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当ブログ(8:30 11:00 12:00 13:30 15:30を)しばらくお休みします。
2022.02.28
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。老年医学の専門家である和田秀樹氏は「40歳こそ老化の始まり。この年代から“足りないものを足す健康法”へのシフトが重要だ」と説く。このたび上梓したセブン‐イレブン限定書籍『40歳から一気に老化する人、しない人』より、その一部を特別公開する──。※本稿は、和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。70代こそ肉を食べよう20代、30代の人がスキーで転倒して足を骨折し、病院のベッドで1カ月寝たきりの生活をしたとしても、退院すればまもなく普通に歩くことができるようになります。しかし70代ではそうはいきません。寝たきりの生活が続くと筋力が低下し、骨折が治ったあとも、「立つ」「歩く」といった日常生活に必要な動作に支障をきたすようになり、介護が必要になるリスクが高くなってしまいます。こうした「ロコモ(ロコモティブシンドローム=運動器症候群)」が目立ってくるのも、70代からの特徴です。70代こそ意識して体を動かす必要があるのですが、前頭葉が萎縮いしゅくし、動脈硬化もかなり進行していますから、なかなか動こうとしない人が増えてきます。これは男性に顕著な傾向です。男性ホルモンが減り、行動意欲が失われているからです。写真=iStock.com/Group4 Studio※写真はイメージですしたがって、歳をとればとるほど、毎日の食事を通じて男性ホルモンの材料になる肉やコレステロールを摂取する必要があります。コレステロールは主要な男性ホルモンである「テストステロン」の材料であり、コレステロールが気になるからとこれを減らすのは、ホルモン医学の立場で言えば、まったくの逆効果でしかありません。女性ホルモン補充で骨粗鬆症予防を女性の場合、男性ホルモンが増加するので、むしろ元気になる人が多いのですが、その一方で女性ホルモンが減るため、それにともなう問題がないわけではありません。女性ホルモンが減ることの弊害としては、肌つやが悪くなることのほか、骨粗鬆症こつそしょうしょうの原因にもなることがわかっています。骨粗鬆症を防ぐには適度な運動をし、戸外を散歩するなどして日光によく当たること、あるいはビタミンDが多く含まれている食品をとるなど、ごく常識的なことをする心がけが必要です。日に当たらない生活があまり長く続くとうつになりやすいのは、広く知られているとおりです。日光浴は、うつ病や不眠症を予防し、骨粗鬆症の予防にもなる70代女性にとっての格好の健康法なのです。また性ホルモンは性別を問わず、ホルモン補充療法で補うことが可能です。副作用のリスクを心配する方も少なくないでしょうが、更年期に特有の不定愁訴に対しては、苦痛を手っ取り早く取り除き、副作用も比較的少ない療法です。QOL(生活の質)を重視するのであれば、ホルモン補充は効果的な療法だと私は思います。認知症リスクが大きくなってくる70代70代になると、いよいよ認知症が他人事ではなくなってきます。認知症の有病率は、70代前半までは世代人口の5%。70代後半に入ると8~10%弱の人が認知症になります。日本では認知症患者の6割以上がアルツハイマー病を原因疾患とする「アルツハイマー型認知症」だとされています。アルツハイマー病は、神経細胞の中にアミロイドβと呼ばれるたんぱく質が蓄積されることによって引き起こされると考えられています。脳にアミロイドβがたまりやすいかどうかは、遺伝的要因に左右される面がかなり大きく、親がアルツハイマー型認知症の有病者であった場合は、子どももなりやすいといわれています。「頭」を使って認知症リスクを低減する実は、2021年に、ついにこのアミロイドβを脳内から除去する作用のある薬がアメリカで認可されました。たしかに朗報ですが、年間650万円もかかることもあり、日本で認可されるのか、あるいはどういう患者さんに保険が利くようになるのかはまだ不透明です。将来には期待できますが、いますぐとはいかないのが実情です。それでも、昔からいわれる「頭を使っている人はボケにくい」というのは一面の真理です。脳の萎縮が同じくらい進んでいる2人の認知症患者を比較すると、何もしていない片方の人はかなりボケてしまっているのに、日頃から頭を使う環境にいたもう片方の人はそうでもなく、知能テストをするも明らかに後者のほうが点数が高かった、というケースがままあります。頭をしっかり使って、認知症のリスクを低減させていきましょう。「脳トレ」より「人との会話」近年、「脳トレ(脳力トレーニング)」と呼ばれるトレーニングメソッドが、脳に刺激を与え、ボケ防止に役立つということでブームになっています。ただ「脳トレ」は残念ながら、認知症予防という観点からはほとんど無意味だということが、最近行われた海外の研究で明らかになっています。『ネイチャー』や『JAMA』(アメリカの医学会雑誌)のような超一流の医学誌に、この効果にまつわる大規模調査の結果が発表されています。そのうちの1つ、アラバマ大学のカーリーン・ボール氏による2832人の高齢者に対する研究では、たとえば言語を記憶する、問題解決能力を上げる、問題処理の能力を上げるというようなトレーニングをさせた場合、練習した課題のテストの点だけは上がるのですが、ほかの認知機能がさっぱり上がらないことがわかっています。つまり、与えられた課題のトレーニングにはなっても、脳全体のトレーニングにはまったくなっていないことが確認されたというのです。では、いったいどうやって「頭を使う」といいのか。私の経験上、もっとも効果が高いと感じられるのは、人との会話です。写真=iStock.com/recep-bg※写真はイメージです他人とのおしゃべりでは、自分の話したいことに対して相手から反応が返ってきますし、強制的に頭を働かせなくてはいけない局面が増えます。もちろん、仕事や家事も複数の知的作業をともなうので、「頭を使う」ことにつながります。「生涯現役」というスタンスも、有力な脳のトレーニング法といえるでしょう。認知症の進行は生活環境で大きく変わる介護保険がまだ導入されておらず、今日の主要な抗認知症薬であるアリセプトも未認可だった1990年代に、私は勤務先である浴風会病院とは別に、茨城県鹿嶋市の病院で月2回、認知症の診察を担当していたことがあります。鹿嶋市に足を運ぶようになってしばらくして気づいたのが、浴風会病院にやってくる東京都杉並区の認知症患者たちに比べて鹿嶋市の認知症患者の進行がかなり遅く、症状が目立たない、ということでした。それがなぜなのか、最初はとても不思議でした。しかし、杉並区と鹿嶋市の高齢者が置かれている生活環境を見比べているうちに、おおよその見当がついてきました。当時はまだ介護保険が始まる前でしたから、杉並区の高齢者たちは、認知症になるとその多くが家に閉じ込められたのに対し、鹿嶋市では、比較的気ままに近所を歩き回らせていることが多かったのです。それでも、出歩いた認知症高齢者が家に帰れなくなっていると、すぐに近所の誰かが見つけて連れて帰ってくれるので、あまり困った事態になることはありません。オール・オア・ナッシングで考えない農業や漁業の従事者に関していえば、認知症が発症しても、それまでと変わりなく仕事を続けている人も少なくありませんでした。認知症が発見されると、一般的には周囲が先回りして外出や仕事などいろいろなことをやめさせてしまうことが多いのですが、“オール・オア・ナッシング”で考える必要はありません。「この仕事、この家事は、もうできなくなったからやめる」「この家事は、できるからしばらくは続けよう」そういう判断があっていいはずなのです。70代からは「比べない」70代ともなると、世代全体の10%が認知症になります。残りの9割は依然として頭がはっきりしており、健康な人とそうでない人の差が、それまでになくはっきりと分かれてきます。外見の面でも、同級会などで集まれば、みな同い年のはずなのに一見して「え?」と驚くくらいの個人差が容姿の老け具合に出てきます。社会的にも、現役バリバリで社長を務めている人がいるかと思えば、定年退職した人の多くは「無職」という肩書をつけられてしまう現実があります。だからこそ、なにかと「あいつに比べて自分は……」という引け目を感じやすくなり、人によってはそれが重荷になってくることもあります。老いを受け入れるとは個人差を受け入れること同世代の人よりもちょっとだけ早く老いを受け入れざるをえなくなった70代の人にとっては、「老いを受け入れる」ことは「個人差を受け入れる」とほぼイコールの行為でもあります。この世に同じ人は一人も存在せず、誰もがみんなとちょっとずつ変わっているのですから、自分を他人と比べているかぎりは苦しさから抜け出せません。他人にはできて、自分にはできないことについて思いを巡らせて悶々もんもんとするよりは、「いまの自分に何ができるのか」ということを前向きに考えたほうが、ずっと健康的に生きられます。人と比較するより、自分の生き方を模索するほうが賢明だと、私としては信じています。和田 秀樹(わだ・ひでき)国際医療福祉大学大学院教授アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹 こころと体のクリニック」院長。1960年6月7日生まれ。東京大学医学部卒業。
2022.02.27
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下記の記事は日経グッディ様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。腸の中で発酵する食物繊維や抗酸化物質などを丸ごととることができる、全粒穀物。さまざまな病気のリスクを減らすことがわかってきたが、なかでもメタボや血圧、がんといった年齢とともに気になる病気のリスクを下げる働きに注目したい。今回は、大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授に、日本人を対象に確認された大麦ごはんを用いたメタボ改善研究についてや、大腸がんとの関わりなど、全粒穀物を食べると体の中でどのようなことが起こるのかについて聞いていこう。日本人はもともと雑穀をたくさん食べてきた。健康のことを考えたら、日々の主食に大麦などを取り入れたほうがよさそうだ。(c)Rarintorn Wata-123RF主食を大麦にすると満腹感が高まり、内臓肥満が改善する前回は、全粒穀物を継続的にとる食生活によって糖尿病、心血管疾患、がんや脳卒中による死亡リスクが低下すること、数ある食品のなかでも全粒穀物は糖尿病発症予防に高い有効性を発揮することなどの世界の最新研究報告についてお伝えした。テレワークが中心になり、運動不足によって体重が増え、健康診断の数値が悪化してきたり、糖尿病や高血圧、脂質異常症といったメタボリック・シンドロームが気になる人も多いかもしれない。ぜひ、すぐに取り組める食生活対策として全粒穀物の摂取を始めよう。「日本人はもともと全粒穀物を多くとる食生活を送っていました」と、大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授は言う。1960年ごろまで、日本では大麦を代表とする雑穀がよく食べられていたが、食感の良い白米やパン食の普及とともに、主食は精製穀物に切り替わった。それにより食物繊維摂取量はしだいに減少。そして、1970年代から欧米型の食生活が主流となると、脂質過多(特に、動脈硬化のリスクを高める飽和脂肪酸の摂取量の増加)が起こり、並行して食物繊維摂取量はどんどん減少。その結果、大腸がんなどの病気のリスクが上昇してきた。だからこそ、体をリセットする食事の根幹として、日々の主食を全粒穀物にスイッチすることが健康維持には有効といえる。食物繊維は便秘解消のためにとるもの、という認識だけではもったいない。では、数ある全粒穀物の中で、私たちは何を選べばいいのだろうか。青江教授が勧めるものの一つが、全粒穀物の中でも多彩な機能性を持つ水溶性食物繊維β‐グルカンを豊富に含む「大麦」だ(*1)。大麦は、そのメタボ改善効果が日本人を対象にした研究で確認されているという。青江教授は、白米を大麦ごはんに置き換えることによって、日本人の内臓脂肪肥満が軽減できるかを検証する研究を行った。1日2食の3割大麦配合ご飯(β-グルカン1日あたり2.8g)を12週間とることで、腹囲と内臓脂肪面積が有意に減少した(下グラフ)。大麦のβ‐グルカンで内臓脂肪肥満が改善したBMI25以上の成人男女50人を対象に、白米パックライス1日2食または30%もち性大麦配合パックライス1日2食(β-グルカン1日あたり2.8g)を12週間摂取する試験を行った。その結果、もち性大麦摂取群では腹囲、内臓脂肪面積が有意に減少した。(データ:ルミナコイド研究;18,1825-33,2014)大麦の内臓脂肪肥満の改善効果について、青江教授は「大麦の水溶性食物繊維は、ねばねばとした粘性があるため、食べると胃の中でふくらみ、長くとどまります。また、満腹感を高める消化管ホルモンの分泌にも影響して食べ過ぎを抑え、食事のエネルギー摂取量を低減させることができます」と説明する。青江教授は、朝食で大麦ごはんを摂取すると、白米ごはんを摂取した場合と比較して、満腹感が高まり、昼食時のエネルギー摂取量が有意に減少することを別の研究でも確認済みだ(*2)。また、朝食あるいは昼食に大麦を含む食事をとることで、次の食事の血糖値の上昇を抑えることや、血中コレステロールの低下作用も確認している。つまり、大麦はダイエット、血糖値抑制、コレステロール抑制の効果が実証されているのだ。*1 麦ご飯用の大麦は、外皮が除かれているため厳密には全粒穀物ではないが、食物繊維量は全粒大麦とほぼ同じであることから同等に扱える。*2 Plant Foods Hum Nutr. 2014; 69(4): 325–330.もち麦、オートミール、全粒粉パン。いずれもメタボを改善大麦というと、従来の押し麦のようなポソポソした食感をイメージするかもしれないが、すっかり人気も定着している「もち性大麦(もち麦)」は、冷めても硬くなりにくく、もちもちした食感が特徴で、食べやすい。これまでの研究をもとに、青江教授は「もち麦を白米に3割混ぜたものを1日2食でβ-グルカンを約3gとることができます。内臓脂肪低減効果や、コレステロール正常化効果は、このような十分実現可能な量で得られるのです」と話す。これらの研究を受け、日本では、大麦由来β-グルカンについて以下の3つが「機能性表示食品」に表示されている。● 整腸作用● 血中コレステロール正常化作用● 食後血糖値上昇抑制作用また、世界でも、β-グルカンを豊富に含む大麦やオーツ麦で、以下のような健康強調表示が認められている。β-グルカンは世界でもその健康機能が認められている(データ:日本食生活学会誌26,1,3-6,2015)[画像のクリックで拡大表示]もちろん、全粒穀物はもち麦だけにあらず。いろいろな種類の全粒穀物がスーパーマーケットに並んでいる。「大麦と同様に、β‐グルカンを豊富に含むのが、オーツ麦(オートミール)。オートミールでも大麦と共通した効果が得られると理解してください」(青江教授)では、全粒小麦や小麦ブラン(オールブラン)はどうなのだろうか。これらには、不溶性食物繊維の1つであるアラビノキシランが含まれている。このアラビノキシランは、不溶性食物繊維でありながら腸内で発酵する働きがあることがわかってきたことは、前回もお伝えした通りだ。大麦やオートミールだけでなく、小麦を含めて全粒穀物全般にメタボ改善効果があるととらえて、食べやすいものからトライするといいだろう。なお、アラビノキシランは、全粒小麦粉や、小麦ブランには豊富で、そのほか大麦やオーツ麦、また量は少ないものの玄米や発芽玄米にも含まれている。さて最後に、メタボ改善などの効果をしっかり得るために、どんな点に気をつければいいのかを聞いてみよう。青江教授は2つのコツがあるとアドバイスする。1. 毎日とり、長く続ける主食を全粒穀物に置き換えて、毎日、長い期間継続すること。「腸内環境を変えるには、コンスタントに腸内細菌のエサとなる食物繊維を送り届けることが大切です。1日1回が習慣化しやすいのならまずはそこから始める。朝食でとるのを達成できたら、夕食にも取り入れてみる、というふうに回数を増やしていきましょう。1日2回の全粒穀物で、ヒト試験においても効果が得られています」(青江教授)。2. 多様な食材からとる1種類だけに偏らず、いろいろな種類の全粒穀物をとろう。「大麦のβ-グルカンは、大腸の真ん中あたりまでで発酵する一方、全粒粉や小麦ブランに含まれるアラビノキシランは、食物繊維が絡まり合っているため、長い大腸を通過するうちに発酵を受けやすい状態に変わり、大腸の奥のほうで発酵します。腸の入り口から奥まで、まんべんなく発酵が起こるように、多種類の全粒穀物をとりましょう」(青江教授)。血圧低下、大腸がんリスクを下げる働きも全粒穀物の健康効果は多岐に及ぶ。最新研究から高血圧の改善や大腸がんリスク低下も期待できることが見えてきた。高血圧は、心筋梗塞や脳卒中など突然死リスクを高くするが、その代表的な対策である減塩を継続するのは難しく、セルフケアではなかなか改善しにくいのが問題とされている。全粒穀物には、この高血圧のリスクを下げる可能性も見いだされてきている。高血圧を発症していない19~68歳の日本人男女944人を3年間追跡した研究からは、これを裏付ける結果が得られた。この研究では、対象者に食事アンケートを行い、全粒穀物の摂取量を評価したが、全粒穀物を「ときどき、またはいつも摂取する」グループは、「全く摂取しない」グループよりも高血圧の発症リスクが有意に低かった(*3)。この結果に対して青江教授は、「まだメカニズムは確認されていませんが、食物繊維をとることによって腸内の発酵が促されて産生される短鎖脂肪酸が、血圧調節を邪魔する腎臓の毒素を減らすのでは、と推測しています」と語る。さらに、全粒穀物の摂取量は日本人女性の死亡率1位、男性の死亡率3位である「大腸がん」リスクと関連が強いこともわかってきた。2019年に発表されたアメリカの研究(*4)において、全粒穀物の摂取量が少ない人では大腸がんリスクが高まる、と報告されたのだ(下グラフ)。この研究は、食事とがんリスクとの関連を評価したもので、数あるがんの中でも、食事の影響が最も大きいのは大腸がん(結腸・直腸がん)だった。そして、大腸がんのリスクの中で最も関連が深いのが「低全粒穀物」、つまり全粒穀物の摂取量が少ないことだとしている。*3 Nutrients. 2020 Mar 26;12(4):902.*4 JNCI Cancer Spectrum (2019) 3(2): pkz034全粒穀物摂取が少ないと大腸がんリスクが高くなる米国で成人の約8万人のがん症例をもとに食事とがんリスクの関連について評価した研究。グラフの横軸は症例数で、数字が大きいほど影響が大きいことを示す。全粒穀物の摂取が少ない、乳製品の摂取が少ない、加工肉の摂取が多い、野菜の摂取が少ない、果物の摂取が少ない、赤身肉(未加工)の摂取が多い、甘味飲料の摂取が多いの7つの食事要因で見たところ、大腸がんは最も食事因子との関連が強く、食事内容では、全粒穀物の摂取量が少ないとがん発症割合が高くなり、特に大腸がん(結腸と直腸)において大きい影響を示していた。次いで多かった食事因子は、乳製品の摂取量が少ないこと、加工肉の摂取量が多いことだった。(データ:JNCI Cancer Spectrum (2019) 3(2): pkz034)[画像のクリックで拡大表示]青江教授は、大腸がんリスクと全粒穀物の関連についてこう話す。「腸内細菌叢(さいきんそう)の乱れは、腸内細菌の種類の減少(多様性の低下)や有用菌の減少をもたらし、炎症性腸疾患や肥満症、動脈硬化、糖尿病、がんなどの病気リスクを高めることが報告されています。いっぽう、全粒穀物をとると、豊富に含まれる発酵性食物繊維をとることができ、腸内の発酵によって短鎖脂肪酸が産生されます。この短鎖脂肪酸が、腸内を有用菌のすみやすい環境に整えたり、腸粘膜バリアを保護したり、炎症を抑えるといった働きをすることに関わるのではないでしょうか」(青江教授)メタボ改善にも大腸がんリスク予防にも関わる短鎖脂肪酸を増やすには、全粒穀物をしっかりとることで腸内細菌叢を改善することが重要だ。メタボ改善や大腸がん予防を念頭に、ぜひ毎日とりたい全粒穀物。青江誠一郎(あおえ せいいちろう)さん大妻女子大学家政学部食物学科 教授葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。雪印乳業技術研究所を経て2003年に大妻女子大学家政学部助教授、2007年より現職。穀類、藻類の食物繊維がメタボリックシンドロームや消化管機能に及ぼす影響を研究する。
2022.02.27
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下記の記事は婦人公論.jp様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。最近転びやすくなった、階段を降りるとき心もとなく感じることがある……。いずれも足の力が衰えているサインです。年齢とともに落ちていく「歩く力」を守るために必要なこととは?(構成=浦上泰栄 イラスト=本田佳世)アキレス腱は足の健康の要年齢を重ねても自分の足で歩き続ける力を保つには、足の柔軟性と筋力、この両方を維持することが必要です。足の柔軟性で重要なのがアキレス腱。アキレス腱が柔らかければすねの骨が前側に倒れやすくなり、歩行もスムーズになります。若い頃、ヒールの高い靴をよく履いていた人はアキレス腱が硬かったり、短くなっていたりすることが多く、すねが10度以上前に倒れない人は要注意。「壁ドンアキレス腱伸ばし」を毎日行いましょう。いまは問題がない人も、将来のために日課にしてください。安定した歩行のために、足裏の筋肉が果たす役割も見逃せません。人は歩くとき、足の裏で地面をギュッとつかんで踏んばっています。このため、足裏の筋力が衰えると、転倒リスクが大幅に高まってしまうのです。また、足裏の筋肉が落ちると足のアーチが崩れやすくなり、その結果、さまざまな足の変形や病気を招くことに。足裏の筋力強化には「足首サッサ」と、「タオルギャザー」が有効です。長く歩き続けるために不可欠なのが、下半身の筋力です。なかでも、太ももを後方に振るときに使われる「大殿筋」と、アキレス腱につながっていて、つま先を伸ばすときに使う「ヒラメ筋」の筋力は、できるだけアップさせたいもの。「スクワット+ヒールレイズ」は、二つの筋を同時に鍛えることができます。基本の「壁ドンアキレス腱伸ばし」と、ほかのエクササイズを組み合わせて、毎日行いましょう。1ヵ月も続ければ、歩幅が大きくなり、歩くスピードが速くなるのを実感できるでしょう。最後に、歩く力を高める特効薬は、やはり歩くこと。足の変形を改善し足裏のアーチを整える効果があります。ストレッチや筋トレと並行しながら、ウォーキングにもぜひ取り組んでください。以前は、健康維持のためには1日1万歩歩くのが望ましいといわれていましたが、現在は1日8000歩くらいが理想的というデータも。数字にはこだわらず、気持ちよく動ける範囲で歩き続けてほしいと思います。〈アキレス腱の柔軟性を高める〉壁ドン アキレス腱伸ばし足の若さを保つ万能ストレッチ。アキレス腱が伸びると血流がアップするので、冷えやむくみに悩む人にもおすすめですすべての写真を見る壁に向かって立ち、両手を壁につける。両手のひじがちょうど伸ばせる程度の距離を保って左足を一歩後ろに下げる。つま先はまっすぐ前に向け、かかとが床から浮かないようにする少しずつ壁に体重をかけながら、右ひざをゆっくり曲げる。左足のアキレス腱が伸びていることを意識しながら、30~60秒キープ。反対側も同様に※左右とも3回ずつ行う〈土踏まずのアーチを整える〉足首サッサ足裏のアーチを支える筋肉にアプローチする筋トレ。床の拭き掃除をするイメージで行いましょう椅子に浅く腰掛け、両足はしっかり床につける足が床から浮かないよう注意しながら、つま先を少し外側に向ける小指とかかとは床につけたままで、親指側を少し浮かせる小指で床を拭くようなイメージで、足首を内側に回す ※左右10回ずつ、3セット行う〈裏側の筋力を高める〉タオルギャザー座ったままでできる足裏のトレーニング。つま先を握りこむ力がない人は、転倒防止のためにもぜひ実践をすべての写真を見る椅子に浅く腰掛け、床にタオルを広げる。右足の親指の腹の下がタオルの端にかかるようにかかとを床につけたまま、足の指でタオルをつかむ。指の付け根から曲げるのがポイントそのまま5本の指を使ってタオルを引き上げる。かかとが浮かないように注意して5本の指を勢いよくパッと開いてタオルを離す。5回行ったら反対側も同様に〈長く歩いても疲れない脚力を養う〉スクワット+ ヒールレイズ大殿筋とヒラメ筋を同時に鍛えるトレーニング。正しい姿勢を保てるよう、壁や椅子に手をつきながら、無理のない回数で行ってすべての写真を見る足を腰の幅に開き、壁に手をつく(またはしっかりした椅子の背をつかむ)足の裏を床につけたまま、3秒かけてしゃがんでお尻をまっすぐ下に落とす(ひざが90度に曲がるくらいまで)3秒かけて元の姿勢に戻し、さらにそのままかかとを上げて1~2秒キープかかとをおろす ※10回行う菊池守下北沢病院院長大阪大学医学部卒業。米国ジョージタウン大学創傷治癒センターに留学し、足病医学に出合う。帰国後、佐賀大学医学部附属病院を経て、現職。
2022.02.27
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。退職した瞬間に、ぱったり交流が途絶える「友達」よく高齢者向けに「ソロ社会」をテーマとした講演会を実施した際、特に男性の高齢者からこんな質問を多くいただきます。写真=iStock.com/Dean Mitchell※写真はイメージです「会社を辞めてから友達がいなくなった。どうすればいいか?」この質問は、まず、前提の認識が違っていると思います。「友達がいなくなった」というのは、元は「友達がいた」という前提です。しかし、こうした質問をされる方は大抵「そもそも友達なんて元からいなかったのに、それに気づいていない」場合が多いのです。彼らのいう友達とは、あくまで会社の同僚や上司・部下という「自分の周りにいた人」の事を指していて、決して友達ではありません。もちろん、会社の中で友達をもつ人もいるでしょう。頻繁に飲みに行ったり、休日にゴルフに行ったり、場合によっては、家族ぐるみで海水浴や旅行に行く間柄かもしれません。しかし、そのほとんどが会社を退職した瞬間に、ぱったり交流が途絶えてしまいます。会社といういわゆるひとつの「囲いのあるコミュニティ」の中に互いに所属していたからこそ、たまたま行動を共にしただけであり、その囲いがなくなってしまえば、疎遠になるのも無理はありません。つまり、会社という「所属するコミュニティ」の中の人間関係の多くは、その所属がなくなると同時に消えてしまうものなのです。上司だから、評価権があるから誰かがいたに過ぎない残念ながら、退職された高齢男性の多くは、在職中にそのことに気付けません。それどころか、多くが仕事上の人間関係を友達と勘違いしています。特に、現役時代に一部上場の大企業に勤めて、家庭や趣味より仕事に邁進し、出世も果たし、そこそこの上席管理職を経験した人ほどその傾向があります。会社ではポストに応じて、人間関係が自動的に用意されます。上司がいて、部下がいて、同僚がいて、あるプロジェクトの仕掛り中には一緒に目標に向かって協働する仲間がいたはずです。一定以上のポストであれば、秘書的な役割を果たす人材も用意されていました。自ら努力せずとも、自分の周りは人であふれていたでしょう。それが当たり前でした。ランチには誰かがお供についてくれて、「飲みに行くぞ」といえば、大勢の部下が(内心は行きたくないと思っていても)ついてきてくれて「俺って人気ある~! 慕われてる~!」などと思っていなかったでしょうか。とんでもない勘違いです。上司だから、評価権があるから、人事権があるからついてきただけであって、決してあなたの人徳ではない。その証拠に、会社を辞めたとたん、誰も会社の人間から連絡など来ないでしょう。それは、かつてのあなたの上司にあなたもまったく連絡を取ろうとしなかったのと同じです。男性は50代から急激に「友達ゼロ」が増える会社の人間関係は、会社の内集団だからこその関係性にすぎず、会社を辞めれば、外集団の無関係な人間となります。以前勤めていた会社だからといって、IDカードもないのに入所することはできませんし、連絡をとったところで相手も迷惑するでしょう。何十年も勤め上げたところで、退職した瞬間に、それまでの人間関係はその瞬間に消滅するのです。ここまで読んで、「いやいや、俺は大丈夫。俺には会社以外の友達もたくさんいるから」と思っている今は現役の男性もいるかもしれません。しかし、その友達は、あなたが会社を辞めて、何の肩書もない状態になっても付き合ってくれるでしょうか? そもそもその人と知り合ったのは仕事絡みではなかったですか? 連絡をとってくる時は何かしら仕事の頼み事があったからではないですか? そもそも、知り合いと友達は違います。フェイスブックで、登録上友達数が何千人いたとしても、それは単に「いいね」をくれるだけの関係でしかありません。年代別に「友達がいない割合」を調査したものがあります。男性は、50代から急激に「友達ゼロ」が増えていきます。70歳以上でさらに友達の数が減るのは、数少ない友達自体が死んでしまうということもあるからですが、それでも男性は、加齢と所属の有無とともに、友達がゼロになっていくのです。【図表】友達が一人もいない割合日本の高齢男性特有の「妻唯一依存症」要するに、ほとんどの男性には、仕事を辞めた後も付き合いが続く人間関係はほぼいません。深刻なのは、現役の時に友達がいると錯覚している人ほど、仕事を辞めた途端に「俺は友達がいなかったんだ……」と突然思い知らされ、大きな絶望を感じてしまうことです。身も蓋もない言い方をすれば、退職後の高齢男性の末路は、友達もなく、趣味もなく、生きがいもなく、やることもなく、さりとて何かを始めようとする意欲もなく、ただ毎日テレビを見て過ごすだけの抜け殻となります。その最大の被害者が配偶者(妻)です。今まで会社だけに依存してきた夫が、退職後は今度は妻に依存するようになるからです。私はそれを高齢男性特有の「妻唯一依存症」と名付けています。そうなってしまった夫は、分かりやすくいえば幼児と一緒です。妻の買い物についていこうとするし、やたらと構ってもらおうとするし、ちょっとでも相手にしないと不機嫌になって怒り出したりします。唯一の依存先である妻に見捨てられることを極端に恐れるからです。妻もいい迷惑なので、何か理由をつけて夫を「家の外に追い出そう」としますが、夫は外に行ってもすることもないので、うだうだと居間に寝そべるだけです。元から何かしらの趣味を持ち、退職後はその趣味に没頭できる男性は別です。そういうものもなく、「趣味は仕事」という人生を送ってきた人こそ危険です。本当に何をしたらいいか分からないからです。人とのつながりに「生きがい」を感じにくい男性たち内閣府が行った「第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(対象は60歳以上男女)」によれば、「生きがいを感じるのはどのような時ですか?」という質問に対する回答の男女の差分を見ると、高齢男性がいかに仕事以外に何も楽しみや喜びを見いだせていないかが分かります。高齢男性が女性と比して生きがいを感じるのは、「趣味・スポーツ」を除けば、「仕事」や「勉強」「収入」といった、どちらかというと仕事的なものばかりです。【図表】日本の高齢者「生きがいを感じる時」男女差高齢男性と高齢女性の大きな違いは、女性のほうが人とのつながりに生きがいを感じている点です。「おしゃれ」をして「友達と交流」し「おいしい物を食べ」たり、「旅行」したりして、そうしたつながりから「他人からの感謝」を受けることが生きがいとなっています。そうした女性にとって日常的にできる当たり前のことが、高齢男性にはできないのです。写真=iStock.com/SeventyFour※写真はイメージですかといって、老後のために「友達を作りましょう」とか「趣味を持ちましょう」とかいう高齢者向け自己啓発セミナーの口車に乗せられてはいけません。まず、不可能だからです。正確には「作ろうと思って友達はできるものではない」し、「趣味にしようと思って始めたことが趣味に昇華することなんてない」からです。友達はいつの間にか友達になっているものだし、趣味はいつのまにか泥沼(いい意味で)にハマっているものです。仕事、旅、スナック…喋る機会を増やすことでは、友達もいない、趣味もない高齢男性はどうやって生きていけばいいのでしょう?それは「友達を作る」でも「趣味を作る」ことでもなく、1日数時間、週2~3日でもいいから仕事を続けることです。その仕事は1人黙々とやる仕事ではなく、倉庫の分別とか大勢の人間との共同作業であったほうがいい。なぜなら、それは金を得るための仕事ではなく、人と接する機会を得るための仕事だからです。そうでもしないと、丸一日誰とも口をきかずに終わる日々を過ごすことになるでしょう。他愛のない話でいいのです。人と喋ることはとても大事。「俺の話を聞いてくれる相手がいる」と感じられることはとても大切です。それはテキストのやりとりだけではカバーできない心の充足と脳の活性化を生みます。友達の数より会話の数を増やす。いつものメンバーだけではなく、時折知らない人との会話の機会があればなおよいでしょう。仕事がない場合でも、一人旅でもして見知らぬ土地の誰かと一言二言喋るだけでもいい。人見知りだからそんなことできないと思いますか? 自分の事を誰も知らない土地であれば、案外気楽に喋れるものです。準備運動したいなら、スナックでも行って、ママや他の客と会話してみてもいいでしょう。喋らせてくれて聞いてくれるのがサービスですから。そういう意味で、高齢男性のクレーマーが店頭や電話口でまくしたてるのは、こうした会話欲求を満たすはけ口として使われているのかもしれません。荒川 和久(あらかわ・かずひさ)コラムニスト・独身研究家ソロ社会論及び非婚化する独身生活者研究の第一人者として、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・Webメディアなどに多数出演。海外からも注目を集めている。
2022.02.26
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下記の記事は日経グッディ様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。玄米や大麦、全粒粉パン、全粒シリアルなどの全粒穀物には、年齢とともにリスクが高まる糖尿病や心疾患、がんなどの疾病を幅広く予防する力があることが最新研究によってわかってきた。全粒穀物の何が効果を示すのか。どのくらいの量を食べるとよいか、その力を得る方法を3回にわたって紹介していく。今回は、全粒穀物に世界が注目する理由について、穀物の機能性に詳しい大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授に聞く。全粒穀物とは、玄米や全粒粉、大麦やオーツ麦、ライ麦などの未精製の穀物のこと。(c)ghenadii boiko-123RF健康向上に役立つことが最新研究によって証明新型コロナ感染拡大が続き、あらためて健康維持の重要性を痛感している人も多いだろう。なるべく病気にかからず、スリムな体形も維持したい。ストレスに負けない心身でいたい――適度な運動や休息とともに、意識したいのが食生活。けれど、いろいろな情報があって数ある食材から何を選んだらよいのか、迷ってしまう。そんなときにお薦めできる注目食材が、全粒穀物だ。全粒穀物とは、玄米や全粒粉、大麦やオーツ麦、ライ麦などの未精製の穀物のこと。「食物繊維が多く、ヘルシー」というイメージがあるが、実際に健康向上に強力に働くことが最新研究によって証明された。2016年に、この全粒穀物や全粒穀物を使った食品を多く食べている人は心血管疾患などによる死亡リスクや総死亡率が下がり、糖尿病による死亡リスクは1日90gの全粒穀物で半分程度まで下がった、という研究が発表されたのだ(下のグラフ)。ちなみに糖尿病による死亡リスクを半減させた「90g」とは、3サービング分のことで、例えば1サービングは、全粒粉パン1切れ、全粒シリアル30gに相当する。45の研究を統合解析し、全粒穀物の摂取量と4つの病気(糖尿病、心血管疾患、がん、脳卒中)による死亡リスクの関係を調べた。1日210~225gまでのデータでは、全粒パン、全粒シリアル、小麦ふすまなどの全粒穀物の摂取量が多いと、心血管疾患などの死亡リスクも総死亡率も下がった。糖尿病による死亡リスクは1日90gの摂取で半分程度と大きく下がった(データ:BMJ.2016;353:I2716を基に編集部で作成)糖尿病は、30~40代から増加し始める生活習慣病で、厚生労働省の2019年「国民健康・栄養調査」では、「糖尿病が強く疑われる人」の割合は男性19.7%、女性10.8%(20歳以上)。年齢が高くなるほどその割合が高くなる。通常、糖尿病では「なるべく糖質の多い主食を減らす」ことが勧められるが、全粒穀物の場合、ある程度食べたほうがそのリスクが下がるというのだ。糖尿病と全粒穀物ではもう一つ注目したい研究成果がある。2019年に、2型糖尿病の発生率と食事要因の関係を53の研究をもとに分析した前向き観察研究結果が報告された。この研究では、2型糖尿病のリスクを減らす食品として「エビデンスレベル(科学的根拠の信頼性の度合い)が高い」とされたのは、あらゆる食品中で全粒穀物のみだった。全粒穀物の摂取量を1日30g増やすと13%、糖尿病リスクが低下していた。また、食品に含まれる成分別でみても、エビデンスレベルが高いとされたのは穀物から摂取する穀物繊維のみで、穀物繊維摂取量を10g増やすとリスクが25%低下した。ちなみに、同じ食物繊維でも、野菜と果物の食物繊維については、有意な相関なしとされている。また、同研究において2型糖尿病リスクを高める食品として、赤身肉(1日100g)、加工肉(1日50g)、ベーコン(1日2スライス)が「エビレンスレベルが高い」とされた(*1)。全粒穀物というあまりお金のかからない食材で、しかも1日30g~90gとることによって病気のリスクを下げられるというのはうれしいニュースだ。穀物や海藻などの機能性について長年研究を行ってきた大妻女子大学家政学部の青江誠一郎教授は、「全粒穀物に関する研究は、2010年ぐらいから一気に加速し始め、現在もその勢いが止まることがありません。米国では心血管疾患予防、オーストラリアでは大腸がん予防、という死亡率を高める病気の予防対策として研究がさかんになりました。ここ数年、しっかりとしたエビデンスがそろい始めているのは素晴らしいことだと思っています」と言う。食物繊維、抗酸化物質が削られずたっぷり残るそれにしても、全粒穀物でこのように幅広く疾患リスクが抑制されるのは、どうしてだろう。「その要因として多くを占めるのは、豊富に含まれる食物繊維の力でしょう。これに加え、外皮に含まれるポリフェノール類などの抗酸化物質、亜鉛やマグネシウムなどのミネラルも、まんべんなくとることができる。しかも、主食だからコンスタントにとれるということが、総合的に効いていると考えています」(青江教授)。ここで、全粒穀物(Whole grain cereal)についておさらいしよう。全粒穀物とは、外皮や胚芽をまるごと食することができる穀物のこと。白米や白パンでは、精白することによって外皮や胚芽を取り除くため、これらに含まれる食物繊維やポリフェノール、ミネラルなどの栄養成分が削り取られ、失われてしまう(図)。「でも、玄米はボソボソして苦手」という人は、食品売り場に行ってみよう。米食でいうと玄米、発芽玄米、大麦(*2)、それに「五穀米」などとしてパッケージされている黒米、赤米、そば、きび、あわ、ひえなども全粒穀物だ。パン食なら、小麦の外皮や胚乳ごと粉にした全粒粉パン、外皮のふすまを含むブランパン、ライ麦パン。シリアルでは、オールブランや玄米シリアル、オーツ麦(オートミール)など。味も食感もさまざまな全粒穀物があり、幅広い選択肢があることを実感できるだろう。*2 麦ご飯用の大麦は、外皮が除かれているため厳密には全粒穀物ではないが、食物繊維量は全粒大麦とほぼ同じであることから同等に扱える。全粒穀物には精製されると失われる成分が残っている全粒穀物の効能のカギを握るのが、豊富な食物繊維だ(下表)。 精白された米と比べると、その含有量の違いが一目でわかる。全粒穀物には食物繊維が豊富(データ:日本調理科学会誌 Vol.49,No.5,2016,日本食品標準成分表2015年版(7訂))食物繊維の量が多いわけでなく、全粒穀物の食物繊維はその「質の良さ」に注目したい。食物繊維は、その性質から「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」に分けられる。不溶性は水に溶けず、水を吸ってふくらみ、お通じのかさとなったり腸の動きを促して便秘改善に働く。いっぽう、水溶性は水に溶けてねばねばと粘性を持つ。野菜ではゴボウやチコリ、海藻類など、限られた食材にしか含まれない水溶性食物繊維だが、大麦やオーツ麦には水溶性食物繊維「β-グルカン」が豊富。「β-グルカンは、食物繊維の中でも別格の働きを持ちます」(青江教授)。「β-グルカンは、一緒にとった食品と混じり合いながら胃や小腸をゆっくりと通過します。このため、胃で膨らんで満腹感を高める、糖や脂質の吸収スピードを緩めて血糖値の急上昇を抑えたり、血中コレステロールを下げるといった働きが確認されています」(青江教授)。詳しくは第2回で解説してもらおう。これまで、全粒穀物の機能性は、大きく2つに分けられて捉えられてきた。●全粒小麦に代表される不溶性食物繊維=腸の疾患の予防や改善●大麦やオーツ麦に多い水溶性食物繊維=脂質異常症や糖尿病の予防や改善、腸内有用菌のエサとなって腸内環境を整えるところが近年、「不溶性といえばお通じ改善、腸のお掃除やさん」という認識をアップデートしなければならない発見があったという。「腸内発酵の解析技術の進化によって、全粒小麦に豊富な不溶性食物繊維であるアラビノキシランが腸内で溶出して水溶性の性質を発揮し、腸内でさかんに発酵することがわかってきました。つまり、不溶性食物繊維も、その種類によっては腸内で発酵するのです。これからは、“発酵性食物繊維”という切り口で食物繊維を見ていく必要があると考えています」(青江教授)。「腸内で腸内の有用菌がこれら発酵性食物繊維をエサにすると、短鎖脂肪酸という物質を生み出します。この短鎖脂肪酸には、満腹感を高めて肥満を抑制する、血糖値の急上昇を抑える、血圧を下げる、免疫機能に好影響を与えるなど、幅広い機能が見いだされてきています」(青江先生)。冒頭の研究のように、全粒穀物の摂取量が多いほどさまざまな病気を予防できるのは、腸内で発酵が起こることが関係していると考えられる。全粒穀物のエビデンスを踏まえ、米国では毎日最低3サービング分(90g)の全粒穀物食品を摂取し、1日に食べる穀物の少なくとも半分以上を全粒穀物にすることを食事ガイドラインで推奨(2015-2020年版 米国人のための食事ガイドライン)。また、オーストラリア、カナダ、英国を含めたEU諸国、シンガポールなどの各国も、全粒穀物食の摂取を積極的に推奨している。日本人は“穀物離れ”で食物繊維摂取量が減っている一方、日本ではどうだろう。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、「食物繊維摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率または死亡率との関連が検討されており、メタ・アナリシスによって数多くの疾患と有意な負の関連が報告されているまれな栄養素である」という食物繊維に関する記述が入っているものの、「何から食物繊維をとるべきかということにも、全粒穀物についても、一言も触れられていません。国は白米の摂取量を増やすことに重きを置いていますが、大麦を混ぜたご飯や玄米を主食にすれば健康になります、という指針を示した方が白米離れにもブレーキがかかるのでは、と思っています」(青江教授)。日本人が全粒穀物をもっと取る必要があるのは、そもそも食物繊維の摂取量が1955年の20g以上から現在の約14gへと一気に減少していることと深く関係している(下のグラフ)。しかも、グラフをみると、穀類からの食物繊維摂取量が約7割も大幅に減少し、食物繊維摂取の減少に大きく影響を与えていることが読み取れる。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で定められている食物繊維目標量は、「1日あたり成人男性21g以上、成人女性18g以上」。現状の食物繊維摂取量では、「不足」の状態にあることがわかる。白米ごはんには100gに0.6gの食物繊維しか入っていない。「たとえ、食物繊維を少ししか含まない白米だといっても、日々、コンスタントにとる主食であるために、全体量への影響が大きくなるのです。米離れとともに、大麦などの雑穀が食べられなくなったことも原因のひとつです。日本人の食物繊維の補給源は、穀類が重要です。まず、しっかり主食をとること。さらに、主食を全粒穀物に変えると、楽に、簡単に、効率的に食物繊維の量摂取量を増やすことができます」(青江教授)。穀物由来の食物繊維量が大幅に減っている1955年と2019年の日本人の食物繊維摂取量を比較すると、戦後間もない1955年と比較して全体量では約3割も食物繊維摂取量が減っている。なかでも、穀物由来の食物繊維が約7割も減少している(データ:日本食物繊維研究会誌;1,3012,1997,厚生労働省国民健康・栄養調査報告)でも、糖質のとりすぎは良くないんでしょう? という疑問はもちろん正解だ。糖質をとりすぎると、血糖値が急上昇し、糖を処理するためにすい臓から分泌されるインスリンの働きによって余った糖が内臓脂肪としてためこまれ、肥満につながる。また、糖尿病の発症要因になったり、皮膚のたるみやしわ、動脈硬化を引き起こす「糖化」の一因にもなる。糖質の過剰なとりすぎはメタボや老化を加速させる。「しかし、それは砂糖を多く含む菓子や清涼飲料水のとりすぎ、白米や白パンといった精製された穀物のとりすぎに問題があるということです。安易に主食の摂取量を減らしてしまうと、食物繊維不足に拍車がかかります。さらに、穀物由来のでんぷんや食物繊維を腸で待ち構えている乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌のエサの枯渇を招き、私たちの健康を支えている腸内細菌叢にも悪影響が及ぶのです」(青江教授)。私たちの健康を下支えする全粒穀物についてしっかり見直していきたい。第2回では、巣ごもり生活で気になる「メタボ」を改善する働きについて、さらに見ていこう。青江誠一郎(あおえ せいいちろう)さん大妻女子大学家政学部食物学科 教授989年、千葉大学大学院自然科学研究科博士課程修了。雪印乳業技術研究所を経て2003年に大妻女子大学家政学部助教授、2007年より現職。穀類、藻類の食物繊維がメタボリックシンドロームや消化管機能に及ぼす影響を研究する。
2022.02.26
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下記の記事はアルファポリス様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。「相手の言動の裏を勘ぐってしまう」「自分の感情を素直に伝えられない」「人間関係をうまく築けない」……そういった悩みの原因の大半は、自分の外側ではなく、自分の内側にあります。心の中で迷子になっている本当の気持ち(=未処理の感情)が引き起こしているのです。等身大の自分を受け入れて、ラクに生きたいと思いませんか? 本連載では、アルファポリスより好評発売中の『そろそろ『わたし』でいきていく ~今日から自分を好きになるために~』(城ノ石ゆかり)から一部を抜粋し、そのヒントをお届けしていきます。相手を信頼できない人の、思考のクセ彼はいつも親切だけど、肚の中では何を考えているかわからない。彼女は友達のフリをして、実は私を出し抜こうと機会を狙っているのでは……。そんな思考が頭をよぎってしまうのだとしたら、目の前の相手を信用して、裏切られるような人生をきっと誰よりも恐れているのでしょう。たとえば浮気をする人の本当に悲しいところは、人は誰でも浮気をするかもしれないという認知を持ってしまうところにあります。独身時代は散々浮気をしてきたけれど、結婚後は浮気を必死でガマンしているような夫は、妻の行動を厳しく束縛しがちな傾向があります。自分が浮気をしていたから、浮気しない人が世の中にいるなんて信じられません。だから妻をいつも自分のコントロール下に置いて安心したいのです。結果どうなるかというと、束縛に疲れた妻が他の男性に救いを求める――つまり「妻が浮気をするかも」という夫の疑念が、そのまま現実になってしまいます。人の潜在意識の力を甘く見てはいけません。潜在意識は現実化するからです。いい人間関係は、人を信じることからはじまる顕在意識レベルでどんなに笑顔や丁寧な言葉を心がけていても、「人は信用できない」という潜在意識のもとに人付き合いすると、人はいずれ離れていきます。なぜなら他人の言動の裏を勘ぐったり、敵視したりしている本当の自分が、必ず表面上のどこかににじみ出るからです。そして人と摩擦が起こるたび、「やっぱり人は信用できない」という認知を強固にしていきます。バカ正直に生きるのは怖いといったって、世の中の大半の人はあなたをだまして傷つけようなんて考えていないはずです。たまたま裏切られたり嫌われたりすることはあるかもしれませんが、それだってどんな人の人生にも普通に起こることです。これを踏まえて、それでも良き人間関係を築きたいと願うのならば、道はひとつ。昔の青春ドラマの主題歌にもあったように、人を信じられないと嘆くのではなく、信じて傷つく方を選ぶ覚悟を決めるしかありません。あなたは人付き合いが下手なわけでも、人から裏切られない方法を知らないわけでもなくて、単に人を信じた経験に乏しいだけです。コミュニケーション術や心理テクニックなどを学ぶ以前に、まず目の前の人を信じるという生き方を、自分自身で選択する必要があるでしょう。他人を目の前にしたとき、「ほら、人は信用できないぞ」といってくる自分の中の自分に気づけたなら、人付き合いのパターンはきっと前向きに変化していきます。素の自分を出せないのは、なぜ?なんの仕事をしていてどんな家に住んでいるとか、パートナーの職業や年齢とか、そういった情報に踏み込まれるのはもちろん、自分の気持ちや意見などを他人に察せられたくないと感じることはありませんか?オープンにする必要がないから公表しないのと、見せたくないから隠すのとでは、意味がだいぶ違います。抵抗感があるということは、見せたくないという感情があるのでしょう。特に、自分に関することで何かを突っ込んで聞かれたとき、反射的にイラッとしてしまう心の反応があるなら要注意です。人は何かを必死に隠そうとしている人の心の動きは敏感に察するもので、その違和感は人間関係に不調和を起こすきっかけにもなり得ます。「自分はダメだ」という思い込みではそもそも、自分をオープンにしないことで得ているメリットは、一体なんなのでしょうか? そこを深掘りしてみる必要があると思います。他者に自分のことをオープンにできないと悩む人に共通する原因は、恐れです。自分について打ち明けたところで、相手に批判されたり共感してもらえなかったりすることをひどく恐れている可能性があるのです。でも普通なら、共感もされないけれど批判もされないという中間の感覚があるものです。「私にはわからないけれど、そういうのもあるんだね」といった感覚です。自分をオープンにできない人の中では、その中間の感覚が抜け落ちているかもしれません。その人にとっての他者は、自分を「ありか、なしか」で真っ二つにジャッジする存在なのかもしれません。だから本人もまた、他者を「ありか、なしか」の二元論でジャッジしている可能性が高いです。他者から批判されたり、恥をかいたりしなくて済むというメリットがあるから、自分をオープンにしません。なぜなら自分はダメな存在、恥ずかしい存在だという思い込みがどこかにあるからです。自分を抑えず、自然体で人と付き合う大半は、幼少期に大人の何気ない言動で植え付けられた恥の思い込みが影響しています。恥の思い込みは、大人になるほどその人を生き辛くしていきます。学校の成績、仕事の成績、友人やパートナー、持っているお金の額や社会的地位。人の価値を表面的にはかる指標は、大人になるほど増えていくからです。しかしこの思い込みは、たまたまこれまでの人生で採用してきたただの思考のクセであって、自分という存在の価値とはまったく別物です。では、ここでもう一度自分に問いを投げてみましょう。自分をオープンにしないで得てきたメリットは、実際に人生を豊かにしているでしょうか? つながりたい人とつながり、やりたいことをやるために効果的だったでしょうか?何か孤独感のような寂しい感情で心がうずいているのなら、新たな生き方を選択することは可能だと思います。人は容姿や能力といった表面的な情報で他者を愛するわけではありません。恥の思い込みを乗り越え、誰かを本気で愛したとき、きっとそのことが腑に落ちると思います。城ノ石ゆかり1968年熊本生まれ。株式会社ngoro-ngoro代表取締役社長。日本心理学会 認定心理士。「4ness コーピング」主宰。
2022.02.26
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下記の記事は日経グッディ様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。最近、心不全が増えている。心不全とはどういう病気なのか、なぜ増えているのか。また、心不全にならないためには、どうしたらよいのか。また、心臓や脳などの血管系の病気「循環器病」は、心不全、心筋梗塞、脳卒中など様々あり、よく違いが分からないという人も少なくないだろう。2021年12月16日に実施された日本抗加齢医学会WEBメディアセミナーでの東京大学大学院医学系研究科循環器内科特任准教授原田睦生さんの講演を基に、心臓病などの現状と、心不全の予防法について紹介しよう。写真はイメージ=123RF脳卒中が減って平均寿命が延びた1965年に男性で67.74歳だった平均寿命が、2020年には81.64歳まで延びてきた。平均寿命が劇的に延びた理由の一つは、脳卒中の減少だ(下図)。1965年に脳卒中は日本人の死亡原因のトップだったが、時代とともに大きく減っている。令和2年(2020) 人口動態統計月報年計(概数)の概況「主な死因別にみた死亡率(人口 10 万対)の年次推移」[画像のクリックで拡大表示]脳卒中が減った大きな要因に、フラミンガム研究の成果がある。フラミンガム研究とは、アメリカのフラミンガム市の住民5209人を対象に1948年に始まった大規模な疫学調査だ。登録した住民の健康状態を長期にわたって追跡することで、様々な病気の原因が解明されてきた。1960年代には高血圧が脳卒中や狭心症の原因になると分かり、高血圧を治療するようになった。塩分摂取量が多いと高血圧になることも分かり、塩分摂取量を減らすようにした。「1960年代の日本人(70歳以上)の収縮期血圧は平均166mmHgだったのが、最近では141mmHgに下がっています。また、1960年代には日本人の塩分摂取量は1日約17gでしたが、今は約10gまで減りました」と原田さんは説明する。喫煙も脳卒中の原因になることが、フラミンガム研究で分かった。心筋梗塞は2.95倍、脳卒中は1.61倍など、喫煙は循環器病のリスクを増やす。「1965年ごろには、喫煙はかっこいいというイメージがありました。40代男性の87%が喫煙者でしたが、いまは36%に減っています。塩分摂取を控えて日本人の血圧が下がり、喫煙者も減ったことで、脳卒中が減ったわけです」(原田さん)平均寿命が延びると心臓病とがんが増える脳卒中の代わりに増えているのが、がんと心臓病だ。「がんや心臓病は、65歳以上の高齢者に多い病気です。1965年には平均寿命が男性で約68歳だったので、多くの人が、がんや心臓病になる前に脳卒中で亡くなっていました。つまり、長生きする人が増えた結果、がんや心臓病が増えたわけです。特に75歳以上では、死亡原因の1位は心臓病をはじめとする循環器病です」と原田さんは説明する。長生きする人が増えたのは素晴らしいが、そのために新たな問題が発生してきた。ひとつは、健康寿命と平均寿命の差が大きく開いていることだ。2016年のデータでは、男性で8.84年、女性で12.35年と約10年の開きがある。せっかく長生きをしても、人生の最終段階で介護が必要になるなど、健康とは言えない期間が存在するのだ。その原因の一つが、心不全や脳卒中などの循環器病だ。心不全は、心臓がくたびれてしまって機能不全になった状態をいう(詳しくは「後編」で説明)。心不全は悪くなったあと治療である程度回復するが、その後悪化と回復を繰り返し、だんだん弱っていく(下図)。厚生労働省「循環器病対策の現状等について」などを基に編集部で作成もう一つ問題なのは、入退院を繰り返したりすると、医療費が大幅に増えることだ。本人や家族がつらいだけでなく、多額の医療費が社会的な負担になる。これらの問題を解決するには、多くの人ができるだけ健康長寿でいられるようにするしかない。循環器病と脳卒中の関係は?ここで、循環器病について少し説明しておこう。循環器は全身に血液などを循環させる臓器で、代表例は心臓と血管だ。循環器病とは、この循環器の病気を指す。循環器病には、弁膜症、心筋症、先天性心疾患、不整脈など心臓の病気、心臓へ血液を送る冠動脈が詰まる虚血性心疾患、肺塞栓症、肺高血圧症、大動脈瘤、大動脈解離、末梢動脈疾患などの血管の病気、脳の血管に問題が起こる脳卒中などがある。脳卒中は、脳の血管が詰まったり破れたりするもので、循環器病の一種だ。血管が詰まる脳梗塞、脳の内部の血管が破れる脳出血、脳の表面のくも膜下腔に出血が起こるくも膜下出血がある。[画像のクリックで拡大表示]ただ、脳卒中は脳神経内科や脳神経外科で扱うため、循環器内科の守備範囲は心臓と、それから脳を除いた血管となる。そのため、循環器内科の専門医が循環器病の話をするときは、脳卒中を除いていることが多い。紛らわしいが、循環器病について統計データなどを見るときには、脳卒中を含むかどうかを確認しよう。同じ血管の病気なので、脳卒中と他の循環器病は深く関わっている。例えば、血管の病気の原因は主に動脈硬化だから、動脈硬化を防げば脳卒中も他の循環器病も予防できる。心臓の病気が原因で脳梗塞が起こることもある。不整脈の一種の心房細動は、心房が正常に拍動しないで、けいれんするように細かく震えるものだ。心房細動が起こると、心房の中で血液の流れが悪くなり、血の塊ができる。この塊が血管を通って移動し、脳の血管に詰まると脳梗塞になる。脳卒中の約4分の3は脳梗塞で、脳梗塞の約3割はこの心房細動など心臓の疾患が原因だ。心不全どうすれば予防できる? リスク高める食べ物、最適な運動は負荷の蓄積が、心不全を招く循環器病の中で、心臓がくたびれてしまって機能不全になった状態を心不全という。現在は医療が進歩し、腎機能を補う人工透析のように臓器の機能を補えるケースもあるものの、心臓と脳は取り替えがきかない。人工心臓は一応あるが、高齢者につけることは難しい。健康に寿命をまっとうするには、心臓と脳が機能不全に陥らないように予防することが何よりも大切だ。心不全の原因としては、心筋梗塞、狭心症、心筋症、弁膜症、高血圧、先天性心疾患、不整脈などがある。つまり心不全は、それ単独で起こる病気ではない。様々な循環器病にかかり、それらが進行してしまった結果の行き着く先が心不全なのだ。心臓に継続した負荷がかかり続けることで、心不全は起こる。例えば、高血圧を放置していると、10年以上かけて心不全になっていく。ということは、高血圧を治療して心臓に負荷がかからないようにすれば、心不全を予防できる。心不全になる前の予防が大切2017年に「急性・慢性心不全診療ガイドライン」が改訂された。改訂ガイドラインで注目したいのは、心不全のステージ分類だ。ステージAからステージDまでの4段階の分類のうち、「心不全の発症」はステージBとステージCの間にある。つまり、高血圧など前段階の症状はあっても心不全がまだ発症していない段階を、心不全ステージAとして、心不全の範囲に含めたのだ。「心不全では予防がいかに大切かを多くの人に伝えるために、このような分類ができました。それぞれのステージに入らないように努力すれば、心不全を予防できます。心不全への道は一方通行で後戻りはできませんが、立ち止まることはできます。特に重要なのは、まだ高血圧、糖尿病、動脈硬化などの疾患が出ていなくて、ステージAにも達していない健康な状態での予防です。服薬も検査も手術も一切必要ないこの時期を逃してしまうのは、とてももったいないことです」と原田さんは強調する。では、どうすれば心不全を予防できるのだろうか。どうすれば心不全を予防できる?「心不全を予防するには、まず食事に注意しましょう。循環器病の予防によいものを食べるようにして、リスクが高くなるものはできるだけ避けましょう」と原田さんは言う。循環器病を予防するために食べた方がよいものと、減らした方がよいものは、次の通りだ。「食事内容に配慮しながら、摂取カロリーと消費カロリーの帳尻を合わせて体重管理を心がけてください。塩分摂取量は1日6g以下が目標です。現在、日本人はだいたい10gくらいはとっているので、6gはけっこう難しいのですが」と原田さんは説明する。お酒を飲み過ぎないことも、循環器病の予防には大切だ。飲酒の適量は、男性では純アルコールに換算して1日20g、女性はその半量10gだ。循環器病の予防には、適度な運動も効果がある。ウォーキングなど中くらいの強度の運動なら1週間に150分、ジョギングなど高強度の運動なら、75分以上体を動かそう。循環器病予防に最適な運動・中くらいの強度の運動(150分/週)…速歩のウォーキング、自転車こぎ、動きのあるヨガ、水泳など・高強度の運動(75分/週)…ジョギング/ランニング、速いスピードの自転車こぎ、テニスのシングルス、競泳などジョギングなら、1日15分を週休2日で行えば、循環器病の予防には十分だ。「運動すればするほどいいのかというと、残念ながら、これ以上運動しても循環器病のリスクは変わりません。でも、運動は循環器病予防のためだけにやるものではないので、やりたい人はもっとやっていただいてかまいません」と原田さん。「ただし、もし隠れた心臓病などがあったとき、運動の負荷が強すぎると死亡リスクが上がってしまうかもしれません。自分がどの程度運動してもよいかは、主治医と相談してください」循環器病のリスクを下げるには、睡眠も重要だ。睡眠不足は、肥満から生活習慣病の原因になるなどして、循環器病の原因になる。もし血圧が高ければ、下げる努力をしよう。血圧を上げないことは、循環器病の予防にはとても重要だ。高血圧治療ガイドラインでは2019年の改訂から、正常高値血圧(収縮期120~129mmHgかつ拡張期80mmHg未満)と高値血圧(収縮期130~139mmHgかつ/または拡張期80~89mmHg)という領域が加わった。「いままでは収縮期血圧が140mmHg以上になると治療を開始していましたが、130mmHg台の人は、ほとんどが140mmHg台へと移行していきます。そのため、130mmHg台の人を重点的に治療して、それ以上上がらないようにしようということです」と原田さんは説明する。ちなみに脳梗塞の原因となる心房細動の原因は、加齢、高血圧、飲酒、喫煙、睡眠不足であることが分かっている。循環器病の一般的な予防法は、心房細動の予防にもなる。これからの循環器病対策は変わるいま、循環器病対策のために、国の制度が大きく変わろうとしている。2018年に循環器病対策基本法が成立し、翌年施行された。現在は、国の循環器病対策推進基本計画に基づいて、都道府県循環器病対策推進計画の作成が進められているところだ。脳卒中を含む循環器病について、国が率先して予防や治療の対策を進めていこうというのだ。「2007年にがん対策基本法が施行されてから、がんの診療が大きく変わりました。法の施行により、循環器病の診療がこれから大きく変わっていくはずです」と原田さんは言う。循環器病対策基本法の成立に合わせて、2021年5月に日本循環器協会が設立された。循環器病患者、医療者、企業の三者を連携し、医師の関与が難しい健康な人への予防・啓発などの活動が期待される。「脳卒中や心不全はがんと同じくらい危険ですが、予防ができる病気です。ぜひこのチャンスを逃さずに、予防を心がけてください」と原田さんは強調する。将来の健康長寿を満喫するためには、まだ高血圧などの症状が出ていない健康な人こそ、対策が重要になる。今日から、心不全の予防を始めよう。(図版制作:増田真一)原田睦生(はらだ むつお)さん東京大学大学院医学系研究科循環器内科講座 先端臨床医学開発講座 特任准教授。循環器内科専門医。日本循環器協会 評議員大学医学部卒業。山形大学医学部附属病院第一内科、石巻赤十字病院循環器内科、千葉大学医学部循環病態医科学などを経て、心臓幹細胞の研究のため2009年に英国インペリアルカレッジロンドンに留学。2018年より現職。
2022.02.25
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下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。SNSが誕生した時期に思春期を迎え、SNSの隆盛とともに青春時代を過ごし、そして就職して大人になった、いわゆる「ゆとり世代」。彼らにとって、ネット上で誰かから常に見られている、常に評価されているということは「常識」である。それ故、この世代にとって、「承認欲求」というのは極めて厄介な大問題であるという。それは日本だけの現象ではない。海外でもやはり、フェイスブックやインスタグラムで飾った自分を表現することに明け暮れ、そのプレッシャーから病んでしまっている若者が増殖しているという。初の著書である『私の居場所が見つからない。』(ダイヤモンド社)で承認欲求との8年に及ぶ闘いを描いた川代紗生さんもその一人だ。「承認欲求」とは果たして何なのか? 現代社会に蠢く新たな病について考察する。テレビの突撃取材を受ける二人組「あの~すいません、〇〇テレビですけど」最近、テレビをよく見る。一時期テレビを見ない生活をしていた反動なのか、とくに面白く感じるのだ。バラエティからニュースまで、髪を乾かしているときやご飯を食べるときに見ているのだけれど、一際目につくのは、ワイドショーなんかでよくやっている街頭インタビューだ。面白いというか、なんか、何かが気になるんだよな。「ちょっとお話いいですか?」いつも見かけるたびに何かがひっかかって、街頭インタビューのコーナーになるとついじっと観察してしまうのだ。テレビ番組の突撃インタビューというのは、だいたい二人組に声をかける。カップルのときもあれば、親子のときもあるし、友達同士のときもある。その中でも私がつい見入ってしまうのは、女友達二人組に声をかけている場合だ。「どうしてこの店に来たんですか?」「今日のファッションのポイントは?」「この辺で面白い店知りませんか?」「お仕事何されてるんですか?」街頭インタビューというのは実にありとあらゆる質問をするものだけれど、やはり女二人組にはそれらしいことを聞いたりもする。彼氏いるんですか? 今日は何しに来たんですか? これからどこに行くんですか? 云々。そういうのを見るたび、私は何か変な違和感を覚えてしまうのだ。なんだろう。何かがひっかかっているような……納得いかないような。自分の過去にも、抱いたことがあるような、何か、変な感じ。それが何なんだろうと、ずっともやもやしていたのだけれど、その正体に気がついたのは深夜にやっていたとある街頭インタビューを見たときのことだ。ブランドショップに買い物に来ている若い女の子二人組に声をかけていた。たぶん、高校生か、卒業して大学に入ったばかりくらいだろうか。「え~どうだろうわかんないきゃははは」楽しそうに笑う画面の向こうの女の子。それを見て笑うワイプの人たち。かわいい。かわいらしい。とてもかわいい。かわいい……。あっ! そうだ! これだ!そうなのだ。気がついてしまった。とても残酷な現実。気がつきたくはなかったけれど、どうしても目を向けざるを得ない現実……。そう、二人並んでいる女子のうちの、インタビューを受けている方がかわいいという現実である!「え~と、今日は買い物にきました」「彼氏ですかぁ~? いないです~」「え~もうちょっとどうしようっ」そう言って照れくさそうに笑いながら、隣にいる友達の肩を軽く叩く女の子は、かわいい。とてもかわいい。別の言い方をすれば、華があるのだ。目がキラキラしていて、ちょっと恥ずかしそうにして、「テレビに話しかけられて困っている女の子」として完璧な振る舞いをする。でも少し自信があるそぶり。きっと今までにもそういう経験をしたことがあるのだろう。ああいう子たちというのはだいたい、人に話しかけられることに慣れている。きっと街を歩いていてナンパされたりすることもよくあるのだろう。その照れくさそうにしている受け答えの仕方もなんだかとてもこなれている。でも、隣にいるインタビューされていない友達のほうはどうだ。私は画面の端っこに半分見切れている女の子を見やる。うーん、たしかにインタビューされている子のほうが華がある。うん。これは現実だ。彼女はどんな思いで隣に立っているのだろうか。私はさらによく彼女の気持ちを読み取ろうと、インタビューされていない子の顔を凝視した。傷ついているのだろうか? 若干笑顔が引きつっている? 悲しそう? 切なそう? どうだ? この顔はどんな気持ちだ?声をかけられるのはいつも彼女のほうだった彼女の顔が一瞬、大きく映った。その顔を見て私はハッとした。いや、違う。これは違う。彼女は悲しいわけでも怒っているわけでもない。これは……この顔は……。走馬灯のように、その顔を見たときのことが蘇ってくる。そうだ。あれは中学生の頃だったか。当時一番親しかった友人は、とても華がある子だった。目立つ。学年の人気者。明るくて、ちょっと気分屋なところがあるけれど、それでも愛される。先生からもよくいじられる存在。見た目もかわいい。男にもモテる。そういう子だった。私はその子ととても仲が良くて、学校帰りにも休みの日にもよく渋谷に遊びに行った。カラオケや買い物をしたり、ゲーセンでプリクラを撮ったりして遊んだ。彼女は本当に魅力的な子だった。小悪魔的、と言ってもいいのかもしれない。ちょっとわがままで、無意識に人を振り回すようなところがある。でもそんなところも、人を惹きつける要素の一つに過ぎなかった。私も彼女に惹かれていた人間の一人で、話していてとても楽しかったし、人として大好きだった。彼女といつも一緒にいた。人気者の彼女と一番仲が良いという事実がなんだか誇らしかった面もあった。彼女と私のペアは最強なんじゃないかと思っていた。街を二人で歩いているとよく声をかけられたし、「どっかみんなで遊ぼうよ」と男二人組に声をかけられるなんてこともあった。私は彼女と仲良くなったことによって自分も華のある人間になれたような気がして、嬉しかった。でも、あるとき突然気がついた。話しかけてくる人たちがいつも、私のことを見ていないことに。私一人だと、誰にも声をかけられないことに。「ねえねえ、これからどこに行くんですか?」そうやって声をかけられるのはあくまでも私ではなく彼女のほうだった。いつも人が来るのは彼女の側だった。それは私がツンとした顔立ちで、声をかけづらいからなのだと言い聞かせていたけれど、違うのだ。彼らの視界に、私ははじめから入っていなかったのだ。彼らが声をかけたかったのは「彼女」であって、その隣にいるのは誰でもよかったのだ。私でも、別に他の友達でもよかった。私は、「女二人組」でいることによって話しかけやすくするという要素の一つに過ぎなかった。話しかけられているのは、「私たち二人」ではなく、「彼女一人」なのだ。もちろん、そのことに気がついてから、私は動揺した。なんで彼女ばかりが声をかけられるのだと思った。理不尽じゃないか。失礼じゃないか。女二人いるのなら、両方に話しかけるべきだ。一方を無視するなんておかしい。平等に接するべきだと思って憤慨した。でも、そんなことが繰り返し繰り返し起こるうちに、私の中に諦めの感情が芽生え始めていた。これは、仕方のないことなのだ、と。世の中には華がある人間と、華がない人間がいて、そのどちらかに一度分類されてしまったら、もう一つのカテゴリーに移ることはできないんだと、気がついたのだ。でも、理解してからは、早かった。「そういうもの」だとわかっていれば、「目立たない存在」として落ち着いていられる。彼女のように目立つわけではないけれど、実はきちんと状況を把握できている人間。そう、叶姉妹で言えば叶美香さん的存在。彼女がエキセントリックな恭子さんだとすれば、私は落ち着いて姉を支える堅実な美香なのよ。そう自分に言い聞かせていた。それで精神を保っていた。そして、テレビ画面の向こうの彼女も、そんな顔をしていた。「大丈夫、いつものことよ」と、彼女は自分自身に、言い聞かせているような気がした。悟った顔をしていたのだ。何かに焦っていたり、イライラしていたり、動揺していたりする様子はない。「別に大丈夫」、そんな落ち着いた顔。そう、まさに叶美香さん的顔だ。ああ、きっとこの子も、いつもこの目立つ女の子と一緒にいて、こういう現象には慣れきっているのだろうなと私は思った。なんということだ。この子は健気じゃないか。私はあの頃の自分を思い出し、彼女と重ね合わせて涙が出そうになった。「選ばれない人間」にこそ真の魅力があると、思いたいねえ、どう思いますか。この現象、どう思いますか。いや、華がある人間は羨ましいし、私はそうなりたいと、今でも思う。黙っていても目立って、何もしなくてもなぜか人がよってくるような、そういう人間に私はなりたい。でもこうやって自分の立場をきちんとわきまえて、「私は大丈夫」と本当は目立ちたい気持ちをこらえつつ、それでも大人な対応をしている、おそらく弱冠十八歳程度の女の子のことを、とても愛おしいと思うんです。ねえ、そうは思いませんか。どう見てもたったの十七とか、十八とかそこらだ。まだまだ目立ちたくて、何か素晴らしい存在になりたいとか思っている年齢だ。それなのに、自然と「自分は目立たない」と理解して、それで振る舞い方をきちんと考えている若い女の子。ああ、切ない。なんて切ないんだろう。私はその子のその表情にいたく共感してしまったのだ。私は言いたい。街頭インタビューで声をかけられない女の子にこそ、真の魅力があるのだと。目立たず、立場をわきまえ、じっと息をひそめる賢さを持っているのだと。ぱっとしないどころか地味だし、一見普通の女の子にしか見えないけれど、そういう「選ばれないほうの人間」として苦労してきた人間だからこそ醸し出すことのできる、その人独特の魅力があるのだと、私は言いたい。だから、声をかけてほしい。華がないほうの人間にこそ、声をかけてほしい。華があるほうの子は、何もしなくても声をかけられるのだから。陰でひっそりと咲く選ばれない女の存在を、知ってほしい。知ってほしい。たのむ。どうか気がついてくれ。じゃないとなんだか私が報われないんだと、よくわからない不特定多数の誰かに主張したくなった、夜だった。川代紗生(かわしろ・さき)1992年、東京都生まれ。早稲田大学国際教養学部卒。2014年からWEB天狼院書店で書き始めたブログ「川代ノート」が人気を得る。「福岡天狼院」店長時代にレシピを考案したカフェメニュー「元彼が好きだったバターチキンカレー」がヒットし、天狼院書店の看板メニューに。
2022.02.25
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。食事で免疫力を上げるにはどうすればいいのか。管理栄養士の森由香子氏は、「納豆には砂糖を加えるといい。血液をサラサラにする納豆キナーゼが増え、免疫細胞が体内に行き届きやすくなる」という——。※本稿は、森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)の一部を再編集したものです。写真=iStock.com/KPS※写真はイメージです全ての画像を見る(3枚)ごはんのたんぱく質をしっかり摂取する方法新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るっている今、私たちは自身で免疫力低下を防止し、健康を維持していかなければなりません。私たちは、呼吸をして酸素を使ってエネルギーをつくり、食べ物から栄養を吸収してからだの材料としたり、機能調整を行ったりしています。からだを構成する細胞は日々生まれ変わっているので、毎日、食べ物から必要なすべての栄養素を補給しなければなりません。近年の研究により、食事からのたんぱく質補給が不足すると免疫細胞の働きが悪くなることや、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEが免疫細胞を活性化することなど、食品に含まれる特定の成分が、感染防止にかかわる免疫系と深くかかわっていることが明らかになってきました。食こそ最強の感染症対策といえるでしょう。さて、日本人の食卓に欠かせない主食といえば、やっぱりごはん。ごはんには、私たちのエネルギー源となる炭水化物だけではなく、たんぱく質をはじめ、亜鉛、鉄、カルシウムといったミネラル、ビタミンB6、食物繊維なども含まれています。「ごはんは太るから」と敬遠する人が増えていますが、免疫力アップに欠かせないたんぱく質も含まれているので、ぜひ食べていただきたいと思います。そもそもたんぱく質は、私たちの筋肉や臓器を構成するとても重要な栄養素です。しかも、免疫系の細胞や酵素の構成材料であり、免疫機能の基盤をつくるために欠かせません。体内のたんぱく質が減ると、風邪などの感染症にかかりやすくなり、さらに不足すると免疫機能に障害が起き、最悪の場合は死に至ることがわかっています。そこで、せっかくなら、ごはんに含まれているたんぱく質をしっかり摂取したいわけですが、そのためにはちょっとした工夫が必要です。ごはんを炊くとき、豆乳を加えるのです。その理由を、順を追って説明しておきましょう。たんぱく質のはたらきのレベルは「第一制限アミノ酸」にかかっているたんぱく質は、20種類のアミノ酸で構成されています。そのうち、バリン、ロイシンなど9種類のアミノ酸は、体内でつくることができないため、私たちは食事からとる必要があります。これが、「必須アミノ酸」です。そして、食品に含まれる必須アミノ酸の含有比率を評価する数値に、「アミノ酸スコア」というものがあります。これは、食材に含まれているたんぱく質の“質”を評価するもので、その食材に、9つの必須アミノ酸がそれぞれどれくらいずつ含まれているかを数値で表しています。このとき、数値が100以下のものを「制限アミノ酸」といい、中でももっとも量が低いアミノ酸を「第一制限アミノ酸」といいます。少し難しい話になってしまいましたが、食事でたんぱく質をしっかりとるためには、第一制限アミノ酸のことを意識しておくことが、とても重要です。なぜなら、たんぱく質のはたらきのレベルは、第一制限アミノ酸によって決まってくるからです。たとえば、9つの必須アミノ酸のうち8つが100以上あったとしても、1つでも50のものがあれば、そのアミノ酸は50のはたらきしかできないのです。ごはん(精白米)に関していうと、9つの必須アミノ酸のうち、8つは100を超えているのですが、リジンだけが61で、100を切っています。リジンが足りていないおかげで、普通に炊いた場合、ごはんのたんぱく質は61のレベルまでしかはたらいてくれないのです。豆乳がごはんの第一制限アミノ酸を補うそこで登場する頼もしい助っ人が、リジンが豊富な、豆乳です。豆乳を加えることでごはんに不足している部分を補えば、第一制限アミノ酸の足かせがはずれて、たんぱく質のはたらきがぐんと上がるわけです。炊き方は、お米2合に対して、水100㎖、成分無調整豆乳を260~270㎖くらいを加えて水加減を調整し、お好みでほんの少し塩を加えて普通に炊くだけです。水加減と火加減の具合によって、ほんのりおこげができ、うまみもアップするので味の面からもおすすめです。同じ理由で、リジンを豊富に含んでいる枝豆をお米に加えて炊き上げた枝豆ごはんにするのもよいでしょう。おつまみに用意した枝豆が余っていれば、炊き上がったごはんに混ぜるだけでもOKです。いつものごはんにひと工夫することでたんぱく質のはたらきをアップさせて、病気にかかりにくいからだをつくっていきましょう。納豆は常温で20分おいてから食べる「からだに良い食品」といって、多くの人が思い浮かべる食材といえば、納豆ではないでしょうか。確かに納豆には、免疫機能を正常に保つのに欠かせないビタミンB群やビタミンK、強い抗酸化力を持つビタミンE、カルシウム、亜鉛、鉄、銅など、からだに良い成分が豊富に含まれています。免疫力を上げるためにはもちろんのこと、若さを保ち、病気になりにくいからだを保つためにも、毎日でも食べたい食品といえるでしょう。写真=iStock.com/taa22※写真はイメージですそんな納豆を食べるときに気を付けたいのが、冷蔵庫から出すタイミングです。栄養成分に影響があるとはとても思えないかもしれませんが、実は、納豆を食べるときは、常温になっているかどうかが、意外と重要なのです。納豆には、先に上げたビタミンなどの栄養素のほかにも、納豆キナーゼという特有の酵素が含まれています。納豆キナーゼは納豆菌が納豆を発酵させるときにできるもので、血栓を分解し、血液をサラサラにする成分として知られています。体中の血流が良くなると、免疫細胞が体内のすみずみにいきわたり、免疫力アップにつながります。もちろん、動脈硬化をはじめ、脳梗塞や心臓血管系の疾患も予防します。実は、この納豆キナーゼのはたらきがもっとも高まる温度が、40度くらいといわれています。冷蔵されている間に納豆は5度くらいになり冬眠状態に陥っているので、冷蔵庫から出してすぐだと、酵素がしっかりはたらくことができません。冷蔵庫から出して常温に戻しておくことで、ようやく納豆キナーゼが本来の力を発揮できるわけです。ちなみに、納豆キナーゼは比較的熱に弱いので、炊き立ての熱々のごはんにのせてしまうと、はたらきも落ちてしまいます。ごはんの粗熱がとれてから納豆をのせるか、納豆はそのまま口に運ぶとよいでしょう。「納豆に砂糖」で免疫力がアップする納豆は、商品に付いているタレやからし、もしくはしょうゆを入れ、好みでネギを少々加えて食べるのがもっともポピュラーな食べ方でしょう。でも、納豆に砂糖を入れて食べる地域があるのをご存じでしょうか。実は、新潟や北海道など、比較的北の地域では、納豆にしょうゆと砂糖を入れて普通に食べる人がいるのです。食べたことがない人からすると、ちょっと味の想像がつかないかもしれませんが、実はなかなかおいしいもので、ごはんのおかずとしても違和感なくいただけます。しかも驚くことに、この食べ方は、免疫力アップの観点からも、おすすめできる食べ方なのです。砂糖は納豆菌の活動を活発にさせる実は、納豆に砂糖を加えて混ぜると、納豆キナーゼが増えることがわかっています。理由は、砂糖が納豆菌のエサになるから。森由香子『免疫力は食事が9割』(青春新書)砂糖を加えることで納豆菌の活動が活発になり、結果的に納豆キナーゼが増えるのです。実際の食べ方としては、新潟では、納豆1パックに砂糖を小さじ2~3杯入れるようですが、量は好みで加減してください。続いてしょうゆを少し入れ、箸でよく混ぜます。砂糖を加えて混ぜると、納豆のネバネバがいっそう増え、独特の匂いも抑えられます。食べてみると、思ったほど甘みが強いわけではありません。この食べ方が北海道や東北地方など、寒い地域を中心に広まっているのには、理由があります。納豆菌はあまり温度が低いと活動が鈍くなるため、発酵が進みづらい上に、混ぜてもネバネバが出づらくなります。砂糖を加えるとしっかり粘りが出るので、自然と寒い地域でこの食べ方が広まっていったのでしょう。森 由香子(もり・ゆかこ)管理栄養士日本抗加齢医学会指導士。東京農業大学農学部栄養学科卒業。大妻女子大学大学院(人間文化研究科人間生活科学専攻)修士課程修了。2005年より、東京・千代田区のクリニックにて、入院・外来患者の血液検査値の改善にともなう栄養指導、食事記録の栄養分析、ダイエット指導などに従事している。
2022.02.25
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下記の記事はNEWSポストセブン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。秋篠宮家の長男・悠仁さまが、4月から国立の筑波大学附属高校(筑附高)に進学されると宮内庁が発表した。悠仁さまは現在通われているお水女子大学附属中学校と筑附高との間の提携校進学制度に出願し、2月13日に同校で行われた学力検査を受けた結果、合格したという。皇室といえば学習院に通うもの──そういった印象が強かったが、秋篠宮家では眞子さまと佳子さまがいずれも国際基督教大学(ICU)に進学。悠仁さまも学習院には通っていない。2006年、悠仁さまが誕生されたことで、秋篠宮さまは自身も皇位継承者でありながら、同時に「将来の天皇の父」という重責を担われることになる。「幼い頃から将来の天皇として育てられた天皇陛下とは異なり、弟宮の秋篠宮さまは、比較的奔放に育てられてきました。その秋篠宮さまが、どのような方針で悠仁さまの教育を考えられているのか。その試金石が、2010年の幼稚園選びでした」(宮内庁関係者)注目を集める中で秋篠宮ご夫妻が選ばれたのは、学習院ではなくお茶の水幼稚園だった。「紀子さまがお茶の水女子大を拠点として研究活動を行っていたことから、女性研究者を支援するために同大学が作った特別入園制度を使ったとされています。悠仁さまが“適用第一号”でした」(前出・宮内庁関係者)前述したように、眞子さんは2010年にICUへ。佳子さまも、2015年に姉の後を追われた。お子さま方が全員、別の学校へ──秋篠宮家の「学習院離脱」が成った瞬間だった。学習院関係者は、秋篠宮家と学習院の同窓生の交流についてこう証言する。「秋篠宮ご夫妻に向けて同窓会などの案内を差し上げても、返事をいただけなくて……。最近はもう案内を送ることさえしていません。学習院女子高等科OGの会員誌にも、折に触れて黒田清子さん(紀宮さま)や三笠宮家の彬子さまといった女性皇族が寄稿されてきましたが、紀子さま、眞子さん、佳子さまは申し訳程度に短いお歌を寄せられることはあっても、寄稿という形は実現せず……。こちらからお伺いを立てることも徐々になくなりました」2018年には、関係を修復不可能にする出来事が起こる。「当時の学習院の院長は、悠仁さまが中学進学を控えられていたということもあり、折に触れて近況報告のために秋篠宮邸を訪れていました。ところが、秋篠宮家の最側近から、“今後、報告は控えてほしい”と告げられたというのです。当然、ご夫妻の意向が反映されたものでしょう。秋篠宮家は学習院をないがしろにしたといっても過言ではない。言うなれば“断絶宣言”だったわけです」(別の宮内庁関係者)悠仁さまは、戦後初の、生涯学習院で学ばれたことのない天皇となるかもしれない。前出の別の宮内庁関係者は懸念を示す。「学習院に子供を通わせる家庭の多くは、“皇族がいるもの”という認識をしています。子供たちも特に特別扱いはせず、分け隔てなく接する。そんな環境で幼い頃から学習院に通い続けられたことで、上皇陛下も天皇陛下も、生涯のご学友を得られました。時に励まし合い、時に厳しい言葉で諭してくれる存在こそが、真のご学友というものでしょう。信頼関係は、長い時間を共有することで醸成される場合もあります。筑附高は自由な校風で、優秀な生徒が多く集まると聞いていますが、はたして悠仁さまが本心を打ち明けられる相手が見つかるかどうか……。秋篠宮さまが悠仁さまから学習院を遠ざけたことが、思わぬ形で皇室の将来に影響しなければいいのですが」悠仁さまは、間もなく義務教育の課程を終えられる。ご夫妻は、暗闘によって作り上げた“脱・学習院”という教育方針の成果をどう捉えられているのだろうか。
2022.02.25
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下記の記事は日経グッディ様のホームページよりお借りして紹介します。(コピー)です。食べ物が変色したり、金属がサビたりするのは、大気中の酸素に触れて起こる「酸化」が原因だ。この酸化が体に与える負荷、「酸化ストレス」は、老化やさまざまな病気の原因となり、脳では認知症の一因となることが明らかになっている。つまり、脳内の酸化ストレスを減らせば、認知症を予防できる可能性があるということだ。本特集では、酸化ストレスが認知症発症の重要なファクターであると説く国立精神・神経医療研究センター病院長の阿部康二さんに、認知症予防に役立つ「脳の抗酸化対策」について聞いていく。『「脳の酸化ストレス」を抑え、認知症を遠ざける』 特集の内容アルツハイマー病の発症に、脳内の「酸化ストレス」が関わっている超高齢社会を迎えた今、いかに健康寿命を延ばすかが多くの人の一大テーマとなっている。そのために「できれば避けたい」と願う病気の1つが、アルツハイマー病をはじめとする「認知症」だろう。高齢化が進むにつれて認知症患者は急増しており、2025年にはその数は700万人になると推定されている。アルツハイマー病は、「アミロイドβ(ベータ)」というたんぱく質が脳に蓄積して発症する。近年はアミロイドβを除去する薬も開発され話題を集めているが(この薬については後述します)、アミロイドβの蓄積を抑える予防薬はまだ存在しない。だが、近年の研究から、運動や食生活、睡眠などの生活習慣が認知症の発症リスクに影響することが明らかになっている。後で詳しく解説するが、認知症は高齢になって突然発症する病気ではなく、それ以前の20~30年という長いスパンで進むことも分かってきた。当然、そこには生活習慣が大きく関係してくる。そこで、いま注目を集めているのが本特集のテーマである「酸化」だ。国立精神・神経医療研究センター病院長の阿部康二さんは、「いま注目されている認知症対策の1つが、過度な『酸化』によって脳の細胞の炎症を起こす『酸化ストレス』を抑えることです」と話す。酸化とは、身近な例でいえば釘がサビたり、リンゴが茶色く変色したりする現象のこと。そして酸化を引き起こす活性酸素という物質が増えすぎ、体に悪影響を及ぼすことを「酸化ストレス」と呼ぶ。阿部さんの研究グループは、脳が酸化ストレスを受けることでアミロイドβの蓄積が活発化し、アルツハイマー病が進むことを解明。逆に、酸化ストレスを抑えればアミロイドβが減る可能性があり、アルツハイマー病を抑制することも不可能ではないと説く。釘がサビたり、リンゴが変色したり…。この酸化と同じような現象が脳で起こると、認知症発症の一因となる。(写真はイメージ=123RF)脳は多くのエネルギーを必要とする「小さな巨人」そもそも「酸化」とは何か。「酸化」がなぜアルツハイマー病につながるのか。気になる脳と酸化の関係を知るために、まず脳の特徴について見ておこう。阿部さん曰く、脳には酸化が起こりやすい性質があるという。脳は重さ約1.3~1.5kgと、体重が60kgならその重量の約2%にすぎない小さな臓器だ。それほど小さいにもかかわらず、脳は多くのエネルギーを必要としている。「脳には心臓が拍出する血流量の15%が流れていて、体全体の酸素消費量の20%に当たる酸素を使っています。エネルギーのもとになるブドウ糖に関しては、肝臓が産生するうちの80~90%も消費します(下図)。脳は小さな体で莫大なエネルギーを必要とする、『小さな巨人』なのです」(阿部さん)脳は小さい割に多くのエネルギーを必要としている(阿部さん作成の図を一部改変)脳は全身に指令を出すという重責を担うため、多くのエネルギーを使うというのはうなずける。中でも今回注目したいのが、脳は大量の酸素を消費することだ。「脳ではたくさんの酸素が使われるために酸化が起こりやすく、それが認知症発症の一因であることが明らかになっています。かといって脳への酸素供給量が減れば酸欠状態になってしまうので、酸素は“もろ刃の剣” なのです」と阿部さんは話す。認知症を疑わせる症状が出るころには、すでに後戻りできないところまで進んでいることもある。だが、阿部さんによると、そこまで進行する前なら予防するチャンスは十分あるという。「アルツハイマー病は脳内で何らかの変化が生じてから発症するまでに25年かかり、発症後は10年ほどで亡くなると考えられています(詳しくは後述します)。言い換えれば、発症するまでの25年間、認知症予防のチャンスがあるわけです。その25年の間に、脳の『サビ』の原因であり、アミロイドβの蓄積などとも大きな関係のある『酸化ストレス』を少しでも抑えれば、認知症の発症リスクを低減し、健康寿命を延ばすことにつながると考えられます」(阿部さん)
2022.02.25
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。老年医学の専門家である和田秀樹氏は「40歳こそ老化の始まり。この年代から“足りないものを足す健康法”へのシフトが重要だ」と説く。このたび上梓したセブン‐イレブン限定書籍『40歳から一気に老化する人、しない人』より、その一部を特別公開する──。※本稿は、和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。脳・前頭葉の萎縮は40代から始まる人間の脳(大脳皮質)の表面積はおよそ新聞1ページの面積(2200cm2)に相当し、そのうち脳の各部に占める面積は広い順に前頭葉41%、側頭葉21%、頭頂葉21%、後頭葉17%となっています。あらゆる動物の中で、前頭葉がこれほど発達しているのは人間以外にありません。人間が中年期を迎えてから経験する脳の変化でもっとも重要なのは、この前頭葉の萎縮いしゅくが40代から始まるということです。読者の方が脳についてイメージする場合、おそらく医学の教科書に載っている脳の解説図のような、頭蓋骨の内側に隙間なく詰め込まれている状態を思い描くのではないかと思います。でも、実はこうした「きれいな」脳の状態を、とくに努力もせずに維持できるのは30代が限界です。早ければ40歳を過ぎたころから頭蓋骨と脳の間にちょっとずつ隙間ができはじめ、その隙間は、歳をとればとるほど大きくなっていくものなのです。前頭葉の萎縮が肉眼で確認できるほどに進むと、30代までのその人と比べ、意欲や創造性といった要素が明らかに乏しくなっていきます。40代以降の最大の問題「感情の老化」動脈硬化も、早い人は40代から始まっています。骨粗鬆症こつそしょうしょうに悩む女性も40代からめっきり多くなります。とはいえ通常40代は、成人の体としての実用機能はあまり衰えません。問題はむしろ、心や感情から老け始める人が出てくる点でしょう。いつの間にか新しいことに食指が動かなくなる。「面倒くさい」と思うことが増えてくる。さまざまなことに対してガツガツしなくなる……。「まあ、いいや症候群」が表れやすくなるのです。そうした消極的生活によって感情が老化してしまうと、追いかけるように脳や体の老化をも進めてしまうことになるのです。だからこそ、感情の老化は恐ろしい。気がついたらすぐに食い止める方策をとらなくてはなりません。「感情の老化」の原因3つ感情の老化の原因は、おおむね次の3つが考えられます。原因1:前頭葉の老化思考や意欲、感情、理性など、人間らしい振る舞いを司っているのが前頭葉です。前頭葉が活発に機能していると、アクティブで若々しいのです。ところが残念なことに、脳の中でも早くから萎縮が始まり、神経細胞の減少が起きるのが前頭葉。老化をもたらす大きな要因になっています。原因2:動脈硬化年齢とともに多かれ少なかれ、血管の壁にはコレステロールや中性脂肪などが沈着して厚くなっていきます。そうして血管が狭くなり、血液が流れにくくなった状態が動脈硬化です。動脈硬化を起こしている人の脳は、自発性の低下や、泣き出すと止まらなくなるなどの「感情失禁」が起こりやすくなります。自分から行動することが少なくなり、感情に振り回されやすくなります。さらに悪化すると、脳の血管が詰まって脳血管性の認知症へつながる前段階になってしまうのです。動脈硬化の危険因子として判明しているのが、糖尿病とタバコです。さらに高血圧、コレステロール、肥満、ストレス、性差(男性)、加齢などが挙げられます。動脈硬化はいわゆる生活習慣病として、狭心症や心筋梗塞などの心臓病、脳卒中のような脳血管障害のリスクを高めるとよくいわれますが、感情の老化を引き起こすことも強調しておきたいと思います。中高年こそ肉を食べるべき理由原因3:セロトニンの減少脳内の神経伝達物質であるセロトニンは、ほかの神経伝達物質のドーパミン(喜び、快楽に関係)や、ノルアドレナリン(恐れ、驚きに関係)などの情報をコントロールして、精神を安定させています。若い人でもセロトニンが一時的に減ると、うつ症状が出ることがあります。意欲低下、イライラ、体中がどこかしら痛いなどと訴えるなど、さまざまな不調が現われるのです。これは多くの高齢者が診察室で訴える不調と同じです。歳をとると当たり前のことのように思われがちですが、実はこれも、高齢化にともなうセロトニン減少による、感情の老化現象の1つだと考えられます。セロトニンを作る材料の1つは、肉類に含まれるトリプトファンという必須アミノ酸です。この点で中高年以降こそ肉類は食べたほうがいいといえるのです。ルーティンを避ける前頭葉の萎縮を遅らせるための手っ取り早い方法として挙げたいのは、日常生活におけるルーティンをなるべく避けることです。たとえば仕事からの帰り道、会社から自宅までの道順を時々変えて、普段はあまり通らないルートをあえて選んで家まで帰ってみる。ランチもいつも決まった店に行くのではなく、話題のお店や行ったことのないお店を試したり、新規開店のお店にも挑戦してみる。自分で料理をする人なら、これまであまり扱ったことのない外国食材を使ったメニューに挑戦してみることなどもいいでしょう。もう少し知的な前頭葉の鍛え方としては、自分の思想とは真逆の、相容れない意見の記事や本をあえて読んでみるのも、脳への刺激という点ではお勧めです。自分とは相容れない意見やイデオロギーに触れたとき、人はついつい斜に構えてしまうものですが、それでも真正面から向き合ってみれば、意外な発見のひとつやふたつはあるかもしれません。仮にそうした発見が何もなかったとしても、「それは違うぞ」などと心の中で「ツッコミ」を入れながら読むことになりますから、前頭葉にはとてもいい刺激になる、というわけです。写真=iStock.com/bowie15※写真はイメージです「決めつけ」型の思考から抜け出そうこうした姿勢を、読書にかぎらず日常全般で実践すれば、より効果的な前頭葉の訓練になるでしょう。具体的には、「目的Aを達成するにはBという方法しかない」「自分のこの考え方が絶対に正しい」といった「決めつけ」型の思考から抜け出し、世の中には自分が「正しい」と思っている方法や理論以外にも「いい方法」や「いい意見」が存在する可能性を常に意識する。そうした思考パターンを日常生活の基本にするのです。たとえば、職場の若手社員などから出される意見に対しても、頭ごなしに否定するのではなく、「もしかしたら、彼らの言うことが“よりよい”ものである可能性もあるな」というくらいに受け止めてみるのです。「あれもこれも思考」のすすめこれはなにも、若者の言うことを全面的に認めましょうという話ではありません。自分では「自分の意見が正しい」と思っていても、それが「100%正しい」と決めつけるのをやめよう、ということです。相手にも何%か何十%かの正しさがあり、双方の正しさがせめぎ合う中で議論が成立しているんだ、という思考パターンを意識する。あるいは、どちらかが正しくてどちらかが間違っているのではなく、両者が正しい可能性があることを留保する。そして、1つの問いに対して複数の回答が用意できるようになる。私はこれを、「あれもこれも思考」と呼んでいますが、こうした姿勢は、前頭葉を老化させないためのいい習慣です。40代から要注意「性ホルモンの減少」実は40代に起こる身体的な変化のうち、おそらくその人の生活にもっとも幅広い面で影響を及ぼすのは「性ホルモン分泌量の減少」。つまり更年期障害が始まることです。更年期障害といえば、かつては女性特有のものというイメージが強かったのですが、2000年代に入って漫画家の故・はらたいらさんが著書などで自身の闘病体験を語ってくれたおかげで、男性にも更年期障害があることが広く知られるようになってきました。ひと昔前までは男性ホルモンといえば、性欲との関係で語られることがほとんどでした。男性ホルモンが減ったほうがいわゆる「枯れた」老人になれるとか、おとなしくなるとか、あるいは「浮気をしなくなるから結構だ」とさえ思われてきました。ところが近年、男性ホルモンの研究が急激に進んだことで、男性ホルモンの減少にともない、性欲だけでなく、意欲全般が落ちることがわかってきました。男性が中高年になると人づき合いが面倒になって家に閉じこもりがちになり、「濡れ落ち葉」などと揶揄やゆされるのは、まさしくこの男性ホルモンの減少によって起きていることなのです。人づき合いが億劫になるのは黄信号このように、人づき合いが億劫おっくうになるのも、男性ホルモンの減少による重要な症状です。女性は更年期以降男性ホルモンが増えるので、意欲的になり、これまでより人づき合いが豊かになることも珍しくありません。高齢者の団体旅行に女性が多いことなどは、こうした理由もあるのかもしれません。さらには男性ホルモンの分泌が減ってくると、判断力や記憶力などが鈍ってくることもわかってきています。40代からは60代以降に実現する「夢」を持つ終身雇用・年功序列制度が一般的だった時代、中間管理職に求められる資質は部下の話をよく聞き、上役の意向とのバランスを取って調整する能力でした。こうした役割は、自己主張を押し殺せるほうがうまくいきますし、そのため、かつては男性ホルモンの分泌の減退気味な人が中間管理職になることに目立った問題は生じませんでした。和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社)ところが、競争型のリーダーシップが求められるようになったいまの時代の40代は、男性ホルモンやセロトニンの分泌量が減ることのリスクを被りやすくなっています。意欲や活力が低下し、適応能力が落ちている人に対しては、会社側がセカンドキャリア研修に留まらず、早期退職や転職などを示唆してくるケースもあるでしょう。あるいは、定年後に起業を考えている読者の方であれば、何をどのように扱って起業するかというアイデアだけは40代のうちに温めておくのがよいでしょう。知人の定年後の起業に詳しいコンサルタントによると、定年間際や定年後にようやく起業について考えるという人は、だいたい失敗するそうです。60代ともなれば、前頭葉が司る創造性や意欲は40代のころよりかなり落ちているでしょう。40代のうちから、夢を持つだけでなく、具体的に準備を進めていなかった人は、定年後からのスタートでは想像もしていなかったような苦しい思いをすることにもなりかねないのです。和田 秀樹(わだ・ひでき)国際医療福祉大学大学院教授アンチエイジングとエグゼクティブカウンセリングに特化した「和田秀樹 こころと体のクリニック」院長。1960年6月7日生まれ。東京大学医学部卒業。『受験は要領』(現在はPHPで文庫化)や『公立・私立中堅校から東大に入る本』(大和書房)ほか著書多数。
2022.02.24
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。不登校やひきこもりになった子供に、親はどう接したらいいのか。高校2年生で不登校になり、30代までひきこもりを経験した林恭子さんは「ネガティブな言葉は、傷口に塩を塗り込むようなもの。同世代と比べたり、プレッシャーを与えたりするのは逆効果だ」という――。※本稿は、林恭子『ひきこもりの真実 就労より自立より大切なこと』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。家族が「心地の良い環境を整えてあげる」ことが必要ひきこもり状態というのは、「ガソリンの入っていない車のようなもの」だとも思う。ガソリンの入っていない車を動かそうと外から働きかけてもそれは無理というものだ。車にガソリンが必要であるように、人もまずはエネルギーを貯める必要がある。そのエネルギーとは図表1にあるように、何かしら当事者にとってポジティブな出来事や声かけであり、「安心感」や「理解」「共感」などである。ただし、これは一滴ずつしか溜まらずとても時間がかかる。出所=林恭子『ひきこもりの真実 就労より自立より大切なこと』(ちくま新書)ところが、図表2のように当事者にとってネガティブな出来事や声掛けがあるとせっかく溜まったエネルギーは一気にゼロになる。また一からやり直しである。出所=林恭子『ひきこもりの真実 就労より自立より大切なこと』(ちくま新書)私はこれを何度も繰り返しながら、なんとかいっぱいに溜まってあふれ出すようになったのが「生きてみよう」と思った三六歳のときだったと思う。家族にお願いしたいのは、一滴一滴溜めるための手助けをしてほしいということだ。そのためには、本人ができるだけ居心地よく、できることなら「楽しい」とか「うれしい」というポジティブな感情を持てるような、心地の良い環境を整えてあげることが必要だ。返事がなくてもあいさつは欠かさずに本人はありとあらゆる言葉ですでに自分を責めているので、傷口に塩を塗り込むようなことは必要ない。むしろ、それを消し去れるほどのプラスのメッセージを送ってほしい。「あなたには生きる価値があるし、誰よりもあなたを大切に思っている。あなたの人生を精一杯応援する」というメッセージを送り続け、エネルギーを溜める手助けをしてほしいと思う。また、関わり方としては、できるだけ普通に家族の一員として接することが大切だと思う。たとえ返事がなくても「おはよう」「○○に行ってくるね」などと声をかけたり、腫れ物に触るようにするのではなく、他の兄弟とできる限り同じように接してほしい。プレッシャーは脅しになる…親が口にしてはいけないNGワード声掛けのヒントとしてNGワードとOKワードも紹介したい。NGワードの一つは「○○ちゃん、就職したんだって」とか「△△くん結婚したらしいよ」など同世代と比べること。また、「これからどうするの?」「お父さん、もうすぐ定年なんだけど」「もううちにはお金がない」などプレッシャーをかけるような声掛けもNGだ。親にすれば少し背中を押して動いてもらおうという思いで出る言葉だろうが、これはプレッシャーというよりは脅しであり、本人をよりひきこもらせるには効果的だが前に進んでほしいと思うなら最悪の言葉かけである。また、「学校行かなくていいし、仕事がつらいならしばらく休めばいい。でも、せめて朝は起きよう。散歩くらいはしよう」というのもNGで、そんなことができるならとっくにやっている。好きなこと、趣味の話はOKではOKワードは何かというと、社会問題や話題になっている人の話、本人の好きなことや趣味についてなどだ。実はひきこもりの人は投票率が高いといわれることもあり、社会問題に関心がある人も多い。ニュースなどをよく読み世の中の動きに敏感であり、自分事として政策や福祉の在り方などに関心を持つとも考えられる。写真=iStock.com/artisteer※写真はイメージですまた、ゲームを一日中やっているようだったら教えてもらって一緒にやってみるとか、本人の好きなことについて聞いてみたり教えてもらったりするのもいい。スマートフォンやパソコンに詳しい当事者もいるので、習ってみるのも良いと思う。林恭子『ひきこもりの真実 就労より自立より大切なこと』(ちくま新書)口は利かないが釣りやドライブには親と一緒に行くという人もいる。一緒に過ごす時間を増やすのも、いつか話ができるようになるには大切なことだと思う。また、本人が家から、自室から出ない、口もきかないという場合、起きていることをそのまま理解してみてはどうだろうか。外に出ないということは家のほうが良く、外が嫌なわけだ。外に何かつらいこと、抵抗を感じることがあるのではないか。口をきかない場合、何かそうする理由があるはずで、以前に本人の気持ちをきちんと聴かずに否定したことはなかったか、いつも本人の希望とは違うことをしていないか、などと振り返ってみるのも良いのではないかと思う。「わかり合えない」は相手を理解するための最初の一歩親子はもっとも身近でありながら、ときにもっとも遠くなってしまう存在かもしれない。私も母とは「わかり合えない」と悟ったときに、ある一定の距離ができたことは否めない。だが、そのことで愛情がなくなるとか、関係が冷えるとかそういう感覚は一切なかった。むしろ「わかり合えない」とわかることは相手を理解しようとするための最初の一歩なのではないかと思う。もし「子どものことはなんでも自分が一番よくわかっている」と思っている親がいるとしたら、それはとても怖いことだと思う。子どもをわからない「他者」として認め、だからこそ理解したいと思ってくれたら、それが望ましい接し方ではないかと私は思う。林 恭子(はやし・きょうこ)ひきこもりUX会議代表理事高校2年生で不登校になり、以来30代まで断続的にひきこもって過ごす。2012年から当事者活動を開始。全国で「ひきこもり女子会」を主催する他、メディアや講演を通して、ひきこもりについて当事者の立場から伝えている。現在、ひきこもりUX会議代表理事。他、新ひきこもりについて考える会世話人、東京都ひきこもりに係る支援協議会委員等を歴任
2022.02.24
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下記の記事はビヨンドヘルス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。顔が赤く火照っていれば熱発。青白い顔は貧血。黒ずんでいると肝臓や腎臓疾患。身体の調子は顔に出る。といった話はよく聞く。そして現在、認知機能の低下も顔に出るという研究結果が世間を驚かせている。夫婦二人三脚で同分野の研究を続ける亀山祐美・征史の両氏に話を聞いた。数年前に亡くなった筆者の母は晩年アルツハイマーを患った。当時の写真を見ると、元気なころと比べ「なんとなく違う顔」をしているのがわかる。どこがどう違うのか、はっきり言葉で説明するのは難しいのだが──。感じたままを羅列すると「表情が乏しい」「黒目が濁っているように思える」「口角のあたりに力がなくなった」といったところか。同じことを姉も感じていたようで、「家族だからわかるんだろうね」と邪気なく笑ったりしたものだった。ところが赤の他人でも、いや人間ですらない者にも、この「なんとなく」が判別できるかもしれないという。東京大学医学部附属病院老年病科の亀山祐美特任講師が説明する。「私自身、20年くらい物忘れ外来などを担当しています。長く診ている患者さんが何人もいます。年を経て顔は変わっていくものですが、見た目が実年齢以上に老けてくる方も中にはいらっしゃる。まずはこの部分の研究をはじめました」(亀山祐美氏)見た目年齢と実年齢の乖離認知機能低下の疑いで、東京大学医学部附属病院老年病科に入院した124人の患者を対象に、認知症検査の世界基準であるミニメンタルステート検査(MMSE)や、老年期のうつ検査(GDS-15)などいくつかの検査を実施。一方で、彼らの顔写真を医師5人、心理士5人に見せ、その見た目年齢を判断してもらうという実験を試みたのだという。「2020年7月に論文として発表したのですが、結果を大雑把にいうと、例えばMMSEの数値が高い、つまり認知症の疑いが低い人は見た目の年齢が実年齢よりも若いということわかったのです」(亀山祐美氏)アルツハイマー病の名付け親は、ドイツの精神医アロイス・アルツハイマー博士だ。彼の患者でアウグステ・データーという女性がいた。初めてアルツハイマー病の診断を受けた人として知られる。彼女は50歳で発病し5年後に亡くなるのだがその間に撮られた写真はまるで老婆のように見え、とても50代前半とは思えない。アウグステ・データー(イラスト制作:クラッチ工房)アルツハイマー博士も見た目と実年齢の乖離に問題意識を持っていたからこそ、写真を残したのかもしれない。AIに認知機能が低下した人の顔を学習させる「私は仕事がら毎日のように認知機能が低下した患者さんと接しているので、症状が一定程度進行した方であれば、表情などから認知機能の低下を感じることはできます。しかし、ごく初期の方や軽度認知障害(MCI)の方まではさすがにわかりません」(亀山祐美氏)認知症は早期発見、早期介入することができれば、その後の進行を大きく抑制することができる。ただしそのあぶり出しは難しい。現在日本に900万人近くいると言われるMCIは、放置すればその半数が認知症に移行するとされる。ただ、自覚症状は少ない。MCIの段階では日常生活を苦なく過ごせる人も多いわけだ。「普通に暮らせている人に対して、『今日は何月何日ですか』とか、『ここはどこですか』『100から7を引いてみてください』などの質問をすることは、ともすると相手の心を傷つけてしまうことがあります。また、アルツハイマーの原因といわれるアミロイドβの量を検査するアミロイドPETは非常に高額だし、脳髄液を採取する必要があるので身体への負担も大きい」(亀山祐美氏)心も身体も傷つけることなく、しかも簡単に検査することができれば未来は明るい。夫婦の連携が結実見た目と実年齢の乖離に着目している亀山氏は、所属する東大病院・東京大学の倫理委員会を通し、個人情報の取り扱いなどをクリアにした状態で患者の顔写真の収集を続けた。「もちろんご本人やご家族の承諾も得たうえで、認知機能が低下した方121人とそうでない方117人の顔写真を採取しました。これらを素材に、画像解析などの技術を使って何かしらの診断ができないだろうかと考えました」(亀山祐美氏)ところが話を持ちかけた民間のメーカーからは「数が少なすぎる」と難色を示されたという。「そもそも写真データを大学外に持ち出すこと自体が倫理委員会の取り決めに抵触することもわかり、自前でなんとかするしかないと考え始めたところで、夫の征史が『AIのディープラーニング技術を活用できるかもしれない』と発案してくれたのです」(亀山祐美氏)サンプル数の少なさがネック亀山祐美氏の夫征史氏は東京都健康長寿医療センターの放射線診断科の医長だ。ディープラーニングの技術にも詳しい。「認知機能が低下してる群が121人で、正常群が117人。合計238人が全サンプル数です。一般にディープラーニングといえは数千、数万の学習が必要だと思われているのですが、少ないサンプルを有効利用してより多くのサンプルを検討したのと同じ効果が得られるデータオーグメンテーションという技術があるのです。それから、『ImageNet(スタンフォード大学が収集・分析したデータ集)』のようなたくさんの物体ですでに学習したモデルを使う、転移学習という手法も使いました。」(亀山征史氏)多くの動物の中からネコを選び出す工程を考えてみる。ただし、手元にあるネコのデータは100種類だけとする。毛がモサモサしていて、耳や目が2つあって、四本脚で歩いて、でも時々二本足で立ったりもする。イヌやトラ、ヒョウなどとそっくりだ。区別するためのデータは多ければ多いほどいい。しかし、手元にあるネコの写真は100枚きり。「ごくごく簡単に説明すると、このような場合、写真を大きくしたり縦長にしたり短くしたり、反転させたりすることでデータ量を“水増し”するわけです。こうすることでより多くのデータを検討するのに近い効果が得られる」(亀山征史氏)正答率は9割以上データオーグメンテーションの技術でサンプル数を増やし、これを0から9までの10グループに分け、それぞれを比較検証する交差検証で分析したところ。陽性(認知機能低下)をきちんと陽性と判断した数値は87.31%陰性(認知機能低下なし)をきちんと陰性と判断した数値は94.57%全体から、陰性と陽性を選び出す「正当率」は92.56%素人目には十分なように見えるのだが──。「論文として成立させるためにはギリギリのサンプル数だと思いますが、そこそこの精度は出ていると考えています。ただ、今回は東大病院にいらっしゃる患者さんだけのサンプルなので、他の病院で撮った写真で当程度の結果になるかはわかりません。今後もサンプル数を増やしていく必要があります」(亀山征史氏)AIが算出したスコアとMMSEとの関係。AI算出スコアの高い方が認知機能が低いそもそも、AIは何を見て陽性と陰性を判断しているのだろうか?「その部分に関しては、実はブラックボックスなんです」(亀山征史氏)ブラックボックスの中身とは?認知機能が低下している顔。これをきっちり数値化できれば認知症診断の世界に革命が起こる。しかし、AIの判断がどこを手がかりにしたものなのか、詳しいことはわかっていないのだという。「検証するために、顔写真の上半分と下半分とに分けて、同じように検証してしみたところ、下半分のほうが若干正答率が高く出ました」(亀山征史氏)「漠然とではありますが、目元を見て判断しているのかな、と感じていたので少し意外な気がしました」(亀山祐美氏)なにはともあれ、この技術が確立すれば認知症診療の歴史が大きく前進するのは間違いない。医師が問診中に写真を撮り、それを解析することができれば大の大人に対して「今日は何日ですか」などの質問をする必要もなくなるだろう。「健康診断の際に顔写真の撮影を続ければ、去年と今年、10年前と今を比べることもでき、早期発見につながりやすいと考えます」(亀山征史氏)早期発見、早期介入が認知症の発症を遅らせる効果があることは確実だ。手がかりは多いに越したことはない。「顔写真による認知症診断の分野については、診断をするというよりも、病院受診するきっかけ作りに有用なのではないか」と亀山征史氏は語る。AIによる写真解析技術が認知症診断の新たな手がかりとなる日は近い。
2022.02.24
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下記の記事は日刊ゲンダイデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。お茶の水女子大学付属中学に在学中の秋篠宮家の長男・悠仁さまが無事、志望していた筑波大学付属高校(いずれも国立)に合格した。お茶の水女子大と筑波大の間で5年前に結ばれた提携校進学制度を活用してのものだ。「悠仁さまが高校から筑付に入られたのは賢明な選択だったと思う」 こう話すのは2000年代初めに筑波大付属小学校に合格し、高校まで在学したOB。「小学校から中学に内部進学できるのが約8割、さらに中学から高校に内部進学できるのが約8割。単純計算すると、小学校入学組の6割台半ばが高校まで進めるはずですが、僕の同級生では5割程度しかいなかった。早く筑付に入っても、順風満帆なコースが約束されているわけではないんです」 筑付に入学するには小学校受験、中学校受験、高校受験の3通りの方法がある。どうしても筑付に入りたいのなら、小学校入試からトライするのが有利に感じる。だが、そこでうまく合格しても、バラ色の学園生活が待っているわけではないと、このOBは強調する。「僕の親友だった同級生も、それほど成績が悪かったわけでもないのに、筑付中へ進めなかったんです。区立の中学に入った彼はグレてしまい、次第に疎遠になってしまった。その後、よからぬ噂も耳にしました。こうして内部進学できず、人生を踏み外すケースは少なくないと聞きます」もし悠仁さまが小学校から筑付に入っていたとしても、こうしたことになるとは思えない。ただ、学園生活での重圧は相当なものに違いないとOBは指摘する。「筑付に入ってくる生徒の家庭はどこも教育熱心。不公平なことにも敏感です。小学校から中学、中学から高校への内部進学の選定で、悠仁さまを有利に扱っているとなると、父兄の間で不満が出てくる。たとえ、便宜を図るようなことがなかったとしても、色眼鏡で見られるのは避けられない。そうしたプレッシャーに絶えずさらされるのを想像すれば、高校からの入学が正解だったと思います」とはいえ、今後3年間、悠仁さまの一挙手一投足に注目が集まるのは必至。平穏な学園生活を送ることができるように祈るばかりだ。 (ジャーナリスト・「名門校の真実」の著者=田中幾太郎)
2022.02.24
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「ケール」が40代に効果があるようです。スゴい栄養価やナイスな摂取法をまとめました(写真:マハロ/PIXTA)健康ブームを追い風にスーパーフードが脚光を浴びている。が、選択肢が多すぎて「結局どれが正解? 」と戸惑う人も少なくないはず。ならば言おう。「ケールで間違いない!」と。ケールは天然のマルチサプリだ!「近年、アメリカやヨーロッパでは、新型コロナウイルス感染症の影響もあって、栄養価の高い野菜を摂ろうという気運が高まっています。当記事は、『OCEANS』の提供記事です。元記事はこちらそんな中、セレブリティやヨガインストラクターといった健康意識の高い人たちの間で、ケールが改めて注目を浴びているんです」そう語るのはローフードマイスターであり、自身も毎日のようにケールを食べているという都田恵理子さん。日本では青汁など健康食品のイメージが強いが、欧米では家庭の食卓でもおなじみの野菜だという。には多くの品種が存在するが、最もポピュラーなのがコラードケールだ。丸みを帯びた柔らかい葉が特徴で、キャベツの外葉に似ている。ほかにカールした縮れた葉を持ち、苦味の少ないプチヴェールや、細長く、黒に近い緑色の葉を持つイタリア原産のカーボロネロも人気(写真:山本雄生)「丸みのある濃いグリーンの葉と爽やかな苦味が特徴のケールは、キャベツやブロッコリーの原種(※1)であるアブラナ科の野菜。歴史は古く、地中海沿岸で古代ギリシャやローマ時代から栽培されていた最古の野菜のひとつです。ビタミン不足を補うために船に積まれていたこともあって世界中に広まり、日本には江戸時代に伝わった(※2)といわれています」特筆すべきは野菜の中でも群を抜く栄養価だ。「食物繊維をはじめ、7種類のビタミン、5種類のミネラルと抗酸化成分など57種類もの栄養素が含まれています。それに食物繊維がレタス約2個分、ビタミンKがブロッコリー約2株分というように、栄養価も高いため、普段食べている野菜よりも効率よく栄養を摂取することが可能なんです」ほかにも40〜50代のオーシャンズ世代にうれしい栄養素も。「ケールに含まれるマグネシウムは睡眠ホルモンと呼ばれ、自然な眠りを誘うメラトニンの生成にも関わるほか、血中のストレスホルモンの減少も期待できます。また、肌の老化に影響する活性酸素を除去するポリフェノールや目の疲れを軽減するルテインも含まれています。血中の中性脂肪値を下げる働きやパワフルな抗酸化力も中高年の男性にとってのメリットです」コラードケール1枚にこれだけの栄養素(*)!(*)約200g当たりを目安にしています。大きな葉のコラードケールの場合約1枚分。数ある野菜の中でケールが特に優れている点。それは栄養素が多彩で、かつ豊富な点に尽きる。ゆえに普段の食事だけでは十分に摂りにくい栄養素を実に効率よく摂取できる(写真:山本雄生)食物繊維:レタス約2個分 ケールに豊富に含まれる不溶性食物繊維は便のかさや善玉菌を増やすことで腸内環境を整えてくれる。血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロール濃度を低下させる効果もある。カルシウム:牛乳約1カップ(200cc)分 歯や骨を作る材料になるカルシウムには肌の潤いをキープしたり、肌のターンオーバーを助けたりする効果も。また、神経の緊張を緩和することで精神を安定させる働きも期待できる。ビタミンC:グレープフルーツ約2個分 “美のビタミン”と呼ばれるビタミンCは、肌のコラーゲン生成に関わり、シミの原因になるメラニンの生成を抑制する作用を持つ。風邪やアレルギーの予防にも役立つ優れた栄養素。ビタミンK:ブロッコリー約2株分 血液を凝固させるビタミンKは、カルシウムを骨に沈着させて骨の形成を促すことで、骨密度を高める。また、コラーゲンの生成を促進するため、美肌作りにも適していると、注目されている。今ではオンラインショップや野菜に強い高級スーパーなど生のケールを扱う店も増えつつある。とはいえ、まだそれほどなじみのない野菜。それに独特の苦味も気になる。いったいどんなふうに食べるのが正解なのか?「栄養素を最優先するなら、生で摂るのがベター。私はコールドプレスジュースやスムージー、サラダで摂ることが多いです。ただ、苦いのが苦手な人なら、加熱調理をしても問題ありません(※3)。食物繊維やカルシウムなどは熱にも強いうえ、熱を加えることで甘味が引き出されて苦味も和らぎます。料理の方法はキャベツやブロッコリー感覚で。千切りにしてホットサンドやシーザーサラダに入れたり、トースターでケールチップスにしたり。焼きそばやロールキャベツを作るときに、キャベツの代わりにケールを使うのもおすすめ。加熱調理すれば、生葉の3〜5倍の量を手軽に摂ることができます」現代人が不足しがちな栄養素をたっぷり、それも驚くほど効率よく摂取できるケール。再ブレイクを果たしたスーパーフードのご先祖様は、世のおじさんたちに数々のご利益をもたらしてくれるだろう。教えてくれたのは:ローフードマイスター 都田恵理子さん●コスメブランドのPRで活躍していた2013年に体質改善を図るべく植物ベースの食生活にシフトし、ローフードマイスター(日本リビングビューティー協会)の資格を取得。カラダの内側から健康になることをテーマに健康と美容に関する商品情報を発信中。instagram@erikomiyakodaオンラインショップでケール直送!まだまだ身近ではないケールを買うならオンラインショップを活用するのがいい。なかでもケールファームは無農薬無化学肥料栽培にこだわるカリスマ店。料理が苦手な人は、手軽なコールドプレスジュースを。農場直送ケール生葉ボックス(500g 900円[約4枚分])/ケールファーム(写真:山本雄生)農場直送ケール生葉ボックス 「新鮮なケールの葉を自宅で食べたい」という人のために生葉の配送サービスも用意。土づくりから始めた国内農場で栽培されたケールは安心感も格別。はちみつレモン(3960円[9パック])/ケールファーム(写真:山本雄生)ケールはちみつレモン ケールの苦味が苦手な人にはこれ。国産のはちみつとレモン果汁を使ったケールジュースは、ほんのり甘い爽やかな味わい。レモンに含まれるビタミンCとクエン酸は疲労回復にもいい。ケールストレート(3780円[9パック])/ケールファーム(写真:山本雄生)ケールストレート ケール収穫から即搾り、瞬間冷凍によって最高鮮度を実現したコールドプレスジュース。水、砂糖、保存料、添加物不使用。朝起きたときの空っぽのカラダにチャージするのがおすすめ。※1 キャベツやブロッコリーの原種……ケールのつぼみが進化して生まれたのがブロッコリーで、ケールが結球(葉が巻くこと)したものがキャベツになった。※2 江戸時代に伝わった……羽衣甘藍(はごろもかんらん)や緑葉甘藍(りょくようかんらん)とも呼ばれる。千葉県や長野県、島根県などで栽培されている。※3 加熱調理をしても問題ありません……水に長時間漬けないようにして、加熱の時間を短めにする。このふたつがケールの持つ栄養の残存率を高めるポイントだ。(山本雄生=写真 押条良太=編集・文
2022.02.24
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。年金暮らしの82歳の女性は57歳の長男と同居している。長男は統合失調症などを患い、これまで一度も働いたことがなく、障害年金を受給している。女性が50年以上前に離婚した男性が5年前に他界したことで、長男には1億2000万円もの遺産相続金が転がり込んだ。ところが、長男はたった数年でそれを使い果たしてしまう。女性が自分と生涯無職の長男の今後を案じて相談したファイナンシャルプランナーの回答とは――。働くことができないままの長男が突然、1億超の相続財産を受け取る関東地方に住む山崎恵美さん(82・仮名)には50代の息子が2人いる。長男の武志さん(57歳・仮名)は、人生で1日も働いた経験がない。高校生の時に不登校になり、その後、統合失調症と診断されたのに加え、足の障害もあり、障害年金を受給している。次男の睦夫さん(55歳・仮名)は、大学を卒業したのち、建築関係の会社に勤め、30歳の時に結婚。2人の男の子に恵まれている。そんな長男と次男は、自分たちが幼い頃に両親が離婚して以来、ほとんど会ったこともない父親から、5年前に1億円を超える相続財産を受け取った。[家族構成]山崎家(仮名)父親:子供が幼いときに離婚。5年前に他界母親:82歳長男:57歳(高校生の時に不登校になり、現在まで就業経験なし。統合失調症と足の障害で、障害年金を受給している)次男:55歳(会社員・30歳の時に結婚して、息子が2人いる)[資産状況]<収入>月計17万円母親の年金:月に10万円程度。預金残高は120万円長男の年金:年金生活者生活支援金を含めて月に約7万円。貯蓄はほぼなし<支出>食費や光熱水費などで月計30万~35万円自宅:3年前に大規模リフォーム済み(固定資産税:年約15万円)相続財産は長男の散財でみるみる減った50代の長男と次男が相続財産を受け取ることになったのは、現在82歳の山崎さんが50年以上前に離婚した元夫(子供の父親)が亡くなったため。両親の離婚後は、子供たちは3回くらいしか父親と面会しておらず、父親の存在すら忘れているような状態であった。離婚後の母子は、母親の実家に身を寄せて暮らしてきた。祖父母が裕福だったことから、養育費もまったく受け取らないまま、子供たちは成人した。養育費を受け取っていなかったこともあり、亡くなったという知らせを受けても、特に悲しいという感情はわかなかったと、山崎さんは言う。ところがしばらくして、再婚後に生まれたお子さんから、相続財産の話が舞い込んできた。しかも1億円を超える金額を、長男と次男に相続させるという話だったので、山崎さんは腰を抜かすほど驚いた。相続税の計算なども先方がきちんとしてくれて、各人名義での納税も済ませたのち、長男と次男の銀行口座にはそれぞれ1億2000万円を超える相続財産が振り込まれた。息子たちも、しばらくは事態をのみ込めずに、ただただ驚いていたそうだ。1億2000万円もの大金を手にした次男は、残っていた住宅ローンを完済した。そのほか、子供たちの大学資金などの教育費に充てたが、それ以外は自分たちの老後資金にするため、資産運用の勉強をするなどして、大切に管理している。今も9000万円以上の相続財産が残っているらしい。一方の長男は、1億2000万円を超える大金を手にして、とにかく舞い上がってしまったそうである。それまでもお金の管理は苦手で、月7万円の障害年金を好き勝手に使っているだけではなく、年金暮らしの母親にお金の無心をする機会も少なくなかった。そんな長男はまず、亡くなった祖父母から母親が相続した家を、6000万円もの大金をかけて、新築同然にリフォームした。写真=iStock.com/jpgfactory※写真はイメージです「リフォームなのに、なぜ、6000万円もの費用がかかったんですか?」と尋ねると、「家がそこそこ広いというのもあるのですが、息子が細部までこだわって、好きな素材を使ったりしたので、結果的に費用がかさんでしまいました」と母親はいう。週2、3回近くのコンビニに行くにもタクシーで往復、計3000円リフォームによって、長男は趣味のスペースを作ることができた。高価なカメラを何台も購入して、撮影旅行にも出かけるようになった。撮影旅行で撮りためた写真を大きく引き伸ばして、趣味のスペースに飾っている。その部屋で過ごす時間は、長男にとって至福の時間のように母親の目には映っている。カメラ本体だけでなく、望遠レンズなどの機材にも湯水のごとく、お金を使ったそう。カメラ機材を買いに行くのに、タクシーを手配。往復4万円以上のタクシー代をかけて、月に何度か、機材の買い物にも行っていたそうだ。そのほかに長男は、週に2~3回タクシーを呼んで、それほど遠くはないコンビニまで買い物にも行っている。自分のおやつは、自分の目で選んで購入したいというのが、コンビニに行く理由。買い物中は駐車場にタクシーを待たせているので、毎回タクシー代が2000~3000円かかるそうだ。写真=iStock.com/Mlenny※写真はイメージです「コンビニまで、自転車で行くことはできませんか? それと、コンビニに行くのにタクシーを使われるのに、撮影旅行には行けるんですか?」と聞いたところ、次のように母親は話した。「息子は足が悪いので、自転車には危なくて乗せられません。相続財産を受け取る前から、日常的にタクシーを使っているので、習慣を変えるのは難しいかもしれません。それに撮影旅行のときも、タクシーを使って出かけています」足に障害のある長男は、数年に1回、手術をおこなうことがあるそうだ。手術のために入院する際、今までも差額ベッド代のかかる部屋に入院していたが、相続財産を受け取ってからは、1日4万~5万円もする個室を選ぶようになったそうである。「この先、手術する必要があっても、相部屋だったら入院する気がしない」とまで、言っているらしい。相続財産は5年で底をついた家の高額リフォームに加え、ひと月10万円を超えるタクシー代、趣味にかけるお金、高額になる入院費などにより、長男はなんと5年で、相続財産のすべてを使い果たしてしまった。長男の相続財産がなくなったことに母親が気づいたのは、長男から「タクシー代を貸してほしい」と頼まれたことがきっかけ。「タクシー代がなくて、コンビニに行けないから、タクシー代とコンビニ代の5000円を貸してほしい」と頼まれたのである。それまでも、長男の金遣いの荒さは気になっていた母親だが、手元にどのくらい残っているのかを尋ねると、機嫌を損ねて部屋に閉じこもってしまうため、当初は本当のことは聞けなかったそうだ。だが、「タクシー代がない」と言われて、さすがに驚いた母親が口座の残高を確認したところ、「800円しか残っていない」と言われたそうである。「残高は800円」と聞いた母親は、相続財産を受け取れると聞いた時と同じくらい、驚いたという。愕然とした母親が悩んだ末、私のところに相談に来たわけである。聞けば、山崎家の全財産は、母親が持つ預金の120万円だけ。この預金も、少しずつ減っているため、底をつくのは時間の問題だ。主なやりとりは下記のようなものだった。「相続財産を受け取る前から、お母様の預金は今くらいの金額でしたか?」「いえ、私は自分の親から3000万円を超える預金を相続したのですが、息子との生活で毎月10~20万円くらいの赤字が出ているため、今の金額まで減ってしまいました」「息子さんの相続財産はすでに使い果たしたわけですから、時間を過去に巻き戻すわけにもいきません。将来的に、息子さんがひとりになったときには、生活保護のお世話になることも含めて、生活設計を立て直す必要があります。いずれにしても早急に、息子さんのお金遣いを改める必要があります。お金遣いが改まらなければ、親子で路頭に迷うことになりますから」加えて、「収入の倍近い支出がありますが、なにか節約ができるものはありませんか?」と尋ねてみると、こう言って口ごもるばかり。「頑張れば2万~3万円くらいは減らせるかと思いますが、それ以上はなかなか……」ならばと深刻さを伝えるために、こう伝えた。「月々17万円の年金で、2人分の生活費を賄っているご家庭は、世の中にたくさんあります。食費は2人分で上限が4万円、光熱費は2万円、電話代は携帯電話を合わせて1万円など、17万円の中に納まる予算を立ててみてください。予算を立てたら、息子さんにもその予算を守ってもらえるように、厳しく言い聞かせてください」「家の売却は、息子が絶対に『うん』と言わないです」すると高齢の母親は困惑するだけで、思考は停止しているように見えた。そのため、さらに進言した。「今のままですと、お母様の預金が底をつくのも時間の問題だと思います。預金を含めた全財産が5万~7万円程度まで減れば、生活保護の申請はできますが、おふたり分の年金額を考えますと、仮に生活保護の受給が認められても、手取りがそれほど増えるわけではないはずです。年金分は、生活保護費から差し引かれますので。それよりも、現在住まれている自宅を売却して、当面の生活費を確保することは考えられませんか?」「家の売却は、息子が絶対に『うん』と言わないと思います」「息子さんがどんなに嫌がっても、今の時点で現金化できるものはご自宅しかありません。それに、山崎さんのおウチが生活保護を受給できるか否かは、微妙なところです。リフォームする前の家であれば、おそらく居住地の生活保護の基準以下だったかと思いますが、リフォームをされたことで、判断が難しくなっています。息子さんが一人で暮らす時期の問題でもありますので、生活保護課に足を運んで、山崎さんの家は保有したまま、生活保護が受けられるのか、調べてみることをおすすめします」家を持っていると生活保護が受給できないと思い込んでいる人も少なくないが、そうとは言い切れない。居住地で定めている基準価格以下の住宅であれば、家賃分に当たる住宅扶助は受け取れない代わりに、自宅に住み続けることはできる。しかも生活保護が開始されると、固定資産税の支払いが免除される点も安心材料だ。息子が一人で暮らす時期は賃貸暮らしで生活保護しかないこれまで長男を半ばほったらかしにしていた母親にできるかわからないが、次のようなことをする必要性についても申し上げた。「先にも説明しました通り、お母さまの年金があるあいだは、仮に生活保護が認められても、手取りはほとんど増えないと思います。生活保護が認められると医療費の負担がなくなるなどのメリットもありますが、生活費を減らさない限り、暮らしは成り立ちません。コンビニまでタクシーで買い物に行くことなど、今後はできないことをきちんと伝えてください。またおじいさま、おばあさまが裕福だったことから、息子さんはお母様の預金額などを理解されていない可能性もあるのではないでしょうか。お母様の預金が120万円しかなく、近いうちに手元のお金がなくなりそうだという現実を、息子さんに早急に伝えてください。息子さんがショックを受けるかもしれませんが、伝えるタイミングとしては遅すぎるくらいです」ここまでの話を聞いた母親は、最終的には家を売るしかないという話にショックを隠せないようだった。やはり、一筋縄ではいかないだろうが、長男を説得するしか、生き残る道は残っていないのだ。「息子さんが社会に出て働くことと、お金遣いを直す努力をすることは、どちらが現実的だと思われますか。私は後者だと考えます。合わせて、せっかくリフォームした、お気に入りの家だとしても、売るという選択をするしかない現実も、息子さんに理解してもらう必要があります。売却の決心がつくまでには、かなりの時間を要するはずですから、こちらの話し合いも急ぐ必要があります。息子さんがどうしても家を手放したくないと言い張るのであれば、お母様と暮らしているあいだは、月に17万円以下で暮らすことに協力してもらうしかありません」家の売却を先送りにできたとしても、母親亡き後、長男がひとりで今の家を維持していくことは難しい、という現実もある。また母親が認知症を患うと、正しい判断ができなくなると判断され、家の売却契約も困難になってしまう。写真=iStock.com/CasarsaGuru※写真はイメージです結局のところ、自宅を売却して、母親が存命中は売却金で親子がなんとか暮らしていく→母親が亡くなって収入が障害年金だけになり貯蓄がゼロになったら、長男は生活保護の申請をする……という流れが、現実的な方法と言えそうだ。自宅を売却した後であれば、家賃分に相当する住宅扶助も受けられる可能性はある。「生活保護の申請をする際、初回は3時間くらい、いろいろな質問をされます。統合失調症を患っていらっしゃるご長男が、長時間、質問に答えるのが難しいと思われれば、弟さんに申請に同行してもらえないか、頼んでおくのが安心です。弟さんが同行すると、お兄さんの生活費の援助を求められると思いますので、援助するのか、援助は一切しないのか、あらかじめ弟さんに検討してもらっておいたほうが良いと思います。援助を求められることを知らずに同行したら、弟さんも驚かれるはずですから」1億2000万円を受け取って、目の前の借金がなくなり、老後生活も盤石になった次男。いっぽう無計画な散財によって、わずか5年で使い果たしてしまった長男。2人のこれからの人生は、今まで以上の差が付いてしまったことになる。だが、長男の金遣いの荒さを受け入れてきた母親にも、かなりの責任があると感じてしまう相談になった。畠中 雅子(はたなか・まさこ)ファイナンシャルプランナー「高齢期のお金を考える会」主宰。『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』など著書、監修書は60冊を超える。
2022.02.23
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下記の記事は日経ウーマン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。食後に血糖値が急上昇するのが「血糖値スパイク」。長年続くと、脳卒中や心筋梗塞、がんなどにかかる危険性が高くなるので早めの対策が大切です。今回は、血糖値スパイクとはなにかを解説します。太る生活が招く“血糖値スパイク”とは血糖値スパイクとは?最近、テレビ番組などがきっかけで「血糖値スパイク」が注目されている。血糖値スパイクとは、食事の後に血糖値が急激に上がることを指す。東京慈恵会医科大学の西村理明主任教授は、「健康な人は、食事をしてもあまり血糖値が上がらない。ところが空腹時の血糖値は110mg/dL以下と正常なのに、食後1時間たったころ、血糖値が急上昇して140mg/dLを大きく超える人がいる。こういった現象を血糖値スパイクと呼んでいる」と話す。これまでも「食後高血糖」と呼ばれ、糖尿病の一歩手前の段階に見られる状態の1つと見なされてきた。食後の血糖値が140mg/dL以上は要注意健診では血糖値やHbA1cの値が正常だったのに、食後1時間の血糖値を測ると140mg/dL以上に。その後、血糖値は正常に戻る。このような急激な変動が血糖値スパイクだ。頻繁に繰り返すとさまざまな病気のリスクを高める。グラフは取材をもとに編集部で作成したイメージ空腹時の血糖値が正常な場合、職場の定期健診などでは異常とされない。「自覚症状が全くないため、長い間気づかないまま、食事のたびに血管が高い血糖値にさらされ続けると、心筋梗塞や脳卒中、がんなどの重大な病気になるリスクが高まることが分かってきた」(西村主任教授)。食後血糖値の急激な上昇=血糖値スパイク血糖値が食後に上昇する状態を繰り返すと、血管の内側の壁が傷むことが実験で確かめられている。また、食事をした1時間後の血糖値が180mg/dLを超える人は、そうでない人に比べ、心臓病で亡くなるリスクが高まることが追跡調査で明らかになった。ではなぜ血糖値スパイクが起きるのか。そのカギは血糖値を下げるホルモン「インスリン」が握っている。食後、血糖値が上がり始めると、すぐにインスリンが分泌され、血糖値を下げようと働く。血糖値の上昇によって分泌されるインスリンは、糖の取り込みを促す血糖値が上がり始めると、膵臓が検知してすぐにインスリンを分泌する。インスリンはさまざまな臓器に糖を取り込むように促し、血糖値が下がるだがインスリンが十分に出ないと、血糖値は下がるどころか上がり続けてしまう。日本人はインスリンが出にくい人種といわれる。白人に比べて日本人はインスリンを分泌しにくい日本人などアジア人は、もともとインスリン分泌量が少なく、糖を取り込む力が弱い。健常人、糖尿病予備軍(境界型)とも白人の半分以下だ。データ:Diabetes;49,6,975-980,2000/Metabolism;53,7,831-835,2004血糖値スパイクの長年の繰り返しが血管のダメージにこうした体質なのに血糖値が上がりやすい糖質の多い食生活を続けると、「出にくいインスリンを出そうとして、膵臓がいつも働き過ぎの状況になる」と西村教授は警鐘を鳴らす。しかも年齢とともに、インスリンを分泌する能力は下がっていく。生活を改善し、血糖値スパイクを予防することが重要だ。【チェック】下記に当てはまる人は“血糖値スパイク”が起こっているかも□40歳以上である□糖尿病の親や兄弟姉妹がいる□甘い菓子や飲料をよくとる□これといった運動習慣がない□食事を抜いたり、ドカ食いをする□妊娠中に高血糖を指摘された40歳を過ぎ、代謝が落ちてくるのにスイーツなどをなかなか減らせない、生活が不規則で運動もおっくう…。こんなあなたは血糖値スパイク予備軍かもしれない。チェックが多いほど要注意だ。血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)の違いは?血糖値とは血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度のこと。血液1dL中のブドウ糖の重さで表す。食事やインスリンによって数値は変動する。一方、ヘモグロビンA1c(HbA1c)は、赤血球の中にあって酸素の運搬を担うヘモグロビンに、血液中のブドウ糖が結びつき糖化したもの。ヘモグロビンに対するHbA1cの割合をパーセントで表す。過去1〜2カ月間の血糖値の平均を反映し、1回の食事や運動の前後では変化しない。HbA1cは糖尿病の診断基準の1つにもなっているが、近年では血糖値の変化を常に見るほうが糖尿病の予防につながると考えられている。次回は、「“血糖値スパイク”を防ぐ食事術【2】」を紹介する。西村理明東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科 主任教授東京慈恵会医科大学卒。富士市立中央病院などを経て2002年から東京慈恵会医科大学。19年4月から現職。
2022.02.23
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。今年1月、JR宇都宮線の車内で喫煙していた男を注意した高校生が暴行を受け、右頬骨骨折などの重傷を負った。作家の岩井志麻子さんは「テレビ番組でこの事件についてコメントを求められ、私は『暴行した男はかわいそうだ』と話した。その考えはいまも変わっていない。暴力でしか矮小な魂を修復できないのだろう」という――。今も話題になる宇都宮線での暴行事件に私が思ったこと電車の優先席に寝転がって、加熱式タバコを吸う男がいた。昨今ではいろいろとためらってしまう状況下にありながら、一人の男子高校生が毅然と注意をした。すると激高したその男はダウンジャケットを脱いで、上半身にびっしり入った入れ墨を見せつけながら、一方的に高校生を殴る蹴るして大けがを負わせた。今年1月、JR宇都宮線で起きた暴行事件は、宮本一馬容疑者の傍若無人ぶりや凶暴さ、そして被害者のもはや勇敢といっていい言動により、今もって話題になり続けている。「かわいそう」と発言した真意私はこの事件のすぐ後、レギュラー出演しているテレビ番組でコメントを求められ、「ずっとばかにされっぱなしだった、と鬱屈していた宮本容疑者は、一般の人たちばかりの電車の中なら、入れ墨を見せてタバコ吸ったら怖がってもらえる、と期待して乗ったんでしょ。そしたら、真面目そうな高校生に真正面から注意され、逆上してしまった。あまりにみじめで、もはやかわいそうなほど。なんとかかばってやりたい、とすら思う」と発言したら、ネットニュースになって結構な反響をいただいた。いやほんと、この手のやつが組事務所に殴り込むとか、本職より悪そうな半グレに絡むとか、聞いたことない。真っすぐに、といっていいほど、女性、子ども、老人、小柄な人、おとなしそうな人を狙っていく。真の意味で弱っちいやつは、誠に強くなりたいとも、強い相手に勝ちたいとも願っていない。必死に自分より弱そうな相手を探し、弱いと見なした相手に威張る。そうすることでしか、強いと恐れた誰かに傷つけられた矮小な魂を修復できない。これをかわいそうといわずして、なんといえばいい。事件を起こした心理は…「かわいそうなもんか。徹底して宮本容疑者は悪いやつで、同情の余地なし」と憤慨する人もいるが、それはかえって彼を調子づかせることになるのだ。だって彼は、かわいそうといわれたくなくて、悪い怖いやつだと畏れられたくて、あんなことをしたのだ。よって私は、しつこく「かわいそう」「かわいそう」といってやったのだ。ふと思い出した2年前の同級生の事件その前にも、公共の建物や私鉄の中で宮本容疑者的な人が暴れる事件は続いていたが、私はそれらとは種類が違う、故郷の岡山県でだけ大きく扱われた2年前の事件が思い出された。中学の同級生だった男(仮にOとする)は、不良というより問題児だった。本人が望むように、怖がられはしなかった。Oは小柄で勉強も運動もできず、それこそばかにされっぱなしだった。本物の怖い不良たちはOなど仲間と見なさず、けんかも吹っかけなかった。思えばあの不良たちは、ちゃんとした不良だった。対等にけんかできる相手としかけんかしなかった。強いやつに勝ってもっと強くなりたい、そんな不良の美学はあったのだ。Oも、最初から勝ち目のない不良たちには近づかなかった。Oが威嚇し、不機嫌を振りまく相手は、例によって怖くない先生、女子生徒、気弱な男子生徒に限られていた。Oは中学卒業後、たまにバイトをしても続かず、ぶらぶらしていたらしい。一度だけ、地元の商店街で会った、というよりすれ違った。これは、後述する。私が10代の頃は携帯もパソコンもなく、親しくもなかった同級生のその後などわからなかったが、Oは軽犯罪で何度か刑務所に入ったという、いかにもな噂は耳に入ってきた。それから何十年と過ぎ、すっかりOなど忘れ去っていたのに。突如殺された同級生に対して思ったことは…岡山県での殺人事件がネットニュースで流れ、被害者としてOの名前を見つけた。向かいの部屋に住む同世代の男に、「生意気だから懲らしめてやりたかった」との理由で刺されたのだ。加害者とは前の職場が同じで金銭トラブルもあったと報道され、これは元同級生とも、「お気の毒じゃけど、なんかOっぽい最期じゃなぁ」などと、しみじみ話した。写真=iStock.com/:Actogram※写真はイメージです50半ばを過ぎ、独身で無職でワンルーム暮らし。それだけを取り上げ、かわいそうだなどとは失礼だ。本人が幸せだ、楽しいこともあるとご機嫌なら、かわいそうじゃない。そう、かわいそうっていうのは、成人に対してはかなり失礼にもなり得る言葉と感情だ。もちろん、理不尽な事件や事故に巻き込まれたり、本人に責任のない病気にかかったなど、これはお気の毒だと同情申し上げる際に使うこともある。克服していただきたいと応援したくなる気持ちからだ。被害者と加害者の共通点Oははっきり、かわいそうである。被害者であるのは前提として、Oはきっと加害者を、こいつになら勝てると見くびったから、生意気な態度が取れたのだ。それは加害者も同じで、Oを下に見ていたからこそ、生意気な態度を取られた、と逆上したのだ。おそらく加害者もOも、同じような子ども時代、青年期と中年期を生きたのだろう。さすがに、2人が最後のところで入れ替わっていたかもしれない、とまでは考えたくないが。同族嫌悪の結末を見れば、ふとそんな想像も過ぎってしまう。あの時、あなたは何を言おうとしたのかさて私は中学時代、Oとはほとんど接した覚えもない。Oは卒業後、私のことなど忘れていると思っていた。それが高校生の頃、商店街でOとすれ違ったら、「あっ、作家の人じゃ」といったのだ。Oはそのまま、行き過ぎていった。そして、二度と会うことはなかった。私は子どもの頃から本が好きで、作家になりたい、といっていた。まさかOが、それを覚えていたとは。そのときの私は、まだ高校生だ。Oが私の背伸び、大望をからかうつもりでいったのか、私を何かしら励まそう、みたいな気持ちでいったのか。わしは覚えとるで、お前もわしを覚えとるよな、といった意味でいってみたのか。今となっては、まったくわからない。ともあれ私はOの言葉通り、本当に作家になった。Oの事件のときは、最後に会った商店街のことを思い出しはしたが、ぼんやりと悲しみを覚えただけだ。今回の無関係な電車内暴行事件の方が、強くOを思い出させてくれた。私も弱い者を探して威張ったことがあるなぁOくんよ、私も一人で上京して、みじめな思いをし、かわいそうな境遇にもなったんよ。東京は強いもんだらけで、私より弱いやつを探す方が困難じゃったわ。じゃけぇ、強いものから逃げ回って、といって弱い者を探して威張るのもますますみじめで自分がかわいそうになるだけじゃと、返り討ちにも遭うて実感できたんよ。そいでな、がんばる弱い者たちの仲間にしてもらおう、強い者には無闇に媚びもせず、でも認められて正しくかわいがられようという戦略に変えたんじゃ。写真=iStock.com/fizkes※写真はイメージですいま、まわりにばかにされていると思っている人へOだけでなく宮本容疑者にも、誰かを喜ばせたり、それこそ弱きものを助けたり、捨て身で強い相手に挑んだことも、きっとあったはずだ。誰かの煌めく思い出の中にも、きっといる。まずは、相手をばかにしたい、ばかにされたくない、と猛る気持ちを抑える前に、自分はばかにされている、という被害妄想の出力を弱めよう。そして、楽しいことで笑って、どうにもならないことがあれば泣いていい。多くの世の人は、楽しくて笑っている人をばかにはしない。本当につらくて泣いている人は、対等な意味でのかわいそうという声をかけてもらえるから。岩井 志麻子(いわい・しまこ)作家1964年、岡山生まれ。少女小説家としてデビュー後、1999(平成11)年「ぼっけえ、きょうてえ」で日本ホラー小説大賞受賞。翌年、作品集『ぼっけえ、きょうてえ』で山本周五郎賞受賞。2002年『チャイ・コイ』で婦人公論文芸賞、『自由戀愛』で島清恋愛文学賞を受賞。
2022.02.23
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下記の記事はNEWSポストセブン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。法律事務所に出勤する小室圭さん小室圭さん(30)が米ニューヨーク州の司法試験に再び挑む。試験は2月22・23日と2日にわたって行われ、1日目が論文試験、2日目がマークシート方式の試験となる。配点は50%ずつで、両日共に6時間ずつの長丁場だ。毎年2月と7月に行われるこの試験は、7月の合格率の方が高い。小室圭さんが受けた2021年7月の試験の合格率が約63%だったのに対し、同じ年の2月の場合は約49%だった。ロースクールを5月に卒業し、2か月にわたってじっくり勉強して臨める7月試験と、何らかの仕事を抱えながら受験することになる2月試験とでは、合格率におのずと差が出るというわけだ。「400点のうち266点を取れば合格で、そこまで難関には見えないかもしれませんが、限られた時間でテキパキと課題を処理することを求められるので、英語を母国語としない人たちにとってはなかなかハードルが高い。実際、去年7月試験の外国人受験生の合格率は30%程度にとどまっています」(ニューヨーク州司法試験に詳しい弁護士)小室圭さんが挑む壁は決して低くはなく、楽観視はできない。「万が一、圭さんが不合格になった場合、ロークラーク(法律事務)として勤務する法律事務所『ローウェンスタイン・サンドラー』にそのまま居続けられるかは不明瞭になります。厳しい業界ゆえに資格がないと解雇という可能性もあるかもしれません。眞子さんに1億円ともいわれる預金があるとはいえ、世界で最も物価の高いニューヨークでそれなりのレベルを維持して生活していくのには少々心もとない額ですし、そもそも貯金を切り崩して生活することになれば、周囲から心配の声もやまないでしょう」(皇室ジャーナリスト)小室圭さんにはビザの問題もお金の問題に加えて、小室圭さんにはビザの問題も立ちはだかっているという。「アメリカの大学や大学院を卒業後、そのまま滞在して企業で働くことができるOPT(オプショナル・プラクティカル・トレーニング)という制度があり、圭さんは学生ビザのまま、これを利用しているものと見られます。問題はこの期限が遅くとも7月ごろにはやってくること。それまでに就労ビザの取得など、何らかの手立てを講じない限りアメリカに居られなくなるわけです」(同前)アメリカで法律を学んできた小室さんのことだから、ビザのことを計算していないことはあり得ないが、「とにかく日本を離れたい」という眞子さんの願いを叶えるべく新天地に向かった2人にとって、ままならぬことが多いのも偽らざる事実だろう。「もしアメリカに居られなくなったとしても、夫妻が日本に戻ることはないでしょう。眞子さんは依然として、日本からは遠ざかっていたいとの思いを持っているようですから」(宮内庁関係者)最悪を想定するなら、仕事がなく、お金の心配があり、滞在資格の問題も…という状況になりかねないのだが、そこに手を差し伸べる人物がいないかというとそういうわけでもない。例えば、小室圭さんがかつて勤務した日本の法律事務所の代表で、留学生活をサポートしてきた奧野善彦氏もその1人だろう。「圭さんにとって奧野さんはまさに恩人。人脈が豊富な奧野さんが、眞子さん圭さんのご夫婦を見放すとは思えず、再び奧野さんのサポートを得られる可能性はあるとみられています。さらに、日本政府と関係が深い組織や企業も圭さんの動向に注目していると言います。万が一、不合格となり、今の法律事務所を解雇されたとしても、働き口には困らないはずです。遠く海を隔てても、眞子さんと圭さんの生活が困窮しないよう、ビジネス面も含めたサポート体制が整いつつあるとみていいでしょう。2月の試験は、合格するにこしたことはないですが、不合格となった際の“裏シナリオ”は想定されているはず。どう転んでも帰国という選択にはならないでしょうね。一見、困難な道ばかり立ちはだかっているように見えますが、ご夫婦の未来は明るい」(前出・皇室ジャーナリスト)小室さんは2017年9月の婚約内定会見で、「好きな言葉は“Let it be”」と答えている。「あるがままに」などと訳されるこの言葉は当時、国民へのナゾかけのようにも聞こえたが、そろそろその本当の意味を知ることになるのかもしれない。
2022.02.23
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下記の記事はヨミドクター様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「こむらがえり」が増えたら注意…糖尿病性の神経障害 痛み・しびれは夜間に強く『医学大辞典』(医学書院刊)によると、“ニューロパチー”(神経障害)とは、「主として 末梢まっしょう 神経の障害を指し、その原因には遺伝、外傷、中毒、代謝異常、炎症、虚血、感染など、さまざまなものがある」とされている。したがって、末梢神経が存在する部位であればどこでも、このニューロパチーを発症する可能性があるのだ。大きくは上肢や下肢の 絞扼こうやく 性ニューロパチーに代表される「単ニューロパチー」(1本の末梢神経の障害による)と、糖尿病、尿毒症、アルコ-ルの過飲、ビタミン欠乏などの系統的な病気によって多発的に起こる「多発ニューロパチー」(四肢の末梢神経が左右対称に障害される)に分けられる。その共通の症状としては、知覚障害、痛み、運動障害、自律神経の障害があり、 腱けん 反射や筋力の低下、神経が情報を伝える速度が遅くなる、などがある。晩年の北原白秋も患った糖尿病さて、「糖尿病性ニューロパチー」である。糖尿病とは、読んで字のごとく「尿に糖分が多く出る病気」であるが、正確には「インスリンの作用不足によって血液中の糖分の増加などの代謝異常をきたす病気」である。わが国でもその患者数は爆発的に増加しており、2016年に厚生労働省がまとめた結果では、糖尿病とその予備軍を合わせると約2000万人であると推計している。この傾向は世界各国でみられ、2006年には、国連が11月14日を「世界糖尿病デ-」に指定しているのだ。糖尿病では、血液中の糖分の増加によって細い血管が障害され、さまざまな臓器に問題を引き起こす。血管障害による網膜症、腎症、神経障害を糖尿病の3大合併症と呼ぶが、これらは自覚症状がないまま進行することが多いので、注意が必要だ。「糖尿病性網膜症」では網膜剥離を起こしたり、ひどい場合には失明に至ったりする(失明する方は年間3000~4000人にものぼる)ことがある。「糖尿病性腎症」が進行した場合には透析の対象ともなる。また、インポテンツになったり、血流不全のために 壊疽えそ となり、手足を切断せざるを得なくなることだってあるのだ。「雨がふります、雨がふる」の『雨』の作詞者北原白秋は、57歳で亡くなっているが、死の5年前には「糖尿病性腎症」を併発し、眼底出血により一時視力を失った。人妻との不倫騒動などがあった一方で、治療には真剣に取り組まなかったとみられる。症状が左右対称に表れる特徴も神経に対する影響も深刻である。糖尿病では脳神経、末梢神経(知覚神経、運動神経)、自律神経など体中のすべての神経が障害される可能性があるが、その症状は末梢神経障害であるニューロパチーによるものが最も多い。痛みや知覚異常を起こす場合と起こさない場合があるが、いずれにしても強いしびれを感じるようになる。痛みやしびれは手や足(圧倒的に足に多いが、これは足の神経の走行が長いためによると考えられる)の末端に左右対称に表れることが特徴であり、“手袋靴下型”と表現される。また、昼間はたいしたことがなくても、夜間に症状が強くなり、歩行、入浴、マッサージなどをすると軽くなる。早期にアキレス腱(かかとにつく人体で最も大きい腱)の反射低下がみられ、次いで 膝蓋しつがい 腱(膝と 下腿かたい の骨を結んでいる腱)の反射低下、進行すると手足の筋肉の 麻痺まひ 、筋力の低下が起きる。なお、自覚症状と神経学的検査の結果とが比例しないことも特徴である。痛みにはペインクリニック受診を治療は、血糖値のコントールが何よりも重要なことは言うまでもないが、痛みやしびれには血管拡張薬をはじめとして、不整脈の治療に用いられているメキシレチン(メキシチ-ル)、神経痛の治療薬であるガバペンチノイドのプレガバリン(リリカ)やミロガバリン(タリージェ)、抗うつ薬の仲間であるデュロキセチン(サインバルタ)などが有効である。私の施設では、これらの薬物治療に加えて 八味地黄丸はちみじおうがん や 牛車腎気丸ごしゃじんきがん などの漢方薬(他の糖尿病治療薬と同じくアルドース還元酵素阻害作用を持つ)を処方するとともに、星状神経節ブロック、腰部交感神経節ブロックなどの交感神経系のブロック(伝達の遮断)によって、良い治療効果を得ている。長い間、糖尿病を患い、血糖のコントロールがうまくできていなくて、最近、「こむらがえりの回数が増えた」「足の指先がしびれ、針で刺されるように痛い」「足の裏に違和感がある」といった症状がある方には、ペインクリニックを受診されることをお勧めしたい。(森本昌宏 麻酔科医)森本 昌宏(もりもと・まさひろ)大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。
2022.02.23
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下記の記事は婦人公論.jp様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。今年5月半ば、新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、母・みよさん(享年92)が逝去。緊急事態宣言が出され、さまざまな制限があるなかでの“お別れ”でした。しかしそこには、思いがけず大きな気づきがあったといいます(構成=福永妙子 撮影=清水朝子)母のそばにいることも叶わず母をショートステイのつもりで高齢者専門病院に預けたのは、今年1月半ばのことでした。5年前に亡くなった父が、最後の3年半を過ごしたよみうりランド慶友病院です。母は10年ほど前から認知症の兆しが表れ、ゆるゆるとしたペースで症状は進んでいました。父の入院以降ひとり暮らしになった母でしたが、昔、うちに住み込みでお手伝いをしてくれていた女性の「何か手伝えることがあれば」との申し出をありがたく受け、助けを借りることに。週末はきょうだいで泊まりのシフトを組み、加えてデイサービスを利用するなど、いろいろな手立てでやりくりしつつ、母の自宅での暮らしを支えてきました。けれど、この家での母の生活はそろそろ難しくなるかもしれない。そんな思いもあり、今年のお正月は親戚を集め、母との時間を過ごしながら新年を迎えることにしたのです。後で考えれば、これが母と迎える最後のお正月になったわけで、いいタイミングだったのかもしれません。母は、子ども時代の自分、つまり5人きょうだいの「末っ子みよちゃん」に戻っているようで、娘の私は母の「お姉ちゃん」、あるときは「おばあちゃん」に。私の弟たちは母の「お兄ちゃん」になったりするのですが、みんなに囲まれて機嫌よく、元気な顔を見せていました。母は昨年末から足元がおぼつかなくなっていたので、転倒など家の中での事故が心配でした。冷え込む冬は、血圧も気がかり。そこで「寒い時期だけでも」と、お正月ムードが落ち着いた頃にショートステイを利用することにしたのです。コロナ問題が深刻化したのはその後のこと。母を自宅に戻すタイミングを失っていた2月末、軽い脳梗塞を起こし、それを機に体が少しずつ弱っていきました。そんな母のそばについていてやりたいと思いましたが、コロナ感染対策で面会禁止に。ついに母を見舞うことさえできなくなりました。今だからこそ、新しい試みを私には兄が1人、弟が2人います。上の弟はアメリカのロサンゼルス在住。彼は母が脳梗塞で倒れた直後にロスから駆けつけましたが、しばらくして母の状態が落ち着いたのでアメリカに戻りました。けれどその後すぐに、アメリカでコロナの感染が拡大して。日本も海外からの入国を制限し、弟の再度の帰国は難しくなっていました。日本にいる私にしても、母の状態を知るすべは、病院との電話でのやり取りだけ。会えないというのは何とも不安なもので、担当医や看護師長さんから話をうかがっても、「とりあえず大丈夫そうだ」といった感じで、常にモヤモヤしたものを抱えていたんです。そんななか、病院に“リモート面会”を提案したのは、ロスの弟でした。モバイル端末をオンラインでつなぎ、画面を通して母に面会することはできないか、と。その報告を弟から聞いて慌てましたね。今、病院は院内感染対策でピリピリムード。目の前のことだけでも手いっぱいの時期に、そんなワガママな申し出は迷惑極まりないはず。対する弟の言い分は「今だからこそ、やるべきじゃないか」。ここで姉と弟のバトルが勃発しました。けれど、ありがたいことに病院側は弟の提案を院内で検討し、実現してくださったのです。LINEのグループビデオ通話機能を使って病室とつなぎ、ベッドで寝ている母とリモート面会が実現しました。私のスマホ画面に映った母の反応は鈍いけれど、ちゃんと生きている。動いている。その姿を実際にこの目で見るのと見ないのとでは、何と大きな違いがあることよ。「母さ~ん、佐和子だよ」と呼びかけながら、心から安堵しました。驚いたことに、病院からは「こんな時だからこそ、新しい試みに取り組むことが必要でした」と言っていただいて。後日、同じ病院にご両親を預けている友だちからも、「私もリモート面会をさせていただいたの。嬉しかった」と連絡があり、実行してよかったと思いました。生命が失われる過程を最期の瞬間までその後、母の容体は徐々に悪くなり、ついに病院から「すぐに来てください」との知らせが。すぐさま東京に住む下の弟が駆けつけ、続いて私が行きました。このときは家族が病室へ入ることを許されたのです。酸素マスクの中で激しい呼吸をする母。お医者さまによれば、「心臓が生命維持のために必死になって働いている。体の反応なので、お母さまにつらいという感覚はないはず」とのこと。意識はなくとも耳は聞こえているといいます。「父ちゃんのところに行くとまた大変だから、逝くのはゆっくりでいいよ」などと声をかけました。ロスの弟もスマホのビデオ電話で「母さ~ん」と呼びかけます。返事はありませんが。激しい呼吸が次第に静かなものに変わり、間遠になり、「これで最後か」と思ったら、また小さな呼吸が……。息をひきとるまでの7時間あまり、初めの激しい呼吸から、最後のひと呼吸に至るまで、私と下の弟2人で看取ることができました。父が亡くなったとき、臨終に間に合わなかった私はずいぶん泣いたものです。ところが、もっと悲嘆にくれてもおかしくないと想像していた母の最期に、私はさほど涙を流しませんでした。母の死を受け入れられない、というほどの激しいショックは、このときも、今もありません。なぜなのか……。母の生命が刻一刻と失われていく過程を最期の瞬間まで見届けたことで、時間をかけてその「死」を自分に納得させていく作用が働いたのではないでしょうか。大切な人の死に立ち会えなかった人はたくさんいます。それを思えば心苦しいのですが、「最期を看取る」ことの意味を実感したのも、確かです。母が亡くなった5月は移動や人の集まりに制限がかかった緊急事態宣言下でしたから、私たちきょうだいとその家族など、本当に近しい9人が参列するごく小規模な葬儀を執り行いました。ロスの弟はなんとしても参列したいと言いましたが、成田空港に到着したとしても、PCR検査と2週間の自主隔離が必須。それだけ長い時間足止めを食らうとなれば、葬儀への参列は不可能です。そこで、ご住職に頼んでお寺の本堂にパソコンを持ち込み、葬儀を中継することにしたのです。弟はリモートで参列。ロス側を映し出すパソコンの画面には、喪服を着て数珠を握り正座した弟とその妻、息子の姿が。弟一家ははるか遠く離れた場所から、ご住職の読経に手を合わせ、出棺までしっかり見届けることができました。高齢化時代の葬儀では、大切な人を見送りたくとも、参列するのが体力的に難しいという人は多いはず。しかも、暑かったり寒かったりで、これも体にこたえる。その意味でも、無理をせずにお別れができるのはありがたいことです。前例のない新しいことに対し、私のようなアナログ人間はつい腰が引けてしまうけど、一度やってみれば「あら簡単、これいいわ」となるわけで。「新しい生活様式」のひとつとして、ネットを活用した葬儀もあり、ではないでしょうか。常に父とともにあった母の得難い人生母のこれまでを振り返れば、すべてが父中心に進む家のなかで、父のワガママを常に「はいはい」と受け止めてきました。父と別個の人生なんて、母にはありません。私が母と2人でどこかに出かけた記憶もごくわずか。「お母さんを借りて出かけるから」と言えば、「困る」と父。「借りる」という感覚がそもそもおかしいのですが。見かねた知り合いが、父抜きの食事に母を誘ってくれたときのこと。父がすんなり許すはずはなく、実現のために画策しました。弟が父を誘って食事に連れ出す。その間、私は母を連れて知人の待つレストランへ、という算段。ところが食事のさなか、父がやってきたのです。「迎えに来た。どうせ同じところに帰るのなら、タクシーを2台使うのはもったいない」。知人とおしゃべりする余裕もなく、食事もそこそこに、母は父に拉致されるように帰宅したのでした。ただ、絶対君主の父に振り回されて母の人生が不遇だったかといえば、それは違う気がします。父は母がいないと機嫌が悪いぶん、どこへでも母を連れていきました。海外旅行では珍しい場所に行き、面白い人たちにもたくさん会った。なかなかできない得難い体験もいろいろあったはずです。また、自己中心な父のそばにいたおかげで、はたから見た母の点数は高かった。「かわいそうなみよちゃん」「耐えてよく頑張っている奥さま」というわけで、みんなから可愛がられていました。母にも欠点はあったはずだけど、父の毒の前に、すべて消えて見えない。黒の隣にいればグレーが明るい色に見える、というような(笑)。そうした役得もあって、父以外の人たちからは本当に優しくされた母の人生でありました。その母が認知症に……。父が高齢者専門病院に入院した段階で、母は自由な時間を手に入れたはずでした。私は前々から、いつか母と旅行しよう、温泉にも連れていこう、一緒に買い物もしよう、と考えていた。けれど、そのときすでに母の認知症は始まっていて、父が亡くなったら実行しようと思い描いていたことは、すべてできなくなっていたのです。それが何より切なくて……。私自身も、初めて訪れるはずだった母と娘の時間を奪われた気がして悔しかった。ただ、なったものはしょうがない。それまでの抑圧の反動で、認知症になった母が攻撃的な性格になるのではと危惧しましたが、そういうことはなく、パッパラパ~と突き抜けた感じに。もう父のごはんを作らなくていい、面倒を見なくていい。自由はきかなくとも縛られていたものから解放され、のびのびした時間を手に入れたのでしょう。そうなると、私が「母さん、たまにはごはんを作ってよ」と頼んでも、「エッ、私が?」。そして「お手洗いに行ってくる」と言って戻ってくると、「ふふふ~ん」と鼻歌まじりのすまし顔でソファに座ったまま動かない。再び、私「ごはん作って」、母「エッ、私が? お手洗いに行ってくる」……その繰り返し。こりゃ、ダメだ。(笑)変わりゆく母を受け入れられず、イライラした時期もありました。それは、まだ「頼れるちゃんとした母親」として見ていたから。やがて症状が進み、「これに着替えて」と服を差し出すと、パッと取って、「ぷうっ」と言って私に投げつけたり、セーターを脱ぐのに顔のところで引っかかった格好のまま動かず、ずっと立っていたり。そんな母を、自分がケアする側なんだと自覚すれば、幼子に対する母親のような気持ちになりました。母は明るくボケていき、こっちが笑っちゃうようなことをしてくれる。親のことをこう言うのもなんですが、実にチャーミング。その可愛らしさが介護の大変さを救ってくれました。死を知らせる作業にも意味がある父の死の前に認知症になってしまった母からは、「自分が死んだときはこうしてほしい」といった話を聞いたことはありませんでした。父のほうは生前、「俺が死んでも通夜、葬式はするな。香典や花も受け取るな」と口すっぱく言っていましたね。とはいえ現実にはそうもいかず、その死はマスコミを通してみなさんに知られるところとなり、小さな葬儀を執り行いました。次々と届く花、差し出される香典を突き返すことはできないし、受け取ったからにはお返しをするのが礼儀。香典返し、お悔やみの言葉を寄せてくださった方々へのお礼状の発送など、父の意に反してるなあと思いつつも、こなしたのでした。母が亡くなったときは、コロナ禍での葬儀であり、可能な限り小規模なものにするということはすんなり決まったものの、問題は母の死を親戚以外の誰に知らせるかということでした。父が亡くなってから、母を心配して「お母さま、お元気?」と電話をくださる方、季節の果物を送ってくださる方などが大勢いらっしゃったのです。せめてその方たちには知らせなければと作業を始めたところ、これがとにかく大変。連絡先がわからない人もいて、古い年賀状や手紙の類、品物の送り状などから探偵のごとく調べるわけです。電話で知らせるにも、相手はご高齢の方が多い。「まあ、佐和子ちゃん、ご無沙汰してます。お元気?」から始まり「コロナ、どうしてらっしゃる?」と続き、そのまま話していると1時間近くかかることも。1日に4件もこなすと、もうクタクタ。それが何日も続きました。ただ、回数を重ねるにつれ、これはすごく大事なことだと思うようになったのです。「いつも送っていただいたチョコレート、母は喜んで食べていたんですよ」とこちらが言えば、「そうそう、昔、こういうことがあったのよ」と話をしてくださる。ある方からは、「主人が亡くなってから世間とは無縁な生活をしておりましたけど、私のことを思い出し、知らせてくださって、本当にありがとう」と言われました。親の人間関係なんて、知っているようで知らないもの。私には「誰? この人」という人も、過去をたどることで「母とはそんなに古くからのつき合いなのか」などと知ることができ、母にとっていかに大事な人かがわかる。母の人生における人とのかかわりの一端を知ることになるのです。年をとるにつれて、世間とのコンタクトは少なくなりがちです。高齢者は社会からのリタイア者という見方をされてしまい、その人自ら、これまで巡り合った人々との交わりをキッパリ断ってしまうこともある。それを今さら復活させようというのではありません。ただ、放っておけば忘れるにまかせて終わってしまう人と人との関係を、母の死の報告により「つなぐ」ことができたのではないかと思うのです。葬儀にしても、参列することで久しぶりの顔に会える。みんなをつないでくれているのは、葬儀の主人公である故人なんですね。亡くなったことの知らせも、香典返しやお礼状も、面倒くさいけれど、そこには意味がある。死んでなおの母の教えですね。そこに気づいたのも、私自身、歳をとって、人生の残り時間が見えてきたからかもしれません。父を送り、母を看取り、では私の場合は……。そんなのわかりません。これまで目の前の危機をどう処理するかしか考えてこなかった私。どう倒れるか、どうボケるかも予測がつかないのですから。あっ、片づいていない部屋はどうしよう。それを考えると息苦しくなりますが。構成: 福永妙子出典=『婦人公論』2020年8月25日号エッセイスト、作家1953年、東京生まれ。慶應義塾大学文学部西洋史学科卒。エッセイスト、作家。99年、檀ふみとの往復エッセイ『ああ言えばこう食う』で講談社エッセイ賞、2000年、『ウメ子』で坪田譲治文学賞、08年、『婚約のあとで』で島清恋愛文学賞を受賞。12年、『聞く力――心をひらく35のヒント』が年間ベストセラー第1位、ミリオンセラーとなった。14年、菊池寛賞を受賞。
2022.02.22
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。誰もが気になる健康診断の指標といえば、血圧、血糖値、そして「脂質」。その脂質の2大要素と言えば、「中性脂肪」と「コレステロール」です。血液中の中性脂肪やコレステロールなどの脂質のバランスが崩れる「脂質異常症」で治療を受ける人は、約220万人以上(厚生労働省「患者調査」2017年)ですが、その予備軍の人を含むと10倍の2200万人にも上ると推計されています。脂質異常症のリスクが高まっても自覚症状はないため、放置しがちですが、その間に動脈硬化は確実に進み、やがて心臓や血管の病気へとつながる恐れがあります。そこで今回は、日経Goodayのこれまでの記事から、中性脂肪・コレステロール値を改善する食事のポイントを解説していきましょう。中性脂肪を下げる食事のポイントは3つ!中性脂肪を下げるために控えるべきは、脂質? それとも糖質?中性脂肪は脂質の仲間だから、脂っこいものを控えればいいと考えるのは早計だ。(c)YUTTADANAI MONGKONPUN-123RF/PaylessImages-123RF年末年始の食べ過ぎ・飲み過ぎで体が重い…という人も多いでしょう。新型コロナの感染拡大で外出も減り、例年以上に、体を動かさずに家の中で過ごすことになったかもしれません。そうした生活の“乱れ”が数値として顕著に表れるのが「中性脂肪」です。基準値を超えている場合は、そのままにしておくと動脈硬化を進めることは、数々の研究から明らかになっています。過剰になるとさまざまな病気のもととなる中性脂肪ですが、体の中で分解されないコレステロールに比べると、「減らしやすい」という特徴があります。中性脂肪は、ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動によって下げられるほか、食事による対策ももちろん有効です。ただ、中性脂肪と食事の関係について、多くの人が誤解していることがあります。例えば、「中性脂肪は、『脂肪』というだけに、肉類などの脂っこい料理を避ければ下がるはず」、そう思う人もいるかもしれません。しかし、脂質対策の専門家で数々の著書も手掛ける帝京大学名誉教授の寺本民生さんによると、それは誤解なのです。「血液中の中性脂肪の数値は、150mg/dLをボーダーとして、上回ると高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)と診断されます。150mg/dLを超えると動脈硬化を起こす恐れがありますが、特に200~300mg/dLくらい、中等度まで中性脂肪が上がるとそのリスクがさらに高まります。しかし、その場合、動脈硬化になりやすいものの、脂質の摂取を制限してもほとんど効果はありません」(寺本さん)では、脂質の代わりに何に注意すればいいのか。寺本さんが勧める中性脂肪を下げる食事のポイントは、脂肪よりも糖質を減らすこと。さらに、お酒をよく飲む人は、お酒を減らすことも大事なのです。そして、意識して摂取を増やしてほしいのが魚、特に青魚を食べることを勧めています。中性脂肪を下げるために「脂っこいものを避ければいい」は誤解なぜ脂質よりも糖質を減らしたほうがいいのでしょうか。「糖質は小腸で吸収・分解された後、肝臓に運ばれます。そして肝臓では、その糖質からグリセロール(グリセリン)を合成し、血液中の脂肪酸を原料にして、中性脂肪が合成されています。つまり、糖質をとればとるほど、合成される中性脂肪が増えていくのです」(寺本さん)一方、食事で摂取する脂肪(油)は、「体の中で燃焼し、エネルギーとして使われます。食べた脂肪の多くは燃焼し、一部は速やかに肝臓に運ばれるので、血液に影響を及ぼさないうちに運命を終えていきます」と寺本さんは解説します。食事からの糖質摂取を控えるといっても、どれぐらい減らせばいいのでしょうか。寺本さんは「むやみに糖質を減らしてはいけません」と注意を促します。「1日のエネルギーの半分くらいは糖質からとらないと、ほかの栄養とのバランスが悪くなります。糖質が減ったぶん、肉類などの動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂取が多くなると、悪玉のLDLコレステロールを増やすことにつながるからです。また、糖質は体の中でアミノ酸を作るプロセスにも関与しています。アミノ酸の中には生きていくうえで欠かせないものがあり、それが不足すると、うつ傾向になるなどの悪影響が出ることも考えられます」(寺本さん)寺本さんが勧めるのは、1日の摂取カロリーのうち、50%程度を目標に糖質をとること。一般に、糖質の比率は6割程度なので、それを2割程度、「ちょっと減らす」イメージと考えればいいでしょう。もちろん、いつもごはんを大盛りにしている人のように、もともと糖質をとり過ぎの人は、2割と言わずガッツリ減らしましょう。スイーツ好きの人も要注意です。体にゆっくり吸収される穀類と異なり、砂糖(ショ糖)は吸収されるスピードが速く、中性脂肪へと合成されるのも速いのが特徴です。ケーキなどの菓子類、ジュースなどのとり過ぎには注意しましょう。アルコールは中性脂肪の分解を邪魔してしまう!寺本さんは、中性脂肪が高い人の傾向として、「女性は甘いものの食べ過ぎ、男性はお酒の飲み過ぎの人が多い」と指摘します。通常、お酒をよく飲む人が気にするのは、γ-GTPなど肝臓の機能を表す数値でしょう。しかし、アルコールには肝臓で中性脂肪が分解されるのを抑え込む働きもあるのです。アルコールには、肝臓で中性脂肪が分解されるのを抑える働きがある。(c)wnaoki-123RF寺本さんは、個人差はあるものの、アルコールをやめると、中性脂肪の値は顕著に変わってくると言います。「中性脂肪が高い患者さんに、『1週間、お酒をまったく飲まないようにしてください』とお願いすることがあります。その後で、今度はいつも通りにお酒を飲んで1週間過ごしてもらいます。その2パターンの血液中の中性脂肪値を比較すると、ものすごく差が出ることがあります」(寺本さん)一方で、お酒には良い効果もあるといいます。「少量のお酒であれば、善玉のHDLコレステロールを増やす働きもありますから、必ずしも禁酒が必要というわけではありません。しかし、酒量が多くなれば、中性脂肪が高まる問題のほうが大きくなってしまいます」と寺本さん。つまりは「適量の飲酒」がいいということ。日本動脈硬化学会の「脂質異常症診療ガイド2018年版」では、お酒の摂取の目安として、「アルコール摂取を1日25g以下に抑える」ことを推奨していまず(*1)。アルコール25gとは、ビールなら大瓶1本に相当する量だ。もちろん、お酒に弱い人(顔が赤くなる人)や女性、シニアの人などはより少ない量にするのが望ましいでしょう。*1 厚生労働省の「健康日本21」で推奨する量は、1日のアルコール摂取量で20g(ビール中瓶程度)以下と、少し少ない。青魚のアブラ、EPA・DHAは積極的にとろう寺本さんが、中性脂肪を下げるために意識してとってほしいと話すのが「魚」。特に、青魚を積極的に食べるのが良いそうです。魚に含まれる、EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)などのn-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3)が体にいいことは広く知られている通り。それは中性脂肪に関しても例外ではありません。高中性脂肪血症の治療薬、つまり中性脂肪を下げる薬の中には、EPAを含む薬(EPA製剤)もあります。「中性脂肪を下げる薬として存在しているように、オメガ3には中性脂肪を下げる効果があります。食事由来のオメガ3の摂取によって大きく下がるとまでは言えませんが、ある程度の効果が期待できます」(寺本さん)そして、「魚をたくさん食べた人は心筋梗塞の発症率が低いというデータも出ています(下図)。やはり魚が体に良いのは間違いありません。積極的にとるようにしてください」(寺本さん)魚を週8回程度食べる人は、週1回の人と比べると、虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)のリスクが4割、さらに心筋梗塞と診断が確定された場合に限ると6割もリスクが低かった。(Iso H, et al. Circulation. 2006 Jan 17;113(2):195-202.)運動に励んでも、悪玉のLDLコレステロールを減らす効果は少ない悪玉コレステロールを下げるのは運動? それとも食事?健診結果の脂質のデータが基準値を超えると「脂質異常症」と診断されます。中でも、悪玉のLDLコレステロールが140mg/dL以上だと高LDLコレステロール血症、善玉のHDLコレステロールが40mg/dL未満だと低HDLコレステロール血症となります。コレステロール対策のポイントは以下の通り。悪玉のLDLは食事で下げ、善玉のHDLは運動で上げるのが基本。逆に、悪玉は運動ではあまり下がらず、善玉も食事ではあまり上がりません。「LDLコレステロールが高いタイプの人に効くのは運動より食事です。LDLコレステロールを下げるカギ、『LDL受容体』の働きが良くなるような食材を選ぶことが大切です」と寺本さんは解説します。LDL受容体とは、細胞の表面にある鍵穴(ゲート)のようなもので、多くは肝臓の細胞に存在します。体がコレステロールを必要としたときに、細胞の表面に鍵穴が出てきて、血液中のLDLコレステロールは鍵を差し込むようにして細胞内に入り込んでいきます。そうやってLDL受容体がLDLコレステロールを受け入れると、血液中にたまらずに済むというわけです。悪玉コレステロールを下がりにくくする食材とは?だが、困ったことに、この鍵穴、LDL受容体の作用を邪魔するものが存在します。それが動物性脂肪に含まれる飽和脂肪酸です。「飽和脂肪酸には、LDL受容体の合成を抑え込む性質があります」と寺本さん。鍵穴(LDL受容体)が、鍵(LDLコレステロール)と合わないように邪魔してしまうため、飽和脂肪酸を多く含む動物性脂肪をたくさん食べれば、血液中のLDLコレステロールが過剰になってしまいます。動物性脂肪を多く含む食材は、牛肉、豚肉などの「肉」、バターやチーズ、牛乳、ヨーグルトなどの「乳製品」などがあります。もちろん重要なたんぱく源でもあるためゼロにする必要はありませんが、とり過ぎは禁物。肉食に偏っている人は、魚や大豆製品などの比率を上げるようにしましょう。LDLコレステロールが高い人の場合、鶏卵や魚卵、レバーなどに代表されるコレステロールが豊富な食材も控えることが必要になります。食品として摂取するコレステロールは、動物性脂肪ほどには、LDLコレステロールを上げないものの、すでにLDLコレステロールが高い人は、やはり控えなければならないのです。日本動脈硬化学会「脂質異常症診療ガイド2018年版」でも、LDLコレステロール値が高い「高LDLコレステロール血症」の人は、1日200mg未満を目指すよう推奨しています。「食事から摂取したコレステロールが体に吸収されやすいかどうかは、個人差が大きく、体質によって異なります。コレステロールが多い食材として知られる卵(鶏卵)を食べても、それほど影響が出ない人がいるのも確かです。しかし、脂質異常症の中には、コレステロールの摂取量が多いために発症する人は確実にいます」(寺本さん)コレステロールを多く含む食品例卵全卵(鶏卵) 1個(50g)210mgレバー鶏レバー(50g)185mg牛レバー(50g)120mg魚介類うなぎ(100g)230mgシシャモ(50g)115mgイクラ(50g)240mg洋菓子カスタードプリン(100g)140mgシュークリーム(100g)230mg(「日本食品標準成分表2015年版(7訂)」より算出)つまり、第1優先は飽和脂肪酸のとり過ぎを控えること、そして第2が食事由来のコレステロールの摂取を控えること、と考えればいいでしょう。「飽和脂肪酸の摂取が血中コレステロール値に及ぼす影響は、食事由来のコレステロールより大きいことが明らかになっています(*2)。コレステロールが多い食材より、飽和脂肪酸の摂取を減らすことを優先するほうが現実的です」(寺本さん)動物性脂肪に含まれる「飽和脂肪酸」はLDLコレステロールを上げますが、同じ脂肪酸の仲間、「不飽和脂肪酸」にはLDLコレステロールを下げるとされるものがあります。その1つが、先に登場したオメガ3に分類されるEPAやDHAです。サバやイワシ、サンマなどの青魚に豊富な成分で、動脈硬化を進みにくくすることで知られています。*2 米国の生物学者アンセル・キーズ博士は1965年、血中のコレステロール値と食事由来の各脂肪酸との関連を示す式を提唱している(Metabolism. 1965;14(7):776-87.)。そこでは、飽和脂肪酸と食品由来のコレステロールが血液中のコレステロール値を増加させ、多価不飽和脂肪酸は低下させることが示されている。そして、飽和脂肪酸と食事由来のコレステロールでは、飽和脂肪酸の影響が大きい。ここまで紹介したLDLコレステロール対策の他に、積極的にとったほうがよい食材として、寺本さんは、大豆を使った食材、そして食物繊維の摂取がお勧めだと話します。「血中コレステロールを改善させる方向に作用する食材はいくつかあります。その1つが、豆腐や納豆など、大豆を原料とする食材です。大豆に含まれるイソフラボンには、LDL受容体の数を増やす効果があると言われています。また、野菜やきのこに多い食物繊維には、コレステロールの吸収を抑えて体外へ排出しやすくする働きがあります」(寺本さん)善玉のHDLコレステロールを上げる、最善の手段は「運動」続いて、善玉のHDLコレステロールの対策を紹介しましょう。善玉のHDLコレステロールを上げるには、食事を工夫してもそれほど効果がない、と寺本さんは話します。「食事より、運動が効きます」と寺本さん。「運動によって善玉HDLコレステロールが上がる理由は諸説ありますが、まだ詳細は明らかになっていません。しかし、国内でもウォーキングの歩数が多いほどHDLコレステロール値が高い傾向があることが確認されています(下図)。HDLコレステロール値が運動によって改善することは、データの上では明らかです。また、マラソン選手のHDLコレステロールはとても高いことが知られています」(寺本さん)(国立健康・栄養研究所「国民栄養調査」1991年を参考に作成)いくら運動をしても、コレステロールは体の中で分解されないため、悪玉のLDLコレステロールを下げることは困難。しかし、運動すれば、中性脂肪を燃焼させて減らすことができます。中性脂肪とHDLコレステロールの間にはシーソーのような関係があり、中性脂肪が下がれば、HDLコレステロールが上がるという性質があります。現時点では、HDLコレステロールを増やすことを目的とした薬剤は存在しないため、運動はHDLコレステロールを上げる最善の手段といっていいでしょう。HDLコレステロールに効く運動とは、ウォーキングに代表される「有酸素運動」です。少し汗ばむ程度で、軽く息が上がるくらいの運動がベストで、激しすぎる必要はありません。大切なのは、ダラダラ動かず、キビキビと体を動かすこと。欲を言えば1日30分、毎日続けるのが理想ですが、あまり気負わず、週3日以上を目標にして始めるといいでしょう。また、この1日30分の運動は、例えば、10分間の運動を、朝昼晩と3回実施しても構いません。日経Gooday編集部
2022.02.22
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下記の記事は日刊ゲンダイヘルスケアデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。 糖尿病をはじめ、生活習慣病予防に運動がいいことはよく分かっているが、仕事や家事、育児で忙しくて運動をする時間がない……。自分自身に置き換えても、その気持ち、理解できます。運動する時間があれば、寝たり休んだり、家族とのだんらんや趣味の時間に使いたいですよね。 米国心臓協会は、成人向け運動ガイドラインで、週にウオーキングなどの中強度の運動を150分以上、あるいはランニングや水泳などの高強度の運動を75分間行うことを推奨しています。 しかし近年、日常的に使えるスマートフォンの健康アプリやウエアラブルデバイスが登場したことで、ウオーキングの歩数やさまざまな体の動きを測定できるようになり、さらに一歩踏み込んだ運動に関する研究結果が発表されています。 参考になるのが、米ノースカロライナ大学の発表。2011年から15年にかけて、60歳以上、平均72歳の女性1万6732人にウエアラブルデバイスを身につけてもらい、週4~7日間の身体活動を追跡。 そして短い時間での身体活動の内容を「中断の少ない10分以上のウオーキングなどの運動」「掃除や洗濯などの家事、階段の昇降、車まで歩くなどの日常での移動や運動」の2種類に分け、さらに19年まであらゆる原因による死亡について調査しました。 すると、1日2000歩以上の人は死亡リスクが32%減少したのですが、特に運動をしていなくても1日の歩数を1000歩増やすだけで、歩数が少ない場合に比べて死亡リスクが28%減少。長生きするには1日4500歩増やすと最高とのことですが、何もそれはウオーキングのような「中断の少ない10分以上の運動」でなくてもよいとの結果でした。■座る時間を少し減らすだけでもOK カリフォルニア大学の研究でも同様の結果が出ています。同大学の学生を対象にしたこの研究では、長時間座っていると、心臓病、がん、うつ病、2型糖尿病、肥満などのリスクを高め、1時間に1回は立ち上がって体を動かすと、そのリスクが低くなるとのこと。 1日の歩数を1000歩増やそうと思ったら、10分くらい歩けばいいといわれています。10分=1000歩。これくらい、何てことなく稼げそうじゃありませんか? それも、10分間歩き続けなくてもいいのです。 1回買い物に出掛ければ、家から店までの往復と、店内を見て回る時間とで、10分なんてすぐです。「1日1000歩増」は、日常生活の中ですぐに実現できてしまう目標設定なのです。 5分、いえ3分、いえいえ1分でもいい。立ったり動いたりする回数をできる限り多くする。必要なのは「体を動かそう」という気持ちだけ。 在宅勤務で毎日通勤しないようになった人は、歩数獲得の貴重な機会がなくなってしまいました。コロナ感染拡大が言われるようになって1年半足らず、在宅勤務中心の人はその働き方が今後も変わらないでしょうから、歩数減少が将来の身体の健康へ与える影響は想像以上だと考えられます。日常生活の中でちょっとだけ活動量を増やすことを習慣化できればベスト。座っている時間を、少し短くするだけでもいい。「1時間仕事したらトイレに行ったり洗面所で歯磨きしたりする」「昼の休憩時間で家や会社の周辺をぐるりと歩く」「駅から自宅までの帰り道、近道ではなくやや遠回りをする」など、自分ができる範囲で行ってみてください。坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。
2022.02.22
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下記の記事は日刊ゲンダイデジタル様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。眞子さんの結婚問題が批判されていた当初、さすがに秋篠宮さまへの批判にはならないだろうと言われていたのが、いまや現実になっている。「自由すぎた子育て」「家長としての権威失墜」など、秋篠宮さまに厳しい声が多い。それを見ていると、今後、何がきっかけで天皇批判につながるかわからない怖さを感じる。象徴天皇制は国民に支えられていることは確かだが、国民の人気によって天皇の評価がコロコロ変わるようになれば深刻な問題だ。人気というのは群集心理のようなものである。群衆は保守的というか、多数に同調した方が安心できるから、どうしても同調圧力が強くなる。田島道治の「昭和天皇拝謁記」の中で、昭和天皇は開戦に至った経緯について、たびたび軍の「勢い」を止められなかったからと述べているが、戦前の天皇ですらどうにもできなかった「勢い」こそ、群集心理が生み出したものだろう。未来の天皇が、人気という「勢い」に右往左往するなんて、あってはならないことである。 最近「ハイブリッド戦」といって、相手国を分断して社会に亀裂を起こさせるために偽情報を流すことが常態化しているそうだ。仮に中国が天皇の権威を失墜させるために偽情報をメディアやSNSに流したとする。国民が人気に右顧左眄していると、簡単にだまされて皇室批判の大合唱になりかねない。そうなったら象徴天皇制は維持できなくなるだろう。 戦前は、皇族の結婚相手は同族(皇族)か勅旨により認められた華族と定められていた。天皇が認めた華族とは近衛家、九条家など五摂家のことである。五摂家なんて庶民には縁のない雲上人のような存在だから、それだけでも天皇は別世界の人だった。そのうえ明治政府は、天皇家の「万世一系」を演出するために、義務教育をはじめあらゆる手段を利用した。各地の古墳を大した根拠もなく天皇陵にしてしまったのもこの時期だ。そのおかげで国民の間に、天皇はさらに特別な存在として刷り込まれていった。天皇、皇后両陛下と長女・愛子さま(C)共同通信社拡大する ところが日本の敗戦によって、私たちは皆平等になった。今それを疑う人はいないだろう。平等である相手に対して、「畏敬」や「敬意」を表したくなる人物といえば、よほど傑出した人物ではないと無理だ。それを、天皇だからといって、いまはかなえられる時代ではない。■「特別な存在」や「国民に寄り添う」に続く次の天皇像がつくれない危機ともがき「平民」から嫁いできた美智子さまは大スターとして国民の歓迎を受けたが、美智子さまの場合は「平民」といってもハードルは低かったともいえる。私たちと同じ民間人といっても、財閥系大企業の令嬢であり、聖心女子大を首席で卒業したという、一般庶民には手の届かない女性だったからだ。もちろんそれだけでなく、皇后になると天皇と共に「国民に寄り添う天皇」を試行錯誤されながら象徴天皇像を築き上げたのだから、国民はそんな両陛下に自然と頭が下がったのだろう。時代に合わせて、これからも皇室はさらに開かれていくだろうが、それでも天皇は特別な存在でなければならない。何が「特別な存在」なのかは、その時代で変わってくるのだろうが、もし国民の人気に左右されるようなことにでもなれば、それこそ象徴天皇制を不安定にさせる。仮に「愛子天皇」が実現したとしても、国民の人気に一喜一憂しないといけないなんて、こんなバカバカしいことはない。日本国憲法下ではすべての国民は平等だが、天皇は例外なのだ。国民に人気があるかどうかに関係なく、天皇が国民から敬愛されるにはどう演出すべきか。上皇上皇后が築いた「国民に寄り添う天皇」を超える新たな天皇像が求められているのかもしれない。 時代に歩調を合わせるのはいいが、時代に流された皇室は消えてしまいかねない。
2022.02.22
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下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。生物学的な老化が早い人は、認知機能、身体機能、見た目の老化も進む2021/8/3 大西淳子=医学ジャーナリスト世の中には、同じ年齢なのに若く見える人と老けて見える人がいますが、実際に、生物学的な老化のスピードには大きな個人差があり、この違いが体のさまざまな機能の老化にも関係していることが、ニュージーランドの住民を対象に行われた研究で示されました。45歳時点で生物学的な老化が進んでいる人は、認知機能や身体機能の老化も進んでおり、見た目も老けて見えることが分かりました。同じ年齢でも老化のスピードには大きな差が…(写真=123RF)同年齢の住民を20年間追跡し、生物学的老化のスピードを比較一般に、年齢が上がるにつれて、心臓病、糖尿病、がんといった慢性疾患のリスクが上昇し、筋力、聴力、記憶力などの能力は低下していきます。高齢者に対する年金制度や福祉政策は、原則として実年齢に基づいて対象者を限定していますが、実際には、元気で自立した生活を送れている90代もいれば、60歳になっていないのにいくつもの病気や認知機能の低下に苦しんでいる人もいます。著者らは、実年齢だけを指標にする支援システムは完全とは言えないのではないかと考えました。また、高齢になるほど発症リスクが高まる慢性疾患は、生物学的な老化を遅らせることによってまとめて予防できる可能性があります。予防効果を最大にするためには、そうした努力を中年期には開始する必要があると考えられています。しかし、そうした努力が必要な、老化のスピードが速い人をどうやって見つけ出せばいいのでしょうか?そこで著者らは、実年齢が同じ人々の生物学的な老化のスピードを比較することにしました。同年齢の1000人余りの老化の進行を、45歳まで追跡分析対象となったのは、ニュージーランドのダニーデン市に住む、1972~73年生まれの1037人です。これらの人たちの、26歳から45歳までの20年間の老化の進行を追跡しました。具体的には、心血管系、代謝系、免疫系、腎臓、歯、肺の機能を反映する19のバイオマーカー(下囲み参照)の状態を26歳、32歳、38歳、45歳の時点で評価し、参加者1人1人について、個々のマーカーの年間変化率を合わせて老化速度としました。参加者全体の平均を参照値とし、ここに該当する人は、実年齢が1歳上昇するごとに生物学的年齢も1歳上昇する、としました。生物学的老化の指標となる19のバイオマーカーBMI(体格指数)、ウエスト/ヒップ比、HbA1c、血清レプチン値、血圧、心血管フィットネス(最大酸素摂取量)、肺機能(1秒量、FEV1/FVC〔1秒量/努力肺活量〕)、血中脂質量(総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール)、リポ蛋白(a)、アポリポ蛋白B100/アポリポ蛋白A1比、推算糸球体ろ過量(eGFR)、血中尿素窒素、高感度CRP(C反応性たんぱく)、白血球数、歯周組織の減少、う歯(虫歯)個々の参加者の20年間の老化のペースはさまざまで、最も遅い人では実年齢が1歳上昇するごとに生物学的には0.4歳しか年を取っておらず、最も早い人では同じ期間に2.44歳も老化していました。著者らは続いて、老化のペースが速い人について、45歳時点で「認知症と関連づけられる老化のサインが脳に見られるか」「認知機能の低下が進んでいるか」「感覚・運動機能に低下が見られるか」「外見が老けて見えるか」「老化についてどう考えているか」「周囲の人からどう見られているか」について検討しました。老化のペースが速い人では、45歳時点で既に、頭部MRI画像に、大脳皮質が薄い、海馬の体積が小さいなどの変化(認知機能の低下と神経変性疾患のリスクが高い高齢者に認められるような変化)が生じていました。老化のペースが速い人は、認知機能検査のスコアも悪く、45歳時点でもさまざまな種類の認知機能に低下が見られました。また、老化速度が遅い人に比べ、早い人では、45歳時点のIQが有意に低くなっていました。日常生活においても、記憶力が低下しており、注意に欠けることが多く、たとえば財布や鍵、眼鏡などを置き忘れる、用事をし忘れる、といったことを経験する頻度が高いことも分かりました。フレイル(転倒リスク、介助が必要になるリスク、死亡のリスクが高い虚弱状態)の高齢者を同定するために用いられる感覚・運動機能(歩行速度、握力、視覚コントラスト感度、聴力)の評価の結果も、老化のペースが早かった人では、軒並み低くなっていました。生物学的老化のペースが速い人は、外見も老けて見える45歳時点で老化のペースが速かった集団では、「年を取り、ものごとが悪化している」「若いころに比べて幸せではない」「あまり健康ではない」「実年齢より老けている」「顔が同年齢の人に比べて老けている」「75歳を過ぎて生きているとは思えない」と考える人が多く、友人や周囲の人から健康状態が悪いように見られる、外見が実年齢より老けていると見られる人が多くなっていました。これまでに行われた高齢者を対象とする複数の研究でも、「自分が老人である」と感じている人はその後、比較的若いうちに加齢関連の疾患と診断されて死亡することが多いと報告されています。得られた結果は、人間の生物学的年齢には45歳の時点で統計学的に有意な差が生じており、老化のペースが速い人には、加齢に関係する機能の低下が生じていることを示しました。著者らは、「中年期に対策を取れば加齢に関連した慢性疾患のリスクを低減できるかどうかを、無作為化試験を行って調べる必要がある」との考えを示しています。もしかしたらもっと前から、前向きな考えを持ち、健康的な生活を心がけ、健康診断を受けて、慢性疾患の危険因子を修正していく必要があるのかもしれません。著者らはまた、「老化のペースが速い人には、実年齢ではなく、生物学的な年齢に基づく支援を行う社会の構築が必要ではないか」との提言も行っています。論文は、2021年3月15日付のNature Aging誌電子版に掲載されています(*1)。*1 Elliott ML, et al. Nature Aging. 2021; 1:295-308.大西淳子(おおにしじゅんこ)医学ジャーナリスト筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。
2022.02.22
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。未婚男性は未婚女性より約340万人も多いという「男余り現象」については、こちらの記事(『「未婚男性」は未婚女性より340万人超多い現実』)で紹介しました。20~50代でも約300万人の男余りです。これだけ「男余り」ならば、結婚したい女性はよりどりみどり、婚活には苦労しないようなもの、と思うのですが、どうやら現実はそうでもないようです。婚活の現場では、「そもそも男性の絶対数が少ない」「男性参加者が少なくて、婚活パーティーが単なる女子会になってしまう」などという声も聞かれます。未婚男性の絶対数が多いのに、婚活の現場ではどうしてこうした逆転現象が起きるのでしょうか?結婚したい男女は9割の誤解その1つの理由は、未婚男性だからといって全員が「結婚したい男」ではないからです。よくテレビや新聞などで「出生動向基本調査によると、結婚したい男女は9割もいる」という言説が流れますが、あれは正しくありません。以前、こちらの記事(『「独身の9割が結婚したい」説の根本的な誤解』)で詳しくお伝えしましたが、この結果というのは、「いずれ結婚するつもり」か「一生結婚しないつもり」かの二者択一の質問に対する回答なのです。どちらか1つを選べと言われれば、よほど結婚したくないと思っていない限り「いずれ結婚するつもり」を選ぶでしょう。出生動向基本調査では、それに続いて、「1年以内に結婚したい」「理想の相手ならしてもよい」という結婚前向き派か、「まだ結婚するつもりはない」「一生結婚するつもりはない」という結婚後ろ向き派か、という質問もしています。それによれば、結婚に前向きな18~34歳までの未婚男性はたったの4割程度しかいません。一方、同じ年齢の女性でも5割です。二者択一の無理やりな選択で「結婚するつもり9割」だとしても、実際、結婚意欲があるといえるのはその半分程度であり、この傾向は30年前から変わっていません。そして、重要なことは、男女の間には1割の乖離があるということです。2015年の出生動向基本調査から年齢別にその詳細を見てみましょう。結婚意欲は女性のほうが高い20~39歳までの年齢では、すべて女性のほうの結婚意欲が高いことがわかります。男女差分でいえば、25~29歳が16%も女性の結婚意欲が高くなっています。つまり、未婚者の絶対数では「300万人の男余り(20~50代の場合)」ですが、結婚意欲に関しては女性のほうが上回っているのです。単に未婚男性の人口が多くても、結婚意欲がない相手では結婚の対象にはなりえません。この結婚意欲の違いを、結婚適齢期といわれる20~34歳までの未婚男女の人口差にあてはめてみましょう。単純な未婚男女の人口差では、99万人もの男余りです。しかし、結婚意欲の違いを乗じると、結婚したい人口は男299万人に対して、女308万人と、男女逆転して約9万人の女余りとなってしまいます。20代だけに限ると、未婚人口差では55万人の男余りなのに対して、結婚したい人口で考えると25万人も女余りになるということです。これが、男余りといいながら、実際の婚活において女性が苦労する要因なのです。※結婚したい人口は未婚人口に結婚前向き率(少数点以下の値も含む)を乗じて算出した。仮に、20~34歳の結婚したい男性との比較で9万人の女余りだとしても、「その程度なら、まだまだ希望はある」と思われるかもしれません。しかし、結婚したい女性にとっては、さらに残念な事実があります。2018年内閣府の実施した「少子化社会対策に関する意識調査」[結婚を希望している者で結婚していない20~49歳の女性を対象、n(調査数)=1343]によれば、女性が希望する相手の理想の年収は、400万~500万円が26.2%と最も多く、全体の72%が400万円以上を希望しています。あくまで希望ですから、それをとやかく言うつもりはありませんが、20~34歳の未婚男性の年収分布は、400万円未満で81%を占めます(年収額不明を除く)。400万円以上ある未婚男性は2割弱つまり400万円以上の年収のある未婚男性はたったの19%しか存在しないのです。差引き、53%の婚活女性は余ることになります。前述した結婚したい未婚女性人口である308万人にこの53%を乗じると、163万人もの婚活女性は希望どおりにならないという結論になります。経済的にも自立し、結婚する必要性を感じなくなり、あえて自発的に選択して未婚の道を突き進むソロ女ならまだしも、結婚したいのに希望する結婚相手がいない女性が163万人もいるというのは、残酷な現実かもしれません。とはいえ、今回の記事での試算は、あくまで男女とも20~34歳の同年代でのマッチングという前提でした。つい先日、落語家の春風亭昇太師匠が、59歳のアラカン初婚にして、19歳年下の元タカラジェンヌと結婚したというニュースが話題になりました。婚活女性は、年齢が同じくらいの相手だけではなく、年上男性に対象の範囲を広げてみてはどうでしょうか?対象を50代まで拡大したうえで、「結婚したい人口」と年収400万円以上の条件を加味して再計算した結果が以下の表です。女余りは解消できたでしょうか?残念ながら、結論から言うとできませんでした。女余り数は20~34歳と比べて、むしろ増加して約192万人に膨れ上がってしまいます。年齢層を50代まで拡大したことで、対象相手の男性人口も増えますが、同時に、当然女性側のライバルも増えます。何よりつらいのは、希望年収条件です。50代まで拡大したとしても、全国で400万円以上の年収のある未婚男性はたったの27%にすぎません。それだけでも44%の女性があぶれます。400万円以上の相手を希望すること自体、無理なのです。希望年収を300万円台にするとちなみに、年収条件をもう100万円落として、300万円台にすると、対象者は50%まで広がります。事実、就業構造基本調査によれば、アラサーで結婚している男性の4人に1人は年収300万円台です。そこがメインボリューム層なのです。希望年収については、300万円台あたりに落として妥協しないと、どうにもならないのが現実です。さらに、追い打ちをかけるようですが、たとえ300万円台に条件を下げたとしても158万人の女余りであることに変わりません。もう八方ふさがりです。結婚したい男女が集う婚活の現場で、希望にかなう相手を見つけようと思っても、基本的には女性が余るという構造は変えられません。ただし、この計算の中には、結婚意欲のない残り半分の未婚男性が除外されています。年収条件を度外視すれば、20~34歳で結婚意欲のない未婚男性は、364万人もいます。この中には、今現在は学生であったり、働いていても収入が少なかったりする男性も含まれます。が、今はそうでも、将来性のある人もいるでしょう。これまで説明してきたように、結婚したいという男性の中から希望の相手を見つけるのは、極めて厳しい戦いが予想されます。あえて、そこでは勝負せず、ブルーオーシャン戦略を取るほうが賢明かもしれません。思えば、皆婚が実現できていたのは、お節介なお見合いおばさんや強引な職場の上司など、誰かの後押しがあったからこそ実現できたものです。そうした時代に戻ることはありませんが、この連載で何度も説明しているとおり、しょせん7割の男は恋愛や結婚に関しては受け身です。待っていたらどうにもなりません。どうしても結婚したいと強く願う未婚女性は、「今は結婚なんて別にしたいと思わないなあ」という結婚意欲の薄い未婚男性にターゲットを絞って、彼らをどうやったら動かせるかの「お膳立て」を考えるほうが得策なのかもしれません。荒川 和久 : 独身研究家、コラムニスト
2022.02.21
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。今、アンデシュ・ハンセン博士による『スマホ脳』が日本で話題を呼んでいます。スマホを長時間使用したことで成績が低下してしまった子どもたちの脳には、いったい何が起きているのでしょうか??東北大学加齢医学研究所の所長、川島隆太氏が上梓した『最新研究が明らかにした衝撃の事実――スマホが脳を「破壊」する』を一部抜粋・再構成してお届けします。私は東北大学加齢医学研究所で、2008年より認知機能発達寄附研究部門も主宰しています。この部門では、健康な児童・生徒の認知機能と脳の発達、発達障害を持つ方々の認知機能と脳の発達について研究を続けています。この寄附研究部門の研究の1つとして、脳構造のMRI画像解析による脳発達研究を行っており、横断的調査による児童・生徒の日常生活習慣と認知機能や脳形態の関係の解析、3年間の追跡調査による日常生活習慣と認知機能発達や脳発達の関係の解析を行ってきました。驚くべき結果が得られたその中で児童・生徒の3年間の脳発達とインターネット利用頻度の関係を解析し、驚くべき結果を得ることになりました(文献1)。図1をみてください。脳の模型図に色がついています。図のAは脳の模型を右横からみたものです。前方(額側)が図の右側、後方が図の左側にそれぞれあたります。図のBは同じ脳の模型を左側からみた図で、前方が左側、後方が右側に対応します。図1:本書より引用仙台市在住の5歳から18歳の児童・生徒224名の3年間の脳発達の様子を、MRI装置を使って観察しました。図で赤い色のついている領域は、インターネット習慣が多いことが原因で大脳灰白質体積の増加(発達)に遅れが認められた領域を示します。赤の色が濃いほど、遅れの傾向が強いことを示します。大脳灰白質とは、大脳皮質とも呼ばれ、神経細胞層を意味します。脳の活動は、神経細胞が活動し、その電気的な情報が他の神経細胞に伝わることで成立します。大脳灰白質体積が増加するということは、脳活動がより高度に成長していくことにつながっているのです。より専門的にいえば、大脳の場所ごとに発達のスピードやタイミングは異なるのですが、いずれにせよ成長に伴う大脳灰白質の発達に抑制がかかっているのであれば、事態は非常に深刻です。身体で譬(たと)えれば、成長期の子どもたちの身体の発達が3年経過してもほとんど認められないことと同じなのです。実験方法の概略ですが、一度目のMRI検査時に、その時のインターネット習慣をアンケート調査で調べました。そして3年後にもう一度MRI検査を行い、3年間の脳発達に伴う大脳灰白質体積の増加を計算しました。インターネット習慣に関しては、「使わせない」「まったくしない」「ごくたまに」「週に1日」「週に2~3日」「週に4~5日」「ほとんど毎日」の7群に分けました。そして1回目に調査したインターネット習慣が3年間の脳発達に与える影響を統計的に検証しました。すると1回目の検査時では、大脳灰白質体積に群間差はなかったのですが、3年後にはインターネット習慣に応じた発達の差が認められたのです。図2:本書より引用図2をみてください。これは個人のデータをプロットした(グラフの中に書き込んだ)ものです。点線は平均値を示します。横軸はインターネット習慣(7群)、縦軸は3年後の全脳の灰白質体積(cc)の増加を表します。統計処理にあたっては、家族の数、家庭の年収、両親の教育歴、居住地、睡眠時間、頭蓋容積の影響が結果に反映されないようにしています。データ解析について詳細に説明すると専門的になりすぎるので、具体的なことを知りたい方は原著論文(文献1)を読んでみてください。毎日ネットを使用する子どもの脳インターネット習慣がない、あるいは少ない子どもたちは、3年間で全脳の灰白質体積が増加しているのに対して、ほぼ毎日インターネットを使用する子どもたちの全脳の灰白質の発達に注目すると、増加の平均値はゼロに近く、全脳の灰白質の発達が3年間でほぼ止まっていることがわかります。図1:本書より引用もう一度図1をみてください。大脳灰白質の発達が特に悪くなっている領域に色がついています。前頭葉、側頭葉、小脳など多くの領域に悪影響が出ていることが読み取れます。もちろんこのデータはインターネット習慣との関係をみたもので、スマホ習慣との関連を直接調べたものではありません。ただ内閣府のデータをみても中学生の65.8%、小学生では40.7%がスマホを使ってインターネットを利用していることがわかっていますので、スマホ使用との関係があることが推測できます。ところで認知機能、すなわち脳の機能は、大脳灰白質の体積だけで決まるわけではありません。情報処理機器としての「脳」を考えると、神経細胞のネットワーク自体が大事だという考え方もあります。そこで神経細胞のネットワークの部分、すなわち神経線維層である大脳白質の3年間の発達に関しても、MRI画像で同様に調べてみました。図3:本書より引用図3をみてください。この図は脳を3方向から断面にしたものです。Aが脳を横に切った図。向かって左が左脳であり、上は前方に対応しています。Bは脳を縦に切った図。向かって右が前方に対応しています。Cは脳を水平方向に切った図。上半分が左脳で下半分が右脳であり、そして右側が前方ということになります。ネットの使用頻度が高いと悪影響色のついている部分は、3年間の脳の成長を追跡した結果、インターネット習慣が多いほど大脳白質の発達が統計的に有意に遅くなっていると判断された領域です。MRI画像上、局所の白質密度が3年間の成長で増えていない、すなわち成長に伴う白質の発達が認められない領域を意味しています。インターネット使用の頻度が高いと、大脳灰白質や小脳内を結ぶほとんどの神経線維の発達に悪影響が出ていることがわかります。図4:本書より引用図4の見方は図2と同じです。横軸はインターネット習慣、縦軸は3年後の全脳の白質体積(cc)の増加を表す指標(統計処理後の指数)です。大脳全体でみても、インターネット習慣が多いと白質の発達が悪くなることがわかります。ほぼ毎日使う群では、3年間でほとんど発達が認められません。この調査では子どもたちの知能指数を、16歳以上の被検者では世界標準の知能検査であるWechsler Adult Intelligence Scale-Third Edition (WAIS-III)で、それ未満の被検者では同じく世界標準の知能検査であるWechsler Intelligence Scale for Children-Third Edition (WISC-III)を使って計測しています。その結果、インターネット習慣の頻度が高いと、3年の間に言語性知能が低下することもわかりました。スマホ使用が学力を低下させる原因が、何となくみえてきました。おそらくスマホによる頻回のインターネット使用によって、脳発達自体に障害が出ていたと思われるのです。前述のデータをそのまま当てはめて考えると、スマホを毎日高頻度に使う子どもたちの脳は、3年間という期間でみると大脳全体の発達がほぼ止まってしまっていたため、勉強しようがしまいが、睡眠を充分にとろうがとるまいが、学力が上がらなかったと推測できます。スマホが破壊していたのは学力ではない『最新研究が明らかにした衝撃の事実―ースマホが脳を「破壊」する』(集英社新書)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします極端な話かもしれませんが、例えば中学3年生で考えれば、スマホを1時間未満しか、もしくはまったく使っていない生徒は中学3年生なりの「脳」を持っているのに対し、スマホを高頻度で使う生徒の「脳」は小学6年生のままである可能性があるのです。中学3年生と小学6年生が、中学3年生レベルの同じ授業を受け、テストをしたら、その結果に差がつくのは当たり前です。私の予測としては、最悪のストーリーがみえてきてしまいました。スマホが破壊していたものは、「学力」ではなく、「脳」そのものであった可能性が高いのです。この事実を知っても、皆さんは、子どもたちにスマホを自由に使わせますか?川島 隆太 : 東北大学加齢医学研究所 所長
2022.02.21
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下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。健康長寿を支えている私たちの「腎臓」。だが、健康診断の結果を見て、腎臓が弱っているかどうかを瞬時に知るのはなかなか難しい。尿検査の結果の多くは(-)(+)という記号で示されるだけだし、血液検査の項目も今一つなじみが薄い。腎機能はあるときから急激に落ちるため、気付いた時には深刻な状態になっている可能性もある。そうした事態を防ぐため、今回は、血液検査から腎臓の状態をどう知ればよいのかを見ていこう。健康長寿の生命線 「腎臓」を守る腎臓の状態を知るために欠かせない、血液検査のクレアチニンとは?血液中の老廃物をろ過して尿と一緒に排出するなど、生命の維持に欠かせない機能を担う、腎臓。「腎臓が悪くなると透析治療が必要になる」ということはよく知られているが、その異変を早めにキャッチする方法や、腎臓の健康を守る方法は、よく知らない人が多いのではないだろうか。腎臓は、全身の血管の老化の影響を受けやすい臓器でもあるため、腎臓の機能が低下すると、心筋梗塞や脳卒中といった血管の障害を起こしやすくなり、死亡リスクも上昇する。腎臓の健康の維持は、健康長寿の生命線の1つと言っていいだろう。だが、腎臓は、肝臓や膵臓と並んで「沈黙の臓器」と呼ばれており、腎臓の異変を症状からキャッチすることは難しい。第1回では、そんな腎臓の異常を察知するのに非常に優れた情報源が「尿」であることを解説した。今回は、腎臓の状態を示すもう1つの指標、健康診断の血液検査の項目にも入っている「クレアチニン」から何が読み取れるかを、横浜市立市民病院腎臓内科長の岩崎滋樹医師に聞いていこう。健康診断の血液検査のうち、腎臓に深く関係するのは「血清クレアチニン」という項目だ。腎臓の異常を指摘されない限り気にする機会がない用語であり、「クレアチニンって何だっけ?」と思う人もいるかもしれない。だがこの数値、もし基準値を上回り、B判定やC判定がついているようなら、要注意だ。図1 健康診断で腎機能を示す検査項目とは?クレアチニンは「腎・尿路」の検査値として表示される。この図の基準値は男性のもの。クレアチニンは筋肉の老廃物のような物質で、本来は腎臓でろ過され、尿とともに排出される。腎臓のろ過機能が落ちれば、ろ過しきれなかったクレアチニンが血液中に残ってしまう。血液中のクレアチニン(血清クレアチニン)の数値が高くなれば、腎機能が落ちたことが疑われるわけだ。しかし、腎臓は我慢強い臓器で、少し悪くなったくらいで症状が出ることはない(第1回参照)。「血清クレアチニンの数値も、少々のことでは上がってきません。腎機能がかなり落ちてから急に数値が上がるのが、血清クレアチニンの特徴です。その理由は、血清クレアチニンが示すのは『見かけ上の腎機能』だからです」と岩崎医師は話す。見かけ上の腎機能とは、一体どういうことだろうか。岩崎医師によると、腎機能とクレアチニンの関係は、「働く人」と「仕事の量」に置き換えると分かりやすいという。クレアチニンが上がらなくても、腎機能は着々と落ちていく「1日8時間労働で残業ゼロの人が、仕事量が2倍に増えて16時間労働になっても、何とかこなせば仕事は残りません。でも、仕事量がさらに増えて限界に達して倒れてしまうと、急に大量の仕事がたくさん残ってしまいます。それと同じことが、血清クレアチニンが『突然に増えた』ように見えるときに起こっているのです」(岩崎医師)それをイラスト化したのが図2だ。図2 腎機能が最後に急激に悪化するイメージ血清クレアチニン(Cr)の基準値は男性1mg/dL以下、女性0.7mg/dL以下程度(検査機関により異なる)。2mg/dLを超えて老廃物を処理する作業員が減る(腎機能が落ちる)と、1人当たりの仕事量が増え、腎臓の負担が増す。(参考資料:岩崎滋樹『腎臓病をよく知りともに闘っていく本』p.127 桜の花出版)老廃物を処理するという腎臓の仕事を、10人の作業員が支えているとしよう(A)。作業員が5人に減る(腎機能が半分まで落ちる)と、作業員の1人あたりの仕事量は倍増する(B)。それでも持ちこたえるが、作業員が3人に減ると不眠不休で働いても老廃物を処理しきれなくなる(C)。いよいよ作業員が倒れて末期腎不全に至ると、透析に頼るしかない(D)。作業員は倒れるまで仕事をこなすから、処理しきれなかった老廃物である血清クレアチニンはなかなか上昇せず、症状も出てこないのだ。腎臓を長持ちさせる「たんぱく質」「水分」「塩分」のとり方腎機能の低下が気になる人向けに腎臓を守る生活のポイントを紹介する。腎臓の負担を減らすためには、水分はしっかりとるべきか、あるいはセーブするべきか、たんぱく質や塩分はどの程度に抑えればいいのか…よくある誤解を取り上げつつ、山積する疑問を解決していこう。健康長寿の生命線 「腎臓」を守る 特集の内容残された腎臓の機能を守るにはどんなことに気をつければいい?加齢や高血圧、糖尿病などによって、じわじわと機能が落ちていく「腎臓」。腎臓の機能がゆっくり落ちていく病気の総称である「慢性腎臓病」が怖いのは、状態がかなり悪化してからようやく症状が出てくるところだ。しかも、一度落ちた腎機能は、生活改善や治療によって簡単に取り戻せるものではない(第2回参照)。腎臓の検査値が悪くなり始めたら、残された腎機能を長持ちさせ、それ以上悪くならないよう対策を講ずることが大切だ。もし、腎臓の機能を悪化させる高血圧や糖尿病といった持病があるなら、それらの治療をしっかり受けて、血圧や血糖値を正常値に維持していくことも重要となる。そのうえで、腎臓をいたわる生活を心掛けていきたい。では、具体的には日常生活においてどんなことに気をつければいいのだろうか。腎機能が低下してきた人の生活上の主な注意点を、表1にまとめた。表1 腎機能が低下した人の生活上の注意たんぱく質の摂取量を減らす(そのぶん炭水化物と脂質で補う)体重の増減が起こらないように注意する水分をきちんととり、脱水が起きないように注意する塩分摂取を減らす血糖値や血圧が上がらないようにコントロールする適度な運動を取り入れる禁煙やストレス対策など※推奨される食事や運動の程度は人によって異なるため、医師の指導を受けながら進めよう。ステージが進むとカリウムやリンの制限も必要になる。3大栄養素のうち、腎臓の負担に関係するのはたんぱく質「腎機能が落ちてきたとき、腎臓にかかる負担を減らすには、まずはたんぱく質の摂取を減らすことが大事です」と、横浜市立市民病院腎臓内科長の岩崎滋樹医師は話す。腎臓が悪くなるとたんぱく質を制限しなければならない、と聞いたことのある人は多いだろう。腎機能が下がると尿にたんぱく質が出るようになり(たんぱく尿)、尿検査で引っかかってしまう(第1回参照)。そのことを踏まえると、「たんぱく質が尿中に出て失われているのに、なぜ摂取を抑えるのか? むしろ多く摂取するべきなのでは?」という疑問がわいてこないだろうか。たんぱく質の制限が必要な理由について、岩崎医師は、「3大栄養素の特性を見れば分かります」と話す。3大栄養素とは、おなじみの炭水化物、脂質、たんぱく質だ。3大栄養素のうち炭水化物と脂質は、体内で燃焼すると最終的に水と二酸化炭素に分解される。二酸化炭素は呼吸によって体の外に排出され、水は体に残っても害になることはない(図1)。図1 3大栄養素のうち、腎臓から排泄されるのはたんぱく質だけ一方、たんぱく質の場合はそうもいかない。たんぱく質が体内で燃焼すると、そこに残るのは窒素化合物(尿素窒素や尿酸など)という最終産物(老廃物)だ。窒素化合物は呼吸によって排出されることはなく、腎臓から排出されるしかない。そのため、腎機能が下がっていると、たんぱく質の摂取量が増えれば増えるほど、血液中の老廃物をろ過する腎臓に負担がかかることになる。「第2回でお話しした通り、腎機能が下がると老廃物をうまくろ過できなくなります。その状態でたんぱく質をとり過ぎると腎臓の負担がさらに増大するので、非常に良くない状況になります(図2-上)。でも、たんぱく質の摂取を減らして腎臓の負荷が半分になれば、急激な悪化を回避することが可能です(図2-下)」(岩崎医師) 図2 たんぱく質の摂取を減らして腎臓の作業量を減らせば、腎機能の低下を止められるたんぱく質の摂取を減らすと血液中の老廃物も減るので、腎臓の負担を減らすことができる。Cr(血清クレアチニン)は腎機能の指標。(参考資料:岩崎滋樹『腎臓病をよく知りともに闘っていく本』p.129、桜の花出版)
2022.02.21
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。いま、「決められない⼈」が増えています。「トレンドを追う」「⼝コミを参考にする」「みんなが⾒ているものを⾒る」。情報があふれ、SNSでもさまざまな意⾒が⾶び交う現代で、「流されずにいる」ことは簡単ではありません。「⾃分に似合うもの」「⾃分が好きになれるもの」。コロナによって内省的になっているいまだからこそ、これらの⽬に⾒えない価値を感じ、自分だけの正解を選び取れるようになりたいものです。「自分で感じて選び取るための“感性”は、習慣によって養われます」と語るのは、京都で330年続く陶芸の名家に⽣まれ、器アーティストとして世界で個展を開くなど活躍しているSHOWKO(ショウコ)さんです。「いまでこそ器をつくったり、ホテルの内装を手がけたりしていますが、社会人になるまで芸術に関する勉強をしたことはありませんでした。いまの作品づくりで発揮している感性は、すべて日常の習慣で養われてきました」。SHOWKOさんの著書『感性のある人が習慣にしていること』から、無理なく感性を養っていくためのヒントを紹介します。江戸時代中期に京都で人気を博した画家の伊藤若冲は、花鳥画「動植綵絵(どうしょくさいえ)」を描く際に、1日中、自宅で飼っている鶏を観察していたといいます。実際に生きる鶏を丁寧に観察したからこそ、羽の1枚1枚、尾の先の躍動感まで、リアルに描くことができたのでしょう。「微かに木々が揺れている。すこし風が吹いているのかな」「川の音がいつもより大きいから、昨夜は雨が降ったのかな」日常生活でも、味覚、嗅覚、視覚、聴覚、触覚に集中して過ごすと、いろんなことに気がつきます。これは自分の美意識の定規に、細かい目盛りを刻んでいくことといえるでしょう。感性のある人は小さな変化にも敏感感性のある人は、身の回りの細部や変化をとてもよく見ています。だから、人と同じものを見ていても、他人とは違うことに気づき、たくさんの感覚や感情を得られるのです。どんなに細かい変化や違和感にも気づこうとする「観察する習慣」を身につけ、これまで目を向けていなかったことを意識して見つめ、日常を解像度高くとらえてみましょう。この「観察する習慣」について、いくつかご紹介します。■「同時にこなす」意識をもつ生活しているだけでどんどん家が散らかっていく人と、そうでない人がいます。この違いの理由は、ふだんの行動に隠されています。後者は、一度の動きで複数の仕事をしている人なのです。たとえば、料理人が料理をしたあとはシンクに洗い物がほとんど残りません。それはひとつの料理に集中するだけではなく、お客さんの食事の進行度合いを見て、食器の片付けなども含めたすべての段取りを組み立てて、一度の動きで複数の仕事をしているからです。一度に複数をこなす習慣を身につけることで、周囲を観察する意識が高まります。これは料理に限ったことではなく、日常でも応用できます。食器を洗う。ついでに蛇口の部分を磨いておく。手を洗う。ついでにタオルを替えておく。1階に物を取りにいく。ついでに2階から持っていくものを携える。書いてみると特別なことではないように思いますが、実際に毎回の行動で意識するのは、なかなか難しいことです。茶道では洗練された動きを極めている実は茶道の手前では、こういった動きがたくさんあります。たとえば、2服目のお茶を1服目と同じお茶碗で点てるとき。お湯を入れたお茶碗を手のひらで包んでゆっくりと回し、「洗う」と「器を温める」を同時に行います。また、大勢の方が参加するお茶会でお運びとしてお手伝いをするときには、「手ぶらで帰ってこないように」と注意されます。広間にお茶を運ぶと同時に、水屋へ下げるものがないか確認して、必ず何かを持って帰ってくるようにします。一見とてもゆっくりと行っているようにみえるお茶のお点前ですが、実は極限まで効率化され、洗練された動きなのです。これを心得ていると、オフィスを移動するときも、家の中を移動するときも、自然と周りに意識が向くようになります。観察しながら動き、できることを同時にこなす。そんな意識を持てれば、ふだんは気づいていなかったことにも意識が向くようになるでしょう。■音を「分解して」聴いてみる感性というと、「文化や歴史などの知識を学ばねば」と思う方もいるかもしれません。しかし、知識はときに、私たちの観察の目を曇らせます。たしかに、文化や歴史の知識といった教養を身につけることで、作品への理解は深まります。たとえばクラシック音楽を聴くときなら、その歴史的背景や作者の来歴を知っているほうが、深く聴くことができるかもしれません。ベートーベンの交響曲第2番、第2楽章は、とても美しく牧歌的なメロディですが、作曲されたのはベートーヴェンの持病であった難聴が悪化した時期でした。その背景を知ると、この曲とのギャップに驚かされます。この美しいメロディが、もっと追い詰められたものに聞こえるかもしれません。つまり、背景や歴史を知っているのと知らないのでは、感じ方が変わります。感性は知識の集積の上に成り立つものでもあるのです。それは重要なこととして、ときにはその知識が邪魔になることもあると、知っておかなくてはなりません。自然に音を楽しむ感覚や、無意識下に眠る感性がはたらかなくなってしまうのです。感性と知識、どちらかがもう一方に蓋をしてしまってはいけません。そこで、たとえばクラシックのコンサートに行ったとき、たまに、それぞれの楽器の音ひとつひとつを選んで意識的に聴いてみてください。ひとつの楽器に意識を向けて、その演奏者の動きを観察し、そこから聴こえてくる音を全体のシンフォニーから聞き分けてみましょう。音楽を聞くときは1つの楽器に集中してみるずっと観察し続けていると、複雑に重なりあった音のなかから、その楽器の音色だけが耳に飛び込んでくる瞬間があります。そこから個別の響きを再度合体させて全体のハーモニーを楽しむと、前よりもさらに楽曲を楽しめるようになるのです。全体のなかにある細部に意識を向ける習慣を身につけることで、自然と深い観察ができるようになります。これは音楽の話に限りません。たとえば料理なら、口に広がる味のなかから、ひとつひとつの食材や調味料の味に意識を集中させてみるのもいいでしょう。味や音を因数分解して観察することで、感受性は向上していきます。それぞれの細部の良さを知ったうえで、全体の調和を味わったときに、すべてのハーモニーを理解できるのです。■モノの配置を「体で覚えて」みるみなさんは、目をつぶったまま自分の部屋を歩けますか?仕事から帰宅して、部屋がまっくらなままカバンをおろし、ソファにたどり着き、テレビのリモコンを手に取る。もしかしたら、意外とできてしまうのではないでしょうか?このように、私たちは頭ではなく、体で場所を記憶していることがあります。そして心地よい配置を感覚的に覚えていると、多少の変化があったとき、少しの違和感にも気づけるようになります。そこで、身近なモノの配置を決めてみましょう。例として、茶道における道具の配置について説明させてください。茶道では、お抹茶を点てるために使う陶磁器や漆などの作品、お茶碗、お湯を沸かす釜、それに水を入れておく水指、そしてお茶を掬う茶杓など、さまざまな道具を使います。そして、すべての道具の配置はミリ単位で決まっています。茶道の場合は「畳の目の数」を基準とした測り方があります。畳の膨らんでいる筋目ひとつのことで、「1目」は1.51センチです。たとえば、「畳の縁から16目に座る」「5目離して置く」などのように単位として使います。私も茶道を習いはじめたころは、「16目」と言われてもぱっと理解ができず、1目ずつ指で数えてたしなめられたものです。それが、ずっと「1目」単位の配置を意識していると、だんだんと慣れてきて、数えなくても物を置く場所がわかるようになりました。正しい配置が感覚的に馴染んでくると、たとえ小さなズレでも、人間は感覚的に「快」「不快」を覚えます。この繊細な「快」「不快」の感覚を知った、ある出来事があります。以前、茶道のお稽古で私が道具を置いて、お点前を終わろうとしたときに、茶道の先生に「ちょっとだけ心地がよくないのでは?」と呼び止められました。そう言われた私は、ほんの3ミリほど、蓋置きの位置を左に動かしてみました。すると、まるでさざ波が凪になるように、すべての道具が心地よく空間に「ぴたっ」と収まった感覚を得たのです。『感性のある人が習慣にしていること』(クロスメディア・パブリッシング)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします心地よさには必ず理由があります。そして、その調和の乱れに気づくには、ふだんから意識を向け、心地よい状態を意識的に保っていなくてはいけません。調和がとれたモノの配置を感じることで、調和が乱れたときに違和感を持つことができます。身の回りにあるモノにも定位置を決めてあげることで、そのわずかな変化にも気づく観察力が養われていくでしょう。これらの「観察する習慣」を身につけると、世界の情報量は一気に増えます。日々のあらゆることを「意識的」に感じられるようになり、小さな変化や違和感、魅力に気がつける感受性が高まっていくのです。これが、感性を養っていくための第一歩となります。SHOWKO : 陶芸家・器アーティスト
2022.02.21
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「お恥ずかしながら、私、この年になって出社拒否になってしまって。だらしないですよね」こう切りだした岡田さん(仮名)は某大手企業の元常務。63歳で定年となり8カ月後に再就職。これまでのキャリアを買われての就職だったそうだ。半年で出社拒否になった元常務定年になったらやることがなくなって、定年うつになるって脅されていたんですが、私の場合は幸い次が決まっていたので大丈夫でした。妻も8カ月ですからギリギリ我慢してくれたんでしょう。再就職先は関連会社です。数年前から積極的に同じ業界からシニア採用をしていましてね。昔の上司が呼んでくれたんです。受け入れ態勢はきちんとしていました。研修期間もあるし、シニアも戦力として見てくれる。給料は下がりますが、本人の能力次第では70歳までいられるんです。私は気力と仕事の質には自信があったし、今までのキャリアを生かしてがんばろうと張り切っていました。ところが……半年後に出社拒否です。完全にメンタルをやられてしまったんです。原因はいろいろあります。期待に応えようとすればするほど空回りしたし、上司ともうまくいかなかった。パワハラみたいなこともあったりで。やっぱり人間関係は大きいですね。家では心配させないように振る舞わなきゃだし、疲れてしまったんです。あと……せこい話なんですけど、前の会社のときはタクシーも自由に使えたし、周りも私のことをそれなりに扱ってくれました。ところが、再就職先では私はシニア社員の1人でしかない。飲み屋ひとつとっても扱いが変わります。そんなのはわかっていたことだし、大したことじゃないって思っていました。なのに、実際に経験すると結構、プライドが傷つくわけです。私みたいなのを〝塩が抜けない〟って言い方をするらしいです(苦笑)。私は社外とも人間関係があるし、趣味だってある。タコつぼ人間になっているなんて自覚は皆無でした。でも、実際は長年過ごした組織で、しっかり塩漬けになっていたんです。私を引っ張ってくれた元上司が、いろいろと気にかけてくれるのも情けなくてね。結局、1年もたずに辞めてしまった。周りに迷惑をかけるからそれだけは避けたかったんですが……、情けないですよね。某大手企業元常務 岡田さん(仮名) 64歳張り切って再就職したのに〝塩〟が抜けずに退職とは、なんともやるせないお話だ。拙著『定年後からの孤独入門』でも詳しく解説しているが、塩漬けは「手あかがついている」と表現されることもある明文化されることのない、暗黙のルールだ。1日の3分の1以上を過ごすルーティンだらけの職場環境が個人に及ぼす影響は想像以上に大きい。「話し掛ける前に『話し掛けてよろしいでしょうか?』と聞かなくてはいけない」「上司と廊下で擦れ違うときは直立不動であいさつしなければならない」「食事は上司より遅めに取り、上司より先に戻ってなければならない」といった軍隊式ルールや、「年下には命令口調で話して当たり前」「部下は上司に報告するのが当たり前」「雑用は若手がやって当たり前」といった年功絶対ルールは比較的わかりやすい塩だし、「暴力的なノルマ」や「異常な長時間労働」などは、ブラックペッパーならぬブラックソルト塩だ。私は自分の仕事に100%集中することが当たり前だと思っていました。ところが新しい会社では「自分の仕事以外の仕事」をしないと評価されないんです。一生懸命自分の仕事をしてるだけなのに評価が下がる。ワケがわかりません情報サービス系勤務 相田さん(仮名) 62歳こういった会社の職場風土の違いに、前職の塩が邪魔をして適応を妨げる場合もある。いずれにせよ会社の数だけ塩の種類があり、きゅうりの塩漬けなら沸騰したお湯でゆでれば簡単に塩抜きできるが、長年1つの会社で塩漬けされた思考回路はそう簡単に抜けるものではない。忠実に仕事をやってきた人ほど骨の髄まで染み込んだ塩を抜くのにてこずり、解けないパズルに苦悩し、自信喪失する。組織の最上階にはびこる「塩の化石」とりわけ運命共同体的な面が強い日本の職場では、会社組織特有の思考パターン=塩を理解し、実践する人ほど重宝され、役職やら権力やらを手に入れることができる。企業の不祥事が発覚したときに明かされる組織の最上階にはびこる教条主義や前例至上主義は、塩が年月をかけて結晶した、いわば「塩の化石」だ。しかも、職場で偉くなればなるほど「塩の恩恵」を受けるようになる。「役員以上はカード支給」「役員以上は役員専用エレベーターを利用」「役員以上の家族のみ使える会員制宿泊施設」などの特別塩だ。そのうえ、周りがヨイショ、ドッコイショの先回りコミュニケーションをしてくれるので、アウェー耐性は脆弱化する。新たな職場=完全なアウェーで、わからないことを聞くこともできず知ったかぶりしてしまったり、年下上司に自分からあいさつをすることにも抵抗を感じてしまったり。自分が長年築いてきた経験と自負心と「キャリアを買われての再雇用」という事実が「なめられたくない」という厄介な感情に置き換わり、自分を自分で追い詰めてしまうのだ。この塩漬け度を測ってみよう。次の15個の質問に「○」か「×」で答え、終わったら「○」の数を数えてください。(1)他人からあれこれ指摘されるのが嫌い(2)つい自分の自慢話をしてしまう(3)年下に自分からあいさつはあまりしない(4)部下に任せることができない(5)成功している同級生や同僚に嫉妬してしまうことがある(6)タクシー運転手やコンビニ店員にイラつくことがある(7)妻や子供に命令口調で話してしまいがちだ(8)近所付き合いがほとんどない(9)妻に弱音を吐けない(10)他人の意見や行動につい否定的なことを言ってしまう(11)人に頭を下げるのが苦手だ(12)どちらかというとルールに厳格である(13)人のうわさ話はすべきではないと思う(14)知ったかぶりをしてるヤツに腹が立つ(15)結論がない話は嫌いだひがみっぽいおじさんは嫌われる「塩漬け濃度チェックリスト」は私が行った700人超のインタビューをベースに、質問項目を作成した(ソーシャルスキル、セルフエスティーム、ストレス対処力の知見を生かし、日本の会社組織の基本構造に即した文言で作成)。「○」の数が多いほど塩濃度が高い。・10個以上の激辛群は、塩抜きに相当の時間と絶え間ない努力が必要になる。塩抜き経験のある先輩社員に、フォローしてもらうのが望ましい。・5〜9個の辛口群は、時折ストレス発散しながら3カ月ほど辛抱すればなんとかなる・2〜4個の甘口群は「塩を抜くぞ!」と決意するだけで、次第に抜ける・2個未満は塩漬けの影響ではなく、ただ単に年を取っただけなので気にすることはない塩漬けのいちばんの問題はその濃さよりも、自己認識のなさだ。塩漬けに気づきさえすれば、たとえ一時戦線離脱する事態になっても、必ず塩抜きできるので恐れる必要はない。一方、塩にどっぷり漬かっていることに気づけない人は、年下上司の足を引っ張ったり、周りを否定するだけの人に成り下がったり、時にはよかれと独断で仕事を進めてしまい、取引先とのトラブルに発展したりと、老害になる。長年会社の一員として慣れ親しんだ経験が、セカンドキャリアの足かせになるとは理不尽極まりないのだけど、塩は長い時間かけてじわじわと擦り込まれていくので、簡単には知覚できないのである。まず驚いたのが、初日に前職の会社の名刺を配ったこと。うちの会社の親会社の人事部長だった人なんです。でも、見かけは気のいいおじちゃん風だったので、歓迎会とかやったりしていたんです。ところが、1週間もしないうちに私たちを見下すようになった。「そんなやり方をやっていたのか」とか、「意識が低すぎる」とかバカにし、ちょっとでも反論すると、「立場をわきまえろ!」って怒鳴られる。さすがの私もへこみました。美春さん(仮名)45歳うちのマンションに〇〇会社の元専務がいるんですが、ボランティアでゴミの清掃に毎週、参加してて、初対面の人に必ず「どこの大学? どこに勤めてる?」と聞くんです。ルールにものすごく厳格で、ちょっとでも分別を間違えてると、ゴミの中をあさって犯人を突き止めて、その人の玄関先に返す。トラブルになって管理人が注意したら「ルールを守れない人は共同生活する資格なし」と逆ギレしたらしくて……。 わがマンションの〝正論おじさん〟です恵さん(仮名)48歳私、テニスをやってるんですけど、そこにも正論おじさんがいます。東大卒、元商社マンのバリバリエリートで、若い子を見つけると「テニスに向き合う態度がなってない」 とか怒る。部下と勘違いしてるんでしょうか正子さん(仮名)39歳「過去の肩書」にしがみつく少々しんどいエピソードだが、このように塩抜きができないと実に残念な事態が起こる。人間の心は実に複雑で、輝いていた過去と混沌とする未来のギャップに耐えきれず、時として「過去の肩書」にしがみつき心の安寧を得ようとしてしまうのだ。また、脳の老化は得意分野以外から進む習性があるため「過去の栄光」は最後まで残り続けるという困ったメカニズムも存在する。老化した脳は前頭葉の機能が低下しているので 感情コントロールも苦手だ。自分より低い属性の人に「俺のことをバカにするな!」と言わんばかりに横柄な態度をとったり、怒鳴りつけることが増えたり、否定されようものならますます意固地になる。横暴な言動の裏側には、社会的な立場がなくなっていくことへの寂しさと、過去の黄金期への執着が存在する。「俺はそんなにダメじゃない!」と言いたいのだ。河合 薫 : 健康社会学者・博士、気象予報士
2022.02.20
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。コロナ禍で今後の家計が不安、でも住宅ローン返済は変わらずやってくる――。コロナ禍によって生じる世帯収入の大幅な減少などを理由に、金融機関が住宅ローン返済に関して柔軟な対応を始めたことは、記憶に新しい。長期固定金利の「フラット35」を取り扱う独立行政法人・住宅金融支援機構でも、住宅ローンの返済期間延長に対応した件数は、5月から急増している。たとえ返済期間が延長されたとしても、住宅ローンを借りている世代でいちばん頭を抱えるのは高齢者であろう。非正規雇用者も多い層だ。「もし解雇となったら次に働く先はあるのか」「今後、月何万円もの住宅ローンの返済は現実的なのか」。そんな問題に悩まされている人も、いるのではないだろうか。日本人は借金を嫌うため、繰り上げ返済などによって1日でも早く、定年までに住宅ローンを返し終わろうとする人が多数派。しかし、定年後も住宅ローンを返し続けている世帯は確実に存在している現実もある。上記のような悩みを抱えているのであれば、「リバースモーゲージ」の活用を検討するのも1つの手段だ。うまく活用できれば、老後を豊かに暮らせる手段となる。しかし、日本人はリバースモーゲージへの誤った認識から、抵抗感を抱く人も少なくない。リバースモーゲージとは何なのか?リバースモーゲージとは、自宅を担保に老後資金の借り入れができる、シニア層向けのローンのことである。自宅は担保に入れるだけなので、本人はそのまま住み続けられる。元本返済は物件売却で得られる資金に限定される「ノンリコース型」のローンだ。生きている間に資産をキャッシュ化でき、将来の資産価値の下落リスクも負わない、シニア世代にとって理想的な商品である。リバースモーゲージはローンの一種ではあるものの、一般的なローンとは返済方法が異なる。例えば、住宅ローンも自宅を抵当に入れて融資を受けるが、完済まで毎月元本と利息を返済し続けなければならない。一方、リバースモーゲージは、生きている間は毎月利息のみの返済となる。元本の返済は、死亡後に担保不動産の売却代金で返済する形。月々の返済が利息のみで負担が少なく、契約後も自宅に住み続けられるのが特徴だ。もともとアメリカで開発された商品で、自宅の資産価値を活用して年金のように毎月資金をもらい、死後、自宅の売却によって返済する仕組みである。住宅ローンは毎月元本を返済して徐々にローンが減り(純資産が増え)、ローンを返し終わると家の資産がすべて自分のものになる。それに対して、リバースモーゲージは資産を使って毎月資金をもらい、最後は自分が死んだ際に資産を売却して返済する。住宅ローンは資産化、リバースモーゲージは資産のキャッシュ化で、ちょうど逆の動きになる。それゆえ、「リバース」と呼ばれているのだ。一般的には住宅ローンを完済した持ち家が担保対象となるローンだが、リバースモーゲージを使って返済中の住宅ローンを借り換える方法もある。新たに借りたリバースモーゲージで、返済中の住宅ローンを全額返済するのである。これによって、借り換え以降、元本を返済する必要がなくなるので、毎月10万円近くあった住宅ローンの支払いが、数万円の金利のみで済むようになる。日本人が誤解するリバースモーゲージリバースモーゲージがなかなか日本に浸透しない理由としては、日本人の誤った認識が要因にある。下記はこの制度について相談を受けた際に、よく聞かれる2つの質問だ。① 1度契約をすると、自分の死後に自宅を遺族に残せないのではないか 最もよくある誤解はこれだ。リバースモーゲージの元金返済の方法を、自宅売却だけだと思っているケースである。返済方法は売却以外にも2つある。1つは借入人が死亡した際に相続人が現金で一括返済する方法、もう1つは借入人の生存中に繰り上げ返済をする方法だ。この2つの返済方法を選択した場合には、借入人の死後も自宅を遺族に残すことができる。実は金融機関にとっては、手間暇かけて担保物件の売却で元本回収をするより、相続人が買い取ってくれたり、繰り上げ返済してくれたりするほうがありがたいのだ。② 元金の返済ができない場合は、残された配偶者は家を出る必要がある? これも誤解している人が多い。借入人が死亡した場合、配偶者は自宅を出ていかなければいけないと思っている。そのため生活が苦しくても、リバースモーゲージの活用を拒否するケースが出てくる。契約内容にもよるが、配偶者に引き継げるような契約にしている金融機関は多い。借入人の死亡後に「自宅を売却するから、居住人である配偶者は出ていってください」というリスクは回避することができるのだ。そのほかにも、リバースモーゲージには「資金使途は住宅購入、建て替え、リフォーム、借り換えなど」「自宅売却で全額返済できなくても、配偶者や相続人に返済義務はない」「借り入れ後、資産価値が下がっても追加の担保提供や元本返済は不要」といった特徴がある。「夢」だけが詰まった制度ではない!ここまで聞くと、高齢者にとっては夢のような商品にも聞こえるが、もちろん考慮しなければいけない点もある。考えるべきリスクは3つだ。まずは「長生きリスク」。金融機関からの融資額は限度があるため、長生きすればするほど、借り入れした資金では生計が成り立たなくなるリスクがある。借入人が死亡するまで毎月金利の支払いは発生するため、総計したら思いがけない金額を払うケースは出てくるかもしれない。次に「金利上昇リスク」だ。リバースモーゲージの金利は、契約期間中であっても定期的に見直される「変動金利」が採用されている。毎月の返済は利息のみとなるが、将来金利が上昇した場合は、毎月の利息負担は増えてしまうリスクがある。例えば2000万円を借り入れしていて、金利が1%上昇すると年間20万円(毎月では1万6000円程度)の負担増となる。年金生活のシニアにとっては痛い出費となることは間違いない。3つ目は「団体信用生命保険(団信)に入れないリスク」だ。住宅ローンであれば、団信への加入が義務づけられており、死亡や高度障害になると保険金で住宅ローンが完済される。リバースモーゲージではそのような保険はないので、注意が必要だ。最近ではより幅広い物件に対応ができ、リスクを軽減できる仕組みが登場してきている。それが、国の住宅政策を推進する役割を担っている、住宅金融支援機構が取り扱う「リ・バース60」だ。そもそもリバースモーゲージは、元本の回収を利用者の死後の物件売却によって行うため、将来の資産価値の下落リスクを金融機関が負担しなくてはいけない。このリスクが大きいため、なかなか商品が提供されてこなかった。だが、リ・バース60では、住宅金融支援機構が保険を提供し、そのリスクをカバーする。これによって民間金融機関は資産価値下落のリスクを負うことなく、リバースモーゲージを提供できるのだ。国の住宅政策を担う機関がこのように利便性の高い商品を提供する背景には、高齢化社会に向けて国民の幸せな生活を実現したいという政策方針があると考えられる。加えて、健康寿命が延びることによる介護保険への負担を軽減させる狙いもあるだろう。「悪」と決めつけず合理的な選択を「リバースモーゲージを利用するのは怖い」という声を発する人の中には、リスクばかりを見て合理的な選択ができていないケースも多い。もし今、コロナ禍において逼迫した状況であるのならば、この制度は資金を得る立派な手段の1つだ。一時的に利用して苦境を抜け出し、家庭の経済状況を鑑みて繰リ上げ返済をする方法だって検討できる。とくに下記のような方には、リバースモーゲージを「悪」と決めつけるのではなく、正確に商品性を理解して利用を検討してもらいたい。1. 住宅ローンの残高があって毎月の返済がつらい人2. 資産価値の高い自宅を保有しているが、貯蓄が少なく生活に困っている人3. 相続人がいない、または子どもに残す考えがなく、今後の生活を充実させたい人リバースモーゲージには、よく「老後の住まいを豊かにする」という表現が用いられる。ただ恐怖心にさいなまれるのではなく、自分にはどのような方法が最適なのかを合理的に選択できることが、「豊か」につながるのかもしれない。中山田 明 : MFS代表取締役CEO
2022.02.20
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下記の記事はビヨンドヘルス様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。高齢者では、体重変化が少ないことが、ベースライン時のBMIにかかわりなく、認知機能の維持にとって有利である可能性を示唆するデータが報告された。米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のMichal Schnaider Beeri氏らの研究によるもので、「Alzheimer's & Dementia」に1月20日掲載された。中年期のBMIの高さが、高齢期に入ってからの認知機能の低下リスクと関連があることは、複数の研究結果として示されている。しかし、高齢期のBMIと認知機能の関連については、中年期と同様の関連を示した研究もあるが、BMIと認知機能は関連がないとする研究や、BMI低値の場合、またはBMIが経年的に低下した場合には、認知機能低下リスクがむしろ高いとする研究報告もある。そこでBeeri氏らは、高齢期に入ってからの体重変化と認知機能低下との関連を検討する研究を行った。この研究には、米国立加齢研究所(NIA)の資金提供により、同国内のアルツハイマー病センターで登録が行われているレジストリデータが用いられた。解析対象者は、ベースライン時に60歳以上であり認知症と診断されていなかった1万5,977人。ベースライン時の平均年齢は73.5±7.6歳、女性59.2%、BMI27.2±5.0、認知機能を表すMMSEスコア(30点満点で23点以下は認知症が疑われる)は28.4±2.0で、15.8%は軽度認知障害(MCI)に該当していた。平均5.2±3.1年の追跡で、神経心理学的検査で評価した包括的認知機能は、平均0.16点低下していた。ところが、ベースライン時のBMIに比べて追跡終了時のBMIが5%以上増加した群では0.26点とより大きく低下し、またBMIが5%以上低下した群でも0.27点低下していた。BMIの変化が5%未満の群に比較して、BMIが5%以上増加した群は62%、BMIが5%以上低下した群は64%速いスピードで、認知機能が低下していたと計算された。また、追跡期間中のBMIの最大値と最小値の差で検討した結果も同様に、変化が大きい群では認知機能の低下幅が大きかった。既知のリスク因子〔年齢、性別、人種/民族、教育歴、糖尿病、アルツハイマー病のリスクに関連する遺伝子(ApoE4)、処方薬数(併存疾患数)など〕を調整後も、BMIの変化が大きい群ほど認知機能低下速度が速いという有意な関連が保たれていた。また、ベースライン時のBMIで層別化して解析した結果も同様だった。これらのデータを基にBeeri氏は、「高齢になってからはBMIが安定していることが、認知機能に対して保護的に働く可能性がある。高齢者のBMIを毎年評価することで、認知機能低下の高リスク者を抽出し、早期介入に結び付けられるのではないか」と述べている。また同氏は、「今後はBMIの変化が、どのように脳の健康に影響を及ぼすのかを明らかにする必要がある」としている。この研究報告に関連して、米ラッシュ・アルツハイマー病センターのAna Capuano氏は、「死後の解剖所見で認められる脳のアミロイド斑の沈着も、生前のBMIの不安定性と関係していることが示唆されている」と述べている。アミロイド斑は認知症の最も一般的なタイプである、アルツハイマー病で特徴的な所見だ。「このような脳の病理的な変化が、どの段階からスタートするのかは不明だ。しかし、それがかなり長いプロセスであることは分かっている。経年的なBMIの変化が認められる場合、医師はその人の認知機能を評価し、生活習慣の改善を促すべきかもしれない」とCapuano氏は述べている。また同氏は認知機能低下を抑制する生活習慣として、「健康的な食事を取り、運動を継続することは、脳を含む全身にとって良いことだ」とも語っている。[HealthDay News 2022年1月25日]
2022.02.20
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。小室圭さんの2度目の司法試験が迫っている春は近い。だが、秋篠宮家の人々には、「春は名のみの風の寒さや」(早春賦)、そう感じる時期がまだまだ続きそうである。写真=時事通信フォト学習院より東大で学びたい…悠仁さまの進学報道に宮内庁が異例のクレームをつけた意味ニューヨークにいる小室眞子さんは、夫・圭さんの2度目の司法試験が2月22と23日に迫る。仕事は忙しく、休日は眞子さんと一緒に市内散歩を楽しんでいるから、勉強に身が入っていない、合格はかなり難しいのではという見方が主流だと、週刊誌が報道している。合否が分かるのは4月になるそうだ。もしまた不合格だったら、今いる法律事務所を辞めざるを得なくなるかもしれない。2人の生活はどうなるのか?しかし、そんな心配は無用かもしれない。眞子さんが昨年のクリスマスに元駐日大使のキャロライン・ケネディさんを訪ねたことがメディアで報じられた。メトロポリタン美術館とのつながりが強いケネディさんに、就職を頼みに行ったのではないかといわれた。真偽のほどは分からないが、それに続いて、眞子さんにとってありがたい動きが日本であったと、女性セブン(2月17・24日号)や週刊文春(2月10日号)などが報じている。NY総領事が着任前に異例の接見女性セブンによれば、1月下旬、秋篠宮家の応接間に恰幅のいい男性が招き入れられたという。彼は新しいニューヨーク総領事に任じられた森美樹夫氏で、東大法学部から外務省に入省して、主にアフリカや開発途上国を担当してきた。秋篠宮は、2007年に眞子さんを伴ってマダガスカルを旅行したり、2012年にウガンダを訪問したりしているが、そうした公務を通じて森氏と面識ができたようだ。だが、アフリカ畑の彼がニューヨークの総領事になったのも、総領事が着任前に皇族に接見することも異例だという。「接見が宮内庁と外務省のどちらの発案で実現したものかはわかりませんが、ニューヨークで暮らす眞子さんを思って、何かと気にかけてほしいという秋篠宮さまの直談判の気持ちがあったのではないでしょうか」(外務省関係者)森氏は週刊文春の取材に対して、「アフリカ部長をやっていたときにお世話になった。昔からお世話になっていたので、今度(NYに)行きますということでご挨拶に行っただけです」と答え、面識があることは認めている。ニューヨーク総領事の主な仕事は、「現地の日本人コミュニティと上手く付き合うこと」だという。森氏の前任者も、眞子さんの渡米後に、小室圭さんと面会しているそうだ。ニューヨークの治安は、コロナ禍でさらに悪化しているといわれる。警護もつけずに外出している眞子さん夫妻に関しての報道を見るたび、秋篠宮夫妻は心配しているに違いない。気心が知れた総領事がいれば、警備のことばかりではなく、眞子さん夫妻の暮らしぶりも逐次知ることができるはずだ。次受かれば、彼を見るメディアの評価も変わる女性セブンは、以前、日本で小室圭さんが勤めていた法律事務所の奥野善彦氏が、彼の留学生活の資金援助をしてくれていた。現在勤めているニューヨークの法律事務所も、奥野氏のコネクションで入社できたと報じている。彼がフォーダム大学に入学するときも、秋篠宮眞子さんのフィアンセという立場を利用し、授業料を全額免除され、3年間履修しないと修了できないコースなのに2年で卒業している。さらに、就職先に困っても、伝手を頼って大手の法律事務所に入ったりと、常に彼は皇室を利用し、誰かに助けられてここまで来ている、甘えているのではないかと、多くのメディアが批判している。しかし、この世知辛い時代に、皇室の人間と結婚するからといって、多くの人が、おカネを貸してくれたり、就職を世話したりしてくれるものではない。小室圭という人間が、世渡りは上手だが、能力も誠意もない口先だけの男だったら、これほど多くの人たちが、彼を助けてくれるはずがないのではないか。彼には、われわれには分からない、どこか秀でたところがあるに違いない。次の司法試験に受かれば、彼を見るメディアの評価も変わるのではないか。“最愛の姉の味方であり続ける”佳子さまところで、眞子さんが結婚して皇籍離脱してから、週刊誌の呼び方が、「眞子さま」から「眞子さん」へと変わった。姉の敬称の変化を見ながら妹の佳子さんは、自分が「さま」から「さん」に変わるまでには、まだ多くの深くて長い川がある、そうため息をついているかもしれない。佳子さんは姉の眞子さんを心から慕い、裏表なく支え、結婚を祝福した。佳子さんが眞子さんを今でも思っていることを象徴するようなシーンがあると、週刊文春(2月3日号)が報じている。1月18日、宮殿・松の間で開かれた「歌会始」に出席した佳子さんは、「繊細な刺繍が施されたエメラルドブルーのローブ・モンタント姿。頭上のカチューシャのリボンにも、レースがあしらわれている」(文春)。カチューシャをデザインした帽子デザイナーの平田欧子さんは、佳子さんは「眞子さんが以前着けていたカチューシャのように、レースを使ったデザインにしてほしい」とオーダーしたという。昨年11月に眞子さんから引き継いだ公務に臨むときも、眞子さんから譲り受けたグリーンのスーツを着ていた。「それはまるで、“最愛の姉の味方であり続ける”という宣言のようだった」(同)だが、そんな佳子さんの将来を大きく左右する事態が出来しているのだ。「皇室を出る」という望みが断たれるかもしれない今後の皇室のあり方を検討する有識者会議が、安定的な皇位継承を行うために、女性皇族が結婚後も皇室に残るという報告書を提出したのだ。報告書にはそのほかに「旧宮家の男系男子を養子に迎える」という案があるのだが、先日行われたNHKの世論調査では、「女性皇族が結婚後に皇室に残る」という案には65%が賛成し、反対は18%しかなかったと週刊新潮(1月27日号)が報じている。ちなみに、「男系男子を養子に」は、賛成が41%、反対が37%と拮抗きっこうしているそうだ。これが国会で承認されれば、佳子さんが願っているといわれる、「皇室を出る」という望みが断たれることになる。元皇室担当記者で成城大学の森暢平教授は、佳子さんが昨年10月10日に、日本ガールスカウト運動100周年を祝う「国際ガールズメッセ」の式典にオンラインで参加し、こういう内容のビデオメッセージを寄せたとサンデー毎日(2月6日号)に書いている。「世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数で、日本は156カ国中120位にとどまりました。この現状はとても残念なことですが、日本においてもジェンダー平等をめぐり努力を重ねている方々が多くいらっしゃいます。今後、ジェンダー平等が達成され、誰もがより幅広い人生の選択肢を持てるようになることを、自らの可能性を最大限、生かす道を選べるようになることを、そしてそれが当たり前の社会になることを切に願います」憲法の矛盾は生前退位と結婚問題で明確になった国民の間では、女性天皇、女系天皇の是非が議論されていた時期である。自分の弟が天皇になることが確実になっているのに、これは、並々ならぬ覚悟をもった勇気ある発言である。ネットではすぐに、「政治的な発言ではないか」という非難があったという。保守主義者からの反発もあったそうだ。「そうした人々から見ると、伝統を体現すべき皇族が、ジェンダー平等という近代の価値観をもとにした発言をすること自体が『許せない』となるのだろう」(森教授)しかし、男女平等、共同参画社会の実現は、一部を除いては、どの国も目指すべきグローバルで至極当然の考え方である。日本国憲法4条にある「天皇は……国政に関与する機能を有しない」という条文は、森教授がいうように、「一定の時期までは天皇制を封じ込める役割を果たした。しかし、今は逆に、天皇・皇族の人間的なあり方や人権を奪う規定となってしまった。憲法の矛盾は、平成の天皇(現在の上皇さま)が退位の自由を求めた意思表明、そして、眞子さんの婚姻の自由の権利行使で、明確になった」と、私も考える。天皇も皇族も意見や意思を持った一個の人間である。それを制限される現状をこそ見直されるべきであるはずなのに、いまだに「天皇は男系男子に限る」として女性を排除するなど、現代人の感覚からズレているというしかない。皇族の歴史上初のジャンヌ・ダルクかもしれない眞子さんは黙って自分の意思を貫く女性であった。佳子さんは、発言もし、実行力も伴った、皇族の歴史の中で初めて出てきたジャンヌ・ダルクかもしれない。しかし、佳子さんに残された時間は少ない。女性皇族が結婚しても皇室に残るという案が国会で了承されないうちに、彼女をここから連れ出してくれる結婚相手を見つけなくてはいけない。「普通の男性は皇族相手だと腰が引けてしまいます。小室さんのような鋼のメンタルの持ち主でなければ難しそうです」(辛酸なめ子=週刊新潮1月27日号)という見方もあるが、私はそうではないと考える。佳子さんのように自分の意見を明確に持つ素敵な女性を結婚相手にしたいと思う男性は、少なからずいるはずである。そんなナイトが現れて、“囚われのプリンセス”を連れ出し、2人だけで暮らす日が近いうちに必ず来る。“進学先報道”に宮内庁が異例のクレームさて、次世代で唯一の“皇位継承者”である悠仁さんも、この春は大きな変化のときである。近々、悠仁さんの進学する高校が発表される。週刊文春はかなり前から、筑波大学附属高校に決まったと報じていた。だがこうした報道に宮内庁が異例とも思えるクレームをつけたのだ。1月24日に文書で、「一般論として、受験期を迎えている未成年者の進学のことを憶測に基づいて毎週のように報道するのは、メディアの姿勢としていかがなものか」と発表したのである。週刊文春や週刊新潮をはじめ、さまざまな週刊誌はこう報道している。悠仁さんが通っているお茶の水女子大附属中学と筑波附属高校は2017年に「提携校進学制度」を結んでいるが、それは期間限定の制度で、悠仁さんを入学させるために特別につくられたのではないかというものだ。そうした報じられ方が気に障ったのだろうか。女性セブンはこれには前段があると見ている。1月21日に秋篠宮の側近である加地隆治皇嗣職大夫の定例会見で、記者が進学報道について見解を求めたという。だが大夫は、回答を避けて質問を持ち帰ったそうだ。持ち帰った先は秋篠宮夫妻のところで、「ご夫妻のご意向が反映されている文書と考えるべきでしょう」(宮内庁関係者)さらに28日の定例会見では、佳子さんの結婚にまつわる報道にも、皇嗣職大夫が「遺憾である」といったという。「一定の基準を設ける」が今回の苦言につながったのか秋篠宮は、昨年11月の誕生日会見で、眞子さんの結婚をめぐる週刊誌報道について、「作り話が掲載されていることもありますが、一方で傾聴すべき意見も載っており、すべてを否定する気にはなれません」と述べた。間違った記事への対応については「一定の基準を設けて、それを超えた時には反論するとか、そういう基準づくりをしていく必要があると思います」とし、「宮内庁とも相談しながら考えていくことは必要」だと発言していた。その秋篠宮発言について宮内庁も、情報発信のあり方を研究していくとコメントしたが、それが今回の発言になったのだろうか。佳子さんの結婚問題は別として、将来天皇になる悠仁さんの高校進学について、あれこれ報じられるのは致し方ないのではないか。悠仁さんが学習院高等科ではなく、どこの高校を選ぶのか、大学はどうするのかは国民的な関心事である。あくまでも週刊文春によればだが、お茶の水中学の秋篠宮に近い保護者の話として、「秋篠宮ご夫妻が東大進学を望んでおられる」「東大ヘは推薦で入学するという青写真を描いておられる」と報じている。特に母親の紀子さんが熱心で、紀子さん自身も東大と縁が深い。紀子さんの父、故川嶋辰彦氏は東大経済部から大学院に進んでいるし、弟も東大大学院で獣医学の博士号を取得している。悠仁さんはトンボなどの昆虫に関心を持っているといわれ、東大農学部には応用昆虫学や昆虫遺伝学の研究室もあるそうだ。帝王学の基本が「民の声を聞く」ことであるなら…秋篠宮夫妻は、皇室の人間だから、特別な制度や推薦を使ってやすやすと有名校へ入れるといわれるのが嫌なのかもしれないが、私は、そんなことを気にする必要などないと思う。中にはこういう声もあると週刊文春(1月27日号)が報じている。「悠仁さまは将来、天皇になられるお方。ですが、筑附のような進学校では、日ごろの勉強に割かれる時間も多くなるでしょう。東大を目指すとなれば尚更です。そうなれば、天皇になるための“帝王教育”にまで手が回らなくなるのではないかと、心配する声が挙がっているのです」(宮内庁関係者)宮内庁の中には、悠仁さんの教育のためにしかるべきお方を呼ぶべきではないかという声もあるというが、秋篠宮は「そういうのが良いとは限らない」と否定的だという。天皇家の歴史や歴代天皇たちの遺徳を知るのも大事だろうが、帝王学の基本は「民の声を聞く」ことであると、私は考える。そのためには、ある種閉ざされた学習院ではなく、筑波大学附属や東大で学ぶほうが、悠仁さんにとっていいのではないだろうか。4月には総工費約33億円といわれる秋篠宮邸の改修拡張工事が終わって、秋篠宮家が引っ越すといわれている。その頃には、小室圭さんの司法試験の合否が判明して再び大きな騒ぎになるかもしれない。秋篠宮家にゆったりと暖かい春が訪れるのは、少し先になりそうである。元木 昌彦(もとき・まさひこ)ジャーナリスト1945年生まれ。講談社で『フライデー』『週刊現代』『Web現代』の編集長を歴任する。上智大学、明治学院大学などでマスコミ論を講義。
2022.02.20
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下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。ウォーキングに適度の負荷をかけることによって、脂肪燃焼や筋力アップ、血圧や血糖値の改善などの効果をもたらし、これまでのウォーキングの常識を変えたと言われる「インターバル速歩」。今回は、その提唱者である信州大学学術研究院医学系・特任教授の能勢博さんに、実際にインターバル速歩に取り組む際のコツを聞いていく。押さえておくべき基本を確認し、ウォーキングに出かけよう。『万病を防ぐ! 最強のウォーキング』 特集の内容インターバル速歩の基本は、「早歩き」と「普通歩き」の繰り返し3分間の早歩きと3分間の普通歩きを交互に繰り返す「インターバル速歩」は、運動の「量」より「質」を上げるウォーキング法だ。加齢とともに落ちる体力(筋力・持久力)を高めるだけでなく、体重・体脂肪率を減らし、生活習慣病や認知機能、膝関節の痛み、骨密度、うつ傾向など、さまざまな不調を改善する効果が期待できる。その効果を示すデータを詳しく紹介した前回に続き、今回は、インターバル速歩の具体的な実践法を解説しよう。教えてくれるのは、インターバル速歩の提唱者である信州大学学術研究院医学系・特任教授の能勢博さん。読者の皆さんの中には既にインターバル速歩に取り組んでいるという方もいるかもしれないが、大事なコツを取りこぼさないよう、今一度基本を見直しておこう。インターバル速歩の基本的な進め方は以下の通り。「普通歩き3分」と「早歩き3分」を1セットとし、1日5セット(計30分)以上を週4日、1週間あたり計120分行うというのが基本的なメニューだ。最大のポイントは、早歩きのときはダラダラ歩かず強度を上げること。「ややきついと感じて軽く息が弾む、汗ばむ程度の早歩きを3分続けましょう」と能勢さんは話す。この、「3分おき」という切り替えのタイミングには理由がある。「ややきついと感じる早歩きをしていると、大抵の人は2分くらいで疲れてきて『そろそろやめたい』と思ってしまいます。でも、あと1分で終わると思えば頑張れますよね。これを5分に増やしてしまうと、よほど明確な目的でもない限り、多くの人はつらくて続きません。だから3分をお勧めするわけです」(能勢さん)反対に、早歩きを3分続けても疲れを感じない場合は、運動負荷が足りていない可能性がある。その場合は、スピードが不十分になっていないか、大股歩き(下記参照)を忘れていないかなど、自分の歩き方をチェックする必要がある。早歩きと普通歩きを合わせて、週120分になるように行うのが基本だが、「モチベーションが高く、体力もある人なら、早歩きだけでトータル週60分のウォーキングとしても構いません。1週間のうち4日も歩く時間が確保できない人は、週末にまとめて行っても大丈夫です」と能勢さんはアドバイスする。かかとから着地するように、大股で歩く運動強度をしっかり上げるために、歩き方のポイントも押さえておこう。重要なのは、早歩きのときは普段より歩幅を広くし、大股で歩くことだ。そうすれば、下半身の筋肉をしっかり使うことができる。1歩あたりの移動距離も大きくなるので、自然と歩行速度も上がる。背筋は伸ばし、視線は25mほど先に向け、肘は直角に曲げて後ろにしっかり引き、かかとから着地しよう。「大股で歩くのは、下半身の筋肉をできるだけ多く運動に参加させるためです。大股を意識して歩けば、体全体の約60%にあたる下半身の筋肉、特に太ももの筋肉をたくさん使うことができ、運動強度が高まります」(能勢さん)「かかと着地」を意識するのも、歩いているうちに、つい歩幅が狭くなってしまうことを防ぐためだ。「つま先から着地するような歩き方ではどうしても歩幅が狭くなってしまいますが、かかとから着地するよう意識すれば、自然に大股になります」(能勢さん)
2022.02.20
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。同じ年齢でも老けて見える人と若々しい人では何が違うのか。自治医科大学分子病態治療研究センターの黒尾誠教授は「老化の原因はさまざまだが、『リンの摂りすぎ』も無視できない。特にスーパーやコンビニで売られている加工食品には大量の無機リンが含まれている」という――。※本稿は、黒尾誠『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。写真=iStock.com/bhofack2※写真はイメージです年齢より老けて見える人は「リン」の摂りすぎ?みなさんが高校や大学の同窓会に出席して、ものすごく久しぶりに級友と顔を合わせたとしましょう。そういう場では、老けた人と若々しい人がわりとくっきり分かれますよね。なかには髪が薄くなり、白髪やシワが増え、いったい誰だったかも思い出せないくらいに枯れて老け込んでしまった人もいます。かと思えば、髪や肌にもまだハリやつやがあって、学生時代の頃とたいして変わらないような活力や若々しさをキープしている人もいます。いったい、こういった差はどうしてつくのでしょうか。もちろん、いろいろな要因があるのでしょう。食事、運動、睡眠、仕事や生活の苦労、ストレス……、多くの要因が複合的にからみ合って、その人の老けやすさや若々しさに影響をもたらしているのだと思います。ただ、こういった多くの要因のひとつとして、私は「リンの摂りすぎが与える影響」も無視できないと思うのです。もちろんまだまだ想像の域を出ない話ではあるのですが、もしかしたら、日々リンをどれくらい摂っているかが、その人の見た目の若さにもバカにできない影響を与えているのかもしれません。リンは老化加速物質です。普段からリンを必要以上に摂っていれば、リンを排泄する腎臓に負担がかかり、腎機能がより早く衰えるようになってしまいます。そして、腎機能が落ちるとともに血液中にリンがたまるようになってくると、細胞毒のCPPが増え、血管や細胞に障害をもたらして老化や病気をどっと勢いづけるようになっていくのです。「味がない」「においもない」「見えない」という隠れ物質つまり、こういった悪い流れを招いてしまうもともとの始まりは「リンの摂りすぎ」にあるのだということ。だとすると、「もともとリンをたくさん摂っている人」と「もともと少しのリンしか摂っていない人」とでは、その後の人生での老化進行スピードに差がついてきたとしてもおかしくはありません。いまのわたしたちの食生活は、明らかにリンの摂りすぎです。日本に暮らして普通の食生活を送っている人であれば、誰も彼もが必要量をはるかにオーバーしていて、不足している人などひとりもいないと言っていいでしょう。リンはいろいろな食品に入っているのにもかかわらず、「味がない」「においもない」「見えない」という“ないないづくし”。このため、ほとんどの人が日々知らず知らず口に入れてしまい、知らず知らずのうちに大量のリンを摂りすぎてしまうことになっていくわけです。これだけでも糖分や塩分を制限する場合とはだいぶ勝手が違うということがお分かりいただけるでしょう。すなわち、リンを食事制限のターゲットにするとなると、味もにおいもしないし、姿すらろくに見えない「透明な相手」を敵に回して戦っていかなくてはならないことになるのです。たんぱく質食品に多い有機リン、加工食品に多い無機リンでは、こういう「見えない敵」とどう戦っていけばいいのか。それには、リンというターゲットがどんな特徴を持った物質で、どういった食品にとくに多いのかを知っておく必要があります。まず、押さえておいていただきたいのが、リンには「有機リン」と「無機リン」の2種類があるということです。有機リン――肉類、魚介類、卵、乳製品、野菜、穀物などに広く含まれているリン。食品中の有機リン含有量はたんぱく質含有量に比例することが多く、このため、肉、魚、牛乳やチーズなどのたんぱく質食品に多い傾向がある。ただし、体内への吸収率は20~60%と食品によってかなり違いがある。無機リン――食品添加物として使用されているリン。ソーセージやハム、ベーコンなどの加工肉、干物や練り物、スナック菓子、インスタント麺、ファストフードなど、ほとんどの加工食品に含まれている。体内への吸収率は90%以上で、口から入った添加物の無機リンはすべて吸収されてしまうと思ったほうがいい。「食べてもいいリン」は大豆食品じつは、有機リンには「吸収されやすいタイプのリン」と「吸収されないタイプのリン」とがあります。一般に、肉や乳製品などの動物由来の有機リンは吸収されやすく、野菜などに含まれる植物由来の有機リンは吸収されにくい傾向があるのです。なかでも、とくに覚えておいていただきたいのは、「リンが多いとされている食べ物」であっても、人の体にはまったく吸収されないタイプの食品があるという点です。その「吸収されないリン食品」が「大豆」です。大豆の有機リンは「フィチン酸」というかたちで含まれていて、このフィチン酸は人間の腸からは吸収されません。たくさん摂ったとしても、吸収されないまま便と一緒に排泄されていくことになります。つまり、「吸収されないタイプのリン」なら、別に食べても構わないということ。大豆は「リンが多い食べ物」とされているのですが、これは「食べてもいいリン」だということになります。食品添加物中のリンは90%以上吸収されるしかし、無機リンのほうは違います。無機リン、すなわち、食品添加物に入っているリンは、日々意識して減らしているかどうかで摂取量にかなり大きな差がついてしまうことになります。むしろ、リン制限を成功させられるかどうかは、この食品添加物中のリンをどれだけ減らせるかにかかっていると言ったほうがいいでしょう。要するに、リン制限でターゲットにすべきは有機リンよりも無機リン。「食品添加物中のリンを減らすこと」にターゲットを絞って力を注いでいくほうがずっと効率がいいし、リン制限がうまくいきやすいと考えられるのです。食品添加物中のリンが体内に入ってきたときの吸収率は90%以上です。しかも、わたしたちは毎日さまざまな食べ物から食品添加物を摂り、結果、途方もない量のリンを口にしてしまっていると思ったほうがいいでしょう。こうした大量のリンがいったいどれだけわたしたちの腎臓に負担をかけているのか、いったいどれだけわたしたちの老化を加速させることにつながっているのか。この点は、これからしっかりと研究すべき課題です。写真=iStock.com/Hakase_※写真はイメージです「食品添加物が多そうなもの」を減らしていくでは、わたしたちは、こうした状況の中、どうやって食品添加物中のリンを減らしていけばいいのでしょう。私は、いちばん手っ取り早いのは、「食品添加物が多そうなものはなるべく食べない」「食品添加物が多そうなものはなるべく買わない」という戦法をつらぬくことだと思います。つまり、「リンが入っているかどうか」なんて細かく見てもどうせ分からないから、食品添加物が多そうな食品は“どれも怪しい”“どれもリンが入っているかもしれない”と思って、できるだけ避けるようにしていきましょうというわけです。なにしろ相手は「見えない敵」ですから、広めに網を張っておいて“これは危なそうだな”と思ったものはできるだけ摂取を控えるようにしていく。そうすれば、かなりの量の「見えない相手」を網にかけることができ、その分のリンを口に入れずに済ませられるようになるでしょう。そうやって、食卓から意識的に食品添加物を遠ざけていくのが、もっとも効率的・合理的ではないかというわけです。すべてを断つのではなく、まずは週1回からたとえば、「せめてジャンクフードを買うのはやめよう」とか「せめてファストフード店で食べる回数は控えよう」とか「加工肉を買うのはせめて週1回にしよう」とか「スーパーのお惣菜に頼るのはせめて週に1回程度にしよう」とか、そういうカットの仕方でもリンの摂取量はかなり減らすことができると思います。とにかく、自分が食べたいものを食べずに我慢するのではなく、“これなら自分にもできそうだ”という簡単な部分からカットしていくのが長続きのコツです。この「食品添加物カットによるリン制限」、ぜひみなさんも、自分なりの基準を決めて、無理のないところからスタートするようにしてみてください。そして、一歩一歩着実に口から入るリンを減らしていくようにしましょう。ハム、ソーセージ、かまぼこに練り物…日々の暮らしの中でどういった基準で食品添加物をカットしていけばいいのか。参考までに12条の具体例を示しておくことにしましょう。①ハム、ソーセージ、ベーコンなどを減らす加工肉は調理も簡単でついつい便利に使ってしまいがち。ただ、これまでも述べてきたようにリン添加物が使われているケースが少なくありません。ソーセージなどはメーカーによってもリン使用量がだいぶ違うようなので一律にNGとも言えないのですが、普段から「加工肉はリンが多めだから気をつけよう」という意識を持っているだけでもかなり摂取量が違ってくるはずです。②魚肉ソーセージ、かまぼこ、練り物などを減らす加工肉と同様に、魚肉ソーセージ、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品にも添加物が多めに含まれています。それに、はんぺんやつみれ、さつま揚げなどのおでんの具にも気をつけるべきでしょう。たまに食べる程度なら問題ありませんが、やはり「水産加工食品は添加物多めだ」ということを頭の隅に置いておくようにしてください。③なるべく「元の素材が分かる食品」を買う野菜、きのこ、果物などは、「元の素材やかたち」のままで食卓に上るケースが多いもの。一方加工食品には、いったんすり潰してから別のかたちに整えるなど、元の素材が原形をとどめていないことが多いものです。こうした「元の素材やかたち」が分からないものには添加物が含まれているケースが多いので、食品を買い求める際のひとつの目安にしておくといいでしょう。「とんでもなく日持ちがするもの」は避ける④カップラーメンを減らすお湯を注ぎさえすれば食べられるカップ麺はたいへん便利ですが、添加物も多く使用されている食品です。しょっちゅう食べている人は、その「しょっちゅう」を「たまに」に変えるだけでもだいぶ添加物摂取量が減ってくるはずです。写真=iStock.com/kuppa_rock※写真はイメージです⑤「とんでもなく日持ちがするもの」は買わないスーパーやコンビニで売られている加工食品には、たまに消費期限がびっくりするくらい長いものがあります。何か月も何年も日持ちがするということは、それだけ保存料や防腐剤など多くの添加物が使われている可能性があります。食品は時間が経てば腐っていくのが普通です。とんでもなく日持ちするものやいつまで経っても腐らないものは、なるべく買わないほうがいいでしょう。ただし、缶詰に関しては賞味期限が長いからといってそれほど添加物の心配はしなくてもよいかもしれません。保存料や防腐剤なしで腐らないのが不思議だという人も多いと思いますが、缶詰は空気に触れないように中身を密封して詰めてから高温高圧の蒸気で完全滅菌しているので、長期間保存をしても腐らないのです。つい食べ過ぎてしまうスナック菓子は…⑥「いかにも着色料を使っていそうな食品」は買わない不自然なくらい鮮やかな色をしていたり、およそ食べ物と思えないようなどぎつい色をしていたりする食品は発色剤や着色料などの添加物を使用している可能性大です。そういった「いかにも」という食品はなるべく買わないようにしましょう。⑦スナック菓子はなるべく個別包装してあるものを買うスナック菓子は全般的に添加物が多めです。なるべくなら「ついついつまんで、いつの間にかひと袋空けちゃった」といった行為はしないほうがいいでしょう。ただ、最近は少量タイプのスナック菓子も売られているし、チョコやおせんべいにも個別包装してあるものが多くなってきました。あらかじめそういったタイプを買うようにしておけば食べすぎを防ぐことにもつながります。お菓子類が好きな方は「少量タイプを買って、ちょっとだけ食べる」を習慣づけていくといいのではないでしょうか。⑧なるべく手作りのものを食べるスーパーやコンビニのお惣菜やお弁当には添加物が使われているものが少なくありません。だから、普段から「なるべく家で手作りのものを食べよう」と心がけているだけでも添加物摂取量を減らすことにつながります。たとえばサンドイッチであれば、食パンを買って、レタスを買って、卵を買って、ツナ缶を買って、自分でサンドして食べればいい。それだけでもだいぶ違うはずです。加工肉やラーメンは先にゆでるのがおすすめ⑨ファストフードを食べる機会を減らすずいぶん前から「ファストフード店で提供している食品には添加物が多く含まれている」ということが指摘されています。もちろん、以前に比べればかなり改善もされてきているのでしょうし、すべてのファストフードがNGというわけではないでしょう。ただ、やはりあまりにしょっちゅう利用するのは考えもの。利用機会が多い人は意識して減らしていくほうがいいでしょう。⑩「下ゆで」「ゆでこぼし」などの工夫をするハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉は、炒めたり焼いたりする前に熱湯に10秒ほどくぐらせるとだいぶ添加物を落とせるそうです。また、インスタントラーメンは、麺をゆでたお湯にスープを加えるのではなく、麺とスープを別々の鍋でつくってスープの鍋に麺を移すようにするのがおすすめ。そうすれば、麺をゆでた鍋のほうで添加物を落とせるというわけですね。それと、カップラーメンの場合は、かやくと麺が別々のタイプを選び、麺にお湯を注いだらそのお湯をいったん捨てて、改めてお湯を入れ直すといいそうです。調理の際、こうしたひと手間を加えるよう習慣づければ、それだけでもけっこうな添加物削減につながるはずです。「○○料」「○○剤」…表記が多い商品は注意⑪値段が安すぎるものには注意する同じ種類の食品であっても、値段にかなりの差があるものは少なくありません。値段が安いものは、コストを安く仕上げようとしている分、安易に添加物に頼ってしまっている傾向があるようです。黒尾誠『腎臓が寿命を決める 老化加速物質リンを最速で排出する』(幻冬舎新書)一方、値段が高いものは、なるべく添加物に頼らずに「自然のまま」「素材のまま」に近いかたちで食卓に届けようという努力をしているケースが多いもの。このあたりは、値段に正直に反映されていることが多いので、あまりに安すぎるものには注意を払ったほうがいいかもしれません。⑫食品表示ラベルを見て「○○料」「○○剤」という表記の多いものは買わない先ほど述べたように、「○○料」「○○剤」と一括名表示されている成分には、何種類もの添加物が含まれていることが多いもの。それらのどこにリン添加物が混じっているか分かりません。ラベルをパッと見て、「○○料」「○○剤」という記載の多い食品はなるべく買わないようにするというのもひとつの手ではないでしょうか。黒尾 誠(くろお・まこと)自治医科大学 分子病態治療研究センター 抗加齢医学研究部 教授1985年に東京大学医学部医学科卒業。91年、国立精神・神経センターでの実験中に見つけた突然変異マウスを発端に、余分なリンを腎臓から排出させる老化抑制遺伝子「クロトー」を発見。脊椎動物の老化抑制遺伝子の発見は世界初の快挙となった。98年、米テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの助教授に就任、2012年に教授に。帰国後、現職。腎臓とリンから老化の仕組みを解明する研究を続けている。
2022.02.19
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下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。新型コロナウイルス感染症の症状のひとつに、高い熱があります。場合によっては40度くらいまで上がることもありますが、高熱が出ていても酸素飽和度が規定値に達しないと「軽症」と判断され、宿泊療養もしくは自宅療養になります。さらに、ひどい咳の他、下痢の症状が出る患者もいることがわかっています。感染症専門家の岡田晴恵氏が上梓した『新型コロナ自宅療養完全マニュアル』(実業之日本社)の一部を抜粋・編集し、オミクロン株の状況に合わせて内容を更新して、今備えるべき知識を伝えます。(白鴎大学教育学部教授 岡田晴恵)高い熱が出てきたら、どうすれば良い?拡大画像表示 発熱時にはまず、検温をきちんと行います。食後は食べ物を消化するためにどうしても体温が高くなるので、時間をおいてから測ります。悪寒は、熱の上がり始めに生じやすい症状です。その際は「全身の保温」を意識して、できるだけ体を冷やさないことが大切です。 一方、熱が上がって顔がほてったり、カラダが熱くなったり、手足が熱くなったら、体にこもった熱を発散させます。薄着にしたり、毛布を外すなど、「涼しく」してあげましょう。 熱を下げるには、首の後ろや太ももの付け根などの太い動脈部分を冷やします。汗をかいた場合は、濡れタオルで全身をさっと拭きます。また、発熱で汗をかくので、水分補給はこまめに行いましょう。 それでは、咳がひどい場合は、どのように対処すべきでしょうか。ひどい咳でも自宅療養のときは…新型コロナウイルス感染症の症状のひとつに「ひどい咳が続く」というものもあります。「コンコン」という乾いた咳ではなく、「ゴホゴホ」という湿った咳や「ゼーゼー」という痰がからんだような咳のときもあります。咳が止まらないときは、呼吸をすることすらつらくなるもの。寝ているのもつらいときは仰向けにこだわらず、体を少し起こすなど呼吸しやすい姿勢を取りましょう。背中をさすったりすると少し楽になることもあります。乾燥した空気や冷気、ほこりなどが咳を誘発することもあります。部屋は清潔にして、ペットの毛や細かいほこりなどを残さないように心がけましょう。また、エアコンの風が直接当たらない位置で安静にしましょう。咳が続くと水分を取ることも難しくなりますが、喉の乾燥が咳をひどくしている場合もあります。そんなときは常温の飲み物を、ゆっくりと少量ずつ飲みましょう。一気に飲むと逆に喉に負担をかけることになるので、注意してください。飲み物は、水以外にもスポーツ飲料や経口補水液でも構いません。 もしも下痢の症状が出たら…もし下痢の症状が出たら、消化のよいものを食べるようにし、水分補給を欠かさないようにしてください。具体的には、やわらかく煮たうどんやおかゆなど消化のよいものがいいでしょう。また、下痢のときは水分だけではなく塩分も一緒に失われてしまいます。そのため、軽い脱水がある場合は経口補水液で補給しましょう。量は少しずつで、回数を多くしたほうが負担なく補給できます。また、感染者の便を処理しなければならないときの注意点です。まずエプロンやレインコート、使い捨て手袋やマスク、メガネやゴーグルを着用して感染対策を行い、拭き取り漏れが起こらないようにします。便中にはウイルスが含まれることは前述の通りです。それを念頭に入れてしっかり処理しないと、家庭内感染を広げる一因にもなりかねません。 拡大画像表示
2022.02.19
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。テクノロジーの発展で、私たちの仕事はどう変わるのか。東京都立大学教授の宮本弘暁さんは「野村総合研究所による研究では、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業が機械によって代替される可能性が高いことがわかっています」という――。※本稿は、宮本弘曉『101のデータで読む日本の未来』(PHP新書)の一部を再編集したものです。テクノロジーの進歩で働き方はどう変わるかいま世界では、①人口構造の変化 ②地球温暖化対策によるグリーン化 ③テクノロジーの進歩という3つのメガトレンドが進んでいます。これらも変化が今後、私たちの働き方や労働市場にどのような影響をもたらすのかを考えてみましょう。長寿化した社会では、私たちはこれまでより長期にわたって働く可能性が高くなります。そして、職業人生が長くなると、労働環境の変化に直面する機会がおのずと増えます。特に、今後、労働環境を大きく変化させると考えられるのが、テクノロジーの進歩と経済のグリーン化です。まず、テクノロジーの進歩が労働に与える影響を考えてみましょう。技術革新により、人間がこれまで携わってきた作業が軽減されたり、置き換えられたりしています。1970年代以降は銀行や空港の仕事を大きく変えた技術革新と雇用の問題は、1810年代、織物工業の労働者が機械を破壊するなどした「ラッダイト運動」に遡ります。これは産業革命による機械の普及が、人々の仕事を奪うのではないかという懸念から発生したものです。1930年代に経済学者のジョン・メイナード・ケインズは、新技術は人々から雇用を奪い、技術的失業が増えると警告しました。その後の技術進歩も目覚ましく、人々の働き方を変えてきました。例えば、1970年代以降は、銀行窓口の仕事がATM(現金自動受払機)に置き換えられたり、空港のカウンター係の仕事が自動チェックイン機に置き換えられるなど、人手を要した仕事が自動化によって機械に代替されてきました。日本の労働人口49%が関わる職業が機械に代替されるこのように過去を振り返ってみると、たしかに新しい技術は人々から特定の職を奪ってきました。しかしながら、経済全体でみると、技術革新は雇用を減らし、技術的失業を増やしてはいません。しかし、最近では雇用へのマイナスの影響が懸念されています。イギリスのオックスフォード大学のカール・フレイ博士とマイケル・オズボーン准教授は、今後10~20年間に、技術進歩により、アメリカ国内の労働者の47%が仕事を機械にとって代わられるリスクが高いとし、雇用の未来について世界で研究ブームが発生しました。日本を分析対象としたものとしては、野村総合研究所による研究があります。野村総合研究所は2015年に前述のフレイ博士とオズボーン准教授の研究と同じ手法で、国内601種類の職業について、それぞれAIやロボット等に代替される確率を試算しています。分析結果は、10~20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業が機械によって代替される可能性が高いとしています。自動化される可能性が最も低い職業とは図表1は、日本で自動化される可能性が高い職業と低い職業を示したものです。自動化の可能性が高い仕事は、コンピュータが比較的得意としている情報管理や処理に関連する作業が多いものとなっているのに対して、自動化の可能性が低い仕事は、創造的作業を伴っていたり、複雑な社会的交流が必要とされる作業を必要とするものとなっています。※宮本弘曉『101のデータで読む日本の未来 』(PHP新書)より技術革新で新たに生み出される仕事もあるこれに対して、OECDは2016年の研究報告で、機械に置き換えられる可能性が高い仕事の割合はアメリカで9%、OECD平均で9%、日本では7%としています。仕事が機械によって将来どの程度置き換えられるか、という予想は、このように研究ごとに差があり、割り引いてみる必要があります。なぜなら、こうした予測は試算方法によって数字が大きく変わるからです。また、自動化されるリスクが実際にAIやロボットに置き換えられるという保証はありません。さらに、技術革新は、生産性の向上やコストダウンを通じて、企業の利益を高め、その結果、労働需要を引き上げる可能性があります。現時点では想像しえない仕事が技術革新によって生み出される可能性もあります。技術革新で生産性が上がると失業率は下がる⁉技術革新が雇用全体に与える影響を分析した実証研究では、長期的に生産性の成長率(技術革新の尺度)と失業(雇用の尺度)に正の関係、つまり、「技術革新が進めば失業が増える」という関係を見出すことは難しく、むしろ、技術革新は失業を低下させる可能性が高いとしています。実際、図表2に示したように、アメリカでは生産性成長率と失業率の間にはマイナスの関係があることがわかります。もっとも短期的には、機械に置き換えられた業務にそれまで携わっていた労働者が余剰となり、退職をせざるを得ない場合には、雇用にマイナスの影響を与える可能性は否定できません。※宮本弘曉『101のデータで読む日本の未来 』(PHP新書)より機械に代替されにくいのは中スキル職より低スキル職理論的には技術革新が雇用に与える影響は、労働者が新技術にどれだけ適応できるかに依存します。宮本弘曉『101のデータで読む日本の未来 』(PHP新書)この点において、マサチューセッツ工科大学のデイビット・オーター教授の研究は示唆に富んでいます。オーター教授は、アメリカにおける職をそれに必要となるスキルに応じて、低スキルの職、中スキルの職、高スキルの職の3つに分け、その変遷を分析しています。その結果、中スキルの職が全体に占める割合は低下し続けているのに対して、低スキルと高スキルの職は、その割合が上昇傾向にあることがわかりました。この理由は、中スキルの職はルールや手順を明示化できる定型的なものが多く、機械に代替されやすいからです。一方、低スキル、高スキルの職務はそれぞれ肉体労働、頭脳労働を必要とし、明示化がしにくいため、新技術の影響を受けにくいとされます。技術進歩によって仕事を失うリスクは、男女で異なることも明らかにされています。IMFの研究によると、自動化によって男性が仕事を失うリスクは平均9%であるのに対して、女性が仕事を失うリスクは平均11%となっています。これは男性よりも女性が、低スキルや中スキルのルーティン業務を伴う自動化されやすい仕事に従事している割合が高いからです。男性と比較して女性が仕事を失うリスクが最も高い国は日本また、IMFの研究では、仕事を自動化で失うリスクの男女差は、国ごとに異なり、中でも日本はその差が最も大きく、女性の仕事が男性の仕事よりも自動化のリスクにさらされやすいとしています。この背景には日本では企業活動の中心は依然として男性によってなされており、女性はその補助役という労働慣行が根強く残っていることが挙げられます。最近、民間企業や自治体でロボティック・プロセス・オートメーション(RPA, Robotic Process Automation)が導入され始めています。RPAは、事務作業を担うホワイトカラーがパソコン等で行っている一連の作業を自動化できるソフトウエアロボットです。こうしたデジタル技術は、特に女性の仕事に強く影響を与えると考えられます。宮本 弘曉(みやもと・ひろあき)東京都立大学 経済経営学部 教授1977年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、米国ウィスコンシン大学マディソン校にて経済学博士号取得(Ph.D. in Economics)。国際大学学長特別補佐・教授、東京大学公共政策大学院特任准教授、国際通貨基金(IMF)エコノミストを経て現職。専門は労働経済学、マクロ経済学、日本経済論。
2022.02.19
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下記の記事はデイリー新潮オンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。ビザに関する相談今月下旬に司法試験に再挑戦する小室圭さんが深刻な「ビザ問題」を抱え、外務省に相談していることが判明した。今年7月までに就労許可が期限切れとなる可能性があるため、新たにビザを取得する必要があるが――。***小室さんは現在、「ローウェンスタイン・サンドラー」という法律事務所に「Law Clerk」(法務事務)として勤務しながら2月22日、23日に行われるニューヨーク州の司法試験に向けて勉強している最中だ。そんな小室さんのビザについて、「滞在資格はまだ学生ビザ(F-1)である可能性が高いと思います。学生ビザのまま、OPT(Optional Practical Training)プログラムを利用しているのでしょう」と解説するのは、ニューヨーク州弁護士のリッキー徳永氏。OPTとはアメリカの大学や大学院の卒業生が利用できるプログラムで、これを使うと卒業生は卒業後1年間、アメリカに滞在して習得した学業の分野で仕事を探し、実際に働くことができるという。昨年5月にフォーダム大のロースクールを卒業した小室さんの場合、早ければ5月、遅くとも7月までに現在のビザではアメリカに滞在できなくなってしまうのだ。「小室さんは今後、高度な専門知識が必要な職業が対象のH-1Bビザを申請する可能性があります。これを取得するには司法試験に合格して弁護士資格を得ているに越したことはありません。しかし司法試験に落ちたとしても『リサーチャー』などの職務に従事する形でH-1Bビザを取得するケースもあります」(リッキー徳永氏)当選率は5割以下問題はH-1Bビザの申請が毎年抽選であり、その当選率が例年5割を切っていることだという。そのためか、「小室さんは日本の外務省に対して、ビザに関する相談を持ち掛けています」(日本政府関係者)という証言が。もっとも、ビザの発給というのは国家の主権に関わることであり、外務省やNY総領事がアメリカ政府に働きかけたとしても「応じてもらえる可能性は限りなくゼロに近い」(同)。仮に新たなビザが取得できなければ、小室夫妻が日本へ帰国する可能性も浮上してくるのだ。
2022.02.19
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下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。高齢化とともに有病者が増える「認知症」。わずか3年後の2025年、日本の65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されている。現時点で認知症を根本的に治療する薬剤や手段はない。予防と進行抑制を徹底することが重要だ。予防策の一つは定期的な運動。運動の刺激で血流が改善され神経栄養因子の活性化が生じ、脳内ネットワークの機能の向上や、脳の体積の増加が期待できる。ただ、まとまった運動時間をとることは難しい。日々の「家事」が代替手段になるようだが、本当に効果があるのだろうか。シンガポール・老年医学教育研究所の研究者は、都市部に住む21歳~65歳未満の男女249人(平均年齢44歳、女性57%)と、65歳以上~90歳の男女240人(平均年齢75歳、女性57.1%)から、日々の家事労働や通勤、仕事時や余暇の身体活動量(PA)の情報を収集。認知機能との関連を解析している。家事については、食器洗いや洗濯など「強度が低い家事(LH)」と、布団干しや掃除機かけなど「強度が高い家事(HH)」に分類し分析を行った。その結果、LH、HHを盛んに行っている高齢者は、認知機能検査の数値が良いことが判明した。特に、高HH群は「注意力」のスコアが低HH群とLH群より14%高く、高LH群は「即時記憶(作動記憶)」と、さっきかけた電話番号を思い出すなどの「遅延記憶」のスコアがそれぞれ12%と8%高かった。一方、若年層では家事労働と認知機能との関連は認められなかった。研究者は「対象者の教育水準が高く、影響が顕在化しなかったのだろう」と推測している。興味深いのは、家事労働に関する「正の影響」は、余暇の運動や移動、仕事のPAとは関係なく生じていること。段取りを考え、手際よくこなす必要がある日々の家事は、意外に「脳トレ」や「脳育て」に通じるようだ。さて、本研究でも家事労働の担い手の多くは女性だった。男性諸氏は試しに一日の家事労働を全て引き受けてみるのはどうだろう。結構、身体も頭も使います。(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)
2022.02.19
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。健康で長生きするためにはなにを食べればいいか。京都大学名誉教授の家森幸男さんは「世界の長寿地域で共通して食べられているのが大豆。大豆は『健康食の王様』であり、ほとんどのがんや糖尿病の予防が期待できることや、更年期障害の症状を抑える効果がある」という――。※本稿は、家森幸男『遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」』(集英社インターナショナル)の一部を再編集したものです。写真=iStock.com/Amarita※写真はイメージです全ての画像を見る(6枚)大豆は「健康食の王様」長寿の秘密を握る素材のひとつとして「大豆」があります。英語ではソイ・ビーンズ、ソイとも言います。日本語の「醬油」という言葉がなまって、ソイと言われるようになったことからも分かるように欧米には元々、大豆がありませんでした。ヨーロッパで大豆の本格栽培が始まるのは19世紀になってからとも言われています。しかも、欧米では、この大豆をもったいないことに家畜の飼料用として主に栽培していて、食用にする習慣はほとんどありません。これは実に憂うべきことです。大豆にはすばらしい健康増進パワーがあります。まさに「健康食の王様」だと思います。そもそも私たちの世界調査は、脳卒中ラットに大豆を食べさせたところ、脳卒中を防いで長生きしたというところから始まっています。当時はまだ大豆の成分である「イソフラボン」も何も検出できていない時代でしたが、大豆が長寿の秘密にかかわる食材であることは当初から予想がついていました。ちなみに尿中のイソフラボンは大豆の摂取量を反映します。これが多いと大豆をたくさん食べていて、少ないとあまり食べていないことになります。世界調査の結果を分析するとやはり予想通りで、中国・貴陽やハワイのヒロ地区など、多くの長寿地域では大豆が食べられていたのです。大豆をよく食べている地域では血圧もコレステロール値も低い大豆を食べている長寿地域の中でも印象深かったのは前述した中国の貴陽です。この地域では大豆や大豆製品が本当によく食べられていました。豆腐、納豆、豆乳といった日本でもおなじみの大豆製品以外にも、干し豆腐、沖縄の「豆腐よう」のような発酵した豆腐、豆腐を発酵させたチーズ風のものなど、ひじょうにバラエティ豊かなのです。写真=iStock.com/chengyuzheng※写真はイメージですさらには豆腐を原料にした「豆腐麺」もありました。見た目はうどんのような麺で、これを豆乳のスープで食べるのです。Wソイフードです。ファストフードも豆腐です。市場では焼いた厚揚げのようなものが売られていて、出勤前のOLさんがハンバーガーのように立ち食いする姿が見られました。とにかく大豆を徹底利用して、食べつくす知恵に感心しました。大豆こそ、貴陽の人たちの長寿を守る重要な食材だったのです。実際、貴陽の人たちの血圧は私たちの調査に赴いた、中国12カ所の中で広州についで低い数値でした。血圧が低ければ当然、脳卒中も心臓死も起きにくくなります。この地域の人たちが長寿なのも当然と納得しました。私たちの調査では、大豆をよく食べる地域では一様に血圧、コレステロール値が低く、心臓病、心臓死が少ないという結果が出ました。さらには肥満も少ないのです。逆に大豆を食べない地域では「死の四重奏」と言われる肥満、高血圧、高脂血症、糖尿病が多く、また寿命も短命になってしまっています。では大豆がなぜスーパー健康食なのでしょうか。これには3つの秘密があります。大豆に含まれるたんぱく質は、肉や魚と同じくらい質が高い大豆にはたんぱく質、脂質、炭水化物という、私たちの体にとってなくてはならない3大栄養素がバランスよく含まれています。特にたんぱく質です。大豆は「畑の肉」と言われるように、実に30%が植物性たんぱく質です。さらに特筆すべきはその「質」です。たんぱく質の質は「アミノ酸スコア」といって、食品に含まれる必須アミノ酸のバランスで見ることができます。大豆のアミノ酸スコアは牛肉・豚肉などの肉類、アジ、サケなどの魚と同じ100です。植物性のたんぱく質はトウモロコシ、そば、バナナなどにも含まれていますが、肉や魚などの動物性たんぱくに比べると、劣る場合が多いのですが、大豆は魚や肉と肩を並べるほど良質なのです。また大豆は脂質、カロリーが低いという利点があります。大豆と同じ量のたんぱく質を肉で摂ると、カロリーも高く、余分な脂肪も摂ることになってしまいます。さらに大豆のたんぱく質は悪玉コレステロールを下げることも研究によりわかっています。大豆といえばイソフラボンというぐらい、みなさんに知られている成分です。イソフラボンはフラボノイドの一種で、女性ホルモンに似た働きをするといわれています。イソフラボンは実に多くの健康増進効果を持っています。以下にまとめてみましょう。・血圧を低下させる・悪玉コレステロールを下げ、心臓病を予防する・更年期障害の症状を抑える・骨粗しょう症を予防する・乳がん、前立腺がんの予防・ほとんどのがんの死亡率を低下させる・肌を若々しく保つまさに体にとっていいことずくめの働きをしてくれることがおわかりでしょう。動物実験で効果が実証されたイソフラボン実は私たちが世界調査を始めたころはまだイソフラボンの存在は知られていませんでした。1990年ごろになって大豆にイソフラボンという成分がある事実が注目されるようになり、私たちも早速ラットを使って研究を始めることにしました。ところがなんと当時、イソフラボンは1グラム100万円という時代です。動物実験にとても使えるものではありません。いきなり挫折かと思われましたが、幸運なことに、ある大豆を扱う企業から、それまでは捨てられていたイソフラボンをいただいて、研究に着手することができました。メスの脳卒中ラットから卵巣を取り除いて、わざと更年期の状態にします。言うなれば「更年期ラット」です。すると急に毛がバサバサになり、皮膚のつやがなくなります。また、オスのようによく食べて肥満にもなり、骨からカルシウムが溶けだして骨粗しょう症になります。まさに人間の女性の更年期障害と同じです。また急に脳卒中も増えます。この「更年期ラット」に大豆の胚軸を混ぜたエサを与えます。イソフラボンは大豆の胚軸に最も多く含まれているのです。すると見る見るうちに毛づやがよくなり、肥満が解消されました。骨が溶けだす現象が抑えられ、骨粗しょう症の発生も緩やかになりました。更年期の諸症状が改善されたのです。さらには脳卒中の発生も抑えられました。あまりにも見事な結果が確認され、急いで世界中の人から集めた尿をチェックしてみました。それまで尿中のイソフラボン量は調べていなかったのです。世界調査で集めた24時間尿はすべて冷凍保管してありますから、こういうときに迅速に対応できるのが私たちの強みです。その結果、大豆を食べている地域の女性は閉経以降も血圧やコレステロールが低く抑えられていることがわかりました。イソフラボンが更年期の症状を和らげていることが実際に確認されたのです。骨粗しょう症や心筋梗塞を防げるイソフラボンの摂取で「骨粗しょう症」も防ぐことができることがわかっています。ハワイに移住した高齢女性の尿で、骨密度の低い人と高い人を比べたところ、骨密度の高い人は尿中にイソフラボンが多く出ていたのです。さらにはイソフラボンと心筋梗塞における死亡率の関係を調べてみたところ、こちらも明らかな関係がありました。イソフラボンの摂取量が多ければ多いほど、心筋梗塞による死亡率が低く、イソフラボン摂取量の少ないところでは死亡率が高くなっていたのです。同様に男性の前立腺がん、女性の乳がん、さらにほとんどのがんの死亡率もイソフラボンの量が多ければ多いほど、低下することが確認できました。魚介類にも多く含まれているマグネシウムですが、大豆にもたっぷり含まれています。マグネシウムというと「金属」というイメージが強いかもしれませんが、私たちの体に欠かせない微量ミネラルです。マグネシウムは私たちの体内において、「酵素」の働きをサポートしています。私たち人間は食べ物を食べて、それを消化・吸収して、エネルギーを作り、体を動かしています。この作業すべてに関わっているのが「酵素」です。写真=iStock.com/piotr_malczyk※写真はイメージです私たちは酵素の働きなしに体を動かすことはできません。マグネシウムはこのうち、300もの酵素反応に関わっているといわれているのです。マグネシウムはなくてはならないという理由がおわかりでしょう。またマグネシウムは動脈硬化や糖尿病、肥満、高血圧の予防や改善にも一役買ってくれることがわかってきています。先ほどタウリンは生命の素といっていいほど重要な栄養素だと述べましたが、マグネシウムもまた、ひじょうに重要な生命の素といえます。マグネシウムを摂取することで脳卒中を予防できる塩分の打ち消す栄養素の話をしましたが、マグネシウムも塩分を体外に排出させる作用を持っています。このことは30年前に行った脳卒中ラットの実験ですでにわかっていることです。脳卒中ラットに塩分1%(味噌汁程度)の水を与えるとたった2カ月ほどで脳卒中を起こします。ところが塩分入りの水を与えても、一緒に十分な量のマグネシウムを与えることで、脳卒中の発症を遅らせることができ、寿命が2倍に延びたのです。それから30年後、ついに人間でもこのことが証明されました。血圧が高めの人を集め、毎日600ミリグラムのマグネシウムを摂ってもらったところ、12週間もすると血圧が下がることが確かめられ、血中のマグネシウム量も増えたと報告されました。血圧を上げないための仕組みである「ナトリウムポンプ」の話をしましたが、このとき、ナトリウムポンプの働きを助けてくれるのがマグネシウムです。ナトリウムポンプを動かすATPアーゼという酵素は、マグネシウムと結合することで初めて働くのです。つまり、マグネシウムがないと、ATPアーゼを使って塩分(ナトリウム)を細胞から追い出すことができないのです。塩の摂りすぎになりがちな現代人こそ、マグネシウムをしっかり摂取すべきなのです。大豆を食べることで肥満と糖尿病を予防できるところが日本人のマグネシウム摂取量は激減してきています。マグネシウムは大豆のほか、玄米や麦に多く含まれています。しかし精白した白米では、マグネシウムの含量は6分の1にまで低下してしまいます。またマグネシウムはわかめやひじき、干しエビやするめなどの乾物、野菜やきのこにも含まれていますが、これらも現代の日本人の食生活では不足しがちです。その不足しがちなマグネシウムが大豆、そして魚にたっぷり含まれているのです。今、日本では糖尿病がひじょうに増えています。厚労省の調査では糖尿病患者は1000万人、将来的に糖尿病になる可能性が高い「予備軍」がさらに1000万人いるとされています。もはや国民病といっていいでしょう。糖尿病はご存じの通り、血液中の糖(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。血糖値が高い状態が続くことで、血管がダメージを受け、脳梗塞や心筋梗塞などの合併症も起こりやすくなってしまいます。ところが大豆を摂ることで血糖値を抑え、糖尿病を予防することができるのです。兵庫県で50代の人に対して行った調査ですが、納豆を1日1パック以上食べる人は、1パック以下の人と比べて血糖値が正常な人が多いことがわかりました。写真=iStock.com/taa22※写真はイメージです大豆をあまり食べない人は食べる人に比べて血糖値が高い人が3倍以上もいます。また大豆には肥満防止の効果もあります。図表1はマグネシウムと肥満の関係を調べたものです。世界の人をマグネシウムの摂取量を多い人から少ない人まで5分割し、肥満との関係を見ています。出所=『遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」』マグネシウムをたくさん摂っている人は肥満が少ないことがわかります。またマグネシウムの摂取量の多い人は高血圧、高脂血症が少ないこともわかっています。1日に必要な大豆は納豆1パック半このほかにも大豆の健康成分は多くあります。炭水化物、たんぱく質、脂質の3大栄養素のほかに、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、リン、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸など、多種多様な栄養素が含まれていることも見逃せません。さらには悪玉コレステロールを低下してくれる大豆レシチン、抗酸化作用を持つ大豆サポニンといった成分も豊富に含まれています。ではこのすばらしい健康効果を持つ大豆、はたして1日にどのぐらい食べればいいのでしょうか。私たちの研究でイソフラボンの量から割り出した大豆の必要量は「60グラム」です。家森幸男『遺伝子が喜ぶ「奇跡の令和食」』(集英社インターナショナル)大豆を1日60グラム食べることで、脳卒中や心臓死も防げますし、そして乳がん、前立腺がんを防ぎ、あらゆるがんも抑えることができるのです。大豆60グラムというと、納豆1パックと半分です。「納豆1パック」はかつては60グラムだったのですが、どんどん小型化されていってしまい、昨今は多くが40グラムパックになってしまいました。ですから1パックでは足りません。幸い、大豆には豆腐や豆乳などさまざまな加工製品があります。毎朝のヨーグルトに、大豆をすりつぶした粉であるきな粉を混ぜるのも悪くありません。また、最近は大豆たんぱくそのものをバー状にしたソイプロテインといったものも売られていますし、肉のように食べられる「大豆ミート」も売っています。飽きないようこれらをローテーションして毎日食べたいものです。家森 幸男(やもり・ゆきお)京都大学名誉教授1937年生まれ。京都出身。67年京都大学大学院医学研究科博士課程修了。病理学専攻。米国国立医学研究所客員研究員、京都大学医学部助教授、島根医科大学教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授などを経て現職。
2022.02.18
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下記の記事はプレジデントオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。老化を防ぐ治療薬の開発が進んでいる。東京大学医科学研究所の中西真教授は「老化の原因となる『老化細胞』のメカニズムを解明し、老化細胞を除去するための薬の開発に成功した。この薬が一般に向けて実用化されれば、老いのない社会が実現するかもしれない」という――。(第1回/全2回)※本稿は、中西真『老化は治療できる!』(宝島社新書)の一部を再編集したものです。老化の原因を特定することに成功私たち、東京大学医科学研究所などの研究チームは2021年1月15日、アメリカの科学誌『サイエンス』に次のような論文を発表しました。〈老齢のマウスに、GLS-1という酵素の働きを阻害する薬剤を投与したところ、老化細胞の多くが除去され、老年病や老化が改善した〉私たちは、「老い」の原因となる「老化細胞」が生存するメカニズムを読み解き、そこから「老化細胞」を選択的に除去するための薬を導き出しました。今、私たちは、この薬の実用化に向けた研究を進めています。この薬が広く一般に向けて実用化されれば、「老化」を防いだり改善して、老いずに歳を重ねるということができる社会が到来するかもしれません。本稿では、「老化細胞」とは何か、私たちが発見した老化細胞の生存に必要なGLS-1とは何か、そしてなぜGLS-1阻害薬を投与すると老化細胞を殺すことができるのか、そして、そもそも「老化」するとは何なのか、ということを一つひとつ説明していきたいと思います。身体に残った「老化細胞」がさまざまな疾患を引き起こすまず、人間の肉体というのも、最初は受精卵ひとつから始まるのは、みなさんご存じのとおりです。それがどんどん細胞分裂していって成長し、内臓なり筋肉なり骨なりをつくっていきます。人間の体は60兆個もの細胞によってつくられています。細胞のなかには、不老不死に近い幹細胞というものもあります。たとえば、血液系であれば、赤血球や白血球、血小板やリンパ球などの血液系細胞の大元になる「幹細胞」というものがあります。この幹細胞の数はそれほど多くありません。写真=iStock.com/master1305※写真はイメージです全ての画像を見る(5枚)多くの細胞は、そこから分化して分裂していったもので、この細胞は不老不死ではありません。人間であれば、50~60回ほど分裂したら、もうそれ以上は分裂できなくなります。こうして、完全に活動を停止してしまった細胞が「老化細胞」になってしまうのです。つまり、全身にある60兆個の細胞のうち、一部の幹細胞を除いた多くは、いずれ老化細胞になっていくということです。これらの老化細胞は、本来であれば免疫細胞であるマクロファージ(白血球の一種)などが食べて除去してくれるのですが、生き延びた老化細胞が残ってしまい、体内のあちこちに蓄積されていきます。それらの老化細胞が炎症物質を誘発して、臓器や皮膚などにさまざまな炎症を起こしていきます。それが内臓疾患やシワなど、いわゆる加齢が原因のさまざまな疾患や症状として現れてくるのです。過剰なストレスによって老化細胞に変化する場合も老化細胞のなかには、そうやって分裂の上限に達して寿命が尽きた細胞のほかに、過剰なストレスなどによって、そこまで分裂を繰り返していないにもかかわらず、活動を完全に停止して老化細胞になってしまうものもあります。ストレスの多い生活をしている人が老けてみられるのは、そういう理由もあるかもしれませんね。ストレスは細胞を酸化させて老化細胞へと誘導し、老化スピードを加速させてしまうのです。あるいは、がん遺伝子が活性化することで細胞老化が誘導されることも判明しました。このことは、細胞老化が、がん細胞の増殖を抑える役目もあるため、一概に老化細胞を悪者だと言い切れない部分もあります。これらストレス性の老化細胞は、細胞分裂の上限を終えて自然に老化した細胞と、結果としてとくに違いはないと考えられます。ストレスといえば、紫外線や放射線なども細胞にとってストレスのひとつです。写真=iStock.com/Viorika※写真はイメージですこれらを浴びると遺伝子に傷がつき、細胞の老化を早めることがわかっています。屋外の仕事で年中日焼けしている方の皮膚と、常に日焼けに注意して日焼け止めを塗るなど、UV対策をしている女優さんのような方の皮膚を比べると、どちらも70歳くらいになった時の老化具合には大きな差が出ています。皮膚のシワというのも、その部分に溜まった老化細胞によって、微小ながら過剰な炎症が起きていることの表れとも考えられます。蓄積された老化細胞が、さまざまなかたちで人の見た目や臓器を老化させているのです。老化と薄毛は関係ない可能性が高いシワなどの老化現象は、蓄積した老化細胞によって誘発された炎症が原因ですが、一方で、老化細胞と関係の低いであろう老化現象もあります。その代表的なものが薄毛です。薄毛は、毛母細胞の働きが抑制されることで毛周期という毛の生え変わりのサイクルが乱れて、毛が太くならず、十分に成長する前に抜け落ちてしまうことで進行します。この毛母細胞の働きを抑制する原因になってしまうのが、男性ホルモンであるテストステロンの存在。テストステロンは酵素によってジヒドロテストステロンへと変化しますが、このジヒドロテストステロンが毛母細胞の働きを抑制することが知られています。つまり、薄毛自体は、老化細胞の蓄積による炎症が主な原因というわけではなく、男性ホルモンの影響が大きく関与しているのです。実際、若くても薄毛が進行している人もいれば、年をとってもフサフサの人もいますね。薄毛が進行している人は老化が進行しているかというと、そういうわけではありません。遺伝的に男性ホルモンの影響が強く出ているための症状と考えられます。ですから、老化細胞を除去することで薄毛が改善するかというと、残念ながらその効果は、現状ではわからない、ということになります。白髪も老化との関係性はまだわかっていないまた、薄毛と同様に見た目年齢を大きく左右するのが白髪ですが、白髪もたしかに老化現象ではありますが、老化細胞による炎症と関係があるとは証明できていません。髪の毛が白くなるのは、毛母細胞にある毛母メラノサイトの働きが低下して、メラニンという黒い色素の産生能力が低下していくためです。写真=iStock.com/Neziha Kali Ertugrul※写真はイメージですこのメラニン色素の産生能力は個人差が大きいものです。褐色や金髪などの髪の色を持つ人たちは、もともとこのメラニン色素の産生量がそれほど多くないため、髪の毛が黒くならないのです。金髪や赤毛、栗毛など、髪の毛の色は遺伝的要素が大きく、それはメラノサイトによるメラニン色素の産生能力によって決まると考えられています。つまり、メラニン色素の産生の能力は、必ずしも老化によって左右されるものではないということです。とはいえ、なぜメラノサイトの働きが低下していくのかということについて、はっきりとしたメカニズムは解明されていませんから、細胞老化の可能性を完全に否定するものではありません。老化細胞を除去することで白髪がなくなるかどうかは、薄毛と同様に、わからない、ということになります。なぜ老化細胞は蓄積されてしまうのかここでは、老化細胞がなぜ死ぬことなく生き延びて蓄積されていってしまうのか、というメカニズムについて説明していきましょう。人間の細胞の中には、リソソームという細胞小器官があります。リソソームは古くなったタンパク質を取り込んで分解するための器官で、その内側は強力な酸性になっています。細胞が老化してくると、リソソームの膜に傷がついてしまい、そこから内部の酸性物質が染み出してきて細胞全体が酸性に傾いてしまいます。細胞全体が酸性化してしまうと、本来の細胞であれば死んでしまうはずなのですが、老化細胞はGLS-1という酵素を活性化し、大量に発現させて生き延びてしまうということが私たちの研究でわかってきました。なぜGLS-1という酵素が出てくると老化細胞が生き延びるのか─。GLS-1はグルタミンをグルタミン酸に変換する酵素なのですが、この代謝の過程でアンモニアをたくさんつくり出します。アンモニアはアルカリ性の物質のため、酸性化していた老化細胞を中和してしまい、老化細胞を延命させてしまうのです。老化細胞は、酸化してしまった自分を中和することで生き延びるべく、GLS-1酵素を大量に発現させていると考えられます。老化細胞が分泌する炎症性タンパク質が疾患の原因細胞老化のカギを握っているのが“P53”という遺伝子です。その一方で、“ゲノムの守護神”との異名を持っており、損傷したDNAの修復や細胞分裂の調整などにも携わっているという特異な遺伝子なのです。傷ついたDNAを修復する一方で、修復できないほどにDNAがダメージを受けた場合には、細胞の老化をうながし、老化細胞として排除する。まさにゲノムの守護神、正常な細胞を守る司令塔といえるでしょう。このゲノムの守護神を特定の期間、活性化させることで、細胞を均一に老化させるという方法を私たちは開発したわけです。この人工的な老化細胞があったからこそ、老化細胞を延命させる特定物質、GLS-1を見つけ出すことに成功したといえます。老化細胞は、もう細胞分裂はしないため増殖はしませんが、SASP(Senescence-Associated Secretory Phenotype=細胞老化関連分泌現象)を起こして炎症性タンパク質を分泌します。このSASPによって臓器や組織に引き起こされた慢性炎症が、加齢性の疾患の原因となってしまうのです。たとえば、脳の神経細胞での慢性炎症はアルツハイマー病などの認知症の原因のひとつとなります。目の組織においては緑内障や白内障などの加齢性の眼病の原因となり、あるいは血管の老化は動脈硬化のリスクを高めます。老化細胞にはがんを防ぐ機能もあるそのほかにも、呼吸器系の臓器においては心不全や心筋梗塞の原因となったり、肺の線維化が進んで弾力性を失い機能低下につながったりします。あるいは、血中のインスリンに対する感受性が低くなることで血糖値のコントロールがうまくいかなくなり、糖尿病のリスクも高くなります。さらには、加齢によって筋肉量が減少して筋力が低下する、いわゆるサルコペニアの症状も一部は老化細胞のSASPによって進行すると考えられます。加えて、このSASPによって分泌される炎症性タンパク質は、細胞の遺伝子自身をも傷つけてしまい、細胞組織を“がん化”させてしまうということもわかっています。つまり、正常な遺伝子を傷つけることで、異常な“がん細胞”を誘発してしまうのです。写真=iStock.com/image_jungle※写真はイメージです老化だけでなくがんリスクも高めると聞くと、心中穏やかではいられないという方も多いと思います。とはいえ、人間の体というのは非常に複雑なプログラムで成り立っており、老化細胞には完全にマイナスの面しかないかというと、そうとも言い切れないのです。というのも、老化細胞は、異常な増殖を繰り返すがん細胞を、その周囲の細胞とともに老化させて、増殖を抑え込むという役割も果たしているからです。繰り返しになりますが、老化細胞はもう細胞分裂しません。増殖しない細胞です。がん細胞を老化させることによって、その異常増殖を防ぐ、つまりがんを防ぐことが老化細胞のプログラムのひとつであると考えられるのです。老化細胞を適切に除去できれば、老化の進行は止められる老化細胞ががん細胞の異常増殖を防ぐのであれば、GLS-1を阻害して老化細胞の命綱を断ち、除去してしまうことが、がんの異常増殖につながってしまうという懸念はないのか、と思われるでしょう。しかし、そんなことはありません。なぜならば、「細胞老化のプロセス」と「老化した細胞」は、切り離して考えるべきものだからです。中西真『老化は治療できる!』(宝島社新書)細胞を老化させるプロセス自体は阻害すべきではありません。役割を終えた細胞はどんどん老化していく。これ自体は細胞分裂に限界がある以上、必要なプロセスです。一方で、GLS-1は、細胞を老化させるプロセス自体にかかわっているわけではありません。すでに老化し酸性化した細胞を、GLS-1がグルタミンを代謝する過程で産生するアンモニアによって中和させるというのが、GLS-1による老化細胞“延命”のプロセスです。つまり、GLS-1を阻害したからといって、細胞の“老化自体”がストップするわけではないのです。老化した細胞に、正しく退場してもらう、ということです。細胞の遺伝子の異常が生じてがん化したとしても、細胞をも老化させることで自身の異常増殖を防ぐ。考えてみれば、よくできた人間の防御プロセスだといえるでしょう。あとは、老化細胞を適切に除去し、新しく健康な細胞が増えていけば、老化の進行は止められるというわけです。【中西 真(なかにし・まこと)東京大学医科学研究所癌防御シグナル分野教授名古屋市立大学医学部医学科卒業、名古屋市立大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。自治医科大学医学部助手、米国ベイラー医科大学留学、名古屋市立大学大学院医学研究科基礎医科学講座細胞生物学分野教授を経て、2016年4月より現職。
2022.02.18
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下記の記事は日経グッディ様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。年齢を重ねるとともに健診でメタボに関わる異常値を指摘されはじめた、あるいは体重が徐々に増えてきた、と気になる人も多いだろう。緩やかな糖質制限食=ロカボを提唱する北里大学北里研究所病院副院長・糖尿病センター長の山田悟さんは、「ロカボの食事で食後血糖値の上昇を抑えることによって、肥満をはじめとした生活習慣病への連鎖を上流で食い止めることができると考えています」と言う。今回は、ロカボと病気予防、気になるアンチエイジングとの関係についても聞く。写真はイメージ=123RFメタボの上流にあるからこそ注意したい「食後高血糖」前回(「ロカボで肥満・血糖値対策を! 『昼間の眠気』を撃退する効果も」)は、不規則な生活や運動不足になりがちなタクシー運転手やコンビニ従業員がロカボの食事を実践した結果、肥満やメタボ数値だけでなく睡眠時無呼吸症候群にも改善が見られた、という研究について紹介した。山田さんは、「健康的な食事法は、おいしく、楽しく、続けられるものでなくてはならない」という思いのもと、「ロカボ」(*1)を提唱している。前回でも紹介したが、ロカボは「緩やかな糖質制限食」のことで、3食の食事の糖質量を20~40g程度、1日の糖質量を70~130gにする食事法のこと。これにより食後の血糖値の急上昇(食後高血糖)を抑えることができる。2008年に「The New England Journal of Medicine」という医学雑誌に、こんな研究が掲載された。「糖質制限食」と「カロリー制限食」、「地中海食」をそれぞれ2年間続けた結果、糖質制限食が他の食事法よりも体重が減少し、中性脂肪値を下げ、善玉コレステロールが増え、糖尿病の人のHbA1c(1~2カ月間の血糖値の平均を見る指標)が改善する効果が高いと報告された(*2)。この研究を知ったことをきっかけに、山田さんはそれまで医療現場で行ってきた「カロリー制限」の食事指導を見直し、食べることに満足しながら続けられる「ロカボ」という食べ方を研究、指導してきた。そして、「ロカボは、糖尿病だけでなく、加齢によって進行するメタボリックドミノのリスク低減につながる食事法です」と言う。どういうことだろうか。「メタボリックドミノ」とは、慶應義塾大学の伊藤裕教授が提唱した概念だ。生活習慣病といわれる肥満、高血圧、食後高血糖、脂質異常症などの危険因子が一人の患者に集積していくことを「メタボリックシンドローム」という。これらの危険因子が集積すると、虚血性心疾患(心臓に栄養を送る血管が細くなったり詰まったりする状態)や脳血管障害(脳に栄養を送る血管が細くなったり詰まったりする状態)を発症し、死に至ることになる。最上流には生活習慣があり、肥満が上流に存在する(下図を参照)。それぞれの危険因子が時系列とともにドミノ倒しのように連鎖していくことを「メタボリックドミノ」と呼んだ。伊藤裕教授が提唱する「メタボリックドミノ」(日本臨床 2003;61:1837-43をもとに作成)山田さんはこのメタボリックドミノの源流に糖質の摂取過剰、そこからくる食後高血糖がある、とする「メタボリックドミノ 山田version」を提唱している(下図)。図の最上流にある「糖質摂取過剰」からどのようにメタボリックドミノが倒れていくのか。山田さんは以下のように説明する。1糖質のとりすぎによって、食後高血糖が起こる↓2食後高血糖を抑えるためにインスリンをたくさん出さなければならず、大量に出たインスリンによって血糖値が急降下して急激な「飢餓感」が起こる。なお、食後高血糖が長年続くと空腹時血糖値も上昇、糖尿病の発症につながる↓3飢餓感によって空腹感が増し、食べ過ぎる、という食習慣が定着する↓4肥満、脂質異常症、高血圧などのメタボリックシンドロームが悪化していくこれまでは、食べ過ぎ(=カロリーのとり過ぎ)がエネルギーの余剰を招き、脂肪の蓄積や内臓肥満を引き起こし、内臓脂肪からインスリンの働きを邪魔する物質が分泌されて高インスリン血症、さらには食後高血糖を引き起こす、という考えが主流だったという。このため、医療現場でも長きにわたって「カロリー制限」が指導されてきた。一方で、最近になって上記のメカニズムとは異なる、興味深い肥満のメカニズムが提唱されたと山田さんは話す。「2018年に栄養疫学研究者であるハーバード大学のデビッド・ルードヴィヒ教授が肥満のメカニズムについて新たな考察を提示しました(*3)。彼の考察でも、『糖質のとりすぎが出発点となり、空腹感が増して食べ過ぎて肥満となる』と示されています。この考え方によって、ロカボの食事がなぜ肥満を改善し、おなかいっぱいまで食べても減量が可能になるかを説明できるのです」(山田さん)。(JAMA Intern Med. 2018;178:1098-1103.より改変)私たちは忙しいときなどに、コンビニのおにぎりだけを2、3個食べるような食事をしてしまいがちだが、糖質を過剰にとるそんな生活習慣を変えないと、さまざまな疾病を招くことになるのだ。食後高血糖は30~40代に進行し、50代以降に糖尿病へメタボリックドミノが食後高血糖を起点として進行し、ドミノ倒しの下流に行くに従って、命に関わる病気へと発展していく。健康寿命を延ばしたいなら、「食後高血糖」のうちに改善することが重要ということが分かる。では、どのぐらいの年代から食後高血糖に注意すればよいのだろう。山田さんは以下のように説明する。20代社会人になるとともに生活習慣が乱れ始め、食生活が変わる30代運動量が減り、体重が明らかに増え始める。食後高血糖が起こり始める40代高血圧、空腹時高血糖、脂質異常などメタボに関する数値の異常が表れ始める。糖尿病を発症する人も50代以降糖尿病を発症するなど症状が悪化していく。動脈硬化や生活習慣病が進行「20代のうちは多少糖質をとり過ぎていても、体の恒常性を保つ機能が正常に発揮され、上昇した血糖値はインスリンの働きによってすみやかに下がります。しかし、乱れた食生活により糖質摂取過剰が続き、運動量も減ると、30代ぐらいから食後高血糖が起こり始めます。元からあるインスリン分泌の働きも年齢とともに低下するため、40代からメタボに、50代以降は病気の悪化が深刻化していきます。このため、30代のうちに一度、食後高血糖が起こっていないかチェックすることをお勧めします。また、妊娠を考えている人も、妊娠中はインスリン抵抗性が生じて血糖値が上昇しやすく母子ともにトラブルが起こりやすくなるので要注意です」(山田さん)。問題は、通常の健診で測定する「空腹時血糖値」では、食後高血糖は分からないこと。「文字通り、おなかがからっぽの時に測定した血糖値であって、食後高血糖を検出する検査ではありません。空腹時血糖値に問題が表れるのは、限りなく糖尿病に近い病態になったときなのです」(山田さん)。しかし、現在は食後血糖値への認識が広まり、薬局やドラッグストアの「検体測定室」で食後血糖値を測ることができる。1検査につき500円ほど、所要時間15分程度で計測が可能だ(*4)。山田さんは、「おにぎり2個と野菜ジュース1パックで、合計糖質量が100gほどになります。このセットを食べた1~2時間後に血糖値測定をすること」を勧める。このとき、血糖値が140mg/dL以上になると「食後高血糖」と想定される。住んでいる地域や勤務先近くのドラッグストアに「検体測定室」がないかチェックしてみよう。どの年代の人も、ぜひ一度、自分自身の食後血糖値を確かめてみたい。*4 人間ドックなどで「経口ブドウ糖負荷試験」を受けても、食後の血糖値を把握することは可能。ロカボの食事は、骨や筋肉を量・質ともに保護するロカボの食習慣は、食後高血糖を防ぐのはもちろん、糖質を控える代わりにおかずをしっかりとる食事となる。筋肉や骨の維持に重要なたんぱく質もしっかりとることができるため、アンチエイジングの面でもいい影響が期待できそうだ。近年、アンチエイジングにおいて「筋肉」の重要性が指摘されていることは多くの方がご存じだろう。高齢になってたんぱく質の摂取量が減ると、筋肉が衰え、転倒・骨折などのリスクが高まり、最終的に寝たきりなどの要介護状態になる危険性がある。こうした背景もあり、昨年改定された厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」の2020年版では、50歳以上のたんぱく質の目標摂取量の下限が引き上げられている。つまり、高齢になってもたんぱく質をしっかり摂取したほうがいいわけだが、おかずをがっつり食べてOKのロカボなら、たんぱく質は不足しにくく、筋肉を維持しやすくなるというわけだ。「ロカボの食事は、骨や筋肉を、質・量ともに保護していきます」(山田さん)。また、糖質の摂取量を抑え、血糖値が高い状態を防ぐことは、最近、老化の要因の1つとしてクローズアップされている「糖化」を抑えることにつながるのもポイントだ。糖質の摂取量が多く、血糖値が高い状態になると、余った糖は体内のたんぱく質にくっつき、たんぱく質が劣化してAGEs(advanced glycation end products=糖化最終生成物)という老化物質が生成される。「AGEsが体内に蓄積すると、体内の組織のたんぱく質が変性し、機能低下が起こったり、炎症が引き起こされる、ということが明らかになってきました」(山田さん)。私たちの体の多くはたんぱく質で構成されている。例えば、肌や髪、骨などに含まれるコラーゲン(たんぱく質の一種)に糖化が起こるとコラーゲンは硬くなり弾力を失うという。実際、糖尿病の患者は、高血糖状態が続いているために、体内でもAGEsがたくさん蓄積され、肌の張りが低下し、黄色くくすんだり、シワが定着しやすくなるという。「髪の毛のこしも失われ、骨ももろくなります。さらに、糖尿病網膜症、腎症、神経障害といった糖尿病の合併症ともAGEsは関連します」(山田さん)糖化を進める最大の要因は、体内にある過剰な糖質なので、その対策の柱は糖質の摂取を抑えることだ。「ロカボを実践すると、血糖値が上昇しにくくなりますので、効率よくAGEsの産生を防ぐことができます」と山田さんは話す。◇ ◇ ◇山田悟(やまだ さとる)さん北里大学北里研究所病院副院長・糖尿病センター長、食・楽・健康協会代表理事
2022.02.18
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下記の記事はNEWSポストセブン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。秋篠宮家の長男・悠仁さまが4月から国立の筑波大学附属高校(筑附高)に進学されると、2月16日に宮内庁が発表した。宮内庁によると、悠仁さまは現在通われているお水女子大学附属中学校と筑附高との間の提携校進学制度に出願し、2月13日に同校で行われた学力検査を受けた結果、合格したという。2月13日、午前8時過ぎ。筑附高へと向かう道には、試験を受けにきた受験生と、付き添いの保護者が一様に緊張の面持ちで続いていた。その列の中に、悠仁さまの姿があった。東京23区のほぼ中心に位置する文京区は、都心にあって緑豊かな自然が整備されており、教育水準が高い「文教地区」として知られている。特に区立「教育の森公園」の周辺は公立、私立問わず、小学校から大学まで多数の教育機関が集中する。その一角に、筑附高は歴史ある校舎を構えている。ほかの受験生への心理的な影響を避けるためか、側衛官はその姿を隠し、物々しさは感じられない。マスクを着用されていることもあり、周囲は、すぐ目の前を“将来の天皇”がひとり歩かれていることに気づく様子はない。冷え込みの厳しいその朝の気温は約3℃。悠仁さまは、詰め襟の制服にダッフルコートという出で立ちだ。黒いリュックは、ぱんぱんに膨らんでいる。悠仁さまは正門をくぐると、屋外にある受付テントの列に並ばれた。手には受験票が握りしめられていた。この日の試験は、男女別にフロアが分けられていた。合わせて受験生約500人。悠仁さまはほかの男子生徒と同じように、所定の教室へと入られた。午前9時、試験が始まった。試験科目は、国語、数学、英語、理科、社会の5科目で、各60点満点だ。各科目の間には休憩時間がある。スマホの電源を入れ、ニュースを読んだ何人かの受験生が気づいたようだ。この会場に、悠仁さまがいる──なかには、昼食休憩の時間に隣の教室からわざわざ悠仁さまのお姿を見に来る生徒もいた。それでも悠仁さまは、静かに机に向かわれ、集中されていたという。午後3時15分に試験が終了。冷たい雨が降り始めていた。試験を終えた生徒たちが校舎から一斉に流れ出てくる。正門前は、保護者や進学塾の関係者でごった返している。再び、悠仁さまが姿を見せられた。白い縁取りがされた黒の折りたたみ傘をさされ、ほかの受験生に溶け込み進む。ところが、ふいに列から外れると、脇道へと入られた。住宅街を抜けた先には、ひっそりと迎えの車が待っていた。同日、試験を受けた男子生徒の保護者が話す。「皇族ですから特別な存在ですし、“行きたい”とおっしゃれば、どこでも入れるわけですよね。わざわざこの学校を受けなくても、とは思いました。もしも“一般”で受験されたのだとしたら、合格枠が1つ減ってしまうわけですし……」また別の保護者はこう語る。「自由な校風に憧れて、第一志望にしました。でも、もし悠仁さまが同級生となったら、警備の都合などで窮屈になるのかな……。そうだとしたら、残念で仕方ありません」眞子さまが皇籍を脱されて初の新年となった秋篠宮さま、佳子さまと、悠仁さま(写真は昨年末。宮内庁提供)漂い始めた「筑波忌避」の空気悠仁さまを迎え入れる準備だろうか、昨年9月以降、筑附高では工事が急ピッチで進められている。「校舎はところどころ雨漏りがあるため防水工事が行われています。屋外のテニスコートやバスケットコートのグラウンドが新しく張り替わりました。ロッカーやトイレなどの設備も順次新調されています」(筑附高関係者)自分たちの通う学校が、きれいで使いやすくなるならば、在校生としては歓迎すべきことだろう。だが不安の声もある。「悠仁さまの入学によって学校の雰囲気が一変してしまうことを恐れる人も多いのです」(前出・筑附高関係者)当然ながら、悠仁さまには護衛がつく。不特定多数の人が出入りする学校行事には制限がかかる可能性もある。過去にも、お茶の水小では、悠仁さまが入学された年の運動会から、それまでは児童1人につき保護者は4人までとされていたのが、2人までに制限され、写真撮影についても「自分の子供のみ」という制約ができた。また、翌年以降の運動会はメディアに公開され、校内には代表の報道陣の姿があった。「報道陣がいることに、違和感を覚えた児童や保護者も多かったようです。3年生のときには、報道陣のカメラによく写るようにと、綱引きの際の悠仁さまの立ち位置が急きょ先頭に変更されたこともある」(前出・皇室記者)特別対応は、お茶の水小の空気を大きく変えていった。悠仁さまの筑附高進学が現実味を帯びるなか、すでに「筑波忌避」の空気も漂い始めているという。中学受験を終えた息子を持つ保護者の話。「筑附中と、別の私立中に合格しましたが、私立中への進学に決めました。筑波には魅力を感じていましたが、同じ敷地内にある高校に悠仁さまがいらっしゃるとなると、将来中学校の行事にも影響が出る気がしたんです。子供が成長する姿は、いまを逃したらもう見ることはできません。貴重な機会を、余計な制約のせいでみすみす見逃したくなかったんです」悠仁さまの選択の波紋は、すでに大きく広がっている。※女性セブン2022年3月3日号
2022.02.18
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。「自己肯定感を高め、幸福感を得るためには、悪い習慣を捨て、いい習慣を身につけることが大切」と語るのは、自己肯定感の第一人者であり、心理カウンセラーの中島輝氏。著書『うまくいっている人がしている 自己肯定感を味方にするレッスン』の内容から、思考の「悪習慣」を断ち切り、いい習慣を身に着けるためのルールについて解説してもらいます。悪い習慣は「人生の約半分」を無駄にする「人間の行動の45%は習慣でできている」といわれています。つまり、漫然と悪い習慣を続ければ、人生の半分近くを無駄にすることになってしまうのです。良い習慣を身に付け、自己肯定感を高めるためには何から始めるべきか。うまくいっている人の「15のルール」を紹介します。<ポジティブな自分を手に入れる習慣>1.「いいこと」を遠慮なく受け取る自己肯定感の高い人は、「いいこと」を遠慮なく受け取ることができます。さらに、それを与えてくれた相手に対し、「うれしい」「ありがとう」と素直に感謝することができます。「自分にはこれを受け取る価値がある」という自尊感情を持っているからです。疑ったり、卑下したりせず、素直に感謝する態度は、次の「いいこと」を引き寄せ、自己肯定感の好循環が生まれます。2. 損得の人づきあいは逆効果どんなに人間関係に気を配っても、自分に攻撃的な態度を取ってくる人はゼロにはなりません。それは、人間関係が「262の法則」でできているからです。これは、人生で出会う人の2割は「自分の味方」で、6割は「どうでもいい人」、残る2割は「批判的な態度の人」で構成されているという法則。人生には、好ましくない出会いもあって当然なのです。この人はいい人か?悪い人か?などと考えるのはやめて、恐れることなく新しい出会いに飛び込み、その中に必ずある素晴らしい出会いに期待しましょう。3. ワクワク、ドキドキの気持ちを大事にワクワク、ドキドキは自分の可能性を広げる土台となる大事な感覚です。その感覚を忘れないよう、毎日5分でも10分でもいいので、本当に好きなことをする時間を用意してください。心が満たされ、エネルギーがわいてくるはずです。ポイントは、悩まずにすぐやること。すぐに行動することで悩む時間が減ります。<一喜一憂しない、しなやかな自分を作る習慣>4. 素の自分に戻れる「ホーム」をつくる イライラ、むしゃくしゃすることは誰にでもあります。そんなときに必要なのが、自分自身を取り戻せる「ホーム」です。「ホーム」は、不安を忘れてリラックスでき、幸せを感じられる場所。私にとっては、愛犬と一緒に遊ぶ時間が「ホーム」です。運動でも、趣味でも、家族でもいい。「ホーム」がある安心感が自己肯定感を高めてくれます。5.「みんな」と「ひとり」の時間をバランスよく持つ 仕事など「みんな」からの刺激を受ける「動」の時間も大切ですが、「ひとり」で自分自身と向き合う「静」の時間も重要です。動と静のバランスがとれていると、どんなときにも自分らしくいられるようになり、自己肯定感が高まります。誰かと一緒にいなくても、ネットでつながっていることが当たり前となっている現代。パソコンや携帯から離れて、意識的にひとりの時間を作ることが大切です。しんどいと感じたらやめてみる6. 1つの意見に捉われすぎない 「このプロジェクトはA案で進めたい」と思っていても、周囲と議論するにつれて、B案の良さが勝ってきたら「やっぱりB案を採用しよう」としなやかに意見を変える。これが自己肯定感の高い人です。そんなときは、「最適な答えを選べた柔軟性のある私」を、自分自身で褒めたたえてあげてください。自己肯定感がますますアップし、人間としての器も大きくなっていきます。<毎日を心地よく暮らす習慣>7.「好きでもないのにやっていること」を捨てる 自己肯定感が高い人は、「快」のエネルギーに包まれています。心を「快」で満たすには、「好きでもないのにやっていること」をやめるのが一番です。例えば、あなたが「必ず朝ご飯を食べて出社する」と決めていたとします。それは、どんなに睡眠不足でも、前日飲み過ぎていても、やりとげなければならない習慣でしょうか。しんどいときには朝ご飯を抜いてもいいはずです。今やっている習慣を、本当に好きでやっているのか考えてみてください。「やらなくてもいいこと」は切り捨て、その時間を楽しいことに当てていくだけで日々の幸福度が高まります。8. 自分と周りもご機嫌になることをする 自分の幸せと同時に、人の幸せを願って行動できる人は、自己肯定感が高く、自立した人です。まずは、自分自身をご機嫌にすることから始めてみてください。例えば、鮮やかな色の服を着てみるだけでもOK。気分が上がれば、前向きな行動ができるようになります。そのポジティブなエネルギーを周囲にもお裾分けしましょう。9. 心地よく過ごせる1日のルーティン持つ 「朝食に何を食べようか」「明日何を着ようか」といった小さな迷い。しかし、それが積み重なるとエネルギーを消耗し、自己肯定感を低下させていきます。好きなことを悩むのは楽しみですが、どうでもいいことに悩むのは時間の浪費です。例えば、「朝食はパンとヨーグルト」「出勤日は白いシャツ」など、ルーティンを作ってしまえば迷う時間が減り、毎日を機嫌よく過ごすことができます。迷わずに、直感に従うことの大切さ<信念を持って行動する習慣>10. 自分らしくよりも、人間らしく 疲れてヘトヘトになったときは、自分を優先して休息を取るべきです。その方が成果を上げやすく、結果として自己肯定感を保つことにつながります。みんなが残業中で自分だけ早く帰ってしまうと、周囲にはわがままな人に映ってしまうかもしれません。しかし、時と場合によっては、わがままを通すことも必要。「自分らしく」自己肯定感を高めていく前に、まずは「人間らしく」あることが大前提。その選択は自分勝手とは違います。11. 夢中になって取り組む 自分にとって何が大切か分かっている、自己肯定感の高い人は、「今は夢中になるときだ!」と見定めると、驚くほどのパワーを発揮します。もちろん、夢中になって取り組んでも失敗することはあります。しかし、「自分で決めて自分で行動できた」という自信は、必ず次のステップにつながります。失敗のない成功はありません。チャレンジすることで自己肯定感は上がっていきます。12. やりたいと思ったら、1秒でやる 行動を起こすとき、私のモットーは「今やる、すぐやる、とっととやる」。私は「1秒」で選んでしまうことにしています。毎日は迷いと決断の連続です。電車でどの席に座るか、自販機でどの飲み物を買う…。でも、たいていの選択は、どれを選んでも大差のないことです。だから迷わず、直観で選んでいいのです。普段から1秒で決断していると、重要な選択に直面したときにも、フットワーク軽く挑戦できるようになります。<疲労を回復し、モチベーションを保つ習慣>13. 待つことは、自己肯定感を育てる時間 人は「内発的動機付け」、つまり「やりたい」という欲求がないとうまく行動に移せません。「やれ」という他者からの強制や報酬、賞罰などの「外発的動機付け」では行動の意欲が生まれないのです。やる気がわかないときには、一旦休んでみる。好きなことをして、ぐっすり眠り、「やりたい」エネルギーがたまるのを待ちましょう。「待つ」時間も自己肯定感を育みます。「何も考えない時間」はものすごく重要14. 疲れたときは無理せず、すぐに休む 真面目な人であればあるほど、休むことに抵抗を持つ人は多いと思います。しかし、休むことは、停滞ではなく、さらに前に進むために自分を切り替える時間です。休息することによって、消耗した「自己肯定感」を充電することができます。休むときには休む、働くときには働く、遊ぶときには遊ぶ。素早く気持ちを切り替え、自由に人生を謳歌できる人が「自己肯定感」の高い人なのです。15. 何も考えない時間こそ、自己肯定感を高める 人間の心はまるで、スノードームのようなものです。『うまくいっている人がしている 自己肯定感を味方にするレッスン』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトへジャンプします)舞い落ちる雪は、心の中の感情や思考のかけら。雪が舞っている間は、向こう側が見えずに不安になりますが、落ち切ると透明で見通しがよくなります。自己肯定感を育むために必要不可欠なのが、心を透明にするための「何も考えない時間」です。心がまっさらな状態になれば、「やるぞ」という意欲が自然にわいてきます。以上、いい習慣を作るために必要な「15のルール」を紹介しました。どれか1つだけでもいいので、ぜひ今日から取り入れてみてください。1つ1つは些細なことですが、その積み重ねが必ずあなたの自己肯定感を高めてくれます。中島 輝 : メンタルコーチ
2022.02.18
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下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。日本では年々、男女の未婚率が高まっています。こうした状況が続けば、孤独を感じる日本人だけじゃなく、ひきこもり状態になってしまう日本人も増えると考えられています。未婚者ほど「ひきこもり」を他人事と思わず、自分事と捉えたほうがいい理由とは?臨床心理士の桝田智彦氏による新書『中高年がひきこもる理由―臨床から生まれた回復へのプロセス―』から一部抜粋してお届けします。前回は、2つの事例をご紹介しながら、「誰でもきっかけとなる出来事さえあれば、ひきこもる可能性がある」ということをお伝えしてきました。中高年ひきこもりは、リストラ、親の介護、心身の不調など、何かしら家にこもらざるをえない出来事があれば、誰の身にも起こりえます。さらに、とくに日本人は、このような出来事によってひきこもりやすい環境におかれていると言えます。なぜなら、日本人は「先進国でいちばん孤独な国民」だからです。いったいどういうことでしょうか──。日本の「社会関係資本」はアフリカ以下2018年、英国シンクタンク「レガタム研究所」が国の繁栄に関する統計を発表しています。その統計では、149の国や地域で調査を行い、繁栄の度合いを経済、教育、安全性などの9つの項目に分けて数値化し、「繁栄指数」としています。日本の繁栄指数の結果は下記のグラフのとおりです。出所:『中高年がひきこもる理由―臨床から生まれた回復へのプロセス―』より健康や安全性などの項目が高い指数を指す一方で、ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の充実度が149カ国中、99位であり、OECD(経済協力開発機構)に加盟する先進国31カ国中では、30位でした。最下位であったギリシャが、アメリカのRussell Investmentsにより発展途上国に範疇替えさせられたことを考えれば事実上、日本は先進国中では最下位となります。決して豊かではないガーナなどのアフリカ諸国を下回っているのです。ソーシャル・キャピタルとは「家族以外のネットワーク(社会的なつながり)」を意味し、具体的には、ボランティアや地域活動への参加、地域社会での「人との信頼関係や結びつき」を示す概念です。このソーシャル・キャピタルが極めて低いということは、日本では家族などのコミュニティー以外に居場所を持たない人たちが圧倒的多数であることを示しているわけです。でも、家族がいれば、孤独ではないのでは……。そう考えられる方もいるでしょう。前回の2つの事例を思い出してください。AさんもUさんも、一緒に暮らす家族はいました。しかし、家族以外に居場所がなく、相談できる人もいなかったことが、彼らをひきこもり生活へと加速させたのです。「ひきこもりから回復するとき」には、家族である「親」の存在が大きな役割を果たします。家族、とくに親というのは本来、子どもの心の居場所(安全基地)や心の土台をつくるために欠かせない存在です。しかし、時と場合によっては、家族はとても遠い存在にもなりえます。身内だからこそ話しにくかったり、助けを求めにくかったりすることもあるでしょうし、家族関係がうまくいっていなければ、当然ながら家族に助けを求めるのは難しいものです。そんなときに助けを求められるコミュニティーや仲間がいないと、孤独感がより増し、ひきこもりになりやすいのです。先のデータでもわかるように、日本には社会的なつながりを持たず、「ふとしたことで、孤独になりやすい人」が多くいます。家族や職場以外のコミュニティーを持たない人が、なんらかの形で仕事を失ったり、家族との関係がよくないなかで家に閉じ込もるようになると、孤独になり、一気にひきこもりやすくなるのです。孤独が人を「ひきこもり」にするひきこもりを考えるときに、「孤独」の問題は避けて通れません。孤独が人をひきこもり化させ、ひきこもることでその人の孤独が加速する……。そんな悲しい相乗作用があるのが、ひきこもりと孤独の関係なのです。先の事例でも、1000万円プレイヤーだったAさんは、「雇用打ち切り」ののちに、みずから周囲と連絡をとらないようになって孤独化し、ひきこもっていきました。孤独になると、その人にじわりじわりと絶望が襲ってきます。絶望とは、読んで字のごとく、望みが絶たれた状態なので、絶望に置かれた人はセルフイメージ(自己評価)が日を追うごとに低下していき、徐々に自分を粗末にしていくようになります。これが、いわゆる「セルフネグレクト」という状態です。セルフネグレクトとは「自己放任」ともいわれます。自分の生活や健康の状態が悪化しているにもかかわらず、改善する意欲や助けを求める気力を失っていくことを指します。孤独になり、セルフネグレクトの状態になると、何事にもやる気が出ず、改善もできなくなるのです。こうなると、ひきこもりがちな現状を改善しようという意識など持てません。部屋や家から出る頻度もどんどん減っていき、自分のケアをいっさいしないまま、ひきこもって生きていくようになると考えられます。さらにいえば、自分の最も身近なコミュニティーである「家族」をつくらない人も増えています。近年増加している未婚や一人暮らしの家庭です。現在の日本では、50歳時未婚率(50歳までに1度も結婚したことがない人の割合)が右肩上がりで急増しています。内閣府が行った『令和元年版 少子化社会対策白書』によると、2015年に男性23.4%、女性14.1%であった50歳時未婚率は、2030年には男性28.0%、女性18.5%にまで上昇すると見込まれています。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の2018年の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、単身世帯数(一人暮らし)の一般世帯総数に占める割合も、2015年の34.5%から2040年には39.3%へ増加するという推計がなされています。出所:『中高年がひきこもる理由―臨床から生まれた回復へのプロセス―』より注意していただきたいのですが、ここでは、50歳の時点で未婚であることや、一人暮らしであることが悪いと言うつもりはまったくありません。家族という最も身近なコミュニティーを持たず、孤独になっている人が多いという事実に注目していただきたいと思います。「おひとりさま」は気楽な選択なのか?家族や会社以外で、人とのつながりやコミュニティーを持たない。さらに、その家族自体も持たない選択をする──。そのような人たちの増加によって日本には、孤独な人が増えていると言えるでしょう。そして、怖いのはそんな方たちが、失業や親の介護などの「ひきこもりにつながるきっかけ」に出合ってしまったときです。もともと孤独であれば、ちょっとしたきっかけでひきこもりになることも、十分に考えられます。日本では「おひとりさま」が市民権を得ており、“孤独であること”が普通になっているようにも思えます。そして、孤独を楽しめるのであれば、それは決して悪いことではないという雰囲気も世の中にあるように思います。それ自体はまったく間違いではなく、「自分の意思で孤独を選ぶこと」も、よい選択かもしれません。しかし、何かが起きたときにはじめて自分の孤独と向き合うと、その重みに耐えられず、ひきこもってしまう方も少なくないと思われます。だからこそ「自分は大丈夫」と高をくくっている方にこそ、孤独とひきこもりの問題を「自分のこと」として捉えていただきたいと思うのです。桝田 智彦 : 臨床心理士
2022.02.17
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下記の記事はダイアモンドオンライン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。新型コロナウイルスの流行で増加するコロナ太り。体重コントロールしようとジョギングや食事制限をする人が増えている中、見逃されがちなのが一度痛めると取り返しのつかない膝への負担だ。最近では、在宅勤務で外出する機会が減った40代が膝痛を訴えるケースも多く見られるという。そこで今回は、膝関節症のスペシャリストである関町病院の丸山公院長に在宅勤務でも膝に負担がかかりにくい姿勢や膝のケア方法などについて話を聞いた。(ライター 藤山亜弓、監修/関町病院院長 丸山 公医師)膝の音をチェックして、膝痛を防げ「いい音」と「悪い音」の聞き分け方「テレワークで同じ姿勢で座る時間が長引くと、軟骨へかかる圧が集中しやすく、軟骨の栄養補給が不足してしまいます。在宅勤務の人はなるべく椅子に座って時々膝の曲げ伸ばしをしましょう。また体重が増加した人が急に運動を始めると膝に負担がかかってしまいます。膝に痛みや腫れを感じる前に生活習慣を見直すことが何よりも大切です」そう語るのは、膝関節症のスペシャリストである関町病院(東京都)の丸山公院長だ。膝痛に悩む患者数は国内で3000万人と言われている。骨・関節用のサプリメントであるコラーゲン・トリペプチドを製造販売するゼライスが40〜70代の膝に違和感を感じた男女400人に調査したデータによると、膝に違和感を感じている人の年齢別の割合は40代男性が最も多いという。膝のトラブルを早期発見するには、膝の音を聞くことが重要だ。「膝を曲げ伸ばしした時に出る音には、良い音と悪い音があります。例えば、指の関節を故意に鳴らす人がいますが、あれは関節の中の圧が急に変化して生じる音とされていて良い音です。正常な膝軟骨は、関節液につかっているので、摩擦抵抗が非常に小さいため軟骨からの音はせず、周囲の軟部組織からの音がパキパキすることがあります。一方、加齢などで膝軟骨内の水分量が減ると軟骨が摩耗しやすくなり摩擦の抵抗が大きくなってしまいます。さらに軟骨が減って軟骨下骨が露出してくると『ギシギシ』『ボキボキ』といった音が鳴ると考えられています」(丸山院長)また、症状が進行して滑膜炎により水が溜まると音が鳴っているのか分からなくなることがあるという。「生活に支障が出るほどの痛みではなく、膝の音がしないからと放置しておくと、軟骨下骨が完全に露出し、手で触った時にザラザラとした感じになります。そこまで症状が進むとレントゲンですぐに変形性関節症か判断できます」(同)音以外にも膝の状態を知るチェックポイントがある。下記の特徴に一つでも当てはまった場合は早急にケアを始める必要があるという。【膝痛危険度チェックリスト】□ 膝から、いつもと違う音がする□ 動き始める時に膝の音がする□ 階段を上り降りする時に膝の音がする□ 激しいスポーツをしている、していた□ 座ったり立ったりが多い生活をしている□ 膝にこわばりを感じる□ 曲げ伸ばしすると膝の音がする□ 膝が腫れているまたは熱感がある□ 過去に膝にけがをしたことがある□ 最近歩き方が変わってきた(監修/丸山院長)膝の痛みを起こす病気の中で、最も多いのが加齢や体重による負荷がかかって膝関節の軟骨がすり減って骨が変形する「変形性膝関節症」だ。そして膝の痛みが慢性化している人の多くは、40〜50代の時に、膝に違和感を感じていた人が多いという。「膝の痛みは、心にも影響を及ぼす危険性があります。10年後、20年後に膝の痛みで暮らしに支障が出ないよう、 他の病気と同じように早期治療が肝要なのです」と、丸山院長は注意を呼び掛ける。「過去に変形性膝関節症だと思って受診した患者の中に、骨の一部が死滅してしまう骨壊死を起こしていた人がいて、人工関節の手術をしました。膝の違和感を放置せず、早期発見・早期治療ができていれば、自分の骨軟骨を移植することにより温存できるケースも数多くあります」(丸山院長)急激な温度変化は避けて冷え対策で膝をケア寒い季節に入ると血行が悪くなり、筋肉が硬くなって柔軟性が低下した結果、膝痛が生じることがある。室内は暖房などで暖かい一方、室外に出ると寒く、こうした寒暖差の影響から膝痛を感じる人も増える時期でもある。「体が冷えてしまうと痛んだ軟骨に刺激を与えてしまうので、なるべく急激な温度変化を避けた方が良いです。適度な運動をすることが大事で、自分が無理なく続けられる運動法を日課としてやってみてください。椅子に座った状態で足を伸ばして、足首を上に向けて膝の裏側をストレッチするのもおすすめです。スクワットする際は、背中を壁につけて浅くスクワットする方が膝への負担が軽減します。膝の運動をする前に入浴して温めておくと関節の動きが滑らかになりますよ」(同)膝痛の予防で見直すべきポイントは「歩き方」「座り方」「食事」の3つコロナ禍における緊急事態宣言によって外出自粛をしたため、「コロナ太り」した人が多いというが、それを解消しようとして急に運動をした人が膝を痛めるケースも増えている。そんな人が見直すべきポイントは、「歩き方」「座り方」「食事」の三つだ。順番にご紹介しよう。正しい歩き方を心がけて効率よく運動しよう「体重が増えると膝への負担が大きくなります。かといって、急にジョギングなどを始めると膝を痛める危険性が高いのです。そこでおすすめしたいのが正しい歩き方を身に付けることです。おなかに力を入れて背筋を伸ばし、片方の膝を軽く上げて重心は体の真ん中に。かかとから着地してつま先で蹴り上げるように意識して歩くと、足の内側の筋肉を使えます。家から15分ほど歩くだけでも良い運動になりますよ」在宅勤務ではなるべく椅子に座ろうまた、在宅勤務などで座る時間が増えている人に対して丸山院長はこう語る。「もっとも膝に負担がかかる座り方は正座。長時間にわたって座り続けると軟骨が圧迫されてしまいます。あぐらは内側の軟骨が圧迫されるので、O脚の傾向があり、内側の軟骨が減っている人は要注意です。在宅勤務の人はなるべく椅子に座って、10〜15分間隔で立って脚腰のストレッチをすることをおすすめします」食事制限でカルシウム不足?体重を減らそうと食事制限した結果、カルシウムやビタミンD不足となり、骨粗しょう症になる人もいるという。「膝への負担を軽くするため、肥満に気を付けることは大事なのですが、食事制限をしたことによって骨がもろくなってしまうケースも見られます。そうならないためにも栄養バランスのとれた食事を心がけておく必要があります」と丸山院長は話す。筋肉を作る上で欠かせないタンパク質をしっかりと摂取し、脂質を抑えてカロリーコントロール。また妊娠期においては、母体から胎児へカルシウムを供給するので、母体のカルシウムが不足しがちだという。「カルシウム不足になると歯がボロボロになる危険性があります。お肉やお魚などさまざまな種類の食品を食べて、栄養素を補いましょう。食生活に気を配るとともに、カルシウムの吸収を促すビタミンDを活性化するため、1日10分でも日光浴することが大切です」骨の強度を強くし、健康な骨をつくる「コラーゲン・トリペプチド」とはまた、コラーゲンのサプリメントを服用する事も膝の痛みを緩和させるのに効果的だという。「骨の30%はコラーゲンでできていますので、コラーゲンが不足すると骨の強度も弱くなります。コラーゲン・トリペプチドは、分子構造が小さいので、従来のコラーゲンより3倍のスピードで体内に吸収されます。そうして骨の強度を強くし、健康な骨や軟骨を作る手伝いをしてくれるのです。骨以外にも肌をツヤツヤにする効果もあるので、痛みが出る前から飲み始めても良いでしょう」丸山院長は「2年続く外出自粛。コロナのワクチンを打ち終わったからと急な運動で膝のトラブルを起こす人も多い一方で、コロナ禍で通院をためらってしまい重症化してから来院する方もいます。膝は痛みが出る前に違和感を感じている人が多く、その時期から早めのケアをすることが大切です。膝に少しでも違和感を感じたら、早めに医療機関に相談してほしい」と話している。●監修/関町病院院長 丸山 公医師まるやま・こう/医学博士。日本整形外科学会専門医、同スポーツ医。院長を務める関町病院の整形外科では、人工関節手術を最後の手段と捉え、できる限り人の再生能力を生かした保存療法や最小侵襲手術を目指している。
2022.02.17
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下記の記事はハルメクWeb様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。オートミールは最近スーパーでもよく見かけるようになりました。そんなオートミールの人気の秘密を2回にわたって大解剖!オートミールが健康づくりやダイエットにいいといわれている理由やおすすめの食べ方について、詳しくご紹介します。すべての画像を見る(14件)目次最近話題の「オートミール」いったい何なの?オートミールは大きく分けて3種類あるオートミールがダイエットに効果的といわれている3つの理由コロナ禍でさらに注目を集めるオートミール腸活の新たなキーワード!?「発酵性食物繊維」の魅力各社からオートミールが続々!豊富な選択肢から選んでオートミールは健康と美容のために取り入れたい最近話題の「オートミール」いったい何なの?オートミールとは、オーツ麦を脱穀して加工し、食べやすくしたもののこと。「オーツ麦」+「ミール(食事)」を組み合わせた言葉です。日本名では「燕麦(えんばく)」と呼ばれ、主に馬などの飼料として使用されてきましたが、加工技術の発展により健康食として注目され始めました。このオートミールに甘く味付けをしたりフルーツやナッツと合わせたものは「グラノーラ」として知られているものです。 オートミールは大きく分けて3種類あるオートミールはロールドオーツ、クイックオーツ、インスタントオーツの3種類に分けられ、それぞれ異なる特徴を持っています。2021年4月から「ケロッグ オートミール」の展開をスタートしたシリアルブランド「ケロッグ」の専門家に聞いたところ、下記のような3種類に分類されるそうです。【オートミール1】ロールドオーツオーツ麦をカットせずに圧ぺん(ロール)したもの。調理時間の目安は約5分。基本的に加熱が必要。粒が大きく、厚みがある。香ばしく、食べ応えのある食感。5分ほど煮込んで味付けをして食べる。腹持ちがよいのが特徴。【オートミール2】クイックオーツオーツ麦をカットした後、火が通りやすいように薄く圧ぺんしたもの。調理時間の目安は約2~3分。インスタントオーツよりは厚みがあり、歯ごたえがある。食材(クッキーやパン)として使われる。そのままでも食べられる。【オートミール3】インスタントオーツクイックオーツをさらに薄くしたもの。調理時間の目安は約1~2分。調理時間が最も短く、手軽に食べられるオートミール。柔らかい食感で、消化しやすいので子どもや高齢者にもおすすめ。そのままでも食べられる(ケロッグのオートミールはこれにあたる) オートミールがダイエットに効果的といわれている3つの理由オートミールは腸活やダイエットにいいという噂を耳にしますが、本当のところはどうなのでしょうか? 腸内細菌研究の専門家の國澤純(くにさわ・じゅん)先生によると、減量効果を実感しやすい3つの理由があるようです。【ダイエット1】糖質の摂取量が抑えられるオートミールは食物繊維が多く含まれているのが特徴で、白米ご飯と比べて糖質が約1/3と控えめ。そのため、白米や麺類などの生成された穀類よりも糖質の摂取量を相対的に抑えられるそう。血糖値の急激な上昇を抑えることで、適度な満腹感を維持。食べ過ぎ抑制にもつながるといわれています。【ダイエット2】便通・むくみが改善される食物繊維が含まれていることで、便通やむくみが改善される効果があり、短期的に減量実感が得られるということもあるようです。【ダイエット3】 「発酵性食物繊維」で脂肪の取り込みを抑える発酵性食物繊維とは善玉菌のエサになる食物繊維のこと。腸内細菌が食物繊維を分解するときに作りだされる短鎖脂肪酸。この短鎖脂肪酸が脂肪細胞に働きかけることで肥満を防いでくれる仕組みだそう。 コロナ禍でさらに注目を集めるオートミールコロナ禍で家にいる時間が長くなり、運動不足などによっていわゆる「コロナ太り」に悩む人も。こうした中、改めて健康について考える機会が増え、意識が高まったことで、健康系シリアルが今、人気となっているのだとか。こうした状況下で注目を集めているオートミールについてケロッグの担当者にお話を聞いてみました。「米を中心とした主食の置き換えになるということで、ダイエット関心層からも支持の厚いオートミールは非常に注目の食材となっています。ご飯の代わりなど主食の置き換えとして食べられる点や、和洋問わない幅広いアレンジできる汎用性の広さなどもオートミールの魅力として捉えられていて人気を後押ししているようです」加えて、腸活に大切な発酵性食物繊維を含むことで注目されているオートミール。これまでの腸活定番であったヨーグルトなどで外から菌をとるだけでなく、自分のお腹の中にいる良い腸内細菌をいかに元気にして増やすか持続性という点でも重要だそう。腸活の新しいステージを切り開くきっかけになった発酵性食物繊維について、もう少し詳しくご紹介します。 腸活の新たなキーワード!?「発酵性食物繊維」の魅力すでに腸活を意識した生活をしている人の中には、ヨーグルトや納豆、チーズといった発酵食品を取り入れているという人も多いかもしれません。これらはもちろん、腸活に有効な食品ですが、今、腸活界で注目されているのが「発酵性食物繊維」。腸内の発酵をうながし、腸内細菌のバランスを整えるという大切な役割を担っています。発がん物質など体に悪影響を及ぼす有害菌を減らし、ビフィズス菌などの有用菌が棲みやすい環境に。またこの発酵によって作られる短鎖脂肪酸が、がん細胞の増殖抑制や肥満の予防、便秘の改善などさまざまな面で健康増進に役立ちます。 各社からオートミールが続々!豊富な選択肢から選んでケロッグによると、オートミール市場はこの1年で急激に拡大し、前年比約3倍と急成長しているのだそう。主食としても食べられるアレンジの幅広さが評価され、若者を中心に広がっています。「ケロッグ オートミール」「日食 プレミアムピュアオートミール」など、初心者には、簡単に食べられるインスタントタイプがおすすめ。世界的ブランドとして有名なのは「クエーカー」。オールドオーツからインスタントオーツまで幅広く展開するアメリカブランドで、いずれもAmazonで購入可能です。「ケロッグ オートミール」 「日食 プレミアムピュアオートミール」 「クエーカー インスタントオートミール」 ブームになると取り扱いを始めることが多い「業務スーパー」。こちらは500g入りで150円程度でした! オートミールは健康と美容のために取り入れたいオートミールを1回に食べる量としての適量は、ケロッグでは1食30g、日食では30g、クエーカーでは40g。30gあたりのエネルギーは117kcaLで、ご飯1杯が約200kcaLと考えるとかなり低カロリーであることがわかります。植物性たんぱく質が精白米の約2倍、食物繊維は約20倍、さらにカルシウムや鉄、ビタミンB1、B6、抗酸化作用で知られているビタミンEども含まれる栄養価の高さが魅力です。
2022.02.17
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下記の記事はNEWSポストセブン様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。秋篠宮家の長男・悠仁さま(15才)が文学賞に入賞された作文の一部が、それより以前に発表されたほかの人の文章に酷似していることがわかった。高校入学という新生活の門出を前に、過去の作文が今再び注目を集めている。「素晴らしい賞をいただき大変うれしく思います」2021年3月20日、悠仁さまは福岡県北九州市が主催した「第12回子どもノンフィクション文学賞」の佳作に選ばれた表彰式で、率直なお気持ちを語られた。作文のタイトルは『小笠原諸島を訪ねて』。悠仁さまが小学5年生のときに、紀子さまとプライベートで小笠原諸島を訪れた思い出を400字詰め原稿用紙19枚に綴られた。「お茶の水女子大附属中の夏休みの国語の課題で作文コンクールに応募するものがあり、2年生のときに学校を通して応募された作文が佳作に選出されたのです。コロナ禍によってオンラインで行われた表彰式では、喜びのお言葉のほかに『父島や母島に暮らす人々との交流を通して得た経験は、4年たったいまでも心の中に鮮明に残っています』と語られていました」(皇室記者)受賞作品は、竹芝桟橋(東京・港区)から丸1日がかりの船旅に出る高揚感や、小笠原諸島特有の生態系に触れる興奮が生き生きとした筆致で描かれている。風土・風俗への鋭敏な観察眼は目を見張るものがあり、選考委員のリリー・フランキー(58才)は「10代でこのバランス感覚、文章の美しさは素晴らしい」と講評している。しかし、である。悠仁さまの高校進学が話題に上るこの時期に、一部の宮内庁関係者と教育関係者の間でこの作文が話題になっているのだ。「悠仁さまの書かれた作文の一部が、それより以前に発表されたいくつかのほかの人の文章と酷似していたのです」(宮内庁関係者)関係者の中で言われているのは以下の部分についてだ。少々長いが、引用する。《小笠原諸島は、火山が隆起してできた島で、一度も大陸と陸続きになったことがない「海洋島」です。では、こうした島の生き物は、どのようにして島々にたどり着いたのでしょうか。 あるものは海流に乗って運ばれ、あるものは風によって運ばれ、翼をもつものは自力で、あるいはそれに紛れて、三つのW、Wave(波)、Wind(風)、Wing(翼)によって、海を越えて小笠原の島々にたどり着き、環境に適応したものだけが生き残ることができました。》この部分によく似たものが、2012年に出版された『世界遺産 小笠原』(JTBパブリッシング刊、写真・榊原透雄、文・福田素子)にある。《小笠原諸島は、火山が隆起してできた島で、一度も大陸と陸続きになったことがない。こうした島を海洋島という。(中略)まる裸で太平洋に突き出していた小笠原諸島に、生きものたちはいったいどのようにしてたどり着いたのだろうか。あるものたちは風によって運ばれ、また、あるものは海流に乗って。あるいは、翼を持つものは自力で、またはそれに紛れて。いわゆる3W 、風(Wind)、波(Wave)、翼(Wing)により、数少ない生きものだけが海を越えて小笠原の島々にたどり着くことができた。》(P11~12より)独特な言い回しまで一致しているようにも感じられる。26悠仁さまの作文『小笠原諸島を訪ねて』(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより)さらに悠仁さまの作文を読み進めていくと、《サンゴ礁は、海の中で最も多くの生き物がすむと言われるとともに、漁業が営まれ、人々に食糧を提供しています。また、サンゴ礁が育つ海は美しく、旅行者を引きつける観光資源でもあります。》 と、ある。これについても、国立研究開発法人の「国立環境研究所」ホームページにある研究者インタビュー(2014年収録)の中に以下のような文章が見つかる。《サンゴ礁は海の中で最も多くの生き物がすむといわれています(中略)また、サンゴ礁では漁業が営まれ、人間に食料を提供していますし、美しいサンゴ礁は旅行者を引きつける観光資源でもあります。》これらの類似点によって、コピペ(コピー&ペースト)をして書かれた作文なのでは、と問題視されているのだ。悠仁さまが応募された文学賞の募集要項の「応募の注意」には、以下のように書かれている。《他人の文章を勝手に使ってはいけません。使う場合は「 」で囲んだり、段落を落としたりして、自分の文章と他人の文章の区別がつくように工夫してください。また、どこから用いたかも必ず書いてください》九段下総合法律事務所の伊倉秀知弁護士が解説する。「この注意は、引用に関する著作権法の規定を説明したものです。引用については“公正な慣行に合致するもの”が認められると明記されており、法的なルールをかみくだいたものでしょう」 悠仁さまの作文には参考文献が1冊だけ書かれているが、前述の書籍やインタビューページのURLなどは明示されていなかった。宮内庁報道室に確認すると、意外なことに「ご指摘に感謝します」との回答。続いて宮内庁を通した形で、悠仁さまからのお答えがあった。「この旅行記は、悠仁親王殿下が、自らいろいろな文献等をお調べになり書かれましたが、参考文献の記載が十分ではなかったと振り返っておられました」参考文献の記載漏れを認められたうえで、意図的な盗用は否定された格好だろう。さらには今後について、「本件につきまして主催者に連絡いたしますとともに、ほかの箇所についても確認をされ、必要があれば正していかれたいとのことでございます」と、自らの作文を修正する意思を示された。文学賞の主催者である北九州市の市立文学館の担当者はこう説明する。「今回、両方の文章を比較して、確かに似たような文章が連なっていることは把握しました。参考文献の記載漏れがあったとしても、同文学賞は作品のテーマ、表現力を総合して評価した結果なので、賞の授与の撤回は考えていない」今回の件は、情報へのアクセスがしやすい現代においては、まれなケースではないのかもしれない。「宮内庁が異例の対応をしたのは、昨今、子供のコピペ問題が話題になることが多いからではないでしょうか」とは、さる教育ジャーナリスト。「最近はインターネット上に読書感想文の手本が載っているサイトがあり、手軽に『コピペ』して自分の感想文とすることも可能。掲示板に宿題を投稿して匿名の相手に答えを出してもらって、書き写すだけの子供も増えています」振り返れば、STAP細胞問題で話題となった小保方晴子氏の論文剽窃疑惑など、引用元を明示しなかったことで問題の色を濃くしたケースもあった。成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏が語る。「コピペに慣れてしまうと思考を深める能力が確実に落ち、実生活で答えのない問題に直面した際に、柔軟に考えることができなくなる弊害もあるんです」親や教育者がよりこの問題に向き合い、“子供を守る”姿勢が必要だろう。※女性セブン2022年3月3日号悠仁さまの作文で当該箇所がある部分(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより)写真23枚別の人の文章に似ていると言われた当該箇所(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより*拡大)写真23枚 悠仁さまの作文で当該箇所がある部分(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより)写真23枚別の人の文章に似ていると言われた当該箇所(北九州市立文学館「第12回子どもノンフィクション文学賞」HPより*拡大
2022.02.17
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