音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2009年10月03日
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テーマ: Jazz(1978)
カテゴリ: ジャズ




 フレディ・レッド、1928年生まれ。ハードバップのピアノ奏者で作曲家。何ともメジャーそうな響きの名前ではある。けれども、彼(厳密にはFreddie Redd Quintet)の名義の本作『シェイズ・オブ・レッド(Shades of Redd)』は、ブルーノート4000番台という位置にありながら、どちらかと言えばマイナーな扱いを受けてしまう不遇のアルバムだと感じる。リーダー作が多くないせいでメジャーとなり得なかったと言えばそれまでなのかもしれないが、少なくとも本盤を聴く限りでは、時代の流れによる不運というのも多分にあるような気がする。

 1960年を迎えた頃、ビバップからハードバップへと進んできたジャズ界では次のステップへのうねりが胎動し始めていた。つまり、今から過去を遡って初めて言えることかもしれないが、隆盛を極めたハードバップの枠内でいくら名曲・名演を繰り広げても、間もなく忘れ去られていく運命にあった。新たなミュージシャンたちは新たな音楽を創造し、旧来のミュージシャンは時代の流れに対応したり新たなスタイルを築き上げたりしていった(無論、マイルスはその典型である)。そうでない者たちは、遅かれ早かれシーンから消えていく。とりわけブルーノート(もっと正確に言えば、アルフレッド・ライオン)は、この点において鋭敏だったのだと思う。それゆえ、フレディ・レッドも、そして、本盤に参加しているティナ・ブルックスも、そうした不遇の人たちではなかったか。

 トランペット抜きのサックス二管(ジャッキー・マクリーンのアルトとティナ・ブルックスのテナー)というイレギュラーな五重奏団という編成。収録された7曲はいずれもリーダーのフレディ・レッドによる楽曲である。これらの楽曲いずれもが、サックス二管と実にうまく調和している。この点こそが、本盤のいちばんの長所だと感じる。J・マクリーンもT・ブルックスも"泣き"の入った音を奏でるサキソフォニストである。彼らの音色と演奏を想定してこれらのが曲が用意されたのかどうかは知らないが、もしそうであるならば、作曲者のレッドの才能は見事というほかない。もしそうではなくて、準備された曲に両サックス奏者がマッチしたのだとしても、個性の強いこれら両者を包み込んでしまう曲をいとも簡単に7曲も出してくる作曲能力は素晴らしいというしかない。

 今から過去を遡って考えていいのなら、つまり、現在から遡って恣意的に過去の特定時点で時間を止めて考えていいのなら、本盤には秀逸な作品という評価を与えてしかるべきだろう。フレディ・レッドがあと数年早く登場していたら、ブルーノートを代表するような名盤を多く残す機会を与えられていたように思えてならない。どの曲も優れているが、フレディ・レッドの作曲と両サックス奏者の演奏の組み合わせという観点から筆者が好むのは、1.「セスピアン」、2.「ブルース・ブルース・ブルース」、4.「メラニー」、6.「ジャスト・ア・バラッド・フォー・マイ・ベイビー」。あと、中途半端にスペイン風の曲調ではあるが、7.「オレー」も実によく出来た曲だと思う。なお、同じフレディ・レッドには、本盤以外に『ザ・ミュージック・フロム・ザ・コネクション』という好盤もあり、いつか機会があれば紹介したい。


[収録曲]
1. Thespian
2. Blues-Blues-Blues
3. Shadows

5. Swift
6. Just A Ballad For My Baby
7. Olé

Jackie McLean (as)
Tina Brooks (ts)
Freddie Redd (p)
Paul Chambers (b)
Louis Hayes (ds)

録音: 1960年8月13日






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Last updated  2016年01月29日 08時34分18秒 コメントを書く


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