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2006年03月28日
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テーマ: 犬の気持ち(82)
カテゴリ: 犬の気持ち
「お、俺は、ここに連れてこられたときから、



「ど、どうしてそんなことを?」


「ふ・・・それは俺の屍と一緒に持っていくよ、
おまえに話したところでどうなるわけでもない」


「・・・」


おれっちは何も言えなかったでやんす。
言いたくないことだってあるでやんすから・・・


それから何日かが経ったと思われるでやんす、


朝なのか夜なのか・・・

最初はわかっているつもりでやんしたが、
そんなこともどんどん麻痺していったでやんすよ。


隣の犬ともあれ以来、話はしなかったでやんす・・・
なんだか気まずい雰囲気が流れて・・・


毎日毎日、犬があの地獄の扉を越えていく・・・
そのたびに、犬達の叫び声がおれっちの耳を叩いていたでやんす。



正直、怖い、という気持ちはなかったでやんす。
もう、どうでもいい・・・
そんな風に思っていたかもしれないでやんすね。


そんなときでやんした。





「もうそろそろだな・・・」

「な、何がでやんすか?」

「ん?ま、まぁな・・・そうだ、
そんなことより、おまえに聞きたいことがある?」


「なんでやんすか?」





「それはないでやんすよ」

「そ、即答だな・・・やっぱりおまえ面白いな」


「ははは、そうでやんすか?」


「ふ・・・じゃぁ聞くが、どうして憎くない?
こんなところにおまえを連れてきた、捨てた人間だぞ」


「ん~なんででやんしょか・・・笑ってくれた・・・」


「笑ってくれた?」


「そう、笑ってくれたんでやんす。
おれっちを見て笑ってくれたんでやんす」


「・・・だ、だから憎くない?とでも言うのか?」


「そ、そうでやんすが、変でやんすか?」


「ははは、いいなおまえ、最高の犬だ!」


「そ、そうでやんすか?」


急に彼は黙って、そして話し始めたんでやんす・・・
あの理由を・・・


「・・・俺な、ここに連れられてきたときから死のうと決めていた、
そう言ったの覚えているか?」


「覚えているでやんす」


「俺は・・・俺はずっと野良犬だったんだ、
まぁこうみえても、一つの縄張りを仕切っていたんだがな」


「うわぁぁ、そんなんでやんすかぁへぇ~」

「たくさんの犬と喧嘩をして、
たくさんの犬を手下にしていたんだ。
でも、そんな俺をよく思わない犬はたくさんいてな。

ある日、たくさんの犬に囲まれて、俺は傷だらけになった、
もうだめだ、そう思った。
そんなときだったよ。俺を抱いて運んでくれた人がいたんだ」


「に、人間でやんすか?」

「そう、たくさんたくさん年をとった人間だったよ。
家に連れてってくれてな、毎日のように俺を看病してくれて・・・

薄れ行く意識の中、二人の人間が
「がんばれ!がんばれ!」って・・・
そんなことを言ってくれている気がしたよ。

そして俺は助かった・・・
そのとき目を開けて見えた顔は、
年老いたおじいさんと、おばあさんが笑って涙を流していた顔だった・・・」


「そ、そんなことが・・・」

「おじいさんとおばあさんは、俺を離し
「好きなところへおいき」そんなことを言ったような気がして・・・
でも、もう俺の戻るところはなかった。
縄張りも取られてしまったからな・・・」


「で、で、どうしたんでやんすか?」

「俺は毎日のように、
おじいさんとおばあさんのところへ通うようになっていったんだ、
いくたび、おじいさんとおばあさんは笑顔で迎えてくれて、
一緒に家の中でご飯も食べた、
俺は初めて人間のぬくもりというものを知ったんだ」


ぬくもり・・・


「毎日のように人間に追われ、
逃げていた日々がうそのようだったよ。

こんなにも、こんなにも暖かい人間がいるなんて、
俺は決めたんだ。
一生この人たちと共に生きようと」


「じゃ、じゃぁあなたも人間と過ごしていたんでやんすね」


「・・・」

「ど、どうしたんでやんすか?」


「・・・そう決めた次の日、
おじいさんはこの世からいなくなった、
そしておじいさんを追うようにおばあさんも・・・

おじいさんもおばあさんも、
俺の頭を最後になででくれて・・・
どうして・・・どうして俺を置いていったんだよ!どうして・・・」


あの感情をださなかった彼が、泣いていた・・・
「くぅ~ん、くぅ~ん」と・・・


『ガチャ』


そのとき扉が開いて、人間が入ってきたんでやんす、
そしておれっちの隣の扉の前で止まって・・・
扉を開けたんでやんす。


「ありがとうな、俺の話を聞いてくれて・・・」


「ど、どうして話してくれたんでやんすか?」


「ふ・・・この世に俺が人を愛したという事実を知っている犬が
一匹くらいいてもいいんじゃないかと思って・・・
そしておまえが人間を憎んでいないと言ったからかな・・・」


彼が人間に連れて行かれるでやんす。


「ま、待って!待ってでやんす!
まだ、まだでやんすよ、
まだまだいっぱい話すことあるでやんしょ!!!!」


彼は抵抗することなく「地獄の扉」へと向かっていったでやんす。
そして扉の前で一度振り返りおれっちに言ったんでやんす。


「おい!小僧!」


「は、はい!」


「生きろよ!」


「ぐ・・・・ぐぐぐぐぅ」


おれっちは心をこらえるだけで精一杯だった・・・
そして彼は扉の中へ・・・


『ガチャ』

「な、なんだこの数?何これ?全部捨てられた犬ですか?」

「い、いえ、全部が捨てられたというわけではないですが、
ほとんどはそうですね・・・」


「むごいことすんな人間は、あなたもそう思いませんか?」


「そ、そうですね・・・」


「俺には、ここにいる一匹の命しか救えないか・・・」


「それでも立派なことですよ」


「ははは。立派ねぇ
俺よりもここで死を待つ犬達のほうがよっぽど立派だと思うけど?」


「ははは・・・」


「いいかな?見て回っても?」


「ど、どうぞ」

「ん~みんな怖そうだね・・・
こんな犬もいるの?
この子ゴールデンなんとかっていう犬でしょ?」


「多いんですよ最近、高い犬が」

「何が?高いの?」

「値段が」

「値段ね・・・」

「あ、あそこにもいますよ、ミニチュアのダックスが」

「へ~どこ?」

「ほら、あそこ」

「どれどれ・・・・・・・・ねぇ?」

「は、はい」

「俺、はじめて見たわ・・・
犬が涙を流しているなんて・・・」


「え?ほ、ほんとですか?ほ、ほんとだ・・・」


おれっちは心をこらえていたら、目からお水が出てきたでやんす。

こ、こんなに悲しいことって・・・
どうして、どうして行ってしまったでやんすか・・・
どうしておれっちに生きろなんて・・・


「お~い」

「えっ?」

「そうそう君」

な、なんでやんすか、こいつは?


「ねぇちょっと、この扉開けてくれない?」


「は、はい」


「よいしょっと」


その人は開いた扉の前にあぐらをかいて座って
おれっちを見ていたでやんす。


「くるか?俺の家に・・・俺と一緒にいてくれるか?」


「ね、ねぇ何あの人?犬にしゃべりかけてるの?」

「う、うん」

「変な人ね」


おれっちは・・・おれっちは・・・「生きろ」


おれっちはその人の前に行き、止まってその人の目を見たんでやんす。


「よし、来るか!この子の命預かります」


「は、はい!」


「そうだ、おまえのなまえは「わたなべ」ね」


「わ、わたなべ・・・でやんすか・・・」


ここまでがおれっちの過去のお話でやんした。


おれっちがこの日記を書く理由・・・
彼が「生きろ」と言った意味が
この日記にあるような気がしたでやんすから・・・


あなたの心の扉をノックすることができたでやんすか?
ノックできたのなら幸いでやんす。


またおれっちの日記読んでほしいでやんすよ♪





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最終更新日  2006年03月28日 20時30分57秒
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