漫画家・写真家玉地俊雄紫煙のゆらぎ

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2008.08.20

フレデリックバックの“ クラック ”の１カット。母親から子供たちが去り行くシーン。

　　　　　　　　　　　　崖の上のポニョに対するアンチテーゼ

　　　　　　　　　　　　　　紫煙のゆらぎ・アニメの誠

崖の上のポニョ。
児童虐待アニメ。
アニメ史上初の怪挙。

泣き出す幼児。
変な説得をして見続ける事を強いる母親？

宮崎駿のキチガイ。

議論は反論から始まる。

反論から提示が出てきて、討議と成り、反論の根拠と解決策の方向性を探る。
決して、見解の相違・価値観の違い、と逃げ込んではならない。

議論の向こうにある解決の為に論議を閉ざしてはならない。

僕が「崖の上のポニョ」をイケナイ、と、言うからには、
アンチテーゼを用意しているからだ。

実証しよう。

池田市のちいさなちいさなまんが寺子屋。

僕の主張はこうである。

今からアニメーシヨンを２作品見ましょう。

「クラック」

と言います。

僕は手塚治虫先生と２２年間お付き合いしてもらえました。
みなさんは手塚治虫先生を知っていますか？

…………………

もちろん「ライオンブックス」も無い。

「ブラックジャック」だけが、かろうじて残っている状態で、
まんがの世界はすっかり様変わりしている。

だから、宮崎駿のような醜怪なアニメを見るハメになり、
この怪奇な児童虐待アニメのいぢわるが、
子供たちのメートル原基になってしまう事が危険だと申し上げたい。

では、ブラックジャックを知っていますか？

知ってる、見たことある。

その手塚治虫先生がいつも言っていました。

　　　　　　「　子供に喜ばれるアニメは大人にも分かります
　　　　　　　　でも
　　　　　　　　大人に分かるアニメが子供に喜ばれるかどうかは分かりません　」

最初にみんなで見ましょう。

お母さんにあなた方から、子供の目から見て、このアニメを作った人が、
あなたたちに、どんな事が分かってもらいたかったのか、
を、説明してあげてください。

「クラック」

カナダの人たちは、ロッキングチェアという揺り椅子を大切にします。
揺り椅子の一生の話です。

カナダではインディアンが赤ちゃんを運んでくるという伝説があります。

この、２Ｌ版ほどの厚めのトレッシングペーパー状の
紙に描かれた原画を、心斎橋の展示会で見たことがある。

物凄い、アーティスティックな画力と発想力の展開は芸術の域にある。

途中羊飼いと、崖と落雷、ヘラ鹿と秋の風景、そして、ラストの止め。

アシスタント一人と、フレデリックバックが代わる代わる描いた絵は、
ポニョの悪意、とは、正反対の芸術性が１萬倍以上素晴らしい感動だった。

おもしろかった。
きれいやった。

椅子がかわいそやったけどさいごはよかった。

ちゃんと分かっている。

マンガ教室は、怒った眉毛と怒った目と怒った口を、
僕の作ったテキストどおり書けば怒った顔が出来る。

怒った眉毛に困った目をつけてびっくりした口をかくとなんという表情になりますか？

ここだけの話。

伊丹市の商工会議所の３Ｆで実施した高齢者向けのマンガ教室。

世界的に知れ渡った橋梁上の恐怖の油絵に近くなる。
みんな大笑いだった。

とあるライオンズクラブでやったら皆が漫画家になれて、
孫に教えると言い出した会長さんに申し上げた。

孫に教えてはいけません。

お孫さんと一緒に楽しんでください。
お孫さんのほうが凄いものを作るから、あなたはそれをほめてください。

ウブドのプリカレランでイスワラ殿下たちもはまっている。
マンダラケイコさんが直接僕にそう言った。

ビダニやユリアティにも、この２つのアニメの言いたい事と、
マンガのマニュアルは必ず理解できるはずだ。

マンガと音楽は言葉の国境を越える素敵な道具だ。
世界がひとつになれるソフトな武器だ。

その武器を凶器にして、リッパーハヤオは子供たちの心をズタズタに切り裂いた。

最後に、ユーリーノルシュタインの

「あおさぎと鶴」

チンチクリンのあおさぎがカッコイイ鶴に恋をするが、
どうもしっくりいかずにお互いが苦しむ話である。

切り紙を切り抜いて少しずつ動かして作る。

最期のシーンが並のアニメーションでは無い。

子供には理解できないはずだが

かわいそう
いややなぁ

母親に説明してもらう。

お友達とけんかするでしょ。
ちよっとごめんなさいって言われへんで
だんだん時間たってから
あやまりにくいでしょ。

崖の上のポニョにはこの感動が無い。

ヒドイアニメ。
世界の破滅。
押し寄せる目玉の波に泣き出す幼児。
ニーベルンクの指輪という独逸民族の宝物を侮辱した。
交通違反と危険運転は平気の平左衛門。
子供を捨てて職場へゆく母親。
恐怖のポニョの醜怪な変身の顔。
平気な婦人。
気分が悪くなった。
海に漂うオフィーリアの死体の油絵の贋作。
オカマのようなグランマーレ。
ドあっぷになったとたん泣き出す幼児。
宮崎駿のキチガイ。

いつまでたっても同じキャラの女性しか生み出せない画力。

いいかげんに、ディズニィーの「白雪姫」に学んで作画をやめなさい。
ディズニーは「白雪姫」以降サインを求められても絵は描かなかったそうです。

手塚治虫先生は「千夜一夜物語」のキャラクタァーをやなせたかし先生に依頼しました。
出来上がったキャラクタァーを全部手塚治虫先生が書き直しました。

やなせたかし先生がこう言った。

「手塚くんだからしかたないかなあ」

「クレオパトラ」では小島功先生にキャラクタァー製作を依頼しました。
あまり手を入れませんでした。

いろんな手法とキャラクタァーを作りました。

「森の伝説」の音楽は僕と手塚治虫先生の雑談と反論から生まれた。

今はもう無い大阪梅田阪急東通りの日本料理屋「芳房」の２階でした。
もちろん手塚治虫先生の奢りです。

僕は悲愴交響曲より第４番が絶対チャイコフスキィだと譲りませんでした。

「だったら玉地さんはチャイコフスキィのどの交響曲がイイの」

「悲愴はこれでもかというホド耳にタコ
　５番はマーチが支配してチャイコにしては明るすぎる
　４番がチャイコフスキィの本質だと思います
　第２楽章と第４楽章が絶品です」

そして僕はとんでもない事を手塚治虫先生に言ってしまいました。

「手塚センセ、チャイコの４番アニメにしませんか」

手塚治虫先生はこうはっきり言いました。

「あれはながいからなあ」

ほんとにこう言いました。

第４楽章で森の木がモリモリ伸びてゆく場面は、はっきり、
「ファンタジア２０００」とトトロに受け継がれています。

チャイコフスキィは第４番が一番優れた交響曲です。

未完となった第２・３楽章の構想は、
僕の頭の中に絵コンテ状態ではっきりと浮かんでいます。

オーボエの響きと、暗い沼と、白い妖精のたゆとうような飛翔。
俯瞰と鳥瞰を使って、暗い沼から、ゆっくり飛び出し、飛びあがる姿。

飛び出す瞬間は音にアクセントを附ける。
ぬめりとねばりから飛び出す妖精たち。
弦楽器のたゆとうようなメロディ～に天空を飛翔する妖精たちの乱舞。

曲調はモルトアッダ～ジォ。

第３楽章は第４楽章と休止無しで繋げる。

弦楽器のピィッチカートにあわせて、コミカルな動きで
森の生き物たちの楽しみと快活な動きを表現する。

第四楽章に入る前に予兆として人間たちが調子よく入場して来る。
彼らは破壊者だからコントラバスでのピィッチカートを使って編曲する。

休止無しでシンバルの強打と金管楽器群の咆哮へつなぐ。
タクトを振っても良い。

手塚治虫先生のＬＰ

「アンセルメの火の鳥・輸入盤」「ムラビンスキーの悲愴交響曲」
「フルトベングラーのブラームス交響曲第１番・赤盤」

同じＬＰを聞いていましたが、チャイコフスキィはやっぱり４番が作品的に優れています。

手塚治虫先生は怒ると怖かったけど、みんなの意見にも主張にも柔軟でした。

いつも観客の方に向き、どうしたら喜ばれるのかを気にしていました。

あなたは虫プロと手塚治虫先生に何か特別の思いでもあるのですか？

暴力殺人ゲーム。

いじめぐらいで自殺するほうがコンジョなしや
リセットボタン押したらエエ。

とめられない。

だから。

良いものを見せよう。

良いものを見てもらおう。

声さえかけてくれれば、僕は何処までも、講演会でも、マンガ教室でもやる。

僕はまんがの世界を支える大樹の種を探す。

まんがは子供たちの、大人の心にも空気のように吸い込まれている。

良いまんがを広く知ってもらい、外国とも交流をして、
僕の国、日本のまんがが良くなる事をする。
これが、僕たち社団法人日本漫画家協会の設立の目的なのです。

まんがの世界を支える大樹の種を、アジアで探せば、
マハーバラタやラーマヤナを、彼女や彼らたちの手で世界に発信できる。

ニーベルンクの指輪の原型　・エッダだって
ノルウェィやフィンランドの子供たちが、世界に発表する事だって夢ではない。

水の英子先生は「星のたてごと」のベースにリヒャルトワーグナーの神々の黄昏を使った。
カラヤンのアィーダという歌劇もサンサーンスのオペラの登場人物の名前もあった。
「リンダ」という響きは「ウ～ララウララウラウラの」に受け継がれたと思う。

Ｊ.Ｒ.Ｒ.トールキンは
「旅の仲間」「２つの塔」「王の帰還」というＲＰＧの原型を書き表した。

ニュージーランドで長期撮影された映画版は、原作の８％ぐらいしか表現出来なかった。

北欧の子供たちがまんがに興味を持ち、正しい使い方を掴み取れば世界の文化は前へと進む。

ドラゴンボールの暴力や
アメリカ消費大国のオゲレツにへつらった千と千尋を肯定してはイケナイ！
僕はこの醜悪なアニメをアメリカが絶賛した訳を知っているから否定する。
理解できない日本人の頭の悪さに絶句する。

おぞましさが宮崎駿の本質であると何故みんな気が付かないのだ。

世界の子供たちに勝てば官軍ではない良いまんがを作ってもらいたい。
本質から考えを興せば無理かも知れない。

だったらやめるしかない。
やめないのだったらとめるしかない。
ひとりだけでもとめる。

誰でもまんがは簡単に描ける。

描けるから間違った使い方をしないようにと僕は悩む。

だからまんがの行脚をしたい。

僕に残された時間。
僕がするべき事。

まんがの種をさがす。

社団法人日本漫画家協会会員・参与

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　玉地俊雄

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http://plaza.rakuten.co.jp/balitama/

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