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タカが気にする様子も無く口を開いた。「そういや、昨日ゴミ町の交差点でボーっと突っ立ってたべ。突っついてやろうかと思ったけど、ノブがやめたほうがいいってあんまり五月蝿いからやめといたんだけど。」「僕の従兄弟がおいしいハンバーグ屋さん教えてくれるって前々から約束入っててさっていう店なんだけど。本当に美味しかったから今度一緒に行こう。」僕は咄嗟につく嘘があまり上手じゃない。それでも何とかタカとノブはそれ以上追求するのはやめてくれたらしく、じゃあ今度一緒に行こうぜ、と言ってくれた。ふと黒ぶちに目をやると、本を机に置いて、突っ伏していた。教室を見渡すと、もうクラスメートがほぼ全員揃っていた。何時もの様に担任が教室に入ってくる。「期末試験が近いので、体を壊さないようにして下さい。二年での成績は高校選びにも大きく関わって来るので頑張りましょう。」いかにも先生らしい事を言うと、担任はさっさと出席を取って教室を出て行った。一時間目は先生が体調不良という事で自習。試験期間が近づくと、心得の有る先生は何かと理由をつけて自習にして生徒に好きな教科を勉強できる時間をくれる。実際は生徒の半分は僕等の様にトランプをやったり、漫画を読んだりで時間を潰してしまうけれど。結局、音楽と体育以外は全て自習になって、僕は今週と先週の分の週刊誌を全て読み終える事が出来た。今日から暫くの間は三人で遊ぶ事は無くなる。ノブがこれからは毎日塾があるから、必然的に三人は揃わない。「あー今日から暇になるな!親父の前で言ったら仕事手伝わされるから言わないけど。」タカの家は小さい工場をやっている。小学生の頃から手が足りない時には手伝わされて、今では結構な腕前らしく、タカが遊べないと言ってくる時は大抵工場の手伝いが理由。親父さんもタカを工場の跡継ぎにする気満々なので勉強しろとは一切言わないらしい。あっという間に五時間目まで授業が終わって、僕等は学校で解散した。試験が近い。僕も一応勉強をしないと。中間試験以来、久しぶりに僕は自分の机と向かい合った。結局、それから試験が始まるまでの間は、家と学校の往復。何が楽しいわけじゃないけれど、毎日教科書と書き溜めたルーズリーフの中身を頭の中に写し取る作業だけに没頭していた。
2007.01.12
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担任の山村は今日も出席だけ取ると、さっさと退散した。昨日と違うのは入れ違いに入ってくるのが数学の田中だっていう事と、目のやり場がグラウンドじゃなくて目の前に座っている黒ぶちの後頭部だっていう事。少なくとも事実として昨日、あの町に居たのは黒ぶちだったし、黒ぶちが曲がった先にはラブホテルと風俗店の密集地。別に、僕には全く関係のない事だと分っていても、すぐ目の前にある後ろ頭をボーっと眺めながら、色々な事を考えてしまう事を止める事が出来なかった。そんな調子で4時間目までずっと、焦点が合わない考え事をしながら、また無意味に黒板の写しだけを製造していた。昼休みになると、いつもの様にタカとノブが飯を持って僕の席の傍まで来た。「知らない奴は良いよね。」と心の中で呟きながら、コンビニのおにぎりのビニールを剥いた。ツイてない。海苔が全部ビニールの中で破けた。駄目な日は何をやっても駄目だ。そんな僕の内心をよそに、タカは今日も昨日と同じ調子で聞いてきた。「今日はドコに行く?」「別にどこでも・・・」そう言い掛けて、僕は慌てて言いなおした。「ごめん。今日は、僕はパス。家でやる事が有るから。」その日の夜、僕はゴミ町にいた。キレイな夜景を、宝石を散りばめた様な、と形容する事があるけれど、それは遥か上空から見たときの話で、実際にはゴミ箱をぶちまけたような。が適切な表現じゃないかと思う。大抵のものってそうだ。遠くから見ているうちはキレイに見えても、近くに寄ると、どんどん悪い所が見えてくる。一番傍まで近寄れば、もう汚い所しか目に付かなくなる。チラシを配るガタイの良い外人や、呪文を唱え続ける客引き、流行の服に見を包んだ大量の人間と、何度もぶつかりそうになったり、すれ違いながら、僕は昨日の交差点の辺りで黒ぶちを探していた。足が棒になるほどうろうろしただけで、今日、黒ぶちは現れなかった。収穫と言えば、たまたま入った店で食べたハンバーグが美味しかったくらい。帰りの電車に揺られながら僕は黒ぶちを探しに来たにも拘らず黒ぶちが見つからなかった事に感謝した。昔から、余計なことと解かっていても気になると確かめずに入られない。そんな悪癖が僕にはある。今回だって、きっと僕のただの思い込みで、仮に僕の予想が当たっていたとしたって、蛇が大量にいる藪をわざわざ棒で突っついているのは間違いない。帰りの電車の車内で、窓の外に流れていく色とりどりのゼリーの様な町明かりを眺めながら、「もうやめよう」と僕は自分に言い聞かせるように小さな声で呟いた。玄関に置いてあったタカとノブの着替えを持って部屋に上がった。タカとノブは僕がいなくても着替えだけは置いていったらしい。部屋の隅にそれらを放って、机の上に目をやった。机の上にあるのは試験の日程表。再来週の頭からは期末試験で、それが終われば夏休み。意識が戻ると、もう朝だった。疲れの所為か、家に着いた後そのまま寝てしまったらしい。いつも通りに支度を済ませ、学校に向かった。教室のドアを開けると、いつも通りの一番乗り、始業まで40分も有るのだから、当たり前と言えば当たり前。タカの机を漁って、今週の分の週刊誌を引きずり出して読み流す。未来の世界の猫型ロボットのポケット位、タカの机の中には退屈しないものが沢山入っている。残念ながら勉強道具の類はいつも品切れなんだけれど。一冊目の雑誌に目を通し終わる頃、ようやくタカとノブが教室に入ってきた。わざわざ目をそっちにやらなくてもすぐに分かる。タカとノブが教室が有る三階に着いた段階で、タカの大声は十分に僕がいる教室の中まで聞こえてくるし。週刊誌に目を落としたまま僕が「おはよう」を言うと、タカが走って僕の隣まで来た。「おはよう!おいおい、俺の週刊誌読んでも良いけど、ちゃんと元の場所にもどしとけよ!」「元の通りって、あのごちゃごちゃした机の中を元通りにするんだったら図面でも残しておいてよ。」僕がそう言うと、タカは自分の机の方に目をやって、「そりゃそうだな。」と納得した。そんな事をしているうちに、開け放したドアから黒ぶちが入ってきた。何時もの様にタカを僕等を一睨みすると、黙って席について本を読み始めた。ーこの先は只今若干の修正中です。暫くお待ちください。-UPする段階になって、何だか違うような気がして必死で書き直してます。気に入らない表現を変えてみたりしているうちに結局殆ど書き直していたり。追加の分は今日もう一度UPします。
2007.01.11
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