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2023.01.31
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カテゴリ: 観照
=== 2023.1.20 ===

10時半頃に取った南の空 です。この時は雲が見えませんでした。
南西方向の空
 西方向の空

東方向の空 にも雲はありませんが、薄いベールがかかった感じです。
南~西の方向のようにスッキリとはしていません。


13時45分頃の東方向の空 。少しグレーがかった雲が出ています。
南の空
南西方向の空 
 西方向の空 


ベランダから 頭上の空の雲 を撮ってみました。今後は時折撮ってみようと思っています。

南の空
17時頃に も撮ってみました。青空の中にどの方向にも雲が浮かんでいます。
南西方向の空 
 西方向の空 

東方向の空
東の空の方が雲の広がりが大きい感じでした。

さて、雲がたりのつづきです。
『新古今和歌集』巻第七 で抽出した歌から始めます。巻第七は1首だけでした。
読めば歌意が通じますので、 巻第八に 移ります。
改めて巻第八「哀傷歌」を読み直していて、 見過ごした歌に気づきました
1/15に掲載列挙した歌の第720首と第836首との間になります。ここで補足させていただきます。

亡き人のかたみの雲やしぐるらむゆふべの雨にいろは見えねど   太上天皇 803

 『源氏物語』の「夕顔」に詠まれている歌「見しひとの煙を雲とながむれば夕の空もむつまじきかな」を本歌とするそうです。「見し人」は古語辞典に「以前に知り合っていた人」と説明されています。「かたみの雲」は、火葬にした煙の形見の雲の意。歌の抽出で用いた岩波本では「しぐるらむ」と表記されていますが、他の参照本では「しをるらむ」と表記されています。いずれにしても、雨を降らすのであろうかの意。この歌には「雨中無常という事を」という詞書がついています。和歌所当座歌合での題だそうです。
(亡き人の荼毘の煙の形見の雲が雨を降らすのだろうか。夕方降る雨に形見の雲から降ったかどうかはっきりとは判らないけれど)

あはれ君いかなる野辺の煙にてむなしき空の雲となりけむ

詞書に「後朱雀院うせ給ひて、源三位がもとにつかはしける」とあります。「あはれ君」は後朱雀院をさします。源三位は後朱雀院の乳母。歌意はそのままで理解できます。「雲」は荼毘の煙を連想させ、あるいは煙が雲になったと見立てているのでしょうか。

この2首が抜けていました

尋ね来ていかにあはれとながむらむ跡なき山の峯のしら雲   寂蓮法師 836

やっと第836首です。この歌、詞書がなければ「尋ね来て」は寂蓮法師と思ってしまいます。
詞書 は長い。
前参議教長、高野にこもりゐて侍りけるが、やまひかぎりに侍りぬと聞きて、
賴輔卿まかりけるほどに、身まかりぬと聞きてつかはしける
藤原忠教の子の教長が出家して高野山に籠もっていたのですが重病に陥ったのです。それを聞いて、教長の弟の頼輔が高野山に出向きます。しかし教長は亡くなります。その訃報を聞いた寂蓮法師が藤原賴輔に対し歌を人にことづけて送ったという状況です。高野山に尋ね来て、つまり高野山に行き山にいるのは藤原賴輔です。
(高野山まで尋ねて行かれて、どれほど悲しい思いで眺められたことでしょう。兄君のもはやおられぬ高野の峰にかかる白雲を)

北へ行く雁の翅にことづてよ雲のうはがきかき絶えずして   紫 式部 859

この歌にも 詞書 があります。「 浅からず契りける人の、行き別れ侍りけるに 」と。
「浅からず契りける人」とは、紫式部が深く姉妹の契りを結んだ人をさし、彼女は西海の地に下っていくのです。その人に、要望という形で離別の歌を贈ったのです。巻第九「離別歌」に採録されている歌。別れて行く人からみれば、父に同行し越前国に向かう紫式部は北に住まうことなります。「かりの翅にことづてよ」は、蘇武が雁の翅につけて文を送った故事を踏まえているそうです。「雲のうはがき」は雁のたより。手紙。雁が雲の中を押し分けるように飛ぶことに掛けているとか。上書きと上掻き。「かきたえずして」は絶えず手紙を書いてという意。
(北国に渡って行く雁の翅にあなたの文を託してください。絶えず手紙を書いて雁のたよりとして送ってほしい)

これやさは雲のはたてに織ると聞くたつこと知らぬ天の羽衣  寂昭法師 864

『伊勢物語』に詠まれた「これやこの天の羽衣うべしこそ君がみけしと奉りけれ」を本歌とするとか。「これやさは」は、この衣がそれではの意。「雲のはたての」は、雲のはての、天人の機で。「たつこと知らぬ」は、裁つ必要がない、天衣無縫の天人の羽衣。作者の名を寂照法師と記す本もあります。
(この衣がそうなのか。雲のはての天人の機で織ると聞く、あの裁ち縫う必要が無いという天の羽衣なのですね)

思ひ出でばおなじ空とは月を見よほどは雲居に廻りあふまで  後三条院御歌 877

『拾遺集』に採録されている「忘るなよほどは雲居になりぬとも空ゆく月のめぐりあふまで」(巻第八・470)が本歌だそうです。「思ひ出でば」は、思いだしたら。「おなじ空とは」は、同じ空に照るものとしてはの意。月は1つで同じ。無数の星は場所により見え方が異なるでしょうね。「ほど」は、隔たり、距離。なので「ほどは雲居に」は、雲居のように遙かに遠い所。この雲居という言葉は、宮中・禁中の意味合いでも使われます。「雲井にめぐりあうまで」は、再び宮中でめぐり逢うまで。月、雲井、めぐりが縁語になります。
(私のことを思い出したら空の月を見よ。同じ月をみつめよう。月が巡ってくるように、空遠く離れた所に赴いているあなたと再び宮中で巡り逢うまでは)

旅衣たちゆく浪路とほければいさしら雲のほども知られず   法橋奝然 915

この歌には「入唐し侍りける時、いつ程にか帰るべきと人のとひ侍りければ」という詞書がついています。この質問に応えた歌です。
「旅衣」は、二句(たちゆく波路)の序。衣は裁つものということで、裁つ⇒立つ、という繋がりから。「たちゆく波路遠ければ」は、出かけて行く海路は遠いから。「いさ」は、わからないことを問われた時の応答の声。さあ、よくわかりません(いさしらず)。
そこで「いさしら雲」と言ったのだとか。「程」は、時の意。
(旅衣を裁ち、出かけて行く海路は遠いので、さあ、白雲のかなたから何時帰れるかは自分にはわかりません)

都をば天つ空とも聞かざりき何ながむらむ雲のはたてを  宜秋門院丹後 959

この歌は、建永元年(1206)7月25日に行われた卿相侍臣歌合において、「羇中暮」という題を得て詠んだ歌だとか。巻第十は「羇旅歌」を収録しています。「覊」は「たび。故郷を離れてよその地に身を寄せる。たびずまい」 (『角川新字源』角川書店) という意味です。「羇旅」は「旅に出ること」 (『新明解国語辞典』三省堂)
「夕暮は雲のはたてに物ぞ思ふ天つ空なる人を恋ふとて」(古今集巻第十一・484)が本歌だそうです。「何ながむらん」は自分自身のじっと見つめる行為をいぶかっている様子。「はたて」は、極 (はて) の意。
(都が空にあるものとは聞かなかったよ。なぜ私はじっと眺めているのだあろうか、あの雲の極の彼方を)

巻第七から巻第十の中からわかりづらい語彙を含む歌を ​​6首​
併せて、 見過ごしていた歌2首をここに加えました

雲の変化に戻ります。

=== 2023.1.21 ===

9時40分頃に撮った南の空 。青空の下に、かなり雲が出ていました。
白雲の中に、グレーを帯びた雲も見えます。
南西方向の雲 
 西方向の雲 

頭上の雲

東方向の空 は、いつものパターンです。グレーの濃淡のある雲が稜線の上空をほぼ覆っています。


15時20分頃に撮った東方向の空 。雲の姿は変化していますが、曇った空模様が続いていました。

​南の空​ も、午後には曇り空に変化。グレーの濃淡はこちらの雲の方が強くなっています。
南西方向の空 
 西方向の空 

晴から曇りに変化した一日でした。

つづく

参照資料
*『新訂 新古今和歌集』 佐左木信綱校訂 岩波文庫
*『新古今和歌集』 日本古典文学大系28  岩波書店
*『新古今和歌集』 上・下 久保田淳訳註 角川ソフィア文庫
*『古今和歌集』 窪田章一郎校注 角川ソフィア文庫

補遺
太上天皇 ​  :「ジャパンナレッジ」
弁乳母 ​   :ウィキペディア
難波頼輔 ​  :ウィキペディア
藤原教長 ​  :ウィキペディア
 能「石橋 ~躍動美の極致・獅子舞~」 ワキ寂昭法師につい ​て :「柴田稔Blog」
拾遺集 ​  和歌データベース :「国際日本文化研究センター」
卿相侍臣歌合 ​  和歌データベース :「国際日本文化研究センター」

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    ​ ベランダから見た雲の変化と雲がたり 掲載記事一覧表





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Last updated  2023.01.31 18:02:56
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