2007/07/24
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ブロッカイトつながりで。

「プラチナルチル」と呼ばれるものがあります。
だいたい、ルチル入り水晶というのは、ルチル以外のものもルチルと呼ばれているわ、
色や形で名前がいろいろになるわ、あれこれややこしい石なのです。

まず基本から整理しましょう。
ルチル、ルチルと言いますが、正しくは「ルチル入り水晶」です。
ルチルは和名を金紅石という、二酸化チタンの鉱物です。
ルチル単体だとこんな石↓


この、光を反射すると銀色のような金属光沢、透けると赤い鉱物が、

それぞれ「金ルチル」「銀ルチル」「赤ルチル」「黒ルチル」と呼ばれています。

ややこしいことに、水晶内の針状に見える内包物をすべて「ルチル」と呼んでしまう
ゴーカイなやり方もあって、これが混乱の元。
黒ルチルと呼ばれているもの多くはショール(黒トルマリン)ですが、
実際に黒く見えるルチルもあります。

緑ルチルと呼ばれているものは、アクチノライト。
ルチルでも「緑を帯びて見える金色」のルチルがあって、
これがどうも本来の緑ルチルのようなのですが、
本家緑ルチルは数が少なく、微妙な色で見分けにくいこともあって
緑ルチルと呼ばれず、アクチノライトが公然と緑ルチルの名前で呼ばれています。
緑ルチルは、いぶし銀ならぬいぶし金とでも言いたい渋い色です。


100%インディコライト(青トルマリン)入り。

さらに「針入り水晶」という言い方も混乱の元。
針入り水晶という場合、それがルチルだろうとトルマリンだろうとかまいません。
黒い針状のものが内包されていれば「黒針入り水晶」です。

しかし、針入り水晶=ルチル入り水晶と思いこんでしまうと、

黒トルマリン入り水晶の扱いが変なことになってしまいます。

「針入り水晶」は針状の内包物入り水晶という意味なので、
たとえばルチルが内包されていてもそれが、「ヴィーナス・ヘアー」と呼ばれる
細くしなやかな形状であれば、「針入り」とは呼べません。

前置きが長くなりました。問題はプラチナルチルです。
プラチナクォーツと呼ばれていることがあります。
もちろん、「プラチナルチル」という種類のルチルがあるわけではなくて、
「そういう色に見えている」ルチルを「プラチナ」の名前で呼んでいます。

ここで疑問。
ルチルには「銀ルチル」と呼ばれるタイプがあります。



では、銀ルチルとプラチナルチルの違いとは?

これこれこういうものを銀ルチル、
こういうものをプラチナルチルと解説しているところは、
ついぞ覚えがありません。

そこで、思い切ってその条件をはっきりさせちゃいましょう。
もちろん、勝手に決めるわけではありません。
プラチナルチルと呼ばれるものを最初に見かけた状況、
最初に呼ばれた石の条件、そういうものをはっきりさせて、
プラチナという名称と重ね合わせて、はっきりさせようと言うのです。

実は、最初にプラチナルチル(プラチナクォーツ)と呼ばれていたのは、



このような感じの「ブロッカイト入り」と言われていたタイプでした。
縦横無尽に内包されることが多い普通のルチルと違って、
束……というか、ブラシのようになっている特徴的な形がおわかりいただけるでしょうか。
昨日紹介したように、これがブロッカイトそのものではなく、
芯の部分がブロッカイト、銀色のケバケバに見えるものはどうやらルチルらしいのです。

私は最初、この特徴的な色と形のルチルがブロッカイトと思いこんでいました。
そして「これ」をプラチナルチルという名前で呼んでいるのだな……と思ったものです。

また、ブロッカイト入りと言われているこのタイプのルチルは、
普通のルチルに比べて数が少なく、
そういう意味でも「銀」に対して「プラチナ」とは
よく名付けたものだと思っていました。

しかし。
ブロッカイトとルチルの関係、
ブロッカイトが関わることで特徴的な表情を持つ(らしい)ルチルのこと、
それが最初にプラチナルチルと呼ばれた(らしい)こと……
……そのあたりがはっきり固まらないままに、名前だけが一人歩きし、
いい加減に見た目で判断したあげく、
ブロッカイトが関わったルチルとは思えない
単なる銀色に見えるルチルが「プラチナ」の名前を付けられ、
「レアなタイプ」だと言われています。

銀色のルチルも、きれいに銀色のものを見つけるのは意外に難しいのですが、
「プラチナルチル」「銀ルチル」は今のように
フレキシブルな区別の仕方でいいのでしょうか。

比較的新しく名付けられただけに、
ネット上でも本でも説明されていることは少ないです。
「プラチナルチルって何ですか?」
そう聞かれたときに、お店ではどう答えているのでしょうか。

私が挙げたこの規定が絶対に正しいとは言いませんが、
銀ルチルとプラチナルチルの二つの名前が存在するのなら、
どこかに違いがあるはずで、その違いとは何なんだ? と、考えたとき、
私が、客観的になるほどと思ってもらえる説明をしようとすれば、
プラチナルチルはブロッカイトが関わった、特徴的な色と形をしたルチルですよ、
と言うしかないと思うのです。

いろいろな石の名前があり、次々に新たな名前が生まれていますが、
新たに付けられた名前ほど、それが具体的にどういう色、形のものを指すのか
曖昧なものが多いです。
結果としてお店の付けた名称だけが頼りとなってしまい、
石ではなくて名前や説明で石を選ぶ傾向が強まってしまうような気がします。

石を知り、興味を覚えるきっかけが名前や説明であってもかまわないけれど、
まず石の意味やパワーありき、御利益のために石を選ぶ、
それがパワーストーンというものだ……と言わんばかりの傾向を見ると、
とても悲しく思います。
石を好きになる、石を選ぶというのは 絶対に 「それだけ」ではないはずです。





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Last updated  2008/04/23 09:09:27 AM
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スターブラリー@ Re:名前を使う、意味を使う(10/08) この写真に掲載されている水晶は、販売予…
spiranthes@ Re:Vサイン!(11/15) 55度24分のベローダ(Belowda)式双晶かもし…
販売者@ Re:分りやすいです。(09/30) スーパーセブンが、過去くず石だったとい…
通さん@ Re[4]:深紅であるはずの石(12/10) わ!わ!こちらにお返事をありがとうござ…

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