ザ・スーパー・ポップ宣言

ヘッド博士の世界塔 ジャケットの考察と妄想

フリッパーズ・ギター「ヘッド博士の世界塔」ジャケットの考察と妄想



日本のロック史に残る歴史的名盤として、今なお絶大な評価を得ているフリッパーズ・ギターの3rdアルバム、『ヘッド博士の世界塔』。そのオリジナル・アルバム・ジャケットを手掛けたのは、ピチカート・ファイヴをはじめ数多くの作品を手掛けてきたアートディレクター、信藤三雄氏です。初回限定盤には、2個の虫眼鏡を利用した「飛び出すフリッパーズ」という仕掛けが用意されています。音楽雑誌のグラビアを思わせる、二人のポップで洒落た写真を、虫眼鏡を通して楽しむという遊び心のある仕様。ただ、その一方で、私はこのジャケットに少しばかり物足りなさが残ります。

というのも、虫眼鏡2個をジャケットそのものの一部として成立させるためか、どうしても「この特殊なパッケージをどう見せるか」へのデザイン上の意識が強く感じられるからです。おそらくは昭和レトロなデパートの包装紙のようなポップさを目指したのでしょう。もちろんデザインとしてはお洒落だし実に完成度が高い。ピチカート・ファイヴや、当時のいわゆる「渋谷系」と呼ばれた他のアーティストの作品に使われていても、まったく違和感はない。多くのファンに今なお支持されているのも納得の出来です。しかし、これは本当に『ヘッド博士の世界塔』でなければならないジャケットなの?『ヘッド博士の世界塔』は、単にお洒落でポップな音楽作品というだけではないでしょう。

「世界塔」というタイトルが象徴するように、アルバム全体がひとつの巨大な世界観を形作っている。さまざまな音源を切り貼りしたサンプリング、随所に挿入される効果音、めまぐるしく展開する音楽。それらが組み合わされることで、奇妙で巨大な「世界」を作り上げている。つまり、非常に「コンセプト・アルバム」的な作品なのです。そう考えると、現在のジャケットは、作品そのものが持っている壮大なイメージに対して、少々軽すぎるように僕には思えてしまう。もちろん、これは信藤氏のデザインが悪いという話ではありません。むしろ、信藤氏らしい優れたデザインだからこそ、『ヘッド博士の世界塔』という作品そのものが持つ世界観との間に、大きな距離があるように感じてしまうのです。

そして現在、この作品を取り巻くビジュアルを見ていると、その違和感はさらに大きくなっているように思う。フリッパーズ・ギターはすでに解散し、『ヘッド博士の世界塔』も長らく再発されていない。そのためか、現在目にするアルバムアートでは、信藤三雄氏による水玉模様のデザインに、いわば出落ち的な一発ギャグにも見える写真を重ねたビジュアルが使われている。「世紀の名盤を代表するアートワークとして、これでいいのだろうか」という思いが残ってしまう。



特に『ヘッド博士の世界塔』という作品が「コンセプト・アルバム」としての性格が強い作品であることを考えると、その世界観を真正面から視覚化したジャケットがあっても良かったのではないか。いや、むしろ、そういうジャケットを一度見てみたいと思ってしまう。そこで今回、ちょっとした遊びとして、自分の頭の中にある『ヘッド博士の世界塔』のイメージを、実際のアルバムジャケットとして具体化してみました。もちろん、これはあくまでも私個人の妄想を形にした二次創作です。信藤氏の素晴らしいオリジナル・デザインに取って代わろうなどという意図はまったくありません。ただ、いつの日かこの歴史的名盤が再び、きちんとした形で再発されることがあるのなら、そのときにはぜひ、コンセプト・アルバムとしての『ヘッド博士の世界塔』を真正面から表現した、新しいアートワークで見てみたい。このアルバムの音を聴いたときに頭の中へ広がる世界観をジャケットからも感じられるようなものを。(他の方の作られた『ヘッド博士の世界塔』の二次創作イメージ・ジャケットも是非拝見したいですね。)拡大画像は↓で。


表ジャケット 中古盤仕様



表ジャケット



裏ジャケット


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