仙台市泉区在住の健康オタクの気まぐれ日記

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カテゴリ: 医療問題
仙台市泉区のながさわ歯科医院の長澤です。
いつも有り難うございます。皆様の健康に役立つ情報をお届けできたらと思っています。

 御蔭さまでアクセス90000を本日達成しました。本当に有り難うございます。適当にやってきましたが、ここまでできたのも多くの皆様に支えられたからこそ歩んで来ることができました。
これからも適当にやっていきますので、よろしくお願いいたします。


アメリカ医療の光と影  A Patient's Story(8) ブログ開設


李 啓充 医師/作家(在ボストン)

前回までのあらすじ:2009年初め,私は,早期直腸カルチノイドと診断された。腫瘍を局所切除すれば完治するはずだったが,保険会社から「人工肛門にしない限り保険適用を認めない」と横やりが入り,手術は直前でキャンセルされた。

 「人工肛門にしろ」という保険会社の決定を取り消させるために,プロの「助っ人」T女史(医療ナビゲーター)を雇った経緯は前回も述べた通りである。

 T女史と私にとって,保険会社の決定を取り消させるための最優先課題が「医学的エビデンス」を集めることにあったのは言うまでもない。そして,前回も記したように,早期直腸カルチノイドに対しTEM(Transanal Endoscopic Microsurgery)が適応となることを示す文献を集めるのはそれほど困難ではなかっただけに,保険会社が「TEMは研究段階の治療」と言い張ることが,不可解でならなかった。

よみがえる「リジェクト」の憂うつ

「保険給付拒否」の決定を告げる二通目の通知 を受け取った。通知に署名した医師は最初の審査医とは別人だったが,拒否の理由が「TEMは研究段階の治療」であることに変わりはなかった。

 私には,保険会社がなぜ同一内容の通知を二度も送ってきたのか,その理由がわからなかったが,T女史の説明によると「それは,あなたのカルチノイドを取るはずだった外科医が,保険会社に対し,正式に『再考』(reconsideration)を求めたから」だった。つまり,給付拒否の取り消しを求めて外科医が直談判に及んだことに対する回答として二通目の通知が送られてきたのだった。「医学的証拠をそろえて反論すれば保険会社の理不尽な決定を覆すことができる」と信じ込んで文献収集に励んでいた私にとって, 「直腸外科の専門医が理非を尽くして反論したにもかかわらず,保険会社が拒否の決定を変えなかった」 事実は,「医学的証拠をそろえたとしても,保険会社の決定を変えることができない」可能性を示すものだっただけに,あらためて前途に対する不安がかき立てられたのだった。

 文献収集の過程で,私は,保険会社が頑なに「TEMは研究段階の治療」と言い張る理由を示唆する文書に遭遇した。TEMに関する社内「 技術審査委員会 (technology assessment committee)」の報告書だったが,「TEMは現段階では研究段階の治療である」と結論づけていたのである。しかし,非常に興味深いことに,この結論は「直腸癌」のみのデータに基づいて導かれたものだった。「直腸癌に対する手術としては研究段階」と,限定句がつくべきはずだったのに,なぜか「TEMは(どんな腫瘍についても)研究段階」と,十把一絡げの(categoricalな)結論を導いていたのである。

 しかし,どんなに誤った結論であっても,技術審査委員会が正式に「TEMは研究段階」と決めている以上,一介の審査医が「社の方針」に逆らって私の腫瘍に対する保険給付を認めることが難しい事情は容易に推察された。社の方針として「研究段階」と決めていたからこそ,専門医の理非をつくした説明に対しても「聞く耳を持たなかった」ようなのである。

 「TEMは研究段階」と言い張る理由についての私の説明が正しいとすると,T女史と私がやろうとしていることは, 「一患者の不服申請によって,大保険会社の技術審査委員会が下した決定を覆す」 ことに他ならなかった。

 手術がキャンセルされてから17日目,保険会社に提出する不服申請の書類が完成した。52ページに及ぶ分厚い書類となったが,重さを量ったら250グラムあった。私は,まるで,「直腸カルチノイドとTEMについての外科総説」を書いたような気持ちにさせられていたこともあって,仕上げた書類の分厚さに,論文やグラント申請を頻繁に書いていた研究者時代の日々を思い出していた。そして,あの時代,こちらがどんなに正しいと信じて書いたとしても,論文やグラント申請が,しばしば冷たく「リジェクト」された体験も……。

ブログ名CTBNLの由来

 不服申請がリジェクトされる可能性を思うと,私は憂うつにならざるを得なかった。リジェクトされた場合,州保険当局による「外部」不服審査に訴える道が残されていたが,保険会社の内部審査「ひと月」に加えて,外部審査には「2か月」を要するだけに,「宙ぶらりん」の状態があわせて3か月も続くことに耐えられるかどうか,自信が持てなかった。米国において自費で手術を受ける,日本に戻って自費で手術を受ける,保険会社が勧めた手術を受ける,……etcと,リジェクトされた後のことを考え始めると,落ち込まざるを得なかった。



(この項つづく)





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Last updated  2009年08月10日 18時42分58秒
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