ひこじいさんのブログ

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2015年06月02日
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桑の実が熟す頃になると何故か、童謡「赤とんぼ」を思い出す。熟した桑の実を毎日摘んで食べた子供の頃の記憶が、鮮明に残っているせいかも知れない。


三木露風は兵庫県に生まれ、小・中学生時代から詩歌を新聞雑誌に寄稿した。20歳には代表作の「廃園」を出版するなど早熟で、北原白秋と並び称されるほどであったという。
家庭的には不幸で、未だ母の恋しい年頃の5歳の年には両親が離婚して祖父母に引き取られて育てられた。
流石に悪戯盛りの子供を年寄りでは面倒を見切ることができなくて、子守娘を雇った。

私も地域で評判の悪童で手に負えず、専門の子守を雇って面倒を見て貰っていた事が記憶の隅に残っている。

今も多くの人に歌い継がれる童謡「赤とんぼ」は、露風の詩に山田耕作が曲を付けたものである。

♪秋夕焼け小焼けの赤とんぼ おわれてみたのはいつの日か
山の畑の桑の実を 小かごに摘んだはまぼろしか


夕焼け小焼けの赤とんぼ とまっているよ竿の先

「これは、私の小さい時のおもいでである。「赤とんぼ」を、作ったのは大正十年で、處は、北海道函館附近のトラピスト修道院に於いてであった。或日午後四時頃に、窓の外を見て、ふと眼についたのは、赤とんぼであった。静かな空気と光の中に、竿の先に、じっととまっているのであった。それが、かなり長い間、飛び去ろうとしない。私は、それを見ていた。後に、「赤とんぼ」を作ったのである。
家で頼んだ子守娘がいた。その娘が、私を負うていた。西の山の上に、夕焼していた。草の廣場に、赤とんぼが飛んでいた。それを負われてゐる私は見た。そのことをおぼえている。北海道で、赤とんぼを見て、思いだしたことである。
大分大きくなったので、子守娘は、里へ歸った。ちらと聞いたのは、嫁に行ったということである。山の畑というのは、私の家の北の方の畑である。(三木露風:赤とんぼのこと抄)」

「お里のたより」については、子守の姐やが嫁に行ってからは彼女の里の便りがなくなったと解釈するより、子守の姐やが知らせてくれていた父や母の様子とする説が正しい気がする。


赤とんぼとは脈絡の無い桑の実が、突然出てくる。

中国の古書には蚕が食べる葉のある神木として、「桑」の漢名が当てられたとある。日本では蚕が食う葉から、クワに転訛したとする名前由来説がある。

養蚕の盛んだった昔は、どこにでも桑畑があった。6月半ばになると手の平より大きな緑の葉陰に、濃紫色に染まったクワの実が熟す。子供にとっては格好のおやつで、手や口の周りを紫色に染めながら貪り食べたものである。

日本には蚕の餌とするため畑に植える畑クワと、野山に自生するヤマグワとがある。今の時期真っ白な花を咲かせるヤマボウシを別名でヤマグワと呼ぶことがあるが、こちらはミズキ科でクワ科とは何の関係も無い木である。

露風が小籠に摘んだのは、実家の北側の畑に植えられた桑と書いているので養蚕用の桑であることに疑いの余地は無い。

ヤマグワは葉のギザギザが尖っているので、栽培の唐桑(カラグワ)とは区別がつく。5月に円柱形で垂れ下がった雄花序と、長楕円形の花柱の無い雌花序をつける。ヤマグワには、短い花柱がある。



今どきの子供はエドヒガンザクラ等になる桜の実や、桑の実に見向きもしない。

今は未だ赤色で食べられないが、桑の実が熟したら今年も採取してジャムにしたいと考えている。



       桑の実や 花なき蝶の 世捨て酒     芭蕉





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最終更新日  2015年06月02日 11時07分52秒


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