下記の記事は日経ウーマン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。
食後に血糖値が急上昇するのが「血糖値スパイク」。長年続くと、脳卒中や心筋梗塞、がんなどにかかる危険性が高くなるので早めの対策が大切です。今回は、血糖値スパイクとはなにかを解説します。
太る生活が招く“血糖値スパイク”とは
最近、テレビ番組などがきっかけで「血糖値スパイク」が注目されている。血糖値スパイクとは、 食事の後に血糖値が急激に上がることを指す。東京慈恵会医科大学の西村理明主任教授は、「健康な人は、食事をしてもあまり血糖値が上がらない。ところが空腹時の血糖値は110mg/dL以下と正常なのに、 食後1時間たったころ、血糖値が急上昇して140mg/dLを大きく超える人がいる。こういった現象を血糖値スパイクと呼んでいる」と話す。これまでも 「食後高血糖」と呼ばれ、糖尿病の一歩手前の段階に見られる状態の1つと見なされてきた。
健診では血糖値やHbA1cの値が正常だったのに、食後1時間の血糖値を測ると140mg/dL以上に。その後、血糖値は正常に戻る。このような急激な変動が血糖値スパイクだ。頻繁に繰り返すとさまざまな病気のリスクを高める。グラフは取材をもとに編集部で作成したイメージ
空腹時の血糖値が正常な場合、職場の定期健診などでは異常とされない。「自覚症状が全くないため、長い間気づかないまま、食事のたびに血管が高い血糖値にさらされ続けると、心筋梗塞や脳卒中、がんなどの重大な病気になるリスクが高まることが分かってきた」(西村主任教授)。
血糖値が食後に上昇する状態を繰り返すと、血管の内側の壁が傷むことが実験で確かめられている。また、食事をした1時間後の血糖値が180mg/dLを超える人は、そうでない人に比べ、心臓病で亡くなるリスクが高まることが追跡調査で明らかになった。
ではなぜ血糖値スパイクが起きるのか。そのカギは血糖値を下げるホルモン「インスリン」が握っている。食後、血糖値が上がり始めると、すぐにインスリンが分泌され、血糖値を下げようと働く。
血糖値が上がり始めると、膵臓が検知してすぐにインスリンを分泌する。インスリンはさまざまな臓器に糖を取り込むように促し、血糖値が下がる
だがインスリンが十分に出ないと、血糖値は下がるどころか上がり続けてしまう。日本人はインスリンが出にくい人種といわれる。
日本人などアジア人は、もともとインスリン分泌量が少なく、糖を取り込む力が弱い。健常人、糖尿病予備軍(境界型)とも白人の半分以下だ。
データ:Diabetes;49,6,975-980,2000/Metabolism;53,7,831-835,2004
こうした体質なのに血糖値が上がりやすい糖質の多い食生活を続けると、「 出にくいインスリンを出そうとして、膵臓がいつも働き過ぎの状況になる」と西村教授は警鐘を鳴らす。しかも年齢とともに、インスリンを分泌する能力は下がっていく。生活を改善し、血糖値スパイクを予防することが重要だ。
□40歳以上である
□糖尿病の親や兄弟姉妹がいる
□甘い菓子や飲料をよくとる
□これといった運動習慣がない
□食事を抜いたり、ドカ食いをする
□妊娠中に高血糖を指摘された
40歳を過ぎ、代謝が落ちてくるのにスイーツなどをなかなか減らせない、生活が不規則で運動もおっくう…。こんなあなたは血糖値スパイク予備軍かもしれない。チェックが多いほど要注意だ。
血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の違いは?
血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のこと。血液1dL中のブドウ糖の重さで表す。食事やインスリンによって数値は変動する。
一方、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、赤血球の中にあって酸素の運搬を担うヘモグロビンに、血液中のブドウ糖が結びつき糖化したもの。ヘモグロビンに対するHbA1cの割合をパーセントで表す。過去1〜2カ月間の血糖値の平均を反映し、1回の食事や運動の前後では変化しない。HbA1cは糖尿病の診断基準の1つにもなっているが、近年では血糖値の変化を常に見るほうが糖尿病の予防につながると考えられている。
次回は、「“血糖値スパイク”を防ぐ食事術【2】」を紹介する。
西村理明
東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授
東京慈恵会医科大学卒。富士市立中央病院などを経て2002年から東京慈恵会医科大学。19年4月から現職。
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