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七つの組詩「水に寄せる詩(うた)」
第1章「夜あけ」
矢田部誠子 作詩
むかし むかし
そのむかし
一万年もの
そのむかし
あしの葉しげる
入江の沼地に
色とりどりの
水連(はす)の華
咲いた
いま明けそめる
水際(みずぎわ)のあいべに
十六光年の彼方より
箱小舟に乗って降り立った
青い服を着た少年
あしの葉を巻き
笛を吹く
いま明けわたる
水連(はす)の葉かげに
十六光年の彼方より
虹の橋渡り降り立った
紅(あか)い服を着た少女
花をつないで
冠にする
むかし むかし
そのむかし
一万年もの
そのむかし
大きな沼地に
夜が明けて
若ものたちが集いくる
象、わにども集いくる
入江つづきの
大きな沼地
光の波がおし寄せる
( 「夜あけ」