さて,では,なぜF氏に頼めば「カンニング」ができると私が考えたかというと,それは,F氏が某保険会社の重役だったからである。しかも,私が加入する保険はF氏の会社の商品ではなかったので,たとえ助力を頼んだとしても,彼を利害相反(conflict of interest)の状況に巻き込む心配はなかった。電話での簡単な説明に対し,F氏は「いますぐお宅に伺います」と,ふたつ返事で相談相手となることに同意してくれた。
急な話にもかかわらず親身に相談にのってくれたこと,アドバイスのおかげでするべきことが明らかになったことについて礼を言ったあと,私は「不幸中の幸いは,保険会社が違うので,あなたを『conflict of interest』の状況に巻き込まないで済むことだ」と付け加えた。そう言った私に,F氏が「たとえ『conflict of interest』があったとしても,あなたの相談に乗ったことに変わりはありません」と,きっぱりと言い切ったので,私は涙腺が緩むほど感激したのだった。