弁護士YA日記

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日出町法律事務所
2019年6月より1年間、日本弁護士連合会客員研究員としてイリノイ大学アーバナシャンペーン校に留学後、弁護士業務を再開しました。
弁護士葦名ゆき(あしな・ゆき)
2020.02.19
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カテゴリ: 留学
講義のRemedies(救済策)で、今、Injunctionを勉強しているのですが、裁判所の余りにも凄い裁量に毎日心底びっくりしています。Injunctionは「差し止め命令」と訳されるのが一般的なのですが、日本の差し止め命令をイメージしてしまうと全然違います。日本語訳がある法律用語は、ああそれなら分かる、と一瞬思ってしまうので要注意です。

たとえば、今日勉強した判例は、下記の2011年のケース。
カリフォルニアの刑務所が収容率200%の過剰収容になっており、そのために付随する様々な問題が顕在化していたところ、連邦最高裁までもつれたとはいえ、最終的に裁判所が、受刑者を解放するように命令したというもの。ケースブックと呼ばれる分厚いテキストには、舌鋒鋭い反対意見もしっかり掲載されており、連邦最高裁でも激しい議論があったことがよく分かるのですが、それにしても、こんな大胆な命令を裁判所が出すなんて、本当にびっくりです!!!これは、日本の法律家が知っている「差し止め命令」ではないですよね、明らかに。

https://www.afpbb.com/articles/-/2802416?pid=7262842

難しいけど面白いです。
でも、テキストを集中して読むと、Readingのスピードが上がったり、語彙が増えたりという実感があるのですが、引き替えにコミュニケーション能力(リスニング能力とスピーキング能力?)が衰える感じがするのです。どうしても予習に時間を取られてしまうために、ルーティンでやろうとしている英語の勉強(オンライン英会話とかTEDとかニュース視聴とか)ができなくなってしまうことも原因かもしれません。すべてをきちんとこなすのはよほどの超人じゃないと無理だよ、と思いつつも、優秀なクラスメイトには、そんな悩みもおよそないように見えるので、あーあって凹みますね、やっぱり。

そういう時は、何でもやってみようという気持ちが陰って、自分一人でこっそりコツコツ勉強したくなるのですが、実はそれは余りに良いことではないんですよね。むしろ、恥をかこうが、情けなくなろうが、英語で人とコミュニケーションをとる機会を作るという処方箋が、私の場合は有効です。本当は、それを講義で実践できれば良いのですが、そういう気分の時は、他のクラスメイトが眩しいほど優秀に見えて、あんな凄いこと言えないやとか思ってしまうのですよね。

というわけで、今日は、もう直前まで行きたくなくて何かしら理由つけていかないことにしようかなと思ったものの、ここで自分に負けてはずるずる負ける、行くって返事した以上行くんだ!と自分に言い聞かせて、Women Attorneys Lunchに出かけて来ました。その名の通り、女性弁護士さんたちのランチ会です。頭の回転が早すぎる弁護士さんたちと英語で対等に話をする力は当然無いので、毎回かなり気後れするのですが、今回は凹んでいるので、なおさら気後れします。


今日のテーマは、Foreclosure Mediation Program 日本語訳すると、譲渡抵当権喪失手続きの調停プログラム、講師はこのプログラムを多く利用している弁護士さんなんですが、先に述べたようにそもそもForeclosureが日本の抵当権と同じなのかどうかはよく分かりません。

2008年の金融危機で、住宅を抵当に入れていた人が突然の失業や資産を失う等の変化により、自宅を手放さざるを得なくなった状況を受けて、2014年に導入されたまだ新しい手続きのようです。ここシャンペーンの裁判所では、抵当権を実行する手続きの中で、必ずこの調停手続きを経由し、なるべく話し合いでの解決を目指すことになっているようです。

何となくではあるものの手続きの流れは分かったし、ショックを受けて呆然としている人のケアをしながらこの手続きを進める大変さも理解できるところだったのですが、出口として、1,自宅を保有し続ける合意、2,自宅を保有できない合意、3,合意不成立、の3種類があるという話で頭が?マークだらけになりました。抵当権実行するのだったら1,が何故あるのか分からない。また、自宅を失ってしまうのであれば、わざわざ2,の合意をする意味も分からない。この調停って一体何を話し合っているんだろう?

もう少し元気であれば、皆の議論に割って入ってでも質問するところなのですが、弱気になっているので、「説明して下さっていたのに聴き取れていないだけかもしれない、失礼な質問になるかもしれない」等と考えてしまい、もやもやしていました。
もやもやしている間に、会がお開きになってしまったので、隣のCarolynさんに、一生懸命自分の疑問を伝えてみたところ(彼女は、いつも辛抱強く私の真意を汲み取ろうとしてくれるので、臆せずに話せるんです)、「それは私にも分からないわ、彼女に聞いてみましょう」と一緒に帰ろうとしていた講師の弁護士を呼び止めて下さいました。そこで、もう一回、緊張しつつ、一生懸命言葉を繋いで自分の疑問をぶつけて、ようやく謎が氷解しました。

1,は、要するに債務者の支払える金額でリスケジュールする合意が成立するので家を保持できるという意味で、2,は、自宅は失うけれど、残ってしまった借金は免除する合意、3,は自宅も失う上に、残ってしまった借金の支払義務も残るリスクがある手段、ということなんですね。
聞いてみたら納得で、そんなに難しい話でもなく「なーんだ」、なんですが、本当にお伺いして良かったです。そして通じて良かった!Carolynさんには、もう感謝しかないです。帰りの車の中で、近況をお話しできたのも楽しかったです!

今日、改めて、恥をかくかも、とか、バカと思われるかも、ということで自分を抑えるのは、自分の成長には何一つ役に立たない思考だということを再認識しました。

分かってはいても実践するのは時には大変です。長々と書いてきましたが、今日は一歩踏み出せて良かった。誰にも分かってもらえなくて良い、自分だけの小さな達成感。
凹むことは多いけれど、少しずつでも一歩ずつ進みながら、成長していきたいと思います。





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Last updated  2020.02.19 10:58:07


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