書くことの意味

書くことの意味

2004年03月29日
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 今日も、千鳥ヶ淵へ行った。平日の昼間とは思えない混み具合に驚く。さすがに二日目になると幾分冷静になり、桜の白の質感が景色の中でくっきりと浮かび上がるのをじっと、見つめた。

 桜を樹木として眺めてみると、性格やこだわりがはっきり伺えて面白い。川の土手や堀沿いに植わった桜は、水面に向かってひたすら枝を伸ばす。小さな子どもが母親に向かって懸命に手を伸ばす場面が思い浮かぶ。こちらから見ると、扇がぱっと開いたような豪華さであるが、桜の気持ちからすればきっと、切実な問題なのだろう。

 小石川植物園の桜は放埒な感じがする。ほかの場所に比べて、花の位置が高いのだ。ほとんど真上を見上げても、花の色が空と混ざり合ってはっきりしない。きっと、枝を形良く剪定することをしていないからだろう。枝も大きく曲がっている。本来はこれほど、自己主張の強い木なのだ。つまり、普段見慣れている桜は相当、矯正されているに違いない。

 落葉樹が葉を落とすと、幹や枝ぶりが顕わになって、あたかもひとの本質を透かし見てしまったような落ち着かない気持ちにさせられる。神宮外苑の銀杏並木で、一本だけ、幹が右側に湾曲している樹木がある。葉をまとっている時は、他の樹木と一緒である。ところが、少しずつ葉が落ちて来るにつれて違いが明らかになっていく。この木だけ湾曲したのはなぜだろう。

 桜は毎年、同じように咲くのに、異なった印象を受けるのは、自分の心情が変化しているからだろうか。今日はコートを着なかった。本格的な春だ。





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最終更新日  2004年03月29日 23時15分00秒
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