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その関係がどうなるのか、両国はこれからの時代を仲良しでやっていけるのか。この問いとその答えに多くの関心が集まる。うまくやれるのか、やれないのか。それ次第で日本をはじめとする周りの国々の対応も変わるかもしれないし、変えなければならないかもしれない。
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一触即発の軍事衝突に学んだ両国
とはいえ、難問だから簡単に答えは出ない。議論百出である。そうした諸論を総じて見ると、「互いに信頼し合った仲ではないだろうし、なれもしないだろう」が、どうやら観察する側の多数派を占めるようだ。過去の歴史を振り返ればやはり、なのだろうか。
最近までの両国の関係は、表見(おもてみ)には18世紀の平穏無事な時代に似ているようでもある。中ソ和解の後しばらくして、両国間の関係は戦略的パートナーシップに格上げされた。これに伴って、双方の首脳の相互訪問がそれ以降の年中行事になる。
そして、中ロが加わる上海協力機構の創設(中国にとっての西方の安全保障政策から発展した)、中ロ善隣友好協力条約の調印、西部国境(モンゴルとカザフスタンに挟まれたわずか55キロ)に続いて東部国境の最終確定合意、共同軍事演習、とイベントが続いてきた。
この平穏無事を支えているのは、何と言っても、全面的な軍事衝突へ一触即発のところまでいった中ソ対立の二の舞いを怖れる両国の思いだろう。戦争は彼らにとってデジャヴュなのだ。
そして、世界の覇者を自任する米国の一極支配。両国ともにこれに我慢がならない。
万一米国との正面衝突になれば、核戦争は論外だし、通常兵器となれば、1カ国で世界の国防費の半分も食い尽くす米軍が相手ときては、両国合わせても勝ち目はまずない。そうなると、自分たちの方から手を出すわけにはいかない。
それを見透かしたうえで、米国はロシアや中国の内政にアレコレ口を挟んでくる。
何とも煩わしい話だ。己の頭の蝿でも追ってろ、と言いたくなる。注文をつけてくる米国に対してフラストレーションがたまるから、朝鮮半島、中東、西大西洋条約機構(NATO)拡張、といった諸問題で、両国は手をつないで反米スタンスをぶつけようとする。
米国への反感は、新古典派=新自由主義思想と両国の国家主導型経済との違いからも広がる。人それぞれ異なった環境下で、それぞれの経済のやり方がある。にもかかわらず、民主主義と自由主義市場経済でなければ世も末、などと勝手なことを抜かし、そのくせ自分の都合に合わせた基準は、強者の論理丸出しで好き放題に作り上げていく。
そうまでした挙句に、サブプライムに始まる国際金融不安などという不始末を仕出かしたのは一体誰なんだ? アホらしくて、やってられるか・・・。
だから、元々は西側の投資銀行が考えついたBRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)という新興国経済グループのコンセプトを借用して、その集まりの中で欧米主導の今の世界経済の仕組みを批判する。
米ドルを基軸通貨とする時代はもう終わったのではないか。今の国際金融システムのあり方は西側金融資本のエゴの表象ではないか。そしてその走狗たる国際通貨基金(IMF)に抜本的なメスを入れる時期ではないのか。
だが、両国が奏でるハーモニーも、このあたりでタネが尽きてしまう。
反米姿勢とはいうものの、各論に入ってしまえば中ロそれぞれでニュアンスに差が出てくる。コーカサスでの問題が中国にとって二義的以下の話なら、逆に台湾やウイグル、チベット、あるいは南沙諸島の問題で、ロシアが米国との対立を深めてまで中国に加担するとはまず考えられない。
それに、中国にとっては対米関係の方が対ロ関係よりはるかに重要だった。経済面でのつながりの規模がまるで違う。ロシアが製造業での輸出力を持てずに終わり、米国は石油の輸入国ではあっても、それをロシアに頼らねばならないという立場でもなかったからだ。
では、中国はロシアに何を期待して付き合っているのだろう。2011年10月に出されたストックホルム国際平和研究所の報告書は、以下の5点を挙げている。
(1)国境の安定
(2)中国の中央・北東アジアでの地域パワーとしての容認
(3)国際社会での大国という立場への認知
(4)中国へのエネルギー供給や軍近代化での協力
(5)中国・東北地方の経済発展での協力
そして、その中の(1)の国境の安定問題は片づいたのだが、その他では中国が望むような状況には至っていない、と結論づける。
エネルギー関係に関しては、「見た目には最良のパートナー同士にもかかわらず、うまくいっていない」というコメントも特に加えられている(中ロのエネルギー関係については別の機会に譲りたい)。
この結論は、中国に対するロシアの今の立場もよく表している。中国を正面から大国と認めることなど、とてもとても、である。ロシアにも意地がある。いや、認めてしまうことが恐ろしいからか。中国がロシアをもはや超大国とは見ておらず、精々がヨーロッパや日本と並ぶ程度と考えているのだとすれば、なおさらだ。
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