HANNAのファンタジー気分

HANNAのファンタジー気分

November 25, 2025
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「サウンド・オブ・ミュージック」 。約3時間の大作ですが、圧倒的な山岳美と圧倒的な歌の魅力で、長さを感じません。さすが往年の傑作。

 じつは私の母が映画公開当時(1965年)にアメリカで観て、サウンド・トラックLP (画像) まで購入しているのです。ニューヨークの映画館では、ヒロインたちがナチスを逃れてスイスへと山越えする最後の場面で、観客から喝采と激励の叫びが沸き起こり、びっくりしたとか。当時の人気がうかがえます。
 私はサウンド・トラックは何度も聞いて歌は知っていましたが、映像とストーリーをようやく堪能することができました。

 まず、アルプスの雄大な景色とそのふところにいだかれたザルツブルグの町がすばらしいです。60年も前の映像とは思えませんでした(「4Kリマスターの威力だよ」と友人)。その中で文字通り跳んだりはねたり走り回るヒロインや子どもたちの、のびのびと豊かな様子が、もうまるで異世界です。

 そう思ってみると、ザルツブルグという舞台そのものが都会を離れ、巨大なサイズ感でそびえる山を間近にして、異世界のようですし、その中でヒロインのマリアの居る修道院は、俗世と隔絶されてやはり異世界です。そして二重の異世界の中、ハイジのように、山々を愛し一人歌うマリアは、ほとんど人間離れして天然。
 このテンネンなヒロインが、絵に描いたような軍人(ツンデレのスパダリ!)のところへ、子どもたちの家庭教師として行く。そして持ち前のピュアなパワーと歌の力で道をきりひらき、恋の苦悩をのりこえて幸せをつかむ。令和でも人気の玉の輿系王道恋愛漫画の、ルーツをみる思いです。
 7人の子どもたちもテンネンで、妖精のようです。実母の死後、父の軍隊式教育にもめげず健やかなのは、兄弟が多いおかげでしょう。一人っ子だったら絶対心を病んでいそうですが、彼らは助け合って父に対抗してきました。マリアという味方を得て、とうとう父の頑なな心を癒やすことに成功します。


 ナチスや愛国心がからんだストーリーの後半は、当時のオーストリアの史実とは異なるそうですが、それにしても、政治や戦争が人々の心を分断し困難と悲劇を生むという構図は、遠くのこと・過去のこととは思えない一面もありました。

 歌に関しては言わずもがなでしたが、一つ一つの歌がそれぞれ違う場面で複数回歌われたり言及されるのが良かったです。たとえば「私のお気にいり」は最初、雷雨の恐怖を忘れるために歌われますが、ナチスから隠れてちぢこまる時に「歌ではどうにもならない時もある」と説明されます。「すべての山を登れ」は、恋の悩みを克服する激励として歌われた後、最後に本当に山越に向かう時に歌われます。

 そして、このラスト・シーンで、青空と雪峰の美しさが印象的でした。それまでは、町なかの場面では特に、美しい景色でも背後の空は曇っていることが多かったですが、これはもしかして時代の暗雲を示していたのかもしれません。そしてスイスへ向かう最後の空が青く晴れ渡っているのが、ゆくての希望と自由を表しているように思えました。
 エンディングでは、満員の観客から拍手が沸き起こっていました。おお、日本の映画館でも(インド映画鑑賞時は別として?)感動の拍手が。そのことにさらに感動してしまいました。





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Last updated  December 2, 2025 05:56:32 PMコメント(0) | コメントを書く


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