例えば,本シリーズの第1回(2877号)で,2009年に亡くなったエドワード・ケネディ上院議員が医療保険制度改革に生涯を捧げたエピソードを紹介したが,彼が当初支持した政策は「single payer」の実現だった。Single payerは「単一の支払者」=「ただ一つの公的保険」の下での皆保険制実現をめざすものだが,歴史的には,第二次大戦直後に皆保険制成立をめざしたトルーマン大統領も「国が運営する医療保険(National Health Plan)」の創設を提唱したことでもわかるように,リベラル派にとっては「伝統」とも言える医療保険政策だった(註1)。