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その時私が思ったのは、2つのことでした。
ひとつは夫の苛立ちの理由。
もうひとつは、セルラスのコーディネーターをする責任でした。
私がイギリスに滞在中は、夫は長年勤めた会社で社員として働いていました。
夫は昨年10月から、2年間の退職を前提とした長期休暇に入りましたが
9月末からイギリスのホストファミリーが2週間来日し、一緒に日本縦断旅行をしました。
ホストファミリーの帰国後は、夫は実家のリフォームに夢中になりました。
リフォームの本を沢山読み、建築士さんや大工さんと何度も設計検討の話し合いをし
週に2、3回は現場に出かけて進捗を確認し、写真を撮ってきて私に見せました。
引っ越すまでは夫も毎日のように厚木に出かけ、大工さんたち話すのを楽しんでいました。
ところが引っ越してからは、畑仕事も家のことも、一人でやらなければなりません。
私は毎日、朝早くから夜遅くまで家にいず、彼のやっていることを知ろうともしませんでした。
自分のことだけで精一杯だったため、彼が庭のことや畑のことを言うと、自分が何もしないのを責められているように感じてしまったのでした。
まるで出産で会社を辞めた女性が、残業続きで話を聞いてくれない夫に不満を募らせるのと似た状況に思えました。
会社で集団の一員だった人が、急に一人、家の中で孤独に赤ちゃんと向き合い
子育ての喜びや悩みを唯一共有できるはずの夫は、家にほとんどいない。
自宅で農業に取り組み始めた夫は、まさにこの女性の心境なのではないか、と思いました。
夫は私に畑仕事を手伝って欲しいわけではなく、話を聞いて欲しい、関心を持って欲しいのではないか。
そう思いました。
もうひとつ、セルラスのコーディネーターの責任。
私は10年もセルラスのメンバーをしています。
多言語習得活動として、英語以外に韓国語、スペイン語、中国語にも取り組んでいます。
けれど英語のように話せるようになった言語は、まだ他にありません。
言語を「音から」、「人と一緒に」、それを話す「必然性」を作って習得していく。
それは誰もがことばを話せるようになる方法だと、人にも言い、自分もきっとそうに違いないと思っています。
けれど、まだ私は話せないのです。
シャドウイングやロールプレイも、「みんなと楽しむ日本語ロールプレイ」も、本当に徹底的取り組んだことがあっだろうか。
セルラスの活動に正面から取り組まず、英会話のレッスンや渡英、カプランに逃げていたのではないか。
そんな私がコーディネーターになって、地域の人に一緒にピアザを作ってことばを育てていきましょうと言っても説得力がない。
「カプランでしていることを、セルラスですることは出来ないの? 」
あるコーディネーターから質問されたことがあります。
もし、セルラスの外で勉強を続け、
「ちゃんと勉強しなければことばはできるようにならない」と思っているなら、
他の人にセルラスの活動を勧めることはできないのではないか。
カプランで自分が学んだ素晴らしいことを、セルラスの中でどうしたらみんなと共有できるのか。
それに真剣に取り組まなければ、セルラスのコーディネーターはできないし、無責任になる。
この二つのことを考えたとき、私は都心での活動を整理すること。
家にいる時間を増やし、夫の話を聞くこと。
作物ができたら、保存食も含めて、ありがたく調理すること。
地域に「いる」ということをもっと大事にしていこうと思ったのです。
そしてセルラスの提唱することばを育てる活動に、セルラスの仲間と一緒に、真剣に取り組んでいきたい。
まだわかっていない部分も多く、自分たちで日々見つけていくこの活動を、仲間と育てていくこと。
そのために、カプランやそこの仲間がどんなに魅力的で、楽しくて、居心地がよくても
まだ見ぬ舗装されていない道を進もうと思いました。
もうすぐ年が明けます。
私の2012年は、大きな変化もあり、喪失もありました。
失ってみて始めて、既にどれほど豊かなものが自分に与えられていたか、気づいたこともありました。
2013年はもっと変化が加速するでしょう。
チャレンジできる幸福を、日々味わいながら進んで行きます。
ありがとうございました。