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また、広大な国土を東西南北統一的に接続する輸送インフラ整備の必要性が強調されており、特に道路・鉄道・海港整備が最優先課題として言及されています。もちろん、東シベリア・極東発展が対中関係を視野に置いていることは言うまでもありません。
原油・ガスパイプライン(P/L)建設が言及されていないではないかと思われるかもしれませんが、それは既に決定済みです。東シベリアのタイシェットからロシア極東原油出荷基地コズィミノ港までの原油パイプライン(P/L)(ESPO P/L)は2012年12月25日に全面稼働開始。既に、順調に原油を輸送・出荷しております。
天然ガスP/L建設に関しては、ガスプロムは2012年10月末、極東サハ共和国(ヤクーチャ/Y)からハバロフスク(K)経由ウラジオストク(浦塩/V)までの天然ガスP/L(通称 YKV P/L)を建設すると発表。天然ガス供給源はサハ共和国のチャヤンダ・ガス田と、将来的には東シベリア・イルクーツク州のコビィクタ・ガス田を想定しています。
一方、サハリン(S)からハバロフスク(K)経由浦塩(V)までの天然ガスP/L(通称 SKV P/L)は、2011年9月に全面稼動開始となりました。
東シベリア・極東発展公社設立構想は2012年1月、プーチン首相(当時)の意を受けて、ショイグ非常事態相(当時/その後モスクワ州知事に転出/現在は国防相)が東シベリア・極東開発公社設立構想を策定し、プーチン首相に上程しました。
プーチン首相が同年3月の大統領選挙に当選すると、ロシア経済省は翌4月、東シベリア・極東の16連邦構成主体(国土の6割以上)に特別法を適用して、天然資源開発促進を目指す『東シベリア・極東開発法案』を策定。
これは、16連邦主体の資産を新設予定の東シベリア・極東開発公社に統合して、プーチン大統領直属の国営会社とする構想でした。
ところが、同年5月に誕生したメドベージェフ内閣では、極東開発を担当する極東発展省は新設されましたが、開発推進母体となる開発公社は設立されませんでした。
では、東シベリア・極東開発公社設立構想は破綻したのでしょうか?
今年2013年度予算にて開発公社が設立される可能性が高いようです。この場合、開発公社の権限はどの程度のものになるのか、開発公社の社長(総裁)が誰になるかが、注目の的になります。
西シベリアでは、ソ連邦時代に探鉱・開発された原油・天然ガス鉱区の生産量が減少しています。西シベリア油田を生産拠点に持つロシア第2の石油会社ルークオイルは直近の3年間、原油生産量が減少しています。
直近の3年間で原油生産量が毎年減少しているのは、ルークオイルとスラブネフチの2社だけです。同じく、西シベリアの大ガス田を生産拠点とするガスプロムもガス生産量が減少しており、ガスプロムの地盤沈下が目立ちます 。
西シベリアを生産拠点とする石油会社ルークオイルとガス会社ガスプロムは生産量が減少。かつ、ガスプロムは欧州ガス市場にてシェア低下しつつあります。
東シベリア・極東開発の必要性と、新規市場としての環アジア太平洋諸国市場の重要性が増しているのです。
プーチン大統領をして極東開発に走らせていることは確かですが、ここではほかの側面にも言及してみたいと思います。
ロシアの人口は約1億4300万人ですが、このうち、ロシア極東連邦管区(創設時10連邦構成主体/現在9連邦構成主体)の人口は約650万人に過ぎません。
中国の人口は約13億人。うち、ロシアの東シベリア・極東と国境を接する中国東北3省には1億人以上が居住しています。
プーチン大統領は、大統領就任直後に発表した文書(2012年5月7日付け『外交方針に関する大統領令』)にて、「中国・インド・ベトナムが露の戦略的パートナーである」と指摘しました。
ここでの注目点は、中国とベトナムを並立して挙げたことです。両国は南シナ海の領有権を巡り、対立しています。その両対立国をロシアにとり戦略的パートナーとして大統領令に記載したことは、中国に対する牽制の意味合いが含まれていると考えて間違いないでしょう。
実は、このことをもっと直截的に表現した人がいます。誰でしょうか?
それは、メドベージェフ首相その人です。2012年8月10日付けデイリータイムズ(Daily Times)によれば、メドベージェフ首相は「ロシアは極東地域を、国境を接する国々による過度の拡張政策から防衛しなければならない」と述べました。
「国境を接する国々」と複数形を用いることにより一国を名指しすることは避けましたが、それが誰を(どの国を)指すのかは一目瞭然です。これは、ロシア首相による隣国脅威論・敵視論にほかなりません。
一見、蜜月関係を標榜するロシアと中国ですが、プーチン大統領の東シベリア・極東開発構想の真意・背景は「隣国警戒感」にほかならないと言えましょう。
東シベリア・極東を開発し、各種インフラを整備して、外資を積極的に導入する。また、ロシア人を極東に移住させ、対中防衛の防波堤とする。これがプーチンの本音と、筆者は理解しております。
ここで、もう1つのなぜに迫りたいと思います。ロシアでは、天然ガス輸出はガスプロム1社の独占事業になっています。ですから、ロシアの石油会社は従来、天然ガス輸出は不可能で、国内で生産する天然ガス(随伴ガス)はガスプロムに国内売りしていました。
では、プーチン大統領はなぜ、LNG輸出の自由化を閣僚に検討指示したのでしょうか?
その鍵は2013年2月13日にあります。プーチン大統領はモスクワ郊外の大統領別荘で2月13日、『ロシア燃料・エネルギー分野発展戦略・環境保護大統領諮問委員会』の定例会を開催。プーチン大統領はその席上、LNG輸出の自由化に言及したのです。
ちなみに、同委員会は2012年6月15日付け大統領令#859にて設立され、同年7月10日にプーチン大統領主催のもと、第1回委員会がクレムリンで開催されました。
今回2月13日に開催された会議におけるエネルギー関連の要点は、記の通りです。
(2)探鉱・開発にあたり、相応しい技術を導入し、効率を高める。
(3)天然ガスの世界市場への供給拡大と供給路多様化。特に、LNG輸出の自由化必要。
ロシア政府のエネルギー担当ドヴォルコビッチ副首相は2月15日、今年3月末までにLNG輸出自由化政策に関する政府原案を策定予定と発表しました。
プーチン大統領自身がLNG輸出自由化を指示していますので、政府原案も多分、この指示に沿ったものになると予測されます。
プーチン大統領はガスプロムによるLNG輸出独占に風穴を開けることにより、ロシアの天然ガス生産と輸出産業に競争原理を導入し、ロシア産天然ガス輸出市場の多様化を視野に入れているのではないでしょうか。
東シベリア・極東を新規探鉱・開発して、原油・天然ガスの増産を図る。一方、LNG輸出を自由化して、ロシア天然ガス産業を活性化する。
これが、プーチン大統領の意図ではないかと推測します。もちろん、このプーチン構想が実現・成功するのかどうかは、今後のプーチン大統領その人の具体的政策いかんとなりましょう。
今年2月20日には、森喜朗特使がロシアを訪問しました。今年4月末には、安倍晋三首相がロシア訪問予定と報じられています。両国間には領土問題が存在しますが、両国間の氷は少しずつ融け始めました。
日本はエネルギー安保確立のため、隣国ロシアの天然資源を必要としています。ロシアは天然資源輸出市場多様化の一環として、近隣の日本市場を含む環アジア・太平洋諸国の市場を必要としています。
ロシア発展のベクトル。それはまさに「東方に向かわざるを得ない」と言えるそこで北方領土問題の解決の好機と云えるのである。
「鳥インフル、本当の恐怖はこれから?」 2013年04月09日
「中国を敬遠する日本企業にインドが秋波」 2013年04月06日
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