2005年02月06日
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カテゴリ: 雑考生活
愛知県のスーパーで、また理不尽な通り魔的幼児殺人があった。以前の日記にも書いたが、近頃ホントに幼い子供が犠牲になる酷い事件ばかり目に付き、子供を持つ親としてはやりきれない思いで一杯である。生後たったの11ヶ月で刺殺された男の子には、心からご冥福をお祈りしたい。

新聞の記事によると、逮捕された住所不定無職の容疑者(34)は 「 “人を殺せ”と神のお告げが聞こえた」と供述しているという。これを読む限り、容疑者の男はいわゆる「電波系」、つまりは世間で「キチガイ」とされる類の人間として扱われている。そして世間一般からも「キチガイによるワケのわからない行動」として受け止められる。しかし、この手の「神のお告げ」による犯行というのは過去にも何度かあったが、こうした事件を見聞きにするたびに思うことがある。

ひとつは、「お告げで殺した」という供述が過去によくあることを皆知っているぐらい「ステレオタイプ」なパターンであるということだ。だいたい、なんで今時「お告げ」なのだ。電波系に時代の流れはないのか?どうして「頭の中に、毎日メールで指令が届く」とか「光ファイバーを通して直接指示が来た」みたいなオリジナリティがないのか。それは、こうした犯人が恐らく病んではいるだろうけれど真に狂っているのではなく、過去の事例を「なぞっている」だけだからなのではないか。

もうひとつ思う点は、今回も犠牲になったのはやはり「幼児」や「女性」であって、決して「大人の男」などではない。つまり、容疑者は間違いなく「理性的な判断で」相手を選んでいる。これは、かつて同様に「神の指示で」を理由に多数の死傷者を生んだ 下関通り魔事件 などでも、「より多くの犠牲者を出すつもり」で車で通行人を轢いた後、車を降りてさらに刃物を使って犯行に及ぶという、理性的かつ合理的な判断をしている。つまり彼らは、「ワケがわからない行動」をしているのではなく、ワケがわかってやっているのだ。いわゆる「電波系」ではないが、去年死刑が執行された宅間守にしても行動は常軌を逸しているが、狂っているワケではなく、憎むべき犯行の経緯は極めて冷静なものだった。要するに、こうした事件の犯人の殆どは理性的な判断ができるわけで、いわゆる「別世界のキチガイ」なんてものは存在しないということだ。

かつて世間では「キチガイ=悪い奴」という認識があり、「悪い奴だから、悪いことをした(=納得)」。だから「悪い奴から身を守れ」或いは「悪い奴を社会から排除せよ」といった理屈があったが、現実はそうではない。排除する明確な対象などないのだ。もちろん、事件を起こす犯人の思考と、一般的なジョーシキ人の思考との間には、明らかに何らかの『ズレ』があることは確かだろう。ただ、その『ズレ』の正体は何なのか?そしてその『ズレ』はなぜ出来るのか?については、残念ながらよくわからない。


ただワタシが心配なのは、それでもまだ「狂気」はどこか「遠い別のところにある他人事」にしておくことで安心しようとしている世の中の大半。「まさかあのヒトが」というコメントは、嫌と言うほど聞いてきたではないか。

狂気は決して自分から遠い場所にだけあるのではなく、まずは一度、自分自身を含めて、何か『ズレ』てきていないか、なんてことを時々確認してみた方がいいんじゃないかなぁ。と思いますワタシは。





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最終更新日  2005年02月07日 01時31分57秒
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