bittersweetのホロ苦アヴェニュー

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夢のような日々。

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2005年08月05日

健康状態に配慮して今日は録画なんだってさ。

夫婦喧嘩して寝付かれず。ちょうど筑紫哲也のヒロシマ特集を見てボヤボヤと思うところあり、ついでに見ている。

うちのじいさん（父）は歩兵だった。ビルマとかシンガポールとかに送られたらしい。彼にもらったずっと昔のビルマの
紙幣を今も大切にしている。「インパール作戦」に関する書物やなんかも非常に熱心に収集していたし、事あるごとに
語ってくれた戦時中の経験の話からしても多分インパール作戦に従事したんだろうと思う。今となっては確かめる術は
ないが。とにかく、私が物心ついた頃から、暇があれば戦争の体験談をしてくれた。無線係だったとかなんとか。重い
食料を背負って野原を横切ったとか。至るところ死体の山で、でも気にかける余裕なんてなかったとか。あれだけ長い
時間を一緒に過ごしてたくさんの話を聞いて、これっぽっちしか覚えていない幼かった自分が恨めしい。彼を思う時、

じいさん（母）は士官だった。戦争経験を一切語らない男であった。士官学校在学中に終戦を迎えたらしい。あと少し
戦争が長引けば司令官として多くの兵士の生き死にが自分の肩にかかるところであった、なまじ真面目な人間ゆえ
その責任の重さを真摯に受け止め戦争の話になると口を貝の如くつぐんだのだ、と家族は理解している。が、中国で
従軍していたと言う者もいる、これも真実の程はもう確かめようもない。唯一覚えているのは、ある日の夕食後久々の
酒を楽しみほろ酔い気分で見せてくれた士官学校の入学試験問題。超難解だった。エリートがエリートだった時代だ。

二人とも、現在の私より遥かに若い年齢で、戦いに送られたのだ。自らの命より重い”お国”。肉片を踏み、死臭と泥に
まみれ、銃を撃ち放し、足を棒にして歩き、生きて帰ってきた。想像が及ばない。戦争における殺傷行為の善悪を私は
論じていいのだろうか。戦争なのだからなんでもありで当たり前じゃないか。人間の歴史が戦いの歴史である限りやった
やられたといつまでも堂々巡りな議論は全くナンセンスである。

でもまた一方で思うのである。耀かしい大義名分の下になされた行為のひとつひとつを検証し、人間の根本にある残酷さや
愚かさを知ることで、次はもうちょっと痛みを減らす努力をできるんじゃないかって。お互いに。てか、それができなきゃ馬鹿

ヒロシマ特集の中で、あの原爆をつくって落とした科学者のひとりを広島に招いて、原爆の被災者２人と対談させていた。
その科学者のじいちゃんは最後まで　謝罪はしない　と言い張っていて、いやー通訳の女性は被災者感情に配慮して
無難に訳していましたが実際は非常に強い語調だったから通訳大変だったと思う（責めるなら原爆落としたオレら米軍じゃ
なく他の国で悪さした日本軍を責めろ、とか、でもあんたら原爆の中で生き残れてラッキーじゃん、とか言ってた。まーこれも
訳仕方で印象は変わるですが私の耳には善意のトーンとして伝わらなかった）が、とにかく、”リメンバーパールハーバー”が

ある。そう考えると２段落上で言ってる「戦争だからなんでもアリ」という自論を撤回しなければつじつまが合わなくなってくる。

じゃあ撤回しましょうか。そうしましょう。

しかし、ここでトリッキーなのは、だからといって私の中で「では日本がご迷惑をかけた近隣諸国に土下座して謝罪をいたし
ましょう」という気にはなるわけじゃないってこと。なぜなら私は当事者ではないから。ヒロシマ特集の科学者も被災者も当事者
だった。戦後６０年たった今でも、当事者ならお互いの意見は激しくぶつかっていい。だって当事者なんだもの。死ぬか生きるか、
殺らなきゃ殺られる、そういう場面に直面した人達だもの。でも私は戦争を知らない子どもとして生まれて、生命の危機を感じる
こともなく大人になった人間であるから、当事者と同じレベルで怒ること自体、非常におこがましいことだと思うのだ。私は上記の
科学者じいちゃんの謝罪やら「原爆投下は間違っていた」なんて言葉を聞きたいとはこれっぽっちも思わない。私が生きている
間にまた爆弾を落とされたくないし、大切な人を失いたくもないから、万が一のとき戦争を回避できる方法を提示できるよう
知恵を絞りたいと思うだけだ。

だから最後はやはりここに戻る。耀かしい大義名分の下になされた行為のひとつひとつを検証し、人間の根本にある残酷さや
愚かさを知ることで、次はもうちょっと痛みを減らす努力をできるんじゃないか、お互いに。てか、それができなきゃ馬鹿である。
経験から学べるから人間は人間なのだ、だ。ただ、自分の祖父達がどこかで誰かを傷つけたという事実を、恥じることも責める
こともすまい。彼らは彼らが信じ込まされた通りにやっただけだ。同様の教育を受けたら私だってきっとそうしてる。

突き詰めていけば、私は日本という国を愛しているってより、たまたまそこに暮らし私に愛情を注いでくれる一部の人達を激しく
愛しているだけなんだ。白米、温泉、緑茶、あんこも好きだしな。ウヨ仲間だと思っていた君、悪いな。いや、日本の現状を嘆く
真性ウヨだって戦争には行きたくないだろ？死ぬんだぜ鉄砲でバキュンて撃たれたら。私的にはぶっちゃけ国なんて枠は無くて
全然いーんだけど、それがなかったらやっぱ不便じゃん、愛する人達と幸せに豊かに生きていくには。それもあって、他人に親切に
しましょうとか言ってるわけだ、どうせなら毎日楽しく過ごしたいから。そこだけ見て「ビタさんて立派な博愛主義者」と思われるのも
困ります。その一方で韓国人クラスメートにいきなり謝罪しろとか言われてもんーなのオレ関係ねーよってつっぱねる私がいるん
だから。食い合わせ最悪の思考が見事に同居しているゴミ箱人間なのよ私。期待しないで。

結局こう言うことにしています。「ひどいよね確かにひどい、奪う奪われる犯す犯される壊す壊される殺す殺される、そんな経験、
絶対したくないよね、だからうちらは仲良くなろーぜ、血を流さないで問題を解決できるように、な？」　じいちゃんはそういうつもりで
あんな熱心に戦争体験を話してくれたんだろうと、元帝国軍人の孫である私は解釈している。

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