2005年07月22日
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カテゴリ: 音楽生活

『ライブ帝国』 というシリーズがあるのを発見した。これはテレビ神奈川(TVK)が開局30周年を記念して企画発売したもので、同局がかつて番組内で放映した「80年代に活躍した日本のミュージシャン」の幻のライブ映像を、DVDで復刻したものである。

その中で見つけたのが、「RCサクセション 70'S」、「RCサクセション early 80's」の2本。
中学~高校生時代にかけて、ワタシの音楽人生はただひたすらRCサクセションであった。なかでも、ロックバンドとしてブレイクする以前のトリオ編成(忌野清志郎、破廉ケンチ*1、小林和生*2)時代のハードフォークのRCがもう熱狂的に好きで、母親に「こんなお経のような歌、気持ち悪いからやめなさい」などと言われながらも、バンドスコアを入手してはギターやピアノを必至で練習したりと、当時はホントに寝ても覚めてもRC漬けの毎日だった。
*1)はれんけんち・・・エレキバンドに移行する過程で精神的に行き詰まり、ステージでも完全にギターが弾けなくなり脱退。


そんなワケで曲だけは擦り切れるほど聴いていたが、初期のRCの映像を実際に目にするのは初めてで、 「RCサクセション 70'S」の中で、マッシュルームカットに青白い顔で怨念を搾り出すようにステージ上で唄う 清志郎の姿 を見た瞬間、思わず「あぁ・・・」と声にならない思いが胸に広がり非常に感慨深いものがあった。別にノスタルジックな気分に浸るというのではないが、当時から20年以上も経てまさかそんな映像が存在していようとは思いもしなかったので、言わば昔の知人の知らなかった姿を見て新鮮な驚きを感じたというのに近い感覚かもしれない。初期のRCの曲は、皮肉に満ちた暗く激しい曲が多いが、気の利いた演出もMCもなくただ棒立ちで楽器を掻き鳴らして叫ぶ彼らの姿と曲のイメージが初めて重なり、妙に納得感があった。

しかし、続けて観た「RCサクセション early 80's」ではロックバンドに転進したRCのメンバーが例の奇抜なメイクと衣装でステージに現れ、清志郎は髪の毛をおっ立てた「キヨシロー」という別人格になっていた。足を前後に開いてステージ上でピョンピョンと飛び上がり、派手なマイク・パフォーマンスで客席を煽る キヨシローの姿 がやけに滑稽で、比較して観てしまうとかなり違和感がある。前の映像からほんの数年の間にアンタらは一体どうなってしまったのよ、と思うぐらいの変貌ぶりである。勿論、このロックバンド時代のRCも好きだったし、音楽番組の生放送でTVカメラにガムをくっつけたりというキヨシローの暴挙なども痛快だったが、不遇のフォークトリオ末期時代を経て「売れなければ意味がない」と、確信犯的にキッチュなポップスターを演じていたキヨシローの姿は、今見るとなんだか少し痛々しい感じがした。

あんなに熱狂したRCだったが、彼らがポップスターとして売れれば売れるほど、天邪鬼なワタシは次第にRCへの興味が薄れていき、結局、当時コンサート会場に足を運ぶことも一度もないまま、無期限活動休止(事実上の解散)となってしまった。

ただ、2年程前、休日に偶然立ち寄った京都駅ビルのオープンスペース(大階段のステージ)で清志郎がFM番組主催のミニライブをやっているのに間近で遭遇したことがあった。
それを観るまでは、「ピークを過ぎていつまでも老醜をさらして活動するのもどうだかなぁ」なんて思ったりしていたのだが、目の前でシャウトする清志郎の姿はやはりチャーミングで、生きてる間に生の清志郎に逢えて良かったなぁと、しみじみ思ったものであった。






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最終更新日  2005年07月26日 16時00分37秒
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