見せた、星野のデビュー作であった。

　その後星野は主にジャンプ系の集英社の雑誌に力作を発表していく。
アトランティス伝説と木星太陽化計画を描いた「巨人たちの伝説」、様々な歴史上の妖女を描いた「妖女伝説」という連載の他に、「残像」「サーベル・タイガー」「ユニコーンの星」「冬の惑星」等珠玉のSF作品を発表。８４年に遂に世に問うたのが大作「２００１夜物語」であった。

　この作品は月刊スーパーアクションに８４年から８６年にかけて連載された、星野之宣の代表作。題名から察することができるように、第一話こそ「２００１年宇宙の旅」からインスパイアされた形になっているが、中身は堂々たる独自のハードSF巨編である。

　物語は全２０作、単行本３巻からなる宇宙年代記。
　スプートニクの時代～人類の宇宙への挑戦の草創期から始まり、人工冬眠・プラズマロケットを経てマイクロ・ブラックホール理論による時空を超えた超空間飛行が実現し、深宇宙探索へと発展。人類は未知の生命体との邂逅を求めて漆黒の大宇宙へと旅していくのだが、その先に見たものとはなんであったのか・・・？

　２０話は基本的に一話完結作品。時代は数百年単位でいきつ戻りつし、時間と空間をテーマにした不思議な物語が展開する。例えば・・・

　２０００年初頭、まだ超空間飛行が確立していない時代に、宇宙探査のため片道切符で送り出した宇宙船（ディスカバリー号）があった。しかし約５０年後に開発された超空間飛行によって、人類はそのディスカバリー号にあっという間に追いついてしまう。その船はまだ健在であり、接近した人類の宇宙船を未知なる生物と思いこみ、必死のコンタクトを模索してきた・・・事前にインプットされたプログラム通りに。

現実にも人類は、片道燃料で多くの探査宇宙船を宇宙に放っている。しかし近い将来、ロケット工学が飛躍的に進歩して、それらの探査船を簡単に追い抜いてしまう速度をもつ宇宙船が開発されるのではないか？その時、過去に打ち出された宇宙船はどのあたりを飛んでいるのだろうか・・・？

　アシモフやクラーク達が見た夢をさらに推し進め、さらにキューブリックでさえ映像化できなかったであろう圧倒的なイマジネーションを展開したこの「２００１夜物語」こそ、日本のSF漫画史上燦然と輝く不滅の金字塔である。

　まだこの作品をご覧になっていない方は本当に羨ましい。これからあの素晴らしい感動を体験できるのだから・・・是非是非、どなたにも読んでみていただきたい作品である。　　

日本のSF漫画を代表する名作です！