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昔、学生の頃の話です。1人暮らしを始めたばかりの頃、十代の娘といっても、ドキドキ胸をときめかせるような出来事は全く無く、貧乏学生だったので、バイトに明け暮れておりました。居酒屋でバイトをしており、帰りは夜遅くなるので、夜道はちょっと怖くて、いつも走ってアパートに帰っていました。駅から10分くらいの道のりを走って、毎日、動悸でドキドキしていました。
その日は、バイト先で、洗いものをしていて指を切り、手当はしたものの、包帯を巻いた指に血が滲んでいました。雨も降りだして、最悪の気分でした。走って帰ると、ドキドキの上にズキズキしていました。痛い手で、カギを開けようとすると、ギョ玄関に猫の死体が。びっくりしました。ますますドキドキしてきました。たまたまここで死んだんでしょうか。ドアのまん前だったから、今思えば、いたずらされたのかもしれませんね。
指は血が出てるし、雨に濡れてるし、隣の大家さんに言うにも夜遅いし。困ってしまい、近くの交番に駆け込みました。「すみません、家の前で死んでるんです」あわてていたので、「猫が」と言い忘れたようです。その時は気付きませんでしたが。1人で交番にいた若いおまわりさんが、すぐにアパートに来てくれました。で、「良かった、猫だったんですね」その時初めて、猫と言うのを忘れていたことに気付きました。怒りもせずに、猫をかかえて交番に戻って行きました。申し訳ないことをしました。
夜中にずぶ濡れの娘が、手を血だらけにして、「家の前で死んでるんですけど」なんて、一番ドキドキしたのは、交番の若いおまわりさんだったに違いありません。
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