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書籍「ベビーサイン」の解説1基本動作
1.基本動作・あいさつ 最初の一歩はあいさつから」
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サインを赤ちゃんが覚えて使うための初めの一歩は、お母さんの手がことばであることを、赤ちゃんに認識させることです。
6ヶ月以前のまだ日本語もほとんど習得していない赤ちゃんには、声で語りかける時に、出来るだけ多くの手(サイン)を動かしてください。声が聞こえたら、お母さんを見る習慣がつきます。
いつから始めれば・・・という決まりなどありませんが、両手が自由につかえるようになったら、赤ちゃんが伝えたい言葉(「だっこ」「おっぱい」など)と、赤ちゃんから伝えて欲しい言葉(「痛い」など)よく使うことばに少しづつサインをつけて、話しましょう。
1歳前後の子どもはかなりのことばを話せなくても覚えていますから、赤ちゃんが覚えた言葉からサインも一緒に表しましょう。サインを使い始めるのは早いです。
1歳2ヶ月になると言葉と一緒に沢山のサインを覚え、使っていくことが出来ます。もう2語文も使い出します。子どもの能力は素晴らしいものです。
お母さんが使えば使うほど、どんどん吸収して、自分の要求をサインで伝えます。
いつからサインを始めても、話すときはまず目と目をあわすという習慣を身につけることからスタートです。始める月齢がたかければ、お母さんの手がことばという認識も早くできます。
ここで「お母さん」と書いていますが、お父さんでも、おばあちゃんでもだれでもかまいません。赤ちゃんと接する人の代表で「お母さん」と使っています。
(お母さんが一生懸命サインを使っているのに、たまにお父さんがサインで話しかけると、すぐ覚えていくという人もいました)
「痛い」のよちよち手話
病気の時、言葉が話せない子どもがぐったりしていると、とても心配です。
また、外から見てわからない耳や喉、お腹の痛みなどを「痛い」のサインで伝えてくれると助かります。
このサインは手の指を閉じたり、開いたりします。このサインは
痛いところで表します
。
転んで足を打った時、そこの場所で「痛い」のサインをしてください。
子どもははいはいしたり、歩くようになるとよくぶつかって泣きます。
そんな時(泣き止んでからでかまいません)その痛いところを指さしてサインをしてください。
外から見えない体の中の痛みを教えてくれるように、是非使えるようにしたいサインです。
子どもは中耳炎にかかることが多いのですが、親が気づかずに聞こえなくなった子もいます。
また風邪の時の喉の痛みなど、気づきにくいところの痛みを教えてくれます。
私の講座ではこの「痛い」を最初に教えます。
命にかかわる病気の痛みもあります。
まだ話せない子どもにはとても大切なサインです。
「おはよう」のよちよち手話
グーの手は枕です。朝起きて枕をはずす動作です。腕を下へ(グーをそのまま下へ)動かすのですが、赤ちゃんは前へ振ることが多いです。1歳過ぎた頃にはお母さんと同じように動かすことができます。それまではお母さんが分ればいいのですから、無理に直そうとしないでくださいね。
目が覚めたら、目を合わせて「おはよう」とあいさつしてください。
これはお母さんの手が言葉であることを知ってもらうためと考えてください。
赤ちゃんが使わなくても別にかまいません。
赤ちゃんは必要と考えないからです。お母さんが毎日使っていたのに使わなかった子どもが、動物園の象さんに初めて「おはよう!」とサインをした子どももいます。象さんは声で話せないと分かってサインを使ったのです。子どもって賢い!
「ありがとう」のよちよち手話
左手の甲に右手の小指側をつけて跳ね上げます。
小さな赤ちゃんが「ありがとう」とは使いませんが、これはママから言って欲しい言葉です。
ある子育ての専門の方が「子どもに‘ありがとう’の言葉をいっぱい使って欲しい。‘ありがとう’と言われたことで、自分が認められていることを実感するから」と。
これは大きくなった子どもにもいわれることです。「どうせ私は・・・」という自分を否定してしまうことの無いように「ありがとう!」を赤ちゃん時代から振りかけてあげてください。
このサインは相撲で懸賞金がついたとき、それを受け取るときにお相撲さんは軍配の上で手刀を切ります。(「心」という字を書くものと聞きました)
それを簡素化(記号化)してこの手話ができました。
テレビで字幕も付かないときに、相撲は見れば勝負がわかりますので、聞こえない人たちが楽しめた数少ない番組です。
アメリカの手話は‘投げキス’です。やはり日本手話でこの「ありがとう」が広まってほしいものです。
「おやすみ」のよちよち手話
このサインはだれでも意味がわかりますね。
でも「おやすみ」にだけ使うのではなく、「ネンネ」「眠いの?」「寝ましょうね」など‘眠る’という意味をもついろいろな日本語につけて使ってください。
これから言葉を覚えていく赤ちゃんにとっては、耳から入る「ネンネ」と「眠い」は違うものです。でもこのときのサインが一緒なら、同じような意味と捉えることができます。
しっかり歩けるようになった子どもはこのサインを自分でして、ベッドにいきますよ。
「だっこ」のよちよち手話
このサインは身振りで子どもが自然に手を差し出します。
そしてこのサインは子どもが使いたいサインです。まだ歩いて行きたい所に行けない赤ちゃんは移動したい時、お母さんに伝えたい言葉ですね。
だっこする時「さあ、お風呂に入ろうね」「お外に行こうね」という言葉で赤ちゃんを抱っこしますが、赤ちゃんにとっては耳から入ってくる言葉がいろいろで「抱っこ」して欲しいときの言葉は???です。
だっこする時はまず「だっこ」と言いながらこのサインを見せてからだっこしてください。
2階に上がってしまったお母さんに、まだ階段を上がれない赤ちゃんが下でこのサインをして、「私も2階へ連れて行って!」と訴えるのに使ったりします。
なんでもないサインですが結構赤ちゃんにとっては便利で、泣いて要求しないでもこのサインで気持ちを伝えることができます。
このサインを出したら、しっかり抱っこしてあげてくださいね。「連れてって」だけでなく、寂しくて抱きしめられたい時もありますから。
「おっぱい」のよちよち手話
母乳の人はグーの手をお母さんのおっぱいに当てます。
講座でこのサインを説明しているとき「おっぱい」の声を聞いて、本当におっぱいを飲みにママの膝にくる赤ちゃんがいつも3~4人はいます。
赤ちゃんがおっぱいが欲しいとき、ママの胸をトントンと叩いて要求します。
泣き止ますのにおっぱいをと考えてしまう時もありますが、このサインが出来るようになると、おっぱいが欲しいのか、抱っこして欲しいだけなのかはっきりわかりますね。
まだハイハイや歩いてママのところに行けない赤ちゃんは、グーの手を自分の口に当てるサインを使っている赤ちゃんもいます。
赤ちゃんが作ったサインは大切にして、ママとの共通のサインとして使ってください。
「ミルク」のよちよち手話
「おっぱい」はママのおっぱいをトントン叩くサインですが、ミルクのサインは親指の先を口元に当てるサインです。
でも赤ちゃんが自分で作っている場合もあります。赤ちゃん時代だけ使うサインですから、ママが分かればホームサインでOKです。
ミルクを欲しがっている時の赤ちゃんのサインをキャッチしてください。
「おしまい」のよちよち手話
両手のひらを上の向け、閉じながら下にさげる動作です。
これは「火が消える」というイメージから作られた手話です。
このサインをかなり早くから使う子は、きっとお母さんが「おしまい」という言葉をたくさん使っていることが想像できます。「食事もおしまい」「遊びもおしまい」・・・と。
小さい子ほど同じことを繰り返しします。そんな時「おしまい」はちょっと待って、十分満足するまでさせてあげましょう。
こどもから「お食事はもういらない、おしまい」などと自分の意思を伝えるサインです。
そして子どもが使えるようになるとお母さん同士の長いおしゃべりの横で、この「おしまい」のサインを繰り返しますよ。
「ない」のよちよち手話
両手の指を軽く広げて回転する動作です。身振りでも使ったりしますね。
手の中になにも持っていないと、手を振ってみせるところから作られています。
このサインも結構早くから使える子がいます。お菓子の空の箱を持って片手で「ないない」と表していたりします。
おもちゃなどをタオルなどで隠して「ないない」というと赤ちゃんは探します。「探す」というのは知的な面が発達した証拠です。
この遊びは推理する力や記憶力を使う遊びになります。
「ないない」のサインで遊んでみてください。
「いらない」のよちよち手話
両手のひらを前に向け、押すように前に出す。
これも身振りでよく使う表現です。でもこれを言葉として使えるようにしてあげると、拒否したい時にかんしゃくを起こすことなく「もういや!」とか「もういらない」と伝えることが出来ます。 NOと言える子にしてあげることは、気持ちの落ち着いた子になりますよ。
「待つ」のよちよち手話
グーの手をあごの下につけます。
これは「首を長くして待つ」「机などに肘をついて手にあごを乗せて待っている姿」などからつくられたものです。
赤ちゃんははいはいしたり、歩くようになってもお母さんを基地として、自分が安心と感じる範囲内にいます。ですからお母さんが目の前からいなくなると、とても不安になるのです。離れる時はこの「待っててね 」のサインと声をかけて安心させてください。
あるお母さんはこの「待っててね」を一番に教えて、後追いすることなく一人で待っていることが早くから出来たといっていました。子どもに安心感を与えるサインです。
早く後追いをしないようにするにはこのサインでゲームのように遊んでください。
「待っててね」と言葉とサインで伝えて、ドアから出て赤ちゃんの視界から消えます。
でも10秒くらいで戻って「待っててくれておりこうさん」とほめてください。そしてまた同じことを。でも時間を15秒・30秒・・・・と増やしてみてください。
赤ちゃんは「待っててね」の言葉とサインがあると、お母さんは居なくなるけど、必ず戻ってくるとわかった時、後追いはしなくなります。
こんな方法で「子どもをおんぶしてトイレに行っています」というお母さんが後追いを卒業させましたよ。
黙ってトイレにいったりして急に視界から消えてしまうので泣いてしまいます。
案外赤ちゃんでもきちんと説明すると分かってくれますよ。
「できる・できた!」のよちよち手話
グーの右手を左胸にあて、つぎに右胸にあてる。
「まかしとけ!」と胸をはる動作からきています。
赤ちゃんは毎日「できること」が増えていきます。そしてその達成感が自信になり、次のことへの意欲につながります。
「できた!」と一緒に喜んであげましょう。
まだ小さい赤ちゃんの時は「できた!」、「上手、上手」とほめる時はなんでも手を叩く(拍手)動作でかまわないでしょうが、少し大きくなって区別できるようになったら、このサインを使ってください。
「さようなら」のよちよち手話
このサインは万国共通でしょうね。
このサインを赤ちゃんが使う過程は言葉を習得する順序(真似ー意味が分かるー使い方を知る)がよく分かります。
まずママなどの真似をして「バイバイ」と手を振ります。「バイバイができた」と喜ぶのですが、最初は真似が多いのです。
次に「バイバイは」と催促されても手を振らずにじっと、相手を見ています。意味が分った証拠です。「手を振ると目の前の人がいなくなる」ということがわかると、その人が去って、視界から消えてから去っていった方を見て「バイバイ」と手を振ります。
次が、別れの挨拶なんだから、目の前からいなくなる前に手を振るという使い方がわかって手を振ります。
もちろんこの過程を踏まずにずっと「バイバイ」する子、「バイバイ」をして見せても、なかなか「バイバイ」をしないで、いきなり意味がわかって使い出す子と様々です。
「学ぶ」の語源は「真似る」ともいいます。
赤ちゃんは周りの人を真似ることで、いろいろなことを学んでいきます・
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