むかしむかし、比叡山できびしい修行していた坊さんがいました。
生まれ故郷の摂津の国に帰ってきました。
そして坊さんはお嫁さんをもらって、幸せに暮らしていました。
この村では、毎年正月の修正会には、
必ずこの坊さんをたのんでおがんでもらうことにしていました。
さて、ある年の修正会の時、
この坊さんは仏さまにお供えしたもちをたくさんもらいました。
しかし坊さんとお嫁さんはとてもけちだったので、そのもちを誰にもわけてあげようとはしません。
自分の子どもたちにさえ、食べさせないのです。
二人は少しずつもちを食べていましたが、そのうちにもちは固くなってしまいました。
このままでは、もちは食べられなくなってしまいます。
そこでお嫁さんは、こんな事を考えつきました。
(そうだわ。この固くなったもちで、お酒をつくろう。きっと、おいしいお酒が出来るにちがいないわ)
そこでさっそく、坊さんに話すと、
「それは、なかなかの名案じゃ」
と、大賛成です。
二人はたくさんのもちを酒つぼに入れて、酒をつくることにしました。
やがて、月日がたちました。
「もうきっと、おいしいお酒が出来ているでしょう」
ある晩、お嫁さんはこっそりと酒つぼのふたを開けてみました。
すると何かが、中で動いているように見えました。
「何かしら?」
暗くてよく見えないので、お嫁さんは明かりをともしてつぼの中をてらしてみました。
「あっ!」
お嫁さんの顔は、とたんにまっ青になりました。
つぼの中ではたくさんのヘビがかま首をあげながら、
もつれあっているではありませんか。
お嫁さんはつぼのふたをすると、逃げるように坊さんのところにかけていきました。
「あなた、大変です。もちの酒つぼに、ヘビが」
でも坊さんは、信じようとはしません。
「何を馬鹿な。そんな事が、あるものか」
「でも、本当に見たのです」
「わかったわかった。なら、わしが見てきてやろう」
坊さんはお嫁さんから明かりを受け取ると、酒つぼのところへいきました。
そしてふたを取ると、つぼの中をのぞきこみました。
「わっ!」
坊さんもびっくりして、お嫁さんのところにかえってきました。
「これはいかん。こうなれば、どこか遠くへつぼごと捨ててしまおう」
二人は酒つぼをかつぎ上げると、広い原っぱのまん中に捨ててしまいました。
その、あくる日の夕方の事です。
広い原っぱの一本道を、三人の男が通りかかりました。
「おい、あれは何だろう?」
酒つぼを見つけた一人の男が、原っぱのまん中を指さして言いました。
「さあ、何だろうな。行ってみよう」
三人は恐る恐る、酒つぼに近づきました。
そして一人の男が、つぼのふたをとって中をのぞきこみました。
「おい、酒だ、酒だ!」
「なに、本当か?」
他の二人も先を争うようにして、つぼをのぞきこみました。
「確かに酒だ。しかし一体、どうしたことじゃ?」
三人は思わず、顔を見合わせました。
すると一番はじめに酒つぼをのぞいた男が、ニヤリと笑って言いました。
「この酒を飲もうと思うが、どうだね?」
二人の男は、恐ろしそうに言いました。
「野原のまん中に、こんな酒つぼが捨ててあるというのは、どうもおかしい。
なにかきっと、わけがあるにちがいない。危ないから、飲むのはよせ」
しかしこの男は大の酒好きだったので、
「なあに、酒が飲めるのなら、死んでもかまうものか」
と、腰につけた湯のみで酒をすくって、一気に飲み干しました。
「うん、うまい! これは、けっこうな酒だ」
そう言うと、もう一杯飲みました。
それを見ていた二人も酒好きですから、もう飲みたくてたまりません。
「仕方ない。わしらも、付き合ってやるか」
三人は次から次へと、酒を飲み始めました。
「おう、確かに良い酒だ」
「本当にな。酒屋に行っても、これほどの酒はないぞ」
「おい、こうなったら、何も急いで飲むことはない。家に持って帰って、
ゆっくりと飲みなおそうではないか」
そう言って三人は、その大きな酒つぼをかついで家に帰りました。
さて、それから間もなく、
「三人の男が、野原に捨てた酒つぼを見つけたそうだ。そして毎日のように飲んだが、とても良い酒だったそうだ」
と、いう話しが、村中に伝わりました。
それを聞いた坊さんとお嫁さんは、
(あれはやっぱり、ヘビではなかったのだ。人にもやらず自分たちの物にしてしまったので、仏さまのばつをうけて、わたしたちの目にだけヘビに見えたのだ)
と、反省して、それからはもらい物があると必ず人に分けてやるようになったのです。
今日の話にも大切な教えがあります。


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☆ 若い頃、自衛官として、三度、災害派遣に出動。
現在も自衛隊協力企業として
即応予備自衛官を、採用させて頂いていることは、私の生涯の誇りです。
☆ 小社の社員は、東日本大震災災害派遣に出動しました。
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