遊心六中記

遊心六中記

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

茲愉有人

茲愉有人

Calendar

Comments

茲愉有人 @ Re[1]:観照 奈良国立博物館 「仏像館」を巡る(06/14) Jobim3さんへ 興福寺の広目天、彩色がよ…
Jobim3 @ Re:観照 奈良国立博物館 「仏像館」を巡る(06/14) 興福寺の広目天、立派ですね 僕は四天王の…
Jobim3 @ Re:観照 奈良国立博物館 特別展「神仏の山 吉野・大峯」(06/10) 神仏混淆の修験道、興味はありますが、普…
2017.01.08
XML
カテゴリ: 探訪 [再録]

                                [探訪時期:2015年6月]
冒頭の写真は、大通寺の庭を拝見した折にいただいたリーフレットの表と裏の表紙です。山門の控柱越しに眺めた境内の写真が表紙に使われています。小さくて見にくいかも知れませんが、裏表紙の右下に地図載っています。長浜駅前通りを東に向かい、北国街道を横切り、さらに先に歩むと、北側に大通寺への表参道が見えます。

オプションとして大通寺の庭園見学に参加した時間帯の前後に、大通寺境内を探訪しました。以前に訪れたのは、 長浜の「徳勝寺」 を訪れた折の探訪の一部としてでした。
この時の探訪記は後日、再録したいと思っています。




それでは、 大通寺細見として、この山門のご紹介からはじめましょう 。江戸時代、文化5年(1808)に起工され、33年後の天保11年(1840)に完成した、総ケヤキ造りの二重門で、三間三戸八脚門という壮大さです。楼上の正面に山号「無礙智山」の扁額が掛けられています。山門は南面しています。


山門の二階内部には、釈迦如来、弥勒菩薩、阿難尊者の三尊像が安置され、天井には京狩野派の画人・山縣岐鳳 (ぎほう) による『天女奏楽図』が描かれています。
大通寺の仏事や法要などの事情もあり、完成までに長い年月がかかったのだとか。文化9年(1812)にはほぼ上棟していたとみられるのですが、上棟式が行われたのは天保10年(1839)で、彫刻等の細部が完成したのが翌11年(1840)なのです。 一階の彫刻は、早瀬守次によるものです。絵師山縣と彫刻師早瀬はいずれも長浜居住の人だったそうです。
この山門は、 京都の東本願寺の山門を模して作られたもの と言われています。 (説明板、資料1,2)

山門楼上は拝観できませんので、説明板に紹介の三尊像と天井部分図でイメージを描くにとどめ、 一階の門に施された彫刻をご紹介します。この山門彫刻は圧巻です。見応えがあります。 一つ一つ丁寧に鑑賞していけば、この山門だけで数時間釘付けになるといっても過言ではありません。

「部材の墨書銘から坂田郡常喜村の川瀬武右衛門、犬上郡裏新町の建部長左エ門、高島郡船木村の中務又治郎が大工棟梁を務めたことが判明している」とのことです。 (資料3)



本柱が4本、柱間3間がそれぞれ出入口の戸になっていて、本柱の前後に各4本、計8本の控柱があります。つまり、 三間三戸八脚門 です。 入母屋造、本瓦葺。


南面する山門の正面から頭貫と虹梁型飛貫の間は、三間全体にびっしりと彫刻が埋め尽くしています。そこにはそれぞれの間に 龍が睨みをきかしている姿 に引き込まれます。



                         東側の間から中央の間を睨む龍 







                        西側の間から中央の間をにらむ龍

一方、門扉を通り抜け、 境内側からこの龍群の彫られていた場所を眺めると、そこには雲と波濤の文様 がびっしりと彫刻されています。





正面の龍の相貌・姿態がそれぞれ異なったのと同様に、こちらの雲・波濤もそれぞれ異なる意匠でダイナミックに躍動しています。


内側に開かれた 門扉 。扉の上部は斜め格子の透かし彫りで、中央には大きく円形に草花文様が彫刻されています。牡丹の意匠でしょうか・・・・。冒頭のリーフレットの表紙上部にある 寺紋 の花をここでは花開かせた図柄になっているのでしょう。そのバリエーションは、後でご紹介する屋根の獅子口などにも見られます。

本柱と控柱の間(梁間)の両側面には透かし彫りで獅子や流水文等が彫られています。



                                 境内側東側面



                                   境内側西側面

                          表側の一側面

この部分の獅子群にも同じパターンは見受けられません。 様々な姿態が彫り出されています 。一つ一つ観察していけば、様々な発見があることでしょう。

境内から眺めた 山門控柱の貫の間の獅子群像の彫刻 も同様に、様々な獅子の動きが彫刻されています。













たぶん早瀬守次という彫刻師は、今で言う工房を組織して山門全体の彫刻群の構成を企画し、長い年月をかけて成し遂げていった棟梁だったのでしょうね。

山門の境内側左右には、二重門の二階に上がるための階段を備えた建物、つまり 山廊 があります。



西の山廊側、境内西側側面の外観

山門全体の側面 西側からの眺め


山廊傍の屋根の鬼板

日暮門とまでは称せないでしょうが、こんな感じで対比しながら細密に拝見していくと見応えのある山門です。まだまだ充分というほどには観察できていません。そこまで時間がとれませんでした。江戸時代の近世大型建築としては、滋賀県内屈指の名作です。

戦国時代のはじめ、蓮如上人が布教活動を展開するなかで、近江国は重要拠点の一つになりました。坂田、淺井、伊香の湖北三郡は真宗王国と称されるほどに、信仰が流布浸透した土地です。「天正のはじめ頃、湖北三郡の僧俗が、織田信長と戦う大坂の石山本願寺支援の協議を行うため、長浜の町なかに寄合 (よりあい) 道場を設置した」 (資料2) というのが、大通寺となる起源のようです。「総会所 (そうがいしょ) 」と称されていたようです。
慶長年間(1596~1615)に、教如上人と強く関係した僧俗が総会所を長浜旧城内に設けたといいます。そして慶長7年(1602)に教如上人が徳川家康の許可を得て、大谷派本願寺(東本願寺)を興されたことに伴い、 道場・総会所が、「無礙智山大通寺」という寺院として発足するに至る のです。 「長浜御堂」 と称されていたそうです。
「慶長11年、内藤信成が長浜に移封され、城地が修築されることになったため、寺地を現在の地に移し伽藍をかまえることになりました。」 (資料2)
尚、後にまとめられた「大通寺史」には、「元和元年に長浜城が壊され長浜の町が城下町の機能を失い町が衰微したため、町筋の回復のため旧長浜城内にあった長浜御堂を、町年寄りや門徒などが計画して移したということ」 (資料1) が記されているようです。元和元年(1615)に徳川幕府は一国一城令を発布しています。
長浜御堂は、現在地になるまでに、幾度も場所を変えているようです。

東本願寺の十三世の宣如上人の三男霊瑞院宣澄が寛永16年(1639)が住職として入寺することになります。湖北教団の重要性が考慮されたのだとか。それ以降、歴代本山の連枝を住職とすることを原則とし連枝寺となります。真宗大谷派の別格別院です。それを契機に、春日局 (かすがのつぼね) を通じ、慶安2年(1649)に、彦根藩主井伊直孝に現在の規模の境内を寄付せしめるのです。井伊直孝が大通寺を援助することになります。大通寺は「本山から伏見桃山城の遺構と伝えられる、本堂や広間を譲りうけ、寺観の整備をはかりました」 (資料2)
城下町長浜が、今度は大通寺門前町として発展していくことになったのです。 (資料1,2,4)

次回は境内をご紹介します。
つづく

参照資料
1) 長浜御坊大通寺   西川丈雄氏 滋賀文化財教室シリーズ(226)
2) 「長浜別院 大通寺」 拝観時にいただいたリーフレット
3) 大通寺山門 半世紀ぶり修理 瓦ふき替え 岐鳳の天井絵修復も  2013年5月19日
   :「近江毎夕新聞」
4) 長浜別院  :「コトバンク」

【 付記 】 
「遊心六中記」としてブログを開設した「イオ ブログ(eo blog)」の閉鎖告知を受けました。探訪記録を中心に折々に作成当時の内容でこちらに再録していきたいと思います。ある日、ある場所を訪れたときの記録です。私の記憶の引き出しを兼ねてのご紹介です。少しはお役に立つかも・・・・・。ご関心があれば、ご一読いただけるとうれしいです。

補遺
大通寺で山門の落慶式  50年ぶりの屋根総葺き替え
   2014年10月22日  :「滋賀夕刊」
真宗大谷派長浜別院大通寺   :ウィキペディア

   ネットに情報を掲載された皆様に感謝!


その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)


探訪 [再録] 湖北(米原・長浜)の名園 -1 福田寺庭園(国指定名勝)へ
探訪 [再録] 湖北(米原・長浜)の名園 -2  赤田氏庭園、大通寺の庭園 へ
探訪 [再録] 湖北(米原・長浜)の名園 -4 大通寺細見・境内 (庭園鑑賞の前後に)へ
探訪 [再録] 湖北(米原・長浜)の名園 -5 長浜のまちを歩く(1)(庭園鑑賞の前後に)へ
探訪 [再録] 湖北(米原・長浜)の名園 -6 長浜のまちを歩く(2)(庭園鑑賞の前後に)へ







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2017.01.09 14:34:11
コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: