オトコの育児ライフ  ~毎日を楽しく~

『緊急帝王切開』


『緊急帝王切開』

  (母体と胎児の、、安全の為?)
   (緊急帝王切開・・緊急帝王切開・・緊急帝王切開・・・)

 車を走らせながら、
 頭の中で先生の言葉がぐるぐる回った。

 電話の説明で言葉の意味は理解できたが、
 頭で理解できていなかった。
 頭が「起こっている事実」を拒絶していたのかも知れない。

 1分1秒でも早く病院に行って彼女の顔を見たかった。
 どんな状況なのか。何か出来ることはないか。
 赤信号で停車するのがもどかしかった。

 病院に着き陣痛室に直行した。

 彼女は、
   「来てくれたんだ。」
 と笑顔を見せたが、
 身体全体から、疲れと痛みによる弱々しいオーラが出ていた。

 先生に呼ばれ、
 廊下で電話で聞いた状況について詳しく説明をうけた。

  「陣痛はついているが、
   身体の準備(=子宮口の開き)がなかなか進まない。
   本来ならこのまま頑張ってもらうのだが、
   破水から時間が経過しているし母体の疲れを見ると、
   このまま自然分娩を促すか、帝王切開に切り替えるか、
   の判断が難しいところ。」

 ということだった。

 陣痛室に戻り、
 ベットに横たわる彼女と相談をした。

 彼女の疲労はピークに達していたが、
  「自然分娩で産もう。」
  「ここまで頑張ってきたんだ、もう少し頑張ろう。」
 ということになった。

 そして、
 僕もこのまま陣痛室に残り一緒に頑張ることにした。

 破水から約48時間が経過していた。

 陣痛がくる度に彼女は顔をゆがめ、
 呼吸を整えることに集中していた。
 「ふーっ、ふーっ、、」と呼吸を繰り返していたが、
 その呼吸は苦しさで震えていた。

 腰と背中をさすると痛みがやわらぐ気がする。
 というので、
 陣痛がくる度にさすり続けた。

 数分おきに彼女から
 「ふーっ。。ふーっ。」「うーっ。。うーっ。。」
 と、声とも呼吸ともいえないうめき声が出て顔をしかめる。
 陣痛が来た合図だ。
 こっちも背中や腰を必死でさすり続ける。

 陣痛、さする、、陣痛、さする、、陣痛、さする、、。

 1時間、、2時間、、3時間、、4時間、、。

 少しづつお産は進んでいるようだが、
 まだ産まれる気配はない。

 朝6時になった。
 僕が病院に到着してから8時間、破水から約56時間が経過している。

 先生の最後の内診が行われた。
 この結果次第で決断をすることになっていた。

 結果は、帝王切開。

 子宮口の開きがまだ十分でなく、
 でもこれ以上時間をかけることは危険を伴う。

 先生の指示のもと、
 看護婦さんが麻酔室とオペ室に電話していた。
 指示と確認の声が飛び交い、陣痛室の周りがにわかに慌しくなった。

 彼女は少し混乱していた。

  「これだけ時間をかけて頑張ってきたのに」
  「やっと痛みと苦しみから解放される」

 2つの想いが入り混じっていたのだろう。

 夜、病院に着いて、
 朝まで声をかけ腰や背中をさすり続けた。
 苦しみ続ける彼女を見ているこっちも辛かった。
 彼女自身も、お腹の赤ちゃんも、苦しみから解放してあげたかった。

   「だいじょうぶだよ。」
   「もうすぐ赤ちゃんに会えるよ。」
   「終わったら病室すぐ行くから。」

 彼女に声をかけている横で、
 陣痛室にストレッチャーが入ってきた。

 手術の準備が整ったらしい。


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