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デヴィッド クロスビー。いわずと知れたCSN&YのC。これは彼のアンソロジー、制作には「N」ことグラハム ナッシュと ジョエル バーンスタインが音頭をとっています。130ページにおよぶブックレットには自身による曲解説、未発表写真が満載されていて、これだけでも貴重な60年代からのウェストコーストサウンドの資料と成りうるほどの出来です。肝心の音源のほうは、彼のキャリアの出発点である ザ バーズ から最新のCSN&Yの2006年のライヴに到るまで、実に52曲が選ばれています。彼の音楽の魅力は一体何でしょう?まず ヴォーカリストとして彼ほど色んなニュアンスを表現できる人はいないでしょう。「ALMOST CUT MY HAIR」での激しいシャウト、「GUINNEVERE」での優しい歌声、そしてグラハム ナッシュと二人で聞かせてくれるこの惑星一番のハーモニー。次にギタリストとして独自のドローン チューニングを駆使して実に幻想的なアコースティック ギターサウンドを奏でます。あまり目立たないのですが、サイドギタリストとしても彼は超一級のリズムをきざみます。CSN&Yの名ライヴアルバム「4ウエイ ストリート」での名演「SOUTHERN MAN」では ともすれば スティルスとヤングのギターバトルが語られがちですが、そこでのクロスビーのサイドギタープレイは実に凄い。ある意味バンドのリズム ドライヴァーであり、ぐいぐいとリズム陣を引っ張っていくのです。そして 作曲家として彼は唯一無二の存在であると言って過言ではないでしょう。優れたハーモニー感覚は作曲にも生かされ、複雑な和音を駆使し実に幻想的かつ美しい音楽を数多く作りました。しかし私生活は悲惨の一言につきました。CSN&Yとして活動する直前に起こった恋人の交通事故死、ドラッグに溺れる日々、逮捕、保釈を繰り返し、ついに実刑判決。出所後もドラッグ常習は直らず その為か重大な肝臓疾患を患ってしまいます。肝臓移植か死かの宣告をうけてしまいます。病室で肝臓のドナーを待つ彼のもとに人生最大のハプニングが起こります。結婚して10数年子宝に恵まれなかった彼に妻の妊娠が告げられます、そしてデビュー前 無名のシンガー時代当時つきあっていたガールフレンドが彼に隠して出産した息子が名乗りをあげたのでした。息子は立派なジャズミュージシャンになっていました。その名はジェイムス レイモンド。多分この二つが彼に奇跡をもたらしたのでしょう。ほどなく肝臓のドナーが見つかり、大手術の後彼は帰還したのでした。その後 息子のジェイムスとCPRを結成 アルバムを作ります。さらにこのCPRをベースにグラハム ナッシュとの久々のデュオ アルバムを発表、そしてCSN&Yとしてのツアーを2006年に敢行するに到るのです。このアンソロジーはそんな彼をずっと励まし、見守ってきたグラハムの最大のプレゼントなのです。どの曲も輝いています。いかにデヴィッド クロスビーが素晴らしいミュージシャンであるか、私も再確認したのです。特に未発表音源を集めた3枚目のCDにはお宝がぎっしりなのです。C&Sで録音された「LONG TIME GONE」。ニール ヤングとジェリー ガルシャのギターバトルの凄まじい「COWBOY MOVIE」。なかでも白眉は2006年のCSN&Yのライヴ「DREM FOR HIM」ニール ヤングの抑制の効いた味のあるリードギター、スティーヴン スティルスのドライヴ感溢れるベースが歌を盛り立てます。彼の歌にはいつも海が感じられます。ヨットをこよなく愛し 洋上で作曲する事が多いからでしょうが、穏やかさも激しさも併せ持ち洋々と水をたたえた海が彼の歌のキーワードなのです。この3枚組セットの各CDのラベルは美しい海面がプリントされています。これは類まれなミュジシャンの類まれなる航海日誌なのです。このセットの解説にあった言葉。「もうすっかりと 髪の毛も白くなってしまった、でもデヴィッドは やせっぽっちのイギリス人の傍らに立つと少年のように見える。この二人の旧友は互いの目を見つめ合い そして歌う」 bySTEVE SILBERMAN
Jan 21, 2007
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イタリアのワイン法は本当に頭にくる。手間隙かけて造られたワインも最低限の基準を満たしただけのワインも同じカテゴリーに組み込まれてしまうのです。イタリアワインに詳しい人なら政府が定める「DOC,DOCG」が何の意味も持たないことなどは百も承知なのですが、 いまだに ワインガイドブック や ネット上 でも さも権威のある品質保証であるがごとく書かれているのが実情なのです。政府の定める最高ランク「DOCG」とは ほとんどの場合 大企業と政治家との癒着の産物といって過言ではないのです。しかし イタリアにもさすがに見識と反骨心を持った人達がいます。それが由緒ある大メーカーである アンティノリ家と 職人メーカー とでも言えるアンジェロ ガヤ であったという事実こそが イタリアワインの良心を守ったのです。醸造所の規模や歴史は違えど 良いワインを造りたい思いは同じだったのです。アンティノリはキャンティに初めて 外来種であるカベルネ ソーヴィニョンとカベルネ フランを混醸しました。試行錯誤の後 当時のワイン法にそぐわないワインが出来上がりました。今ならキャンティ クラシコとして流通することができるワインです。しかしアンティノリは 単なるテーブルワインのカテゴリーでこのワインを発売しました。と 言うか 発売せざるを得なかったのが現実だったのです。そして、このワイン「ティニャネッロ」が発売されるや否や イタリアはおろか世界中にセンセイションを引き起こしました。その気品ある味わいは 瞬く間に 心あるワイン愛好家、専門家を魅了しました。いつしか人々はこのワインの事を「スーパー タスカン」と呼び始めました。アンティノリ家はさらに親戚筋のワインにも手を貸しました。それが「サッシカイア」「オルネッライア」の誕生となるのです。さらにアンティノリは「ティニャネッロ」と反対のセパージュの「ソライア」を世に問います。これらのワインとガヤのワインはイタリア政府の定めるDOC,DOCGをあざ笑うかのような快進撃を続けます。そして他の地方でも、心ある醸造家がこれに続くのでした。イタリアワインの品質を一気に引き上げた「ティニャネッロ」。大メーカーだからこそ負わなければならない責任、品質に対するこだわり、名家ならではの誇り。たかがワイン されどワイン、まず何はさておいても このワインを 飲まずして現代イタリアワインは語れないのです。ティニャネッロ・・・トスカーナ州産 サンジョベーゼ85%、カベルネ ソーヴィニヨン10%カベルネ フラン5%
Jan 17, 2007
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1973年に発売された はちみつぱいのファーストアルバム「せんちめんたる通り」が2006年末、最新のデジタル リマスタリング 紙ジャケ仕様で再再発されました。LP、CD、ボーナストラックつきCDと都合3枚も持っている私ですが昨今のリマスタリングの素晴らしさ、未発表音源入り、を考慮すると やはり買わざるを得ないのです。はちみつぱいというバンドは実に流動的な集合体で時に三人、四人、六人、とメンバーが入れ替わり立ち代り出入りしていたバンドでした。一応このアルバムが製作された時のメンバーは鈴木慶一、かしぶち哲郎、武川雅寛、和田博巳、本多信介、駒沢裕城の六人。オリジナルメンバーだった渡辺勝、山本浩美はすでにこの時点でグループを抜けそれぞれ別のバンドを結成していました。この時山本浩美の作ったバンドの名前こそ「ムーンライダーズ オブ パープル ソーセージ」だったのです。これは、サンフランシスコでカリスマ的サイケデリックバンドで名をはせた グレートフル デッド の弟分バンド 「ニューライダーズ オブ パープルセージ」のもじりだったのですが、まさかこの名前がその後も使われ続けられるとは’73年の時点では誰もが予期せぬことでした。今でこそムーンライダーズの前進として語られることの多い はちみつぱいですがリアルタイムでこのアルバムを聴いた私にとってムーンライダーズは ずっと はちみつぱいの延長上にあるバンドなのです。20代の鈴木慶一がこの時やった事、やろうとした事そして現在50代になってやっている事 それら全てがこのファースト アルバムに凝縮されています。レコーディング時点では脱退していた二人のソングライター、渡辺勝、山本浩美を再び一回だけゲストとして迎え,名曲「ぼくの幸せ」「月夜のドライヴ」「夜は静か通り静か」を録音、かしぶち哲郎も一曲、本多信介もインストを一曲提供・・・と今のムーンライダーズと同じように複数のシンガーソングライターから成るアルバムになっています。どの曲も時空を超えて素晴らしいのです。モノクロ映画に映し出される雨のシーンを彷彿させる「塀の上で」、冬枯れの河川敷の風の様な「土手の向こうに」、梅雨の湿度さえ感じさせてくれる「薬屋さん」、夏の木陰にさす木漏れ日にも似た「釣り糸」、凛とした月夜が即座に広がる「月夜のドライヴ」、鈴木清順の映像がぴったりな「せんちめんたる通り」、等 実に映像的なアルバムなのだと 今更ながら思ってしまいます。そしてそれらの名曲の中に混じってたった二曲、渡辺勝が提供した永遠の名曲がこのアルバムに入って入ます。「ぼくの幸せ」と「夜は静か通り静か」、この二曲は日本のロック史上屈指の名曲と言っても過言ではないでしょう。「甘く切なくやるせない。」とは まさにこんな曲に使うべき言葉であろうか・・・特に「ぼくの幸せ」のイントロにおける武川雅寛の渾身のヴァイオリン!名演奏とはこうゆう事を指して言うのでしょう。今回、未発表だったかしぶち哲郎のヴォーカルによる「ぼくの幸せ」の別バージョンが収録されています。 これが実に良い。これだけでも聴く価値があります。渡辺勝本人のバージョンとは又違ったニューロマネスク感溢れるそのヴォーカルは新たなマイ フェイヴァリットになりました。このアルバム製作後かれらはシングル一枚残して自然消滅し、鈴木慶一を中心にムーンライダーズとして再生する事になり そして伝説は今に続くのです。
Jan 8, 2007
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ムーンライダーズ。 1976年ファーストアルバム発売の 日本現役最長寿バンド。鈴木慶一、岡田徹、かしぶち哲郎、武川雅寛、白井良明、鈴木博文の六人はそれぞれプロデューサー、作曲家、アレンジャー等の肩書きを持ち、CMや映画音楽でも多忙を極める「先生」達であります。彼らの強みは何といっても全員が作曲できること、アレンジャーであること、シンガーであることでしょう。さらに六人中四人がすぐれた作詞家いや詩人でもあるのです。その歌詞は現代詩の専門誌で特集を組まれたほどなのです。そんなムーンライダーズの2006年の作品が「ムーン オーヴァー ザ ローズバッド」であります。全員が50代を超えた「おじさん」バンドとあなどる人などいないでしょうが、今回も またまた実に新しい曲作りをしています。 ポップなメロディーラインを持った一曲目 「COOL DYNAMO,RIGHT ON」からはじまり、 ワイン好きの白井良明らしいハードな「果実味を残せ!・・・」、 プロコル ハルムを思い浮かべさせるコード進行の「琥珀色の骨」、 いかにも かしぶち哲郎らしいモダニズムに溢れた「DANCE AWAY]、 昔のトムウェイツの雰囲気を漂わす 「VINTAGE WINE SPIRITS、& ROSES] そして武川雅寛 驚愕の一人弦楽十四重奏!が聴ける 「WHEN THIS GRATEFUL WAR IS ENDED]等等 聴けば聴くほど深みにはまってしまうのです。いつの頃からか 彼らのメロディーは一回聴いただけでは直ぐには理解できない 様々な仕掛けが施されるようになり、それゆえ 「暗号のバンド」と呼ばれる事もあるくらいなのです。かと言って難解な訳ではなく実にポップな衣装を一見まとっている為 決して聴き手を飽きさせないのであります。定評のあるその「歌詞」と共に一年も経つといつしか口ずさんでいるというか身に沁みこんでしまっている自分に気づくのです。それはきっと彼らが20代,30代,40代,それぞれの年代の時それぞれの問題、関心事について歌ってきたからでしよう。そして今彼らは50代の歌を歌っています。これ等の「歌」は私の体の中でじっくりと熟成され 成長してゆくのです。まるで最高級の赤ワインのように。
Jan 7, 2007
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「バルバレスコ」イタリアを代表する赤ワイン。 産地は北イタリア ピエモンテ州、クーネオ県、バルバレスコ村、ネイーヴェ村、トレイーソ村の三村。ネッビオーロ種の葡萄から造られる フルボディーの赤ワイン、熟成がやや早い為「バローロ」の弟分として紹介される事が多い。しかし アンジェロ ガヤ氏の生み出すバルバレスコは並のバローロを凌駕する品質を誇っています。イタリアで初めて赤ワインにバリック(小樽)を使用し モダンタイプのワインを作り出し、イタリア国内にバリック ブームを巻き起こした張本人こそ ガヤ氏なのです。さらに、イタリアに「クリュ」(単一畑)の観念を持ち込んだのも彼でした。ガヤの「バルバレスコ クリュ コスタ ルッシ」、「サン ロレンッオ」等は破格の価格で取引されました。されました・・・と過去形なのは現在「コスタ ルッシ」等はもうバルバレスコを名乗っていないからなのです。ガヤ氏いわく、「クリュ名」が付いているバルバレスコが自分の作っているスタンダードなバルバレスコより高品質だと思われるのには我慢がならない。スタンダードのバルバレスコ こそがガヤ社のバルバレスコなのだ!・・・と判ったような判らないような理由から、畑名入りバルバレスコをすべて並の規格である「ランゲ ロッソ」のカテゴリーに格下げしてしまったのです。しかも価格は据え置き(高価格、高品質)。私にはこれはイタリアのワイン法に新たな挑戦状を叩きつけた行為としか思えないのです。いつまでたっても畑名を正式な高級ワイン名にすることをためらう地方自治体、ここには中央と結びついた役人、議員が大企業の利益優先に走り、良心的な小さなワイナリーの地道な努力が省みられることは少ないのです。それならば、と一大決心をガヤ氏はしたのではないでしょうか?世界的名声をそのワインで得、名実共にイタリアワイン界のトップにある人物が、他から観ると愚行とも思える行為に出ることによって一石を投じたのではないでしょうか。世界中のワイン愛好家なら「コスタ ルッシ」は名乗らなくてもバルバレスコの最高の畑の一つから作られたワインと知っています。それはブルゴーニュワインとまったく同じ認識の仕方であります。これこそガヤ氏の目論んだ事ではないでしょうか。私も知れば知るほどイタリアのワイン法のでたらめさ加減に驚きそれに苦しめられているワイナリーのジレンマがよく判るようになりました。より良い物を目指す為あえて旧習を破り異端児と思われる行動を起こし、地位、名声を得た後も 一人 悪法と戦うアンジェロ ガヤ氏。ガヤのバルバレスコを飲むとこの「変コツ親父」の心意気がガツンと感じられるのであります。ガヤ社のワインは唯 高いだけのワインではないのです。そこには男の気骨が凝縮されているのです。
Jan 7, 2007
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