1

いきなりイラストです。「魚眼」です。この図は東京海洋大学(旧・水産大学)のM先生に、インタビューをしてまとめた「魚眼」についての記事(「フライロッダーズ」7月号掲載)に添付したものです。釣り師のみなさんは、魚の目がボディーの横についていて、しかも出ているので「視野が広い」ということは、よくご存じだと思います。だから、そっと背後から近づいても、姿を見られている。そう思いこんでいると思いますが、まあ、それは確かですね。右上のイラストは魚の目の断面です。右下がヒトの目の断面ですが、魚の水晶体のほうが丸く大きい。これは水中にいる魚が屈折して入ってくる外光を、よくキャッチできるようにヒトよりも大きいのだと言われています。左は魚の視野を解説したイラストですが、魚がいかに広い視野をもっているかがよく分かるかと思います。真後ろはともかく斜め背後まで完全に見えていることになりますね。脊椎動物の目は、ヒトも魚も、目の構造に大差ありませんから、こちらから澄んだ水の中にいる魚が見えているということは、魚からもこちらが見えていることになります。しかも、広い視野をもっているので、魚に察知されずに近づくのは、とても不可能だとも思えてしまいます。しかし、魚が広い視野を持っているからといって、全方位的に見ているとは限らないのです。なぜなら魚の「脳」は視野に入ってくるモノを、全て処理できるほど大きくないからです。ヒトだってぼんやりしていたら、見ているようで見えていない、ということと同じだと思われます。そこで、結論からいいますと、魚は何かの気配を感じたときに、そちらを注視していると考えられます。となると、気配を察知させなければ魚の視野に入っていても、見られてはいない、という理屈になるわけですね。釣り師と魚との間に流れがあり、互いに姿が確認できず、かつ魚を驚かせるような行為をしなければ、かなり近くまで寄ることができる、ということは経験的に釣り師のみなさんは、よくご存じだと思います。さらに言うなら、魚が補食活動に入っている朝夕のマズメ時は、目の前を流れてくる餌に気を取られているために、河原の石を転ばしたりして大きな音さえたてなければ、背後からそっと近づいても察知されにくいと考えられます。補食活動に入っている魚は、釣りやすいというのも、そんな要素も加味されているからかもしれませんね。
2009年07月13日
閲覧総数 2060
2

西洋から伝わってきたフライフィッシングと異なり、日本古来の毛バリ釣りであるテンカラ。使うのは竿と、テンカラ・ラインにハリス、それに毛バリというシンプルさです。小生もフライと同時にテンカラもやるのですが、釣れるときは向こうアワセなので、簡単に釣れてしまいます。おまけにリーチが長いので、ポイントにフライを投入しやすいという利点もあります。フライの毛バリと違い、テンカラ鈎は構造がシンプルなのがいいですね。上の写真は「渓の翁」ことテンカラ名人の瀬畑雄三さんから頂戴した瀬畑フライです。瀬畑さんはバイスも使わず、指先にフライフックをつまんだままで、5分ほどで1本の毛バリを、器用に巻いてしまいます。スレッドは女性の黒いパンティーストッキングほぐした糸です。非常に細いけれど、実に丈夫なので愛用しているということ。上は岐阜の益田川沿いの国道で民宿ドライブイン「あまの」を経営している天野勝利さんから頂戴したテンカラの「逆さ鈎」です。ボディにゼンマイの綿が巻かれていて、ハックルがアイの方を倒れています。水圧を受けて、この羽根が微妙な動きをして魚を惹きつける、というわけですね。天野さんはテンカラで大ヤマメを釣る名人ですが、アユの友釣り名人でもあります。もう14年くらい前になるでしょうか。天野さんを訪れて、民宿に一泊しながら天野さんに、釣りの話を聞いたのが懐かしい思い出に名なっています。こうやって名人たちが巻いた毛バリを見ると、何となく味があるというか、風格が漂っているように感じられませんか?
2012年06月09日
閲覧総数 2045
3

琴畑川は新山高原を源流とする渓流。遠野を流れる猿ケ石川は有名ですが、その支流に小烏瀬川(こうせがわ)があり、琴畑川は小烏瀬川の支流です。流程は約10キロあまり。一部源流域を除けば、女性的な優しい風情の里川ですね。この川に入渓するのに、三陸の大槌町から新山高原を越え、源流から入ったのでした。小鎚川(昨年、この川では台風の通過後の増水状態のなかで、ヤマメを4匹ほど釣り雑誌に紹介しました)に沿った、曲がりくねった細い道を登って行きます。小鎚川の源流が切れる付近まで集落があり、人家が点在していますが、カーブを曲がるごとに見かけたのが、下の写真です。丸い看板の左下にあるのは石油缶で、すりこ木のような棒が針金で結び付けられています。それが村のいたるところに設置されています。つまり、熊が出たら棍棒で石油缶を叩いて、追い払うということなのですね。う~ん、なかなか効果がありそうです。村を抜けて一層曲がりくねる山道を登ること1時間あまり、急に展望が開けたと思ったら、目に飛び込んできたのが風車群です。初めて近くで見ましたが、その大きなことには驚きました。風車が回って、風を切る大きな音が聞こえてきます。何でも、この高原には何十機もの風車があり、大槌町の電力の80パーセントをまかなっているそうです。高原の天辺を抜けると、下り道。琴畑牧場を抜けると琴畑川の源流です。源流はボサに覆われてフライなど振れる余地はありませんが、小さな橋の上から見ると、魚が走るのが見えました。さらに林道を下っていくと滝です。水量もあり琴畑川で唯一、男性的な景観といってよいでしょうね。この滝の近くにあったのが山の神です。人家から外れた薄暗い林道で、こういうものに出会うと「遠野物語」の、おどろおどろしい話を思い出してしまいます。さて、さらに下っていくとようやく、琴畑の集落が見えてきます。ここまで下ってくると川の様子も優しい感じになります。良さそうなところをふと見ると、クルマが停まっているではないですか。ナンバーを見ると「多摩」です。平日にこんなところまで来るとは、なんという閑人なんだと、思ったのですが、自分もそうだったことに思い当たりました。さらに下っていくと、人家が切れる付近で、もう一台4WDを発見。ナンバーを見ると、なんとまたもや「多摩」。多摩の住人は、やはり閑人が多いのだ、と再認識してしまったのでした。人家が切れ、川に沿って下っていくと、ようやくクルマが停められそうなところにでました。川を見ると落ち込みや瀬が続き、フライを振りやすそうな渓相です。流程が10キロくらいの渓流に、関東から3人も釣りに入っているのですから、琴畑川も全国区的な知名度ですね。あと1キロも下れば小烏瀬川の合流点です。釣り師はついつい上流に上りすぎて、貧果に終わるケースが多いものですが、時には下流の方が良かったりしますね。で、ここで1時間ほど楽しんだ結果が下の写真です。まあまあのサイズのヤマメでした。
2008年06月28日
閲覧総数 3828