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実務担当者に聞く「危うい運用」の中身
顧客の年金資産約2000億円を消失させたAIJ投資顧問。同社を巡っては警視庁捜査2課と東京地検特捜部が捜査に乗り出す方針を固め、金融スキャンダルが刑事事件化することが確実となった。
同社トップの国会証言や運用の詳細は他稿に譲るとして、今回は「危うい運用」の中身にフォーカスする。
「運用利回り」の限界に触れ、どのように虎の子の年金が消えてしまうのか。実務担当者に聞いた話を紹介する。
AIJ問題が発覚した当時、筆者はある大手運用会社のファンドマネジャーと会い、本コラムで記した日本の年金運用を取り巻く構造問題の一端を知ることになった。
その際、ファンドマネジャーは実際の現場で起こった生々しい実例を話してくれた。以下はその要約だ。
20年ほど前、そのファンドマネジャーは社内で配置替えとなり、公的年金の運用から某民間企業の厚生年金の担当となった。同時に、前任者からファンドを引き継いだ。
「運用開始当時の保有株の簿価は10億円だったが、値洗いしたところファンドの規模は1億円程度に目減りしていた」というのだ。
前任者が運用責任者だった頃は、バブル経済が音を立てて崩壊し、株式市況が急な坂を転げ落ちていた時期に当たる。企業の成長とともに株価の上昇を狙うアクティブ型の運用ならば、ファンドの規模縮小は致し方ないところだが、この場合はちょっと事情が違ったというのだ。
「ソニーやトヨタなど当時の国際優良株が、運用開始当初はファンドに組み入れられていたが、引き継ぎ直後に残っていたのは、売るに売れないボロ株ばかりだった」とのこと。
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