「ノウゼンかつらは木を枯らすというから大丈夫か」
存命中に、夫が言った言葉が思いだされる。私は「こんな大きな木だし、ノウゼンかつらは小さいし」と、特に気にもしていなかった。
「おばあちゃんの大切にしていた古木の梅の木が急激に衰えてしまったのは,こいつらのせいなんだって」 いつのことだったか、確かそんなことを話していた弟の言葉まで思い出されてきて。
戦後大切な食材を提供してくれていた梅の古木をダメにしたノウゼンかつらを、毛嫌いして根こそぎ引っこ抜いていた母の姿まで思い出された。ぬいても翌年にはどこかに芽吹いてくるしたたかさ。この時ノウゼンかつらの恐ろしいほどにどん欲な生命力を知った。胴回り七〇センチ以上樹高4メートルはあったユーカリが、見る見るうちに、いつの間にかノウゼンかつらに命を吸い取られて。
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