1964年、ちょうど僕が中学3年生のときでした。少年サンデーを毎週買ってしまうとなかなか残らない小遣いの中から、レコードを買う金を捻出するのは難しくて、サンデーは我慢してその分をレコードに回すというようなことをしていた頃です。 『ツイスト・アンド・シャウト』には、しびれましたね。なにしろ「シェキノベービー」ですからね。B 面の『ロールオーバー・ベートーベン』の方もよく聴きました。これは B 面にもかかわらずラジオでもよくかかりましたっけ。『ベートーベンをぶっ飛ばせ』ですからね、何てったって。どちらも A 面と呼んでもいいくらいでしたね。 『のっぽのサリー』がヒットチャート入りした頃に、星加ルミ子がラジオで「この曲を歌っているのは、たぶんポール・マッカートニーだと思います」と、紹介していたのが印象的でした。 今なら誰が聴いてもポールにしか聞こえませんがね。まだ日本に紹介されて間もない頃でしたから、こんなこともあったんですよ。
さて、その『のっぽのサリー』の B 面には、ビートルズ初期のオリジナルの中でもひときわ燦然と輝く名曲、"I Call Your Name" が収められていたんですから、この出会いには感謝せねばと思うのです。 名曲と言っても、かねてから僕が勝手にそう思っているだけで、誰もそんなことを言いそうにないから、その辺もあまのじゃくの僕としては密かにうれしい。 この時期のビートルズのオリジナル曲は、それぞれに随分個性的なポップチューンに仕上がったものが多いわけですが、それらとは一線を画する点に注目したいです。
まず、この "I Call Your Name"、とってもロックンロールに聞こえるくせに、いわゆるブルースコードの12小節に収まる正調ロックンロールとは、ずいぶん趣の異なる洒落た作りになっていることは、特筆すべき点ではないでしょうか。 マイナーで始まるイントロがいきなりメジャーに展開して、かっこいいなあ。 歌が入るとしばらくは普通の8ビートで進む。下から上まで音域を使ったメロディー優先で、シンプルな歌詞がそれに乗る。 そしてサビになるとベースとギターが、いわゆるロックンロール風のバッキングに。でも、コード進行はブルースコードではない、独特のもの。
もうひとつ。初期ビートルズのオリジナル曲で極めて独創的なあのコーラスが、この曲では全く聞かれないことも、大きな特徴と言えます。 この曲のカヴァーはあまり聴いたことがありませんけど、僕の持っている CD では、ママズ&パパスのものがありますね。 彼らはもちろんあのコーラスでハモっていますけど、アレンジがあまり馴染めないせいか、イマイチなんですよね。 コーラスの素晴らしさが売りのママズ&パパスがイマイチに聞こえるということは、どういうことでしょう。要するにコーラス向きの歌ではないということなんでしょうか。だから、あの独特のコーラスが魅力的だった初期のビートルズも、敢えてこの曲にはコーラスを付けなかったんでしょうか。
『のっぽのサリー』の B 面に収められた "I Call Your Name" ですが、文字通りすり切れるほど聴いたことはいうまでもありません。 『ツイスト・アンド・シャウト』も『のっぽのサリー』も、2枚ともどこに行ってしまったか、今となってはわからないのが残念です。でも、たとえ手元に残っていたとしても、Woodpecker で売っているような値段は付きませんね。盤質が悪すぎてね。
そういえば、ビートルズやストーンズとは格が違うけど、これと同じようなレコードがもう1枚あったなあ。B 面をすり切れるほど聴いたシングル盤が 。 高校に入ってまもない頃だったかなぁ、結構気分的にはうきうきしていた頃に買った、H.H. の H. という、うきうきするような曲で、その B 面がね。僕が中学生の時に S.D. さんが歌って流行った美しい曲のカヴァーでね。 どうして、イニシャルトークみたいになってるかって? 決まってるじゃないですか。クイズですよ。クイズ。 え~~~、また変なクイズですか~~。 と思ったあなた。……そのとおりです。
では、今日の日記中クイズ。 問:1965年に、私穴沢ジョージがシングル盤を買ってよく聴いた「H.H. の H という曲」は、いったい誰の歌う何という曲でしょう。そして、この A 面以上によく聴いた B 面の曲のタイトルは何だったでしょうか。 ☆ヒント:H.H. はグループ名。曲名の H は、邦題の人物名のイニシャルですよ~。