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2015.05.02
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カテゴリ: 突発性難聴体験記
Day17
4月14日朝10時過ぎにN病院に到着。200床ぐらいの中規模私立病院で、内科、外科、脳外科、神経内科、心臓外科などを標榜している。脳卒中や心筋梗塞の急性期、一酸化炭素中毒、潜水病(この病院は海から1時間弱のところにある)などのために高圧酸素治療の設備が置いてある。

N病院では外から紹介の突発性難聴患者はまず脳外科のドクターから簡単な問診を受ける。そこでの一言は一生忘れまい。「なんでこんな時期になって来たの?もう2週間以上経ってるからこれから高圧酸素やっても効果は期待できないよ。もっと早く来れば治る可能性が高いのに。」と半ば叱りつけるような口調で語る。
しかし患者である私にどうしろというのか?いかに医師であるとはいえ、大学病院に入院していた以上自分で勝手に来るわけにいかないじゃないか!遅いかもとは知りつつも最後の望みを託してやっとたどり着いた患者に、こんな闘病意欲を無くすようなことを平気で言うやつに医師の資格があるのか?
「そんなこと言うならお前の病院に耳鼻科を作っとけ、ボケ!!」と心の中で叫びつつも、「はあ、とにかくできるだけの治療を受けたいのでお願いします。」と頭を下げるしかなかった。本当に患者の立場は弱いものである。

この医師とは正反対に、高圧酸素治療を行ってくれた技師さん達は皆親切で優しかった。ちょっとした優しい言葉がどれほど患者の不安な気持ちを癒してくれることか。私を含めて医師は身を以て知るべきだとつくづく思う。

高圧酸素治療の設備としては、数人が入れる高圧酸素室と、一人しか入れないカプセルタイプのものがある。N病院のはカプセルタイプ。SECHRISTという会社が作っている。
IMG_0985.JPG
アンチエイジングやアスリートの疲労回復に使うような酸素カプセルは、せいぜい1.5気圧までしか加圧できず酸素濃度も30%程度までだが、この器械は2気圧まで加圧できなおかつカプセル内の酸素濃度を100%近くにまで上げることができる。
ヘンリーの法則に従って高気圧の酸素が血液中の血色素だけでなく、血漿中に何十倍も溶け込み内耳の損傷部位に少しでも多くの酸素を供給して再生を促そうという治療である。


初日を担当してくれた技師さんはベテランの方で、丁寧に治療過程を教えてくれた。
「まずは耳抜きといって、加圧中に中耳内に耳管から空気を入れていかないとものすごく耳が痛くなりますので耳抜きの方法を教えますね」と言われたが、ダイビングで耳抜きは慣れていることを話すと「あ、それなら心配要りませんね」ということで早速治療開始。

ストレッチャーに乗せられてカプセルの中に入ってハッチというかドアを閉められた瞬間、シンと静かになり耳鳴りが気になってしまう。外にいる技師さんとはインターカムで話すことができる。寝返り打つのもやっとの狭さだが、アクリル性で全体が透明になっているため外の様子は見ることができ、これなら閉所恐怖症の人でも大丈夫だろう。
スイッチオンで酸素がシューという音ともにカプセル内に送り込まれてくる。意外とうるさい音だ。

「では今から圧を上げていきます」と技師さんがインターカムで教えてくれる。約20分かけて2気圧まで上げる。「大丈夫ですか?耳痛くないですか」と何度も技師さんが聞いてくれたが、予想通り耳抜きは全く問題無かった。ダイビングのときは10分もすれば水深10メートルまで潜っているので、むしろ余裕があった。
「はい、今2気圧になりました。この状態で1時間待ちますのでゆっくりなさって下さい」と技師さんの声。この1時間が中々に長い。見えるところに時計が置いてあるのだが、見ていると余計に長く感じる。「少しでもたくさん酸素入ってこい」と願いながら、何度も深呼吸をした。

2気圧下で1時間過ごした後に20分かけて減圧する。中耳にたまった酸素が耳管を通して「ボキュボキュ」という感じで出てくる。あくびをして少し耳管を開けてやるとスムースに中耳圧のバランスが取れてくる。「ボキュボキュ」という音ともに治っていくんじゃないかなあという気になるが、減圧が終了して静かになると相変わらず右耳の耳鳴りがしている。
「耳大丈夫でしたか?」・・・圧の変化で耳に痛みが来ていないかを心配しての言葉だけど、耳の病気で来てるのにちょっと滑稽な感じがした。
「今日はまだ何も変わらないかもしれませんが、効果が出る人は4回目ぐらいから良くなることが多いみたいですよ。」とのこと。こういう一言がすごく励みになる。
今日を含めて連日計14回行う予定。

続く・・・





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Last updated  2015.05.04 11:26:17
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