仙台市泉区在住の健康オタクの気まぐれ日記

仙台市泉区在住の健康オタクの気まぐれ日記

PR

Profile

ビリオネアー

ビリオネアー

Favorite Blog

健康オタ子の日記 健康オタ子さん
健康道場トラの穴 MCタイガーさん
アンチエイジングが… アンチエイジングドクター・ジュリさん
晴走雨読 101匹の羊さん
e‐逸品!.com little-greenpeasさん

Comments

師子乃@ 公明党大勝利のご報告 お世話になっております。 公明党の伊藤 …
師子乃@ Re:原発推進学者が次々懺悔 「国民に深く陳謝する」(04/16) お世話になります。 公明党の「伊藤 和博…
R.R@ Re:東電のカネに汚染した東大に騙されるな!(03/31) 正論ですね。 「プルトニウムは飲んでも〜…
R.R@ Re:潰瘍性口内炎の原因は?(08/31) 最近、日本でも女性の間では自然派シャン…
R.R@ Re:青木泰さん講演会後編(02/20) 原発排水は通常海水温よりも6~8度以上高い…

Archives

2025年11月
2025年10月
2025年09月
2025年08月
2025年07月
2011年07月21日
XML
カテゴリ: 医療問題
仙台市泉区のインプラント治療の ながさわ歯科医院 の長澤です。いつも有り難うございます。皆様の健康に役立つ情報をお届けできたらと思っています 




アメリカ医療の光と影  第202回

アウトブレイク(16)


李 啓充 医師/作家(在ボストン)

前回までのあらすじ:1998年,『ランセット』誌に「MMRワクチンが自閉症の原因」と示唆する論文が発表されたことがきっかけとなって,英国では同ワクチンの接種率が低下した。

 『ランセット』誌の論文の筆頭著者となったロイヤル・フリー・ホスピタルのアンドリュー・ウェイクフィールド医師が,論文発表に先立って「単独型」麻疹ワクチンの特許を申請, 「利益相反行為」 を行っていたことは前回も述べたとおりである。

 しかし,『ランセット』論文の作成に絡むウェイクフィールドの「利益相反行為」や「不正」は,ワクチンの特許事前申請にとどまらなかった。以下,彼の論文がどれだけ「いかがわしい」経過の下に作成されたものであったかを概括するが,一連の不正を暴いたのは『サンデイ・タイムズ』紙のブライアン・ディーア記者だった。同記者の調査結果は2011年の初めに『BMJ』(旧『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』)に3回にわたって連載されたので,関心のある読者は参照されたい(註1)。

患者を診る前に完成していた論文の筋書き

 論文の出版とタイミングを合わせて行われた記者会見で,ウェイクフィールドは,「自閉症と腸管の炎症が合併する新症候群」を発見するきっかけとなったのは,「患者の母親からの相談の電話」だったと述べた。しかし,その後,彼が問題の研究をまとめるきっかけとなったのは「弁護士からの依頼」であったことが明らかにされたのだから,これほど真実とかけ離れた説明もなかった。

 ウェイクフィールドに「研究」を依頼したのはリチャード・バー,MMRワクチンの副作用を問題とし,補償を求める活動を繰り広げていた非営利団体「JABS」に雇われ,ワクチンメーカーを訴える準備をしていた弁護士だった。1996年2月,1時間当たり150ポンド(当時の交換レートで約2万4000円)の報酬でウェイクフィールドを「顧問」として雇い,訴訟を有利に進めるためのデータ作成を依頼したのだった。

患者を1例も診ていない(実際のデータが何ら存在しない)段階であったにもかかわらず,すでに『ランセット』論文の筋書きを完成させていたのである (註2)。

診療録と食い違う「ストーリー」

 この論文の研究対象となった患者12人は,みな,反ワクチン団体「JABS」のつてで集められた患者であったが,もともと「訴訟目的」で始められた研究であった経緯を考えれば,さして驚くには当たらないだろう。それよりも驚くべきは,あらかじめ作られた筋書きに合わせるために,患者のデータ・病歴が,大幅に書き換えられたり, 「ねつ造」 されたりした事実である。

 ランセット論文の「ストーリー」の骨格をまとめると,(1)(退行的)自閉症の存在,(2)非特異的腸管炎症の存在,(3)MMRワクチン接種直後(14日以内)の症状発現,の3点となるが,例えば(1)の自閉症の存在を見たとき,論文では「12例中9例に存在した」とされていたのに対し,実際の診療記録と照合したとき,自閉症は(診断が不確実な5例も含めて)6例でしか存在していなかった。また(2)の腸管炎症については,論文で11例に存在と記載されていたが,診療録上は3例しか存在しなかった。さらに,(3)ワクチン接種との時間的関係についても,「14日以内に症状を発現した症例」は,論文の8例に対して診療録上2例と,大きく食い違った。

ウェイクフィールドは,「自閉症と腸管の炎症が合併する新症候群を発見したが,この症候群の原因はMMRワクチンらしい」とする筋書きの論文を発表したのだが,その「センセーショナルな」筋書きとは裏腹に,診療録上,(1)自閉症,(2)腸炎,(3)接種直後の発症,の3点すべてを満たす患者は,12例中1例も存在しなかったのだった。

(この項つづく)

註1:BMJ 2011; 342:c5347 doi: 10.1136/bmj.c5347, c5258, and c7001
註2:最初の患者がロイヤル・フリー・ホスピタルに入院,研究が実際に開始されたのは,この申請書が書かれたひと月後のことだった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011年07月21日 16時56分51秒
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: