ゴールデンウィークの真っ只中、観光客でごった返す空港に地味な肩掛けカバン一つで歩いている自分が異彩を放っていただろうことは今にしてみると想像に難くない。
この時私はアメリカから戻ったばかり。詳細は省くが、選択肢なく関西国際空港で降ろされて「どうせなら行ったことのない沖縄に行ってみよう!」とその場で定価でチケットを購入。自分の中では沖縄というと、さとうきび畑が広がる『いかにも』田舎なイメージで、仕事もどこかに住み込みで転がり込めばなんとかなるだろうと思い込んでいた。
しかし空港を出て広がっていたのは整備された片側3車線の道路、コンビニエンスストア、そして楽しそうな観光客の団体。
自分の勘違いに気づくのにさほど時間はかからなかった。
ひとまず街を少し歩いてみる。
普通に都会だ。
多くはない持ち合わせを節約するため、一泊3000円の民宿に泊まる。
仕事を探す。
コンビニの地図でハローワークの場所を確認し、2時間ほど歩いて迷いながら到着。
とりあえず何でもいいので仕事をピックアップしてカウンターに向かう。
年齢は21歳、かつて自衛隊にも在籍しており健康には自信があった。
どんな仕事でも問題なくこなせるとアピール。
しかしそこで重要な事に気づく。
住所不定であることに。
「沖縄に来て間もないんですか。なら先に役場に行って住民登録してきてくださいね。」
慌てて市役所に出向いてアメリカから帰国したことを告げる。
「で、どちらに住まわれるんですか?」
「まだ決まってません・・・。」
「住むところが決まったらまた来てください。その住所で登録しますので。」
近場の不動産屋に入る。
条件は特に無し、できるだけ安価に借りられる部屋を探している旨告げる。
提示された書面に名前を記載する。
しかし連絡先や職業欄には当然何も書けない。
「お仕事は何をされているのですか?」
「沖縄に来たばかりでまだ何も・・・」
「無職・・・?では賃貸契約は無理ですよ・・・。」
帰国後わずか数日、こうして盛大に人生が詰んだのだった。
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