May 14, 2006
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昨日は、前々から「ぜひ参加させてください」とお願い

という会に参加した。

ここは未熟児を出産して家庭に戻り子育てしている親子が
集まるサロンのような場だ。
冒頭親子でいっしょに手遊びや歌を歌って遊んだあと、
子どもと親が別れて時間を過ごした。

子どもたちの部屋には、杏林大学や学芸大の保健学科、
保育学科の学生たちがボランティアで参加してくれていた。


お一人お一人の自己紹介をうかがうと、
「子どもは、●週で●●●グラムで生まれました」と
まず最初に話してくれる。
24週で600グラム以下という子どももいた。

以前、育児雑誌の取材でNICUのことをうかがったり、保
育器にいる手のひらに乗りそうな小さな赤ちゃんと、そ
の子のそばでじっと見守る母親の姿などを見学させても
らったことがあるので、ちょびっとだが、それがどういう
ことなのか、うかがい知っている。


当たり前の話だが、予定日どおりに出産できて、その後母子
同室で、隣ですやすや寝ている(たまにはかわいい声で

未熟児で生まれて保育器の子どもを見守るしかないお産では
状況も親の心理状態もまったく違う。

退院したときの、「明日からどうしよう。わたし子育てでき
るかしら・・・」のレベルも違う。

地域の支えの必要性のレベルもまったく違うとわたしは思う。



ての説明(未熟児の子どもは発達障害になるリスクが高い
ため、親は基礎知識としてそうしたことも知っておかなけ
ればならない)をしてくれ、その後、質疑、フリーディス
カッションという流れで進行した。

取材に行ったわけではなかったが、初めて知ることばか
りで、本当にびっくりしたので、そのいくつかを書き留めて
おきたいと思う。

・退院後、親は子どもの発達・健康などさまざまな不安を
 かかえるわけだけど、すべて一箇所の病院なりセンターで
 解決できるわけではない。身体の状態を定期的に検査し
 処置するのは、かかりつけの大きな病院だが、そこでは
 その子の発達のサポートはできない。
 未熟児の専門家と発達の専門家は違うということ。

・当然ながら、その親子に関する情報のストックも違う。
 だから、病院から療育センターに紹介状を書くのがその親
 子にとっていいのか、児童相談所から紹介してもらうのが
 いいのか、どの部分により光をあてた情報を持ってつなげ
 るか、判断に迷うという(これは、相当高度な専門性だ)。


 今何がこの子に必要な支援かを判断してつなげるコーディ
 ネーターが必要だ!!って言ってんじゃんかっ」

 と、思って聞いていたわたし。
 (その場には、三鷹市の佐伯さんもいらっしゃっていて、
 当然ながらそこにいる人はみんなそんなこと100年まえから
 わかっているわけだけど)

 介護には、ケアマネージャーがいるのに。なんで??
 なんで、子どもをかかえて、精神的にもおろおろしている
 母親が、あっちいき、こっちいき、初めて会った専門家に
 子どもの事情を説明しながら、必要な機関とサポートをつ
 なげる役割まで果たさなければならないの??

 「本来この役割を担うのは、保健師なのですか?」と尋ねると、
 「そうですね」と、杏林大学の先生。
 「できているんでしょうか?」

 障害者自立支援法ができ、発達障害支援法が今度でき、児
 童福祉法の要保護児童対策のしくみが変わり、さらに、
 個人情報保護法のしばりもあるなかで、支援のありようが
 変わりつつあるという。
 現場がそれについていっているかは疑問だと先生。

 そういう法律のことまで障がい児をかかえた親は
 知ってないと、子育てできないってこと??

(余談だけど、わたしは、親は把握している必要はないと思い
ますが、プロアマ問わず、「子育て支援」をやりたいと思って
いる人は、上記のような法制度の改正は、当然ながら知ってお
くべき基礎知識だと思っています)

・頼みの綱の保健師の質の地域格差が激しい。  
 あるお母さんは、出産後数ヶ月入院してようやく退院で
 きた後、どうしたらいいのかわからず、発達センターってい
 うのがあって、発達の相談はそこがいいとか、そうしたほんと
 基礎の基礎情報を、「ぴあんず」でほかのお母さんたちに
 教えてもらったと話してくれた。

 保健師って、「新生児訪問」ってやっているよね。それは、
 支援の必要な親子を早期にみつけ、できるだけ早く支援に
 つなげるためでもあると思うんだけど。何やってたんだろう?

 「ぴあんず」は、親子のサロンだけど、財政的な問題もあり、
 4ヶ月に1回しか開催されていない。
 情報の入手先がここしかないなんて・・・。

・・・・・・・・ 

母親の話を聞きながら、この人たちは出産のとき、どんな思い
だったろうか・・・と、思いを馳せた。

予定日よりまだ全然早い時期に、急に陣痛が始まったり、
破水しちゃったりしたのだろう。
あるいは、もともとハイリスクと診断され、経過を観察して
いた人もいるかもしれない。

「あのとき、重いものを持たなければ」
「無理な仕事をしなければ」
「階段を上らなければ」
と、自分を責めはしなかったか?

生まれた子どもが重い障害が残るかもしれないといわれ、
どんな思いがしただろう。
夫は支えてくれただろうか。
親戚は? 地域は? 「ぴあんず」以外に子育ての友達
はいるだろうか。
周囲は、小さな赤ちゃんを暖かく迎えてくれているだろ
うか。

「まあ、小さいわね」とベビーカーを覗き込む人もいる。
いろいろな施設に行く機会がとても多いから、
「この子は、●週で●●グラムで生まれたので」
と言うのが一番早いから、母親たちは、生まれた週と
出生体重を忘れないんだよと、教えてもらった。


杏林の先生たちは、
「みなさんが声をあげないと、変わりません。もっと言っ
ていいんです」
とおっしゃっていた。

もちろんそうだと思うけれど、子どものケアのコーディ
ネートまでやらなきゃいけないうえに、提言までって、
普通はひとりではできないよ。

で、頼みの綱の子育て支援のNPOは、まだそこまで育って
いないし。


「お母さんに必要なサポートってなんだと思いますか?」
と聞いたら、
「言われるまで気づきませんでした。確かにそうですね。
心のケアとかも必要だと思います」
と話してくれた。






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Last updated  May 14, 2006 11:33:53 AM
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つばき@ えええ 身障者の車椅子ユーザーからするとかなり…
はるか@ Re:極低出生体重児の親の会に参加(05/14) 何グラムで生まれたかって、別に未熟児で…
村松利安@ Re:PTA活動やってます(浜尾朱美)(09/14) ブログと無関係な案件で失礼します。昔、…

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