ひこじいさんのブログ

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2016年07月14日
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漢文で「禁止」の意味で用いられる返読文字「勿」(~なかレ)を用いて「勿来」は「なこそ」と読ませる。来るな・来てはいけない、の意味で使う。

同じように勿忘草と書けばムラサキ科の植物の、忘れな草のことである。

この植物の名前には、次のような話が伝わっている。
「中世ドイツの騎士ルドルフがドナウ川の岸辺に咲くこの花を、恋人ベルタのために摘もうとして川に落ちた。
なんとか花だけを岸に投げた後、ルドルフVergiss-mein-nicht!(僕を忘れないで)といって水に呑まれてしまった。」
この言葉が、花の名前になったものだという。

これを英語に直訳したforget me notを、明治38年(1905)に川上滝弥が日本語に訳して「勿忘草・忘れな草」の漢字を当て「ワスレナグサ」と読ませるようになった。

花言葉の「真実の愛」「私を忘れないで下さい」も、このドイツの伝説に由来している。



中国では萱草と呼ばれ、金針や忘憂草とも呼ばれる。

ワスレグサの花は一日花と考えられたため英語でDaylilyと呼ばれるが、2日後まで開花しているものもある。

大伴旅人が大宰府に在って、故郷への慕情を断ち切りたいとの心情を詠んだとされる、「忘れ草 わが紐に付く香具山の 故りにし里を 忘れむがため」(万葉集)がある。

この花を着物のひもにつけていると、憂さや嫌なことを忘れさせてくれるのだという。

和歌に「忘れ草」と詠まれているのは、ヤブカンゾウやノカンゾウなどのことである。

夏に、大ぶりで橙色の花を咲かせる。若芽は山菜として食され、根は生薬となる。

藪のような場所に生育するから藪萓草で野原に咲くので野萓草と呼ばれると言うが、どちらも草はらや田畑の縁などの草地に自生している。

なぜかワスレグサの花は歌の対象とされず、詠まれたのはもっぱら葉の方である。

万葉の昔から憂いを忘れさせる草の意味で「忘憂草」と呼ばれ、万葉人たちは身に着ければ憂さを忘れさせてくれる草として歌に詠んでいる。

ヤブカンゾウは花が八重であるのに対し、ノカンゾウは一重であるから花を見れば誰にでも容易に同定可能である。

ヤブカンゾウの原産地は中国で、本州以南の野原や薮の縁などに自生している。ヒガンバナと同じ3倍体のため結実せず、もっぱらランナーによって増殖する。



真夏のギラギラとした炎熱の太陽の下で咲く八重のボッタリとした花は、色がノウゼンカツラと似て暑苦しく余り好きではない。
どちらかと言えば一重の幾分薄い色の花を咲かせるノカンゾウの方が、好みである。

自宅近くの路端にはノカンゾウが多く咲いているが、山荘の辺りでは、ノカンゾウを見ない。


ワスレグサの蕾を乾燥させたものを「金針花」といい、中華料理では水で戻してスープに入れる。

生薬名は金針菜で、風邪・不眠症・利尿に効果があるとされる。



忘れ草 垣もしみみに植ゑたれど 醜の醜草 なほ恋にけり (万葉集巻十二)
忘れ草を垣のところまでたくさん植えたのに、この草には少しもも効き目が無くてよけいにあの人のことが恋しいの歌意である。

※しみみ…隙間のないほどびっしりとの意味





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最終更新日  2016年07月14日 10時42分40秒


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