折り鶴
毎年 夏が近づくと折り鶴を折る
昔は細い指で器用さを誇り
綺麗な鶴を折っていたが
年を取るにつれ
形もくづれ 折り目も怪しく
少しよろけた鶴を折る
でも思いは変わらない
千羽折れば病が治ると信じて
千羽の鶴を折って逝ってしまった少女のもとへ
最後の餞(はなむけ)にと
振袖を着せられ荼毘(だび)に付された姉妹たちのもとへ
最後の力を振り絞り命と引き換えに
赤子を取り上げたお産婆さんのもとへ
鶴よ 飛んでいっておくれ
手の平にそっと載せ 祈るようにふっと息をかける
赤 青 黄色 ピンク オレンジの鶴たちよ
めくらめく陽の光りの中に飛んでいっておくれ
あの広島、長崎の青い空の中へ

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