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そして寂寥王の夢、、
彼女は、海の中を漂っていた。
彼女の総てが、、まだ未発生なのた。
顔も、記憶も。
ただ肉体だけが、浮遊している。
その中で彼女はまどろんでいる。
体は透明なカプセルに守られている。
何者なのか、ただ一人、この大いなる《静かの海》にたゆとうている。
この前はいつ目覚めたのか。
だれもしりはしない。
年もわからない。
幼児の体型だった。
通常は腐肉の表面までしか降下できないのに、
男の乗ったポッドは腐肉を突き切って来た。
男はこの海に装置されたコアにはいった。そこにはモニターが設備されていた。操作卓に前に座る。
「トリニティ、我がこよ、目覚めてくれ、お願いだ」叫んでいた。
男の願いが通じたのか、彼女の意識が開いたようだった。
男はくいいるように覗きこむ。
男のいる操作卓のあるコアと《静かの海》は透明な膜でくぎられている。
まだ、二人は遠く離れているのだ。
男はその少女に精神波を送る。
「君、私がわかるか」
「おじさん、だれなの」しばらくのち、彼女が答えた。
「私は、君に命を与えるためにここに来た」彼女にとってみしらぬ男はそう言った。
「どういう意味」
彼女が聞いた瞬間、操作卓の場所が白熱していた。
男の姿は消えている。
「一体、なによ。あたしを起こしてさ。何用なの。へんなおじさん。いい、も一度眠るもん」
再び、彼女はまどろみに戻った。そのまどろみ前に完全な彼女の顔ができあがっていた。
男が白熱した後、このコアの付属設備が急に作動し始める。
《静かの海》に隣接した設備、
そのメインコンピュータが目覚めつつあった。
この《静かの海》に近接するコンピュータ地下羊宮チャクラ。
古代人類の記憶バンク。
《静かの海》で一人の運命の少女が、いままさに誕生しょうしていた。
●
『おや、発生したようだね。早くここまでおいでよ。私の親よ、妹よ。早くここまでおいで。私がきれいに始末してあげる。ああ、楽しみだわ』
腐敗惑星のどこかで、誰かの意識がそう、語っている。彼女はしたなめずりをする。同じ顔をしていた。
●「どうやらあの子は目覚めたようよ」
アリスは父に言う。
腐敗惑星の表面で唯一ヶ所。
大陸化された陸地。
そこが機械城だった。
その中にクリスタル=アリスはいた。
彼女の精神の中で、何かがコトリと音を立てて動いたのだ。
それは彼女と同一のモノが動き始めたことを意味した。
同時に、クリスタル=アリスか、あるいはトリニティかどちらかが相手
によって倒されねばならないことを意味した。
本当は二人同時に存在すべきはない個体だった。
「本当か、アリス。いよいよ時が満ちたのだな」
「そのようよ、パパ」
「お前が「世界子(せかいし)」となれる日が近いのだな」
「うれしい、パパ。私が「世界子」となり、パパがその世界を統べることができるのよ」
父親はその答えをしばらくためらい、そしてつぶやく
「ああ、そういうことだな」
●
「パパ見て、禁断の果実、黄金のリンゴがなったわ」
最後の楽園、その中央にある木に実がなっていた。
「ついに、ついに、時は来たりぬか。我がフクシュウの時は来たのか。セキリョウ王よ、早く出現せよ。我々の手にかかれ」
父親と呼ばれた男は来るべき時をまつ。