オトコの育児ライフ  ~毎日を楽しく~

『つかない陣痛』


『つかない陣痛』

 病院で診断後、
 車イスに乗る彼女を押しながら、
 看護婦さんに案内され産婦人科に行った。
 そこで今後の軽い説明を受け、
 「もしもの時には帝王切開も認めます」
 という旨の同意書にサインをした。

 そして、看護婦さんがサラリと言った。

   「はい。では何かあったらお電話しますので
    ご主人は帰っていただいて良いですよ。」

   「・・え?もう帰るの?」と思った。

 考えてみれば、
 確かに、病院は妊婦である彼女に用があるワケで、
 男である僕がこのままココにいる意味はない。

 でも、
 (さあこれから。)という時に、
 緊張した顔の彼女を病院に残して帰るのが、、
 そして正直、僕自身が一人で家に帰るのがなんとも寂しく不安だった。

 次の日は日曜日で会社が休みだったため、
 朝一で来る約束をして家に帰った。

 日曜日の朝、
 病院に着いた時にはまだ産まれてくる兆候はなかった。

 彼女曰く、
 「陣痛がつかない」のだそうだ。

  「この様子だと、早くても(出産は)今日の夜でしょう。」

 と先生はおっしゃった。

 僕は夕方病院を出て、家で待機することになった。

 家に戻っても、まったく落ち着かなかった。
 「何も手につかない」というのはこういう事をいうのだろう。
 いつ電話が鳴るかわからない。
 と思うと、何かをしててもスグ集中力がきれてしまうのだ。

 まさに今、、あと数分後に、、

  「産まれそうです!」とか「産まれました!」

 という電話がくるかもしれない。

 考えたくもないけど、

  「・・・実は、、」とか「・・・申し上げにくいのですが、、」

 という電話の可能性だってある。

 そして夜○時頃、病院から電話があり、
 その電話は意外なことに彼女本人からだった。

    「促進剤を使うと陣痛がくるんだけどさ。
     薬がきれると遠のいちゃうの。。
     自分で電話出来るくらいだもん。まだ先は長そうよ。」

 今日の朝から断続的な陣痛を経験して疲れているハズだったが、
 彼女の声にはまだ明るさがあった。

 明日は月曜日で会社がある。

 彼女と相談した結果、
 一人でじっと待っていても気が張ってしまうし、
 早退する可能性も視野に入れた前提で、会社に出勤することにした。

 破水から約24時間経過していた。


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